ベースと左手 (5)
小指は一番弱い?
常識的にはそんなイメージがあるだろう小指。でも実のところ、一番強力に押弦できるのは小指。ハッタリでも誇張でもなく、本当の話。
確かに、それ単体で使うとなると厳しい面はあります。一番細くて小さい指、それは間違いない事実。しかしそれというのは、小指だけの使用で考えるからそうなってしまうだけの話。
やり方によっては、人差し指・中指・薬指、他の指の力を借りることもできるのが小指の特権。他の力も利用することで結果的に、最も安定した押弦が可能になるわけです。
3フレット4フィンガー
前回も触れた、コントラバスなどでの基礎とも言えるこの運指。3フレット目に薬指ではなく、小指を使うことになります。
ただ、この方法、「薬指をまったく使わない」とか「浮かせてもいい」という話ではありません。小指の補助をするように押弦したり、そうやってより強い力を得るからこそ意味が生まれます。
この際、人差し指と中指についても弦から露骨に浮かせるようなことはなく、全ての指を連動して小指の補助をするのがポイント。
あのでかい長いコントラバスに対し、一本一本の指の力で対抗しようというのはかなり無理があるのが現実。だからこそ、こういった基礎が本当に重要になってくる。
エレクトリックベースでそこまでやる必要があるかどうかはともかく、指をバラバラに使うことばかりを意識するのが疑問になるのは確か。
強力な押弦を実現するのであればやはり、全ての指を協力させた方が望ましい。
地道に鍛えていくだけではなく、凝り固まった認識を変えることも大切ですね。
音の出方・伸び方も変わる
全ての指を連動させた強力な押弦で面白いのは、サスティーンが豊かになったりデッドポイントに対しても有効なこと。
綺麗なフォームやピッチについてはとりあえず置いておいて、露骨な音づまりを感じるポイントで思いっきり強くネックを握るように押弦してみると、その効果が出るはず。
この際、ヘッド側とネックの共振を押さえるように意識するのがコツ。上手くいけば通常は音づまりしてしまう部分をサスティーンさせることが可能になります。
ネックが反りまくってるとかフレットがボコボコだとか、そもそも楽器がひどい状態にある場合はまた話が違いますが、ネック・ヘッド側の振動が大きな原因になっている場合、この方法がけっこう有効になる印象。
小指を使った方が強力な押弦を実現できる一つの例ですね。当然、弦の不要な暴れも減るため、それだけ音も太くなります。
楽器の具体例を挙げるならば、ジャズベとプレベの1弦を弾いた際。その1弦の4~7フレットあたりにデッドポイントがあるようなら確認がしやすい。音詰まりに対して押弦による変化を感じると面白いですよ。
小指は重要な存在
小指が弱いと感じるのはやはり、『小指そのものだけ』でなんとかしようと頑張っているからではないかと想像するところ。
それだと確かに、頼りなく厳しい運指になってしまいます。
小指を上手く使おうと考えるならば他の指の力も借りること。もっと言えば、手の側面や手首はもちろん、腕の筋肉や肘の使い方などまで意識してみると良い。
それ単体は当然のこと、指先だけを使おうとする意識などで済まそうとするのではなく、様々な力を使うことが重要です。
またはその逆に考えた場合、小指の力がなければ拳を上手く握れなかったりするように、他の指に対する影響も大きいことが考えられます。
そしてそれは恐らく、腕・肘・肩までで済む話でもなく、全身にすら影響があるものかもしれません。
小指をピン!と立てて強い握り拳を作ることはほぼ不可能だったり、そもそも体に力を入れること自体が難しくなるのが現実。
そう考えるとやはり、
「一番強い指は実は小指である!」
と言える可能性が十分にあるでしょう。
この話、グラップラー刃牙を読んでいる人には伝わりやすいはず。あの件でなんとなく分かる話なんじゃないかと。
まぁ、それは半分冗談として、確かリチャード・ボナなんかも「小指が一番強い」というようなことを言っていた覚えがあります。
色々と考えていくとやはり、
「使えない」
「弱い」
「頼りない」
こんなイメージとはまったく違うものに思えてきます。
空手とかの拳の握り方などについて調べてみても面白いのが小指の存在。想像とはかけ離れた強さと重要性を持っていることが分かります。
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