ベースと左手 (15)
超おすすめのテクニック
何か正式名称があるのかどうかは知りませんが、とりあえず言葉として分かりやすいのと、ロマサガが好きな為、このブログではこの名前を使います。
このレフトハンドミュート。先日から話を続けている手を閉じるフィンガリング、その極致と言えそうです。
大袈裟ではなく『2フレット4フィンガー』という感じの運指にもなりますね。さらにシンプルに考えるならば、メインで使うのは人差し指だけと見ることも可能。
具体的にどうやるか解説しますと、
・まず音程を決めてそこを人差し指で抑える
・そして他の指を弦にかぶせるようにして弾く
これだけ。人差し指はほぼいつも通り押さえ、中・薬・小指で弦振動を制御します。
ブリッジ付近の位置で右手の側面を弦に当ててミュートして弾く方法。要はあれを左手側でやろうと言うことですね。左手をスポンジやクッションの代わりにするみたいな感じ。
一見は超非効率
「え?それの何が良いの?」
「非効率じゃね?」
なんて思ってしまいそうなところ。
事実、音程を積極的に変えるのであれば、左手はめちゃくちゃ忙しくなります。でもそういうこっちゃないんですね。指を広げれることが基礎という、それだけでは分からない恩恵が沢山あります。
音質はもちろん、立ち上がりとサスティーンをより繊細に緻密にコントロールするのであれば、このテクニックはマジで超絶役に立つ奏法に化けるから面白い。
弦の暴れを抑えられる分、太い音の実現にも貢献してくれるのも魅力的。
たとえばこのウィル・リーの映像。
Session Men: Will Lee's Motown Intro (Director Gil Baker) - YouTube
左手が忙しそうに動いているのが分かるはず。一見は非効率にしか見えないやり方だけど、あえてそう弾くことにちゃんと意味があるわけですね。
これで基礎がどうのの理屈を優先、律儀にワイドストレッチしながら弾いてたら、全然違うものになってしまいます。
左手のタッチコントロール
「強力なタッチ」
と言うと、どうしても右手の方に意識がいってしまいがち。実際、右手でコントロールした方が分かりやすい変化も得られます。
一方、音程や長さの選択権というのは左手の方に大きく委ねられているもの。
左手の歯切れが悪かったりスタッカートが表現できないのでは、思ったようなキレやグルーブを手に入れることは難しいでしょう。
どんなに力強く立ち上がりの良いタッチで弾いたところで、左手が貧弱では台無しです。左手のコントロールが甘い場合、想像以上に深刻な影響があるものだと痛感します。
他の楽器で例えるならば、「タアァーーーァァァン」とスネアが鳴り響きっぱなし。バスドラが「ドゥゥウウウン」と響きっぱなし。そんなドラムをイメージしてみればいいんじゃないかと。
単純な言葉の響きとしても、
「スタッタッタッ!」
「ぶべぇ~べ~ベ~」
この両者ではまぁ、どちらの方がキレ良く感じるかなんて言うまでもないでしょう。未来永劫、後者の方がキレ良くかっこいい響きに聴こえることはありません。
自分のベースサウンドとグルーブを前者にするか後者にするか?
それをより強く具体的に意識するにも実現するにも、レフトハンドミュートは重要なテクニックとして役立ちます。
ファンクでもメタルでも使える
【タワー・オブ・パワー】の【ロッコ・プレスティア】に代表されるように、ファンクの世界でこのミュートクニックを使用する人は多いはず。
前述のウィル・リーはもちろん、前回も触れたチャック・レイニーなども使用しているはずですし、やはり、それだけ音の立ち上がりを速くしたり、リズムにキレを出すことが求められる音楽と言えるでしょう。
そこで効果絶大なのがレフハンドミュート。その威力を考えれば、必須なテクニックになると言っても過言ではありません。
ロックでの活躍も期待できるし、メタルの刻みなんかでもそれは同様。
実際、力強い刻みや高速な刻みが求められる場合、自分だったら左手のミュート具合で立ち上がりや音のキレをコントロールするようにしています。
当然、そういった要素は右手の方にも求められますが、問題は指弾きがメインということなんですよね。
ピックだったらブリッジミュートが使えるんだけど、指でそれをやるというのはかなり困難な話。
音のキレも長さも何も考えずに単純に弾いてしまうと、前述の鬱陶しいドラムのような刻みになりかねない為、そこが難しい。
そこでレフトハンドミュートが活躍してくれるわけですね。
指弾きでも高速な立ち上がりでタイトに弾ける。ピックにおいても弾く位置をブリッジ付近にだけ限定する必要がなくなる。
つまりは、サウンドにもプレイにもより幅を出せるようにもなります。シンプルな刻みでも驚くほどバリエーション豊かにすることが可能になる。
指を開くフィンガリングだけに限定する必要はないという好例。地味なようだけど効果絶大、立派な表現方法と言えるでしょう。取り組む価値が絶対あるテクニックだと確信する次第。
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