ベースの速弾き 精神論、具体的、何でもありに上達を考える

 

速弾きへの憧れと挫折

 

速弾き至上主義の道は苦かった

 

メタル大好き、テクニカル大歓迎だった自分。

 

当然ながら、

 

「もっと速く!」

 

とにかく上手くなりたい一心、猛練習してきました。それこそ、「日本一速く弾けるようになってやる!」みたいに躍起になってた時期もありますし、指が動かないやつだと思われたことは恐らく、人生で一度もないでしょう。

 

しかしまぁ、この世の中、音楽、それだけでやっていけるわけがない。特にベースに求められる現実は色々厳しい。「速弾きなんざ役に立たん!」と鼻で笑われ、一蹴されることも珍しくない。

 

このブログで何度も話してきたのは、自分の軟弱さ。根本的なフィジカルはもちろん、その音のひ弱さ、グルーブのグの字もない希薄なプレイにずっと悩まされてきました。また、基礎がないことによる無理、度重ねる怪我にも苦しみました。

整体師が呆れるレベル、ガッチガチに凝り固まった体に二十代台前半でなってた事実。あぐらを10分してられない、日常生活すら困難な腰痛、思い出すだけでも血の気が引きます。

 

練習すればするほど、音は細くなっていく一方。楽器もそれに合わせ、どんどん軟弱なセッティングとスペックに。にもかかわらず、体を壊して楽器を弾くどころではない。

 

ここまで苦しんでようやく気付きました。

 

「このままじゃ駄目だ!」

 

速弾きに取り憑かれていた自分に疑問を抱くことに。

 

諦めた速弾きの道

 

これまたこのブログで数多く触れているのが、

 

『縦振動のタッチ』

 

これに目覚めてからというもの、聴く音楽の好みが大きく変化していくことに。今まで気付かなかった、と言うより、気付けなかった音楽の面白さ、ベースの奥深さ、その実感の大きさはまさに財産だと断言します。

となると、「速弾きはもういいかなぁ・・」って心境になるのも必然と申しますか、次第に興味を失っていくことになりました。速弾きの道は諦めたと言っても過言ではありません。

 

使用するベースの好みもテクニカルな方向からは対極に変化。ラージボディに太いネック、ハイポジションの邪魔になるごついディープジョント、当時の倍以上はある弦高など、まったくもってテクニカルなことには向かない仕様そのもの。

小型ボディ、薄いネック、細い弦、低い弦高など、当時と今はまったくの逆。ここまで変わるかってぐらいの変化、もはや別人になってると言ってもいいでしょう。

 

あえて安易な言い回しをするならば、

 

『ベースらしさ』

 

これに目覚めたって感じ。

  

速弾きやめたら速くなった

 

「え?なんで?」って自分が一番ツッコミたいこの事実。でも本当、速く弾くことに興味を失ってからの方が、楽に自然と速く弾けるようになってしまった不思議。

 

前述した通り、テクニカル系ベース弾きの道に現在は興味がなくなった自分。ルックスも含め、華やかなプレイヤーになるのは無理。

次々と現れる超絶系な人達を追っていくのも無理。真面目に必死こいて練習しようって気力もなくて色々無理。まさに無理無理尽くし。

もう伸び代なんかない。これ以上やったって、たかが知れている。速く弾くための練習など、ほとんどやらなくなりました。それより何より、もっと太い音を出せるようになりたかった。

 

その為に必要、これ以上なく具体的だと確信したからこその、縦振動のタッチの研究。左手の力の入れ方なども見直し、フォームを1から作り直す作業にも取りかかった次第。

負担も怪我もお構いなしに弾いていた自分との決別、これまでのケアをする意味でも、もっと楽に弾けるようになりたい意味でも、技巧の追求はやめて地道に練習していくことに。

 

そしたら、あら不思議。

 

「今の方が速く弾ける!」

 

なんの皮肉だと、ま~困惑。

 

「やってやるぜ!」なんて必死になってた頃の方が行き詰まってた悲しさ。全てに思い悩み、何も上手くいかなかった地獄。

一方、「もういいや」と速く弾くことを意識しなくなった方が速く弾ける、音も太くなって怪我もしなくなった現実、この何とも残念歓喜な結果が実に面白い。

 

ほんの撫でる程度のタッチとしっかり弾くタッチ、後者を速弾きにも応用できるようになったのはすごく大きい。動画で見ても違いは明らか。

www.youtube.com

 

加えて言うならば、ブログを書くようになったらまた速く弾けるようになった、そんな不思議な実感もあります。

奏法の分析をして効率が良くなったということか?取り組むべきこと、課題の見つけ方が上手くなったのか?

 

がむしゃらにやってた頃の自分は何だったのかと、ちょっと虚しくもなったり。

 

そもそも深く考えてなかった

 

過去の自分を振り返ってみて痛感するのは、

 

『速く弾く為の方法』

 

実のところ、これを真面目に考えてなかったこと。過去だけではなく、今の自分だってそんなに深く考えていない。

それが証拠に、速く弾かなくなったら速くなってた事実に困惑してるし、こんな勉強不足、分析不足だったのかと、軽く絶望したかもしれません。

 

数多く書いてきたこのブログでも、これをメインの題材として記事にしたものはほとんど無し。速弾きが好きだったと言いながら、あまりにテキトーに扱っていたと反省。

これじゃいかん、もうちょっと真面目に研究してみたい、才能や身体能力の世界で済ますのではなく、何をすればいいのかちゃんと考えてみたい、それがこの記事のテーマ。

 

「太い音が出るよう弾いてたら速くもなってた」ってのも珍しいパターンじゃないかって気がしますし、速弾きをするための内容を自分なりにまとめていきたい次第。

 

速弾きする為の脳と道具について

 

道具でつまづくな マシンが遅くちゃダメ

 

前述した話はどこへやらのようですが、実際問題、速く弾くために調整された楽器を知らないのは、わりと致命傷と言えるんじゃないかと思います。「とにかくMAXスピードを上げたい!」と望むならどうすべきか?

 

『高速なマシンを使う』

 

超分かりやすい話。

 

軽トラックを必死にチューンしてスピード勝負しようとしても不毛。どノーマルとか論外、それで必死こいて努力したって無駄。最初から高性能なスポーツカー、それこそF1マシンでも使いこなした方が話は早い。

 

あえて軽トラの限界に挑む、それも確かに、チャレンジ精神に溢れていて面白い話ではあります。想像を絶する研究と技術をもってすれば、驚愕の結果を生むこともできるのでしょう。

しかし、本気でそれがベストな選択肢だと思っているのか?悪ふざけかジョークの気持ちなど全くないと断言できるのか?高性能マシンに触れた上でそれを真剣に主張するのか?

本筋から反れてしまう面を否定できないのであれば、素直になった方が良い。

 

高速にぶっちぎりたいならどうするか?

 

『高速にぶっちぎるマシンを知る』

 

真面目にゆっくりじっくりも良いけど、そもそもの話、速いものを知らないんじゃどうにもならず。目的もなく意味も分からず地味~に修行なんかしてるより、ぶっちぎりを体験しておいた方が分かりやすい。

 

そこに慣れてしまう方が話は早い。

 

高速仕様のベースを弾く

 

速く弾くのに支障になる要素は大体決まってます。

 

・音程感が悪く抜けてこないベース

・調整がいいかげん、弦高がやたら高い

・倍音が希薄、劣化した弦を使用

・反応が悪くレンジも狭いアンプに手を焼く

 

道具がよろしくない事実は想像以上に重い。

 

とにかく速く弾きたいのであれば、軽く触れるだけでバーン!と音が出てくれる方が望ましい。その方が力む必要もなくなるし、響きも自然になります。適した楽器を選べば感覚だって変わってくる。

 

過去の自分、一時期は弦高1mm以下とかで演奏していたことがあります。12フレット上でハガキ一枚入るかどうかってセットアップでした。

ここまで下げるとなると当然、ネックはほぼ真っ直ぐにしたい。フレットの処理も相当な精度でないと実現できません。 

ナットの溝が高いなどもってのほか。いかに左手のストレスを減らせるか、軽いタッチで弾けるようになるか、それが勝負。

 

楽器の特性にしても、アンプの特性にしても、鈍重なものとは縁を切りたい。音程感が曖昧、モワモワした音しか出てこない、反応が悪く輪郭もはっきりしない、そんなものでは困ります。

速く弾きたいのであれば、最初から最後まで全て軽い動作で済む方が圧倒的に楽。その方が具体的な手応えも実感も得やすい。

 

軽トラで常にベタ踏み、アクセル全開、それで大したスピードが出ないのでは困ります。ほんの軽く踏み込んだだけで軽く100km超えてしまう、そんな性能のマシンを使った方が良いに決まってる。

 

『速く弾けないのは速い楽器を使ってないから』

 

基本のようで意外とつまづく人が多い。

 

特に初心者にありがち、道具の調整がめちゃくちゃで希望を詰まれてしまう、そんな苦痛に気付かないままいるのは悲しいこと。

楽器店が無条件に信用できるとは思わない方が良い。無知をいいことに食いものにされないよう勉強したい。

 

速弾きに限らず、道具との向き合い方について、もっと真剣に考えるべき。

 

小難しい哲学練るより脳のリミッター外せ

 

速く弾くためだけに特化させるリスクは当然あります。

 

・音が明らかに細く頼りなくなる

・反応が良すぎて弾きづらい

・使う場とジャンルが限定されてしまう

 

こういった悩みを抱えることがお約束。

 

何を隠そう、それで何度も心が折れたのが他ならぬわたくし。高速仕様、表面的な楽を求めた結果、ベースとして使いものにならない身に陥ってしまいました。

 

そんな諸問題など簡単にクリア、超高速マシンを使いこなしていたら相当な実力ですが、なかなかそう上手くはいってくれないのが現実でしょう。

高速仕様に慣れてしまい、普通のベースの弾き方が分からなくなってしまうなんてのもありがちな傾向。

「ピロピロ」だの「ペチペチ」なんて馬鹿にされてしまうパターンは実に悔しく空しい。

 

しかしです。

 

他人に罵倒されようとも、ベースらしくねぇと蔑まれようとも、速く弾く感覚が養われたのは事実。練習に明け暮れる楽しさ、己を通すメンタル、なかなか手に入れることのできない能力を鍛えられる、それを間違いだとばかり否定はしたくない。

 

速く弾きたいなら必ず外したい。

 

『脳のリミッター』

 

速く弾きたいなら「速く弾くとか無理・・」なんて枷は一刻も早く外さないといけない。困難に立ち向かう強さ、好奇心、挑戦する楽しさに目覚めるべき。

あっけなく挫折するのも無理の壁を作るのも、楽しさを知らないから。いつまで経っても楽しみを覚えないんじゃ、練習したってただの苦行になるだけ。

 

脳に枷かけて悩んでないで、とっとと音出して挑戦した方が良い。指が全然動かなかった次の日、いきなり超高速に生まれ変われるとか、そんな都合の良い開花に期待するより、楽しく現実的に取り組めるようになります。

 

とにもかくにも、まずはこれを身に付ける。

 

『速く動かす感覚』

 

そして、その実現のために適した道具を使うことが大切。

 

ただでさえベースは立ち上がりが遅くなりがちな楽器。応答が鈍臭いものではやってられません。太い音やオールラウンドとの両立なんて考えず、速く弾きたいならそれ専用に特化させてしまった方が潔いし、あれこれ迷わなくて良い。

速く動けるようになった後、だんだんと音を太くしていったり、ベースらしさやバランスを意識したり、変化していくことだって可能。

 

何をすればいい?

 

「全部やれ」

 

果てない欲望を全開にすべき。

 

ベースの調整は必ずやる

 

調整について簡単に挙げるとしたら、

 

・ネックを真っ直ぐにする

・ナットの溝を低くする

・駒を適正に調整する

・フレットを擦り合わせる

・オクターブピッチを合わせる

 

最低限、これはやっておきたい。軽いタッチでもしっかり確実に鳴ってくれるように調整すると、弾き心地に雲泥の差が生まれます。

 

一方、無闇に下げればいいってもんじゃなし。そこは注意して取り組みたいところ。弦高を低くしたいと駒だけ下げるのは失敗するパターン。まずはネックの調整から入ることを推奨。

「そう簡単に言われても・・」と困惑するのであれば、ちゃんとしたリペアマン、その道のプロに任せた方が確実。

 

良心的で確実な仕事に期待するなら、これがおすすめ。

 

【PLEK】

 

少しでも弾きやすくしたいなら、利用しない手はありません。

 

根性論も精神論も大いに結構。でも、解決の糸口が見つからないのを良しとはしたくない。そもそも楽しくないんじゃ続かない。無駄に苦労するほど良いなんてのはさすがに時代遅れ。

 

ギターで言うところの「Fが押されられない」なんて段階、そんなところにいつまでも詰まってる必要はない。楽器がちゃんとしていれば、必ずスムーズに弾けるようになる。

少しでも速く弾きたいなら、必死に頑張らなくても済むよう、簡単に音が出るようにしておくべき。それが速弾きにおいて非常に重要なポイントであると考えます。

 

倍音豊富で良質な弦にするのも大事。ライトゲージにしてみるのも当然有り。軟弱と言われようが何だろうが、とにかく道具を見直してみる。

それで一歩でも進めるなら、遠慮なく試した方が良い。目的に合うよう調整、特化させていくことで、意識も感覚も変わっていきます。

 

速弾きしたいなら速くすることだけ考える

 

うだうだ言ってねーで速く走れ!

  

もはや精神論と呼ぶにも値しない?

聴く価値なしのめちゃくちゃなお説教?

 

いやいや、これがなかなかどうして、結構大事な話。少なくとも、難しい哲学こねくり回して突っ立ってるより、遥かに方向性が分かりやすいと言えます。

速く弾こうとするとついつい難しく考えがち。でも、一つには罠だとも感じます。

 

・脱力を目指す

・指が暴れないようにする

・より効率よく無駄をなくしていく

 

これも必要なことですし、後述もしていくつもり。

 

一方、前述してきた通り、一気にかっ飛ばす感覚や快感、根本的な楽しさを実感、挑戦精神を身に付けるというのも、非常に重要な要素ではないかと考えるわけですね。

入念な準備運動、ゆっくり動作確認、一つ一つの音を大切に認識するなど、それも素晴らしいことなんだけれど、正直、今の自分みたいなタイプにはちょっと堅苦しい。

 

速弾きを身に付けることにどんな意味があるのか?

 

「全力ダッシュ最高!」

 

こういうシンプルな気持ち良さを感じるのも醍醐味じゃねーですかと。

 

音楽性がどうのとか、意味のある音だけを弾きたいだの、下手にそんなことを考え出してしまうと、チャレンジャー精神が失われてしまいがち。尊い価値を求めた結果、速く弾く妨げになってしまうかもしれない。

 

速く弾きたいなら、より動物的になってしまうのも良い。音楽性、芸術性、そんなものお構いなしに突っ走る、獲物を狩る、欲望に正直になって満たされる。そうやって生きるのだって十分かっこいいと思うんですよね。

まぁ、完全に批判されるパターンの方向性ですが、変に周囲を気にしてかしこまるより、昇天しそうなぐらい気持ちよく弾いてる方が潔いのは間違いない。

 

まずはとことん突っ走って楽しむのも道。

 

指がバタバタしたってまずはいい

 

誰でも悩みがちだろう、指のバタつき。と言うか、自分がまさにそれ。より効率良く弾きたい、綺麗で無駄のない運指を身に付けたい、そう思って研究もしています。

 

ただ、最初からそればかりを意識するのも、ちょっと違うかなとは思います。

洗練された技術を完璧に身に付けることが正しいのか?いきなりそれを目指すのか?絶対に目指さなければいけないのか?

やっぱり、ちょっとお堅いですよね。堅苦しくてすぐ挫折しちゃいそうです。

 

確かに、後から矯正するのは大変、基礎から固めた方が良いってのは間違いない。実際、怪我や故障を経験した身としても、根拠のない無理をしすぎるのはおすすめできません。

その一方で、正攻法だけで何とかしようと構えるのは、ちょっと厳しく感じることも多々あります。

カチコチに固まっていて動かない指、速く動かすどころじゃない感覚の鈍さ、それそのまま放置して綺麗なフォームを優先するというのは、かなり違和感がある。

 

思いっきり速くすることを意識、練習、そうやって感覚を養っていくのも悪いことじゃない。バタバタ暴れまくってるけど、それが妙にエキサイティング、エネルギッシュ、理屈じゃなくかっこいい、そんな可能性があることも無視すべきじゃない。

色々小難しく考えたり、理屈を練っていくこともできますが、スピードへの憧れと言うか欲望と言うか、それが根底に絶対あるべきなんじゃないかと自分は考えます。

 

まぁ、すでにそういう気持ちを失いつつある身なのも事実なんですが、人一倍そういう気持ちを持っていたからこそ、今こうして話すことができていると実感するんですよね。

精神論を続けて並べているようですが、実際問題、自分から積極的に求めないことには、体もなかなかそれに反応してきてくれない、望む結果に応えてくれないものだと痛感します。

 

くっそアホくさい話のようですが、

 

『速弾筋』

 

 「はやびきん」みたいなやつが存在するんじゃないかと密かに思ってます。

 

効率良くても脱力してても、こいつがないとスピードは上がってきません。ただ指を速く動かすのと、イカした速弾き、似たようで別物だと感じる次第。

 

速弾きしたいなら速弾きを知る

 

速弾きに限らずめっちゃくちゃ大切なこと。

 

『まず動きを知る』

 

何においても基本でしょう。

 

【スラップ】なんて言葉を知ってるのも今では当たり前。調べればすぐ分かる、具体的な弾き方も掴める奏法だと思います。

ところが、情報なんか存在しなかった時代、やり方がまったく分からず、真似のしようがなかったそうな。嘘のような本当、「親指で叩く」とか「人差し指で引っぱる」なんて概念自体がないわけですね。

 

恐らく、荒唐無稽なデマもあったり、わけの分からない方法を試みてきた人も沢山いるんじゃないかと想像します。

実際、「黒人が弾くとああいう音になるんだ!すげぇ!」みたいな憧れ、羨望、幻想があったと耳にすることも珍しくない。

これ、速弾きも同じことが言えるんじゃないかと自分は思います。

 

そもそもの話、

 

『動きを知らない』

 

これが大問題だと。

 

見てないから真似ができない、どうしていいか分からない、まったく動きのイメージすらできないのは致命的。「耳が全て!」なんて主張も分かるけれど、それを真に受けすぎるのはどうなのか?視覚からの情報を捨てるってのはかなりの暴挙。

 

そりゃ、とんでもない才能のある人なら、イメージだけだろうが何だろうが、自分なりに実現できてしまう可能性もあるでしょう。でも、特に考えもなし、机上の空論みたいな理想を人に押し付けるってのは、あまりに無責任ですよね。

一切の情報を遮断して自分だけの力で作り上げる、それも一つには正論だと思うし、実に本物的、かっこいい姿勢ですが、あまりにハードルが高すぎる話でもあります。

 

曖昧な主張や感覚任せにせず、具体性を掴むにはどうしたらいいか?

 

『速く弾く姿を見て学習』

 

素直にそれを真似をする方が早いはず。

 

「人間ってこんなことできるんだ!」そんな感覚、自信、ワクワク感、それを頭の中に入れるだけでも全然違います。無理だと思った時点で無理になる、限界を決めた瞬間に能力は伸びなくなり落ちていく、意外とそんなもの。

 

精神論のように聞こえるかもしれませんが、むしろこんな視覚的、具体的な話もない。ひたすら映像を見て研究、動かせるイメージを作る、脳のリミッターを外す、それで上手くなれる可能性は大いにある。

「できっこない!不可能だ!」なんて言われていた技術が現実のものになったり、記録もどんどん塗り替えられていくこの世の中。速く弾きたいなら速く弾く方法を学習、聴くなり見るなり、積極的、貪欲に吸収していくべき。

 

吸収しようと思えばいくらでも情報が溢れている時代、ベースの技巧水準もとどまることなく上がる一方。聴覚から情報を仕入れるのはもちろん、視覚からの情報収集も使わない手はありません。

 

速弾きしたいなら素直な心の方がいい

 

速く弾きたいのであれば、脳にかかった頑固なリミッターを一刻も早くぶち壊すのが先決。胡散臭いだの科学的根拠がないだの、そんな風に認識するならそれ、ばっちりリミッターかかってます。

宗教っぽいとかオカルトとか思うなら、世間知らずかネットに毒されすぎ。速弾きするなら素直になった方が良い。

 

と言っても、いい子ちゃんになれとか、行儀よく品行方正、優等生になれってんじゃない。劣等感抱えててもよし、自己顕示欲丸出しでもよし、承認欲求のお化けになるもよし、負のエネルギーでもなんでも使っちまえ、己の欲望に従い突っ走るべき。

 

「ただし純粋な悪だがな」

 

スーパーサイヤ人に覚醒したベジータみたいなもん。あれでいい。速く弾きたい、上手くなりたい、そんな熱い気持ちと欲望に忠実な方が楽しい。誰に言われるでもなく体を動せていた方が、思考も動作も高速、自然で理想的。

 

あれこれ疑ってばかりの人は実は信じることが下手、情報も活かせない傾向があると感じます。人を信じなければ自分も信じない、だから何をやっていいか分からない、どんな練習をしたらいいのか迷ったまま動けない、その分だけ色々遅くなってしまう。

 

例えばの話、超絶な速弾きを見て、

 

「これ早送り編集してるだろ?」

「実際に弾いてるわけねーわ」

「こんなん意味ねーし」

「はあぁ・・楽器面白くない・・」

「何したらいいか分かんない・・」

 

なんて捻くれる人間と、

 

「かっけぇ!」

「俺もやる!」

「練習だ!」

 

どっちが速くなるか、上手くなるか、言うまでもない。もう生き物としての速度が違います。根本的な高速性が異なってます。頭がいいかどうかはともかく、強烈なニオイと魅力があります。

 

それか、前述したドロドロしたノリで行くなら、

 

「俺を蔑み笑った奴ら許さねぇ・・!ブッチギリで上手くなって見下ろしてやる!世界中に認めさせてやる!金も名誉も女も全部手に入れてやる!」

 

こんなんでもいいんじゃないかと。

 

真面目な話、黙ってても伝わってくるオーラがあるかどうか、それも速弾きをするのに大切な要素、パンチとスパイスだと強く感じる次第。

言葉は悪いようですが、あんまり『オタク系速弾き』みたいにはならない方がいいでしょう。ベースってそっちに行きがち、こじんまり、暗い雰囲気に包まれるのはよろしくない。

 

まぁ、好みと偏見丸出し、勝手な話ではありますが、

 

『オラオラ系速弾き』

 

単純明快、見てて気持ちいい、こっちの方が自分はおすすめ。

 

これから後述していく内容、わたくしポングの雰囲気、オタクなノリとは矛盾してしまうところではありますが、全力ダッシュの快感、内に秘めた熱いものを出しきる気持ち、速弾きを志すのであれば、それは絶対忘れないようにしたい。

 

『エンジョイ&エキサイティング』

 

実に動物的、人間的、音楽的な可能性、計り知れず。

 

過去を振り返った時、その幼稚性に後悔するにしても、それも成長、味わいってもんですね。問答無用で尖がってた方が面白い。

 

左手の使い方に疑問を持ってみる

 

速弾きしたいなら左手の強化を

 

右手の超高速3フィンガーや4フィンガー。そういった技術に魅力を感じるのも確かな一方、それで延々と一つの音程を弾いたところで、速弾きらしくは聴こえません。

右手がどんなに高速になろうと、ろくに音程が変わってくれないんじゃどうにもならない。 速く聴かせるための方法を考えるならばとにかく、左手の動きが命になるでしょう。

 

極論するならば、左手だけでも音が出せるならそれでもいいわけです。右手で使うのが人差し指1本だけだったとしても、ハンマリングやプリングなどのテクニックを駆使すれば、それで音数は増やせます。

 

頑張るのは左手。動画で見ても分かりやすい。

www.youtube.com

 

ギターのテクニックを拝借するならば、スウィープピッキングなどもそんな感じの奏法。右手は大きなダウンとアップで滑らかに往復する一方、左手は高速の運指、またはコードフォームを利用して独特の響きを作り上げる奏法と言えるでしょう。

あれをオルタネイトのフルピッキングでやろうとしたら、一気に只事ではなくなりますし、サウンドとしても別物になってしまいます。

 

右手の速度を上げることが重要なのは言うまでもありませんが、それだけでは速弾きたらしめるものにはなってくれない。やはり、左手が動いてくれないことにはどうにもなりません。

 

速弾きを実現したいのであればまず、左手のスピードアップを図ることが一番だと考えます。

 

左手のスピードと指のスタート地点

 

以前にも触れたこの話。

まずはこちらを読んでもらっても良いかもしれません。

pompombass.hatenablog.com

 

指がバタバタと暴れていても速く弾ける人も存在しますが、理想を言うならばやはり、指と弦との距離が近いに越したことはないでしょう。

とんでもないスピードでも楽々と弾ききるイメージのあるリチャード・ボナ。彼の運指を見ているとあることに気付かされます。

 

『指が動いていない』

 

これが物凄く大きな要素ではないかと感じた次第。色々ツッコミがありそうですが、自分にはそう見えました。

 

もう少し真面目に答えるならば、

 

『形が崩れない』

 

この印象も強いですね。

 

誰がどう見ても凄いスピードで弾けるリチャード・ボナ。彼のそのスピードと滑らかさを実現するためには、指を弦からいちいち遠くに離していては駄目なんじゃないかと思った次第。

それを試した実験動画がこちら。急ごしらえでやってる為、力みが酷く、粒も全然揃ってませんが、今までやってたフィンガリングとは違う手応えを感じたのは間違いありません。

www.youtube.com

 

ちと極端な例えのようですが、我々の100m走のタイムとボナの50m走のタイム、それをそのまま比較した場合、ボナの方が遥かに速いタイムになるのが当然。

ボナのタイムを倍にしてとかそういうことはしません。本当にそのまんま、100mのタイムと50mの比較をしてみる、そんな馬鹿げた話。

 

でも、その馬鹿げた差があるのが現実。まったく条件が異なる、やってることが違う、そもそものスタート地点があまりにも別物、そこを考えたいわけですね。

100mどころか1mとのタイムを比較するぐらいの差もあるかもしれません。それぐらいボナの左手って弦から無駄に離れない、押弦に力まない、ストレスが非常に少ない印象を受けます。

 

ハンマリングのようなテクニックを使用する場合、また話が違うのでややこしくなりますが、押弦のために指を振りかぶるとか、距離を作って勢いを出すなど、それというのは不要な力や手間でもあるはず。

弦に触れて押さえて、初めて押弦になる。速く弾きたいのであれば、指を弦から遠くに離すべきではない。離すにしてもそれは脱力の結果、合理的な運指の結果であるべき。

その確実性と効率性を奪う余計な動作と頑張り、それは必要ないものなんじゃないかと。

 

実際の演奏、そんな理想通りにはいかないのも確かですが、余計な工程を省く意識、余計な力を抜くことを心掛けるのは、やはり意味がある。

 

「小指で押さえたいのに小指が遥か遠い位置にある・・・」

 

初心者にありがちなこういう致命的問題。そんな課題を一つ一つクリア、センスだ身体能力の問題だ、そんなことで済まさず向き合いたいものです。

 

体を使い指はリラックスさせたい

 

大体の場合、指を大きく開くことが良い方法だと語られていたり、一つのフレットにつき一本の指を配置するやり方が正しいと認識されている印象を受けます。

しかし、現実問題、手が小さな人が実践するには辛い弾き方ですよねこれ。「指を広げながら強く握れ!」みたいな無茶な方法をやろうするのも疑問だし、それじゃ腱鞘炎のような怪我を起こす元にもなってしまう。

 

がむしゃらに練習、ひたすら鍛えることが美化されがちだけど、自分でそれやった経験、間違ったやり方と認識で進むほど、酷い目に遭いました。

上手くなるどころか怪我をする、変な癖が付く、余計な力を使って苦労する、その修正が本当に大変だったと振り返る次第。

 

いかに指をリラックスさせるか?確実な運指をするか?高速フィンガリングを実現するか?そんなことを考えていくと、この答えに行き着きます。

 

『体を使うしかない』

 

指の動きだけで何とかしようってのは無謀だと。

 

ネックを一生懸命に握ろうとするのが素晴らしい方法なのか?指を無理に開こうとするのが効率的なのか?常に負荷がかかろうと絶対に綺麗な形であるべきなのか?

そんな強迫観念みたいな意識、力の入れ方などからは、一刻も早く解放されるべきだと考えます。

 

強い力を生むことができる部位、それが力めば力むほど、カチコチに固めてしまうほど、末端の方である指も硬直、負担も増大するもの。逆もしかり、指先を強く固めようとすれば、手首、腕、肘、方、背中、体の方も緊張する。

 

「だから脱力が大事!」と言いたいところですが、これも誤解を生みがちだから厄介。

「脱力=ひたすら貧弱に」みたいなのはま~最悪。「力を抜く=力を生まないようにする」ではなく、「より効率的に強い力を生むため」「必要な力を働かせたいからこそ脱力が必要になる」のだと考えたい。

 

速弾きをしたいのであればとにかく、左手の効率化を研究したい。それも指先だけを意識するのではなく、全身の効果的な脱力について試行錯誤すべき。

指先だけを激しく動かそうとするのではなく、あらゆる箇所を使う、素早く動かす、確実に押さえる、的確に効率的に移動する、そういった技術を身に付けることが重要。

 

非常に分かりづらいかもしれませんし、伝えるのもなかなか難しい感覚ですが、

 

『体を使う』

 

シンプルに言えば、やはりこれだと思います。

 

音楽=感性の世界だの、才能がどうのとついつい考えがち。でも忘れちゃいけない。楽器とは自らの体を使って音を出すもの。指を速く動かしたい!

じゃあその指を動かしているのはどこなのか?どんな筋肉や神経を使っているのか?それとも実は指を動かすべきではないんじゃないか?色々考えていくと面白い。

 

指と弦との距離が近い方が効率的そうな一方、常に触れっぱなしでは素早いポジション移動の妨げにもなりますし、一つの方法を堅苦しく律儀に守るのが正しいとは言えません。

指を弦から離さないことに躍起になると、今度はそれが無駄な力み、疲労の原因になったりするから厄介。

それを解消するためにも、バランス感覚を養うためにもやはり、体の使い方を試行錯誤することは必須と言えるでしょう。

 

天性の身体能力の勝負にしない左手の使い方の研究。

これは生涯研究して高めていきたいテーマですね。

 

速弾きと指弾き

 

どうしたら指弾きが速くなる?

 

レイキング、3フィンガー、4フィンガー等、速く弾くための方法は様々存在。ただ、ここでは一旦、そういった技巧的なことはちょっと置いてみたいと思います。

 

「そもそもどうやったら指が速く動くようになるのだろうか?」

 

これを考えていきたいところ。

 

指を上げる力を省略する

 

言葉で説明するのはなかなか難しい話。

しかし、非常に重要な感覚だと考えます。

 

例えばまず、人差し指で1弦を弾きます。その際、アポヤンドで弾くとしたら、人差し指が1弦を通過した後、2弦に寄りかかるようになります。そして次、1弦を中指ではなく、再び人差し指で弾くとしましょう。

 

ここが問題、1弦を弾いた後、2弦から人差し指を離す動作に移行しなかったら、次の音を出すことはできません。人差し指が2弦にくっついたまま、ずっと固定していては演奏にならない。

1弦を弾いた後、どのタイミングで脱力するか?それがポイント、ここで考えたいこと。速弾きのための鍵、それに限らず重要な基礎にもなってくるでしょう。

 

指が弦にくっついたままにしないようにするためには、当然、弦から離さなければいけません。この際、『指を上げようとする意識』『元の位置に戻そうとする意識』は不要な力、力みの原因になると考えます。

指が弦を通過した後、そこで即座に脱力。特に考えるまでもなく元の位置に戻っている、弾きやすい位置に指がある方が理想。

通過した指をいちいち持ち上げようと意識して弾くのでは、なかなか効率は上がってこない、スピードを得るのも厳しい。

 

いかに瞬間的に力を入れるか?それとほぼ同時にどう脱力するか?常に理想のポジションをキープできるか?それが速弾きの実現のための鍵になるはず。

 

1弦を弾いてそのままの流れで2弦かさらに低音弦の方を鳴らす『レイキング』という奏法もありますが、それは後述します。

 

とにかく言いたいのは、

 

・指を持ち上げるのではない

・瞬時に音を出し、瞬時に脱力

・弾きやすい位置を自然にキープする

 

余計な負担、手間を減らしたい。

 

左手の話でも触れた内容をここでも当てはめるのであれば、

 

『指のスタート地点の意識』

 

これはそのまま右手の方にも当てはまると言えるでしょう。

 

弦を鳴らして指をそこから離す際、無理に持ち上げようとしてしまう、指と弦との距離を過剰に作ってしまう、その力みとタイムロスを自ら必死に発生させようと頑張るのは、明らかにおかしい。

とにかく高速に一刻も早く弦に触れなければならない、にもかかわらず、矛盾するように指を振り上げる、弦との距離を遠くしてしまう、力んで硬直させてスムーズに動けないようにする、こんな状況が当てはまってないか、よく確認してみた方が良い。

 

 「指が速く動かない・・」という悩み、それは実は、

 

「動かないよう頑張ってる」

 

そんな可能性があるかもしれません。

 

指と弦との抵抗・摩擦を減らす

 

こう言われても、ピンと来ない可能性もありそうですが、非常に重要なポイントだと考えます。

 

極端な話、第一関節に近いぐらいまでの部分、強く深く指を当てて弾くのは、どう考えても条件的に不利。例え、弦に力を与えやすくなったとしても、速く弾くには向きません。

指が弦から離れるまでに時間がかかってしまう、べったりまとわりついてしまう、そんなタッチでは色々厳しいでしょう。

 

となると、『いかに指先の方で音を出すか?』これが鍵になってきますが、ここでも注意するポイントがあります。指先の方を使いたいからと言っても、そこで指先の方だけを動かそうとしていては、力み、緊張、硬直が生まれてしまいます。

 

楽器を構えていない状態でも構いません。指を伸ばした状態にして、第一関節だけを動かそうとしてみてください。指先のみを動かす感じ。

これ、自分には無理です。まったくできません。第一関節だけ使おうと思っても、上手く曲がってはくれない、高速に実践しようとしたって不可能。

 

次に、第二関節だけを曲げて動かそうしてください。これも自分には厳しいです。とてもスムーズにはできません。

第一関節同様、第二関節の動きだけを意識して動かすというのは至難。高速処理なんてこれもまた無理のある話。

 

最後に第三関節、指の付け根の方か、もっと奥の方を意識して動かしてみましょう。これなら思ったように指を動かせるようになるはず。

第一、第二関節に意識を集中して動かそうとするより、遥かに楽に速く動かせます。

 

このように、指先の方を使うからと言って、その力や意識まで指先だけに集中させてしまうのは考えもの。指先をリラックスさせる、柔らかく速く使いたいからこそ、もっと動かしやすい部分、強い力を働かせることができる部分を利用すべき。

 

これは3フィンガーの習得などにおいても重要な部分ですね。指先を動かすことばかり意識するから上手くいかない。力むから弦との抵抗、摩擦が強くなる。弦が無駄にたわんでしまうから指が抜けなくなる。 

こういった原因から、薬指を上手く使用することができなくなってしまう、前述した内容から考えるのであれば、指を持ち上げようと必死になるほど、さらに条件は悪化していく。酷い力みが増すばかりになる。

 

指の付け根の方を意識して使えば、それだけ強い力を得られやすくなるし、指先だけで弾いても十分な音量を得ることが可能になっていきます。余計な摩擦や抵抗が減れば、どんどんスムーズに弾けるようにもなります。

つまりは、速弾きするにかなり有利。音も太くなるし、疲れないようにもなる。動かすべき部分、鍛えるべき部分が分かれば、練習の効率もぐんぐん上がっていく。

 

教えたいけどあまり教えたくない、実に素晴らしい効果を期待できます。

 

弦を引っぱって指が抜けるのを待つのではない

 

これもありがちな弾き方。

 

指弾きで考えてみましょう。人差し指で弦が思いっきりたわむよう、引っぱってみてください。この際、弦を鳴らさずにそのままの状態を維持してみること。弦が元の位置に戻ろうとする強い力を感じるはず。

 

ということは、弦を思いっきり引っぱろうとするような弾き方をすればするほど、その反発力をもろに受けることになる、それだけ指に負担がかかることにもなってしまいます。

弦が振動を開始するまでのタイムラグも大きい。暴れる弦振動を次の指で捉えるのも大変になってくる。粒も音量も揃いにくくなると、出音のピークが把握しづらくもなる。

結果的にリズムが不安定になる原因にもなりかねない。

 

弦を引っぱって引っぱって、たわませて、しならせて、そこから指が離れるのを何となく待つような弾き方。これはまったくおすすめできません。

音を太くする意味でも、リズムを取りやすくする意味でも、速く弾けるようにする意味でも、弦の抵抗をいつまでもまともに受けてしまうのは、状況としてかなり厳しい。

 

極端目に動画にしてみるとこんな感じ。ポールピースから外れるぐらい弦を引っぱるより、スッと押し込んで通過させるぐらいの方が太く大きな音が出る皮肉。引っぱった後、押し込んで修正する弾き方もありますが、非効率なのは言うまでもありません。

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必死に頑張る、努力するってのも良いけれど、その結果、自分から積極的に摩擦を作ってしまう、指が動かないようにする、弦を鳴らしづらくするのは疑問。

「ここ!」ってタイミングで音が出てくれる、音を出すことができる、己の意志で明確に弦を鳴らせる、その方が理想的。

 

弦に何となく触れ、何となく鳴らす・・・それはやめるべき。

 

指を自然に通過させる

 

ここで一つ極論してみます。

 

「弦に触れてない状態で使う力は全て無駄」

「弦のしなりを維持するために力を使うのも無駄」

 

そう考えてみた場合、

 

・指が弦に触れてから力を入れる

・指と弦との距離が近い状態を保つ方が効率的

・速やかに弦をしならせ速やかに鳴らす

 

こんな答えが出てきそうです。

 

前述した通り、弦を引っぱって指が抜けるまで何となく待つという弾き方をするのではまずい。抵抗、負担をもろに受ける、発音のタイミングもよく分からない、様々な面から理に適ってないと考えることができるでしょう。

弦を振動させるための予備動作を沢山必要とするのでは、それだけ多くのタイムロスになってしまいます。

 

弦に触れるまでにすでに頑張っている。そこからさらに弦を引っぱって頑張る。そこからまた指の使い方を変えて頑張る。

でも弦の振動のさせ方は曖昧・・・動作が複雑化してるわりに結果が出ない・・・速さも太さにも貢献できていない・・・これじゃ悲しい。

 

机上の空論ではなく求められる現実、

 

『弦を振動させる為の準備、スムーズな指の通過、理想の弦振動、この全てをほぼ同時に実現』

 

これをいかに高レベルで実践できるか、それが鍵になってくるはず。

 

弦の抵抗をなるべく受けないよう、指をスムーズに通過させる。即座に脱力、指がまた同じ位置に戻ってくるようにする。この動作を無駄なく高速に連続、淀みなく実現する。

この流れの徹底的な効率化、それこそが速弾き実現のための重要ポイントではないかと。

 

考えようによってはもう、

 

「弦を落とす」

 

こういう感覚かもしれませんね。超高速でバスケのダムダムをやってるみたいなものかもしれません。

 

それをいちいち、

 

「ボールをしっかり掴んで落とす!」

「ボールをしっかり掴んで落とす!!」

「ボールをしっかり掴んで落とす!!!」

 

こんなことをやってたら遅くなってしまうと。

 

手に振れた瞬間、もうボールは落ちている。そして、また元の場所に戻ってきている。それを自然にスムーズに高速に繰り替える。

同じようなことを指と弦とで実践。弦をグイグイ引っぱるのではなく、効率よく落とす。そんな感覚を覚えると凄く楽に弾けるようになります。

 

で、ここで一連の話をちょっとひっくり返すとしたら、

 

「高速をゆっくり認識できるのが最強」

 

こうも言えるのが奥が深いところ。

 

先程、口にしましたこれ、

 

「ボールをしっかり掴んで落とす!」

「ボールをしっかり掴んで落とす!!」

「ボールをしっかり掴んで落とす!!!」

 

これを超高速にやってしまえるのが理想でもあります。尋常ならざる鍛錬、異常な集中力、よくスポーツ選手や格闘技やってる人が体験するって言うあれ、

 

「スローに見える」

 

そんなノリ。

 

手に取るよう、思うまま、高度で精密な動作を実現。どんな高速であろうと、一音一音に意味を持たせられる、密度を高めることができる、全てを理解、把握できる、そこまで行けたら、ペラッペラな速弾きとは次元の違うプレイになること間違いなし。

 

精進あるのみですね。

 

ベースとレイキング

 

指弾きするなら絶対外したくないのがレイキング。語源が何なのかは知りませんが、右手の効率化を目指す上でこれほど美味しい奏法はありません。

 

例えば、1弦を人差し指、アポヤンドで弾いた場合、2弦に指が寄りかかることになります。そして、その流れと勢いのまま弾くのがレイキング。

次の音、2弦を中指で鳴らすのではなく、人差し指のまま鳴らせるのがミソ。ほぼ一回の動作で複数の弦を鳴らせる、楽に音数を増やせる、非常に効率的、お得な奏法ですね。

指弾きのベースならではのサウンド、グルーブを出すにも、実に効果的で理に適った弾き方と言えるでしょう。

 

ジャズのウォーキングベースなどを弾くにも有効。レイキングを加えることによって、よりパーカッシブだったり具体的なニュアンス、独特の勢いや強いアクセントが生まれます。

 

速弾きにもおすすめ

 

1弦と2弦のレイキングで考えてみましょう。

 

6連のパターンを作るとして、まず1弦を人差し指で弾きます。次にレイキングで人差し指のまま2弦を弾きます。その次、中指で2弦を弾いて3音のパターンを完成させる。これを高速に繰り返すことにより、速いフレーズでもかなり楽に弾けるようになります

 

左手はハンマリングを加え、右手は人差し指だけを使うというのも面白いですね。

1弦を人差し指、レイキングで2弦も人差し指、その次の2弦の音を左手のハンマリングを利用して鳴らすようにしてみましょう。

人差し指のシンプルな動作だけでも、高速な6連のパターンを作れるようになります。

 

6連のフレーズではパターンが限られる、もっとバリエーションを増やしたいということであれば、3弦の方までレイキングを加えてみるのもおすすめ。

1弦を人差し指、2弦も人差し指、さらに3弦まで人差し指でレイキング。この次の音を中指で鳴らすようにすると、4音のパターンを作ることが可能。

速弾きに限らず、利用しやすいフレーズと流れ、覚えておいて損はありません。

 

さらに先を行くのであれば、あの奏法にもなります。頑張るのは左手に任せ、1弦から4弦まで人差し指でレイキング。速弾きが好きな人であれば、必ず目に耳にする、

 

『スウィープ』

 

ギターのあのアップピッキング時と同じような流れ、あれをベースの指弾きでやってしまおうという話。

アップピッキングで力強く弾くのはなかなか難しいものですが、ベースの指弾きの場合、高音弦から低音弦まで自然な流れで弾くことができる為、慣れてしまえば意外とあっさりできるようになってしまいます。

 

コツを言うならば、指だけを動かすのではなく、腕を引くような肘を上げるような、そんな感覚で弾くのがおすすめ。力強くかつ、かなり楽に鳴らせるようになるはず。

 

レイキングの複雑化は厳しい

 

「手癖」と言うと悪いイメージが付きがち。一方、特に難しく考えることなく、ごく自然に弾ける状態を悪いと断ずるのは、個人的には抵抗があります。

 

レイキングを使用するにおいて重要になってくるのは、淀みなくスムーズに弾けること。すなわち、美味しい手癖を作り上げること、一連の動作を自然なものにすることだと考えます。

ごく当たり前の感覚で弾けるようになることが大事。それがフレーズのスピード感、無理のない合理的な運指を生む要因にもなるでしょう。

 

ただ、何でもかんでもレイキングを優先したり、過度な効率化を図るのも考えもの。

 

例えば、右手の3フィンガーを使用して、6連のパターンを弾くとしましょう。

1弦を薬・中・人差し指で弾き、問題はこの次。ここで2弦を弾くとなった場合、人差し指でレイキングするのではなく、また薬指から始めて3フィンガーの流れを止めない方が自分は楽に弾けます。

右手の【薬・中・人、薬・中・人】の流れ、これを絶対に壊したくないわけですね。

 

ここにレイキングを加わえると、かなり厄介な事態に。

 

1弦の薬・中・人の次、そこでレイキング、2弦を人差し指で鳴らすとなると、次に使用するのは薬・中指ということになります。それでまた1弦に戻るとしたら、人・薬・中指。

そこから2弦に行くとすると、中・人・薬指。頭に来る指がずれていってしまう為、これがめちゃくちゃややこしくて難しい。

これをもう、何も考えず完璧に弾ける、どの指でも全部同じ感覚で弾けるというのは、とんでもない次元、修練の極みの領域と言えるでしょう。

 

自分が3フィンガーで分かりやすい6連のパターンを弾くのであれば、薬・中・人差し指のパターンはなるべく崩さないようにしたい。

それこそ、手癖にしてしまうのも良いですし、体的にも脳的にも動作を単純効率化した方がスムーズ、その方が圧倒的に楽だと実感。

これについては、人差し指と中指の2フィンガーにしてもそうですね。中指のレイキングを加えるだけでも、結構ややこしいことになってきます。

 

使い方と流れが分かってくれば確かに美味しい奏法。でもやはり、何でもかんでもレイキングしてればいいってものではない。

フレーズやパターン、流れによっては、まったく活きなくなる可能性があるし、あまりに複雑化しすぎれば、かえって非効率になってしまうことも考えられます。

 

速く弾くための方法も理論も多くあるものだと思いますが、個人的に手応えがあるのはやはり、動作を極力、簡略化していきたいということ。

これは本当、一つにはレイキングの落とし穴とも言えるかもしれません。「全ての指でレイキング出来なければならない!」なんて必死に練習するのはちょっと違うかなと。

 

自分だったら、レイキングするなら人差し指がメインに、他の指での使用はあまりしたくない。どの指で頭を出すのか?どの指でレイキングするのか?それが複雑になってしまってよく分からない、把握もできずに何となくで弾くのは色々きつい。

レイキングするにも、速弾きするにも、普通に弾くにも、なるべく単純動作化したい。もっと楽に弾きたい、効率的に弾けるようになりたい、そんなことを思う次第。

 

奏法の超複雑化が自分に向いているのかどうか、そこを見極めるのも速弾きにおいて重要なポイントではないかと考えます。

極端な話、10本の指を駆使したスーパーマルチフィンガーにオールレイキングとか、これっぽっちもやる気になりません。

無理してそんなことをするより、普通の2フィンガーの方が速く弾けるし、複雑なフレーズにも分かりやすく対処できるでしょう。

 

ベースとフィンガーランプ

 

効果絶大アイテム

 

今やすっかり定番アイテムと化した感もあるフィンガーランプ。どんなものか簡単に説明するなら、指が深く入らないようにするための板。それによって音量も粒も揃えやすくなります。

 

どんなプレイヤーが使っているか参考にするならば、

 

『マシュー・ギャリソン』

『リチャード・ボナ』

『ゲイリー・ウィリス』

 

この3人を見ればとりあえず分かりやすいでしょう。

 

これは本当、使ってみるとびっくりするぐらい弾き心地が変わります。人によっては必需品にしてもおかしくないぐらいの効果も期待できます。

 

・もっとスムーズに弾きたい!

・もっと粒を揃えたい!

・もっと楽に速く弾きたい!

 

こんな希望を持っているならば、一度は試してみるべき。現代的な速弾きを志すのであれば、かなりおすすめのアイテム。

 

論より証拠、4フィンガーをやってみた動画がこれ。普段ほとんど練習してない4フィンガー、それでもフィンガーランプがあればそれっぽく出来るぐらい、効果は絶大。

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フィンガーランプは邪道?卑怯?

 

中にはこういう見方をする人もいるかと想像するのがフィンガーランプ。

 

道具を利用してタッチを変えようとか、立ち上がりや粒を揃えようとか、そういった部分だけを見ると確かに、違和感や抵抗を覚えるのも分かる話ではあります。まずは補助も何もなし、それで弾けてこそだろうと考えるのも理解できる。

 

しかしです。

 

それってもう、めっちゃくちゃ今更な話だと思うんですよね。「絶対に道具なんか頼るな!」とか言い出しちゃったらキリがありません。実に多くの面においてその邪道、卑怯がまかり通ってしまっている事実。

 

「スラップにピックガードなんか邪道!」これを言いだしたら大変です。相当な確率と膨大な数で世の中を取り締まらなければいけなくなります。

 

「スラップにPUフェンス使うとか卑怯!」いや~、やばい意見ですよね。マーカス・ミラーを否定しないといけません。

 

「フェンスとかそもそも要らない!」ジェームス・ジェマーソンのスタイルを否定するとは恐ろしい!1フィンガーとあのフォーム、は邪道だとうったえる勇気が必要。と言うかそもそも、オリジナルのフェンダーそのものを否定していないだろうか?

 

「スポンジとか異物が許せない!」これもジェマーソンを否定しないといけませんよね。道具を使うのは卑怯であると言うなら当然アウトでしょう。

 

「ピックとかベースじゃない!」エレキベースなんか楽器じゃないってやつにも近いですねこれ。アンソニー・ジャクソンもスティーブ・スワローも論外という主張。カーペンターズなどでも有名なジョー・オズボーンも駄目?なかなか凄まじい攻撃力を感じます。

 

とまぁ、道具を使うのが許せない、卑怯、純粋じゃない、音楽的じゃないとか、そんなのは考えるだけアホらしいことではないか、自分はそう考える次第。

PUの上に指を置くのも卑怯、PUをランプ代わりに使うのも邪道とか言い出しちゃったらほんと、ジャコなども否定しないといけなくなるし、どんどん大変なことになっていってしまいます。

 

指を安定させるためにPUを使うとか、そんなの当たり前。それを延長したものがランプと考えれば、特に何もおかしなことはないし、変な先入観を持つ必要も糾弾する必要もないはず。考えるだけ無駄、主張するだけ馬鹿馬鹿しくなってきます。

 

実際問題、PU+フィンガーランプの組み合わせは強力。両方利用、面積を広くすることで、3フィンガーなども非常にやりやすくなります。目的用途に合っているのであれば、それが何よりではないでしょうか。

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フィンガーランプは自作がおすすめ


ホームセンターで買った銘木で自作したフィンガーランプがこちら。

 

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ポイントは指板のRに合わせるのではなく、高音弦の方が低くなるように作ったこと。

自分の弦高調整の場合、こうしないと均一感が得られない為、そのあたりを地道に詰めていきたい。となるとやはり、自作した方が逆に手間がなく、実際使うにもしっくりも来ます。

 

一方、Rも何もない板っきれを貼り付ける方が好きな人もいるかと思います。スペースを極力なくし、完全な均一感を求めるのも有り。実際、ベースによってはそっちを使うこともあります。

木製の大きなハムバッカーが搭載されているなんて場合、角度は付けずにそのままの方が均一な弾き心地を得られて良い。

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どんなものが合うのか?どうすればより良い結果を出せるようになるか?それを見つけるためには、自分に合うものを自分で作れる、自作できるというのがすごい強みになります。

弦に超接近させるか、余裕を持たせるか、その調整もめちゃくちゃ重要。指がまったく当たらないぐらいに低いのでは、せっかく取り付けても意味がありません。

 

タッチと好みによっては逆効果になることも当然ありえるから難しい。その上手い落とし処を見つけるのが、フィンガーランプを使いこなす重要なポイントになるでしょう。 根気よく調整していくとビックリするぐらい滑らかに楽に弾けるようになります。

 

絶妙なハマる感覚を手に入れられれば、もう手放せなくなる可能性もありますね。

 

フィンガーランプで脱力したタッチを身に付ける

 

・指が深く入らない

・弦にベッタリ触れて弾くのが難しい

・弦に接近させてこそ効果がある

 

力任せのタッチでは通用しない、それがフィンガーランプの必然性、大きなポイント。

 

スピードとタイミングに優れたタッチでないと、ランプを装着したベースではなかなか良い音がしてくれない事実。もちろん、ランプを装着していないベースにおいても同じことが言えるけれど、ランプ付きの方がそれをより高度に的確に求められる印象。

 

シビアなセッティングのフィンガーランプ付きベース。これでパンチとボトム豊か、音程感も良いサウンドを実現するというのは、並大抵のことではありません。

大体の場合、スカスカで腰抜けな音になって終わり。そう簡単には鳴らせない楽器になってしまう為、それが要因でフィンガーランプに対する誤解が広まるのかとも想像。

 

だからこそ、良い練習になる、いつもとは違う新鮮な感覚を得られるチャンスと言えます。スピードとタイミングで鳴らすタッチを身に着け、弦をしっかり鳴らせるようになれば、フィンガーランプがあっても良い音は鳴らせるようになります。

速弾きにも絶大な効果を期待できますし、そのスムーズな感覚を覚える意味でも、フィンガーランプは役に立つアイテム。

 

それこそ、高級なコンプとか買って電気的に揃えようとか強くしようなんて考えるぐらいだったら、フィンガーランプで物理的にタッチと弦振動の均一化を図ってみるのも面白い手だと思います。

良い具合に調整できたフィンガーランプの効果は本当に絶大。よりスムーズなタッチ、均一感を求めるなら本気でおすすめ。

 

3フィンガーや4フィンガー、マルチフィンガーやるなら、別物なぐらいの手応えを得られるのがフィンガーランプ。使ったことがないなら一度は試すべき。合う人にはこれ以上ないぐらいハマるはず。

 

ハンマリングとプリング

 

速弾きにおいて左手の支配力がものを言うのは前述した通り。どんなに高速な右手を完成させようと、左手で積極的に音程を変えないことには、それらしくはなってくれません。極論、左手さえ速く動けば、それで十分に速弾きっぽくなる。

 

その左手が大活躍する奏法と言えるのが、

 

『ハンマリングとプリング』

 

これまた極論、ハンマリングとプリングを駆使していれば、右手で弾かなくても延々と音が出せます。

弦を押さえると同時に鳴らす、ハンマリングのテクニックと感覚。これを身に付ければ、6連系の高速フレーズも簡単にできるようにもなるでしょう。

そこに加え、プリングで音を出せば、恐ろしいほどスムーズに速く音を出すことが可能。

 

速弾きをしたいと思うのであれば、必須のテクニックと言えます。

 

最小限にスムーズにとばかりも言ってられない

 

「速くハンマリングとプリングすりゃいいよ」と述べるのは簡単。

 

しかし、いざ実践するとなると大変なのは間違いありません。

多くの場合、そうそう速くは動いてくれないもの。太くて張りの強いベース弦を左手だけで鳴らす、これは並大抵のことではない。

考えたいのはやはり、指の動かし方。ついつい指先の方にばかり意識が行ってしまいがち、でも効率的に動かしたいのであれば、違う場所を動かすべきだとは前述した通り。

 

指の第一関節や第二関節、それだけを動かそうと頑張っても苦難が待ってるだけ。

積極的に動かすべきは第三関節、拳や指の付け根の方。そこを上手く使うことにより、強く速く動かせるようになってくる。

もっと言うならば、手の甲、手首、肘など、あらゆる箇所を意識、利用した方がいい。必死に指先の方にばかり力を入れれば、それだけ緊張の原因にもなってしまいます。

 

一方、正しいフォームで無駄なくスムーズにとばかり言ってられないのも、ハンマリングとプリングの現実。

最小動作の実現、効率化に気を取られてしまうと、それだけハンマリング&プリング時のアタックも音量もしょぼくなってしまう可能性があるから難しい。

指の過剰なバタつきは良くないと思う一方、ただ綺麗であるだけのフォームを目指すというのも、あまり意味を感じません。

 

指もフォームも固定するのが効率的というわけではなし。それを意識しすぎるほど、かえって動かなくなってしまう可能性も高い。この辺りのバランスをどう取っていくか、それが速弾きにおける重要なポイントと課題。

 

効率化と猛練習、それを意識すると、ついつい綺麗で無駄のない動きを求めてしまいがちですが、それが多大な負担の元に成り立つものなのであれば、正しい方向に進んでいるとは思えません。

やればやるほど、理想とは程遠い何かを虚しく追いかけているだけ。そんなことになってないか気を付けたい。

 

混乱承知で言うのであれば、

 

『動きの大きいハンマリングとプリング』

 

あえてこれを鍛えていく、遠慮なく使用していくのも一つの手だと考えます。

 

右手とのバランスと音作りを考える

 

強力なハンマリングとプリングを実現したい一方、どうやっても不可能だと認識していることもあります。

 

『右手との音量差・音質の差』

 

これですね。

 

いくら速かったとしても、左手のレガートだけでは物足りなかったりもするように、フルピッキングにはフルピッキングならではの魅力がある。

強力な右手のタッチと比較したら、アタックも音量も勝てるわけがない。どんなに左手を超絶鍛えたところで、まったく同じにはならないでしょう。

 

ポイントは以下の二点。

 

・電気的な協力を得る

・タッチコントロールで揃える

 

これについて考えてみたいと思います。

 

電気的な協力を得る

 

ベースと言うとついつい、「原音重視!」とか「コンプは邪道!」みたいな意識にとらわれがち。実際、機材に頼りっぱなしでは、なかなか使える音にはなってくれない。素の音あってと主張するのは至極当然のこと。

 

一方、自分が弾いている楽器は何なのか?

 

『エレクトリックベース』

 

にもかかわらず、電気の使用の否定をするのは、酷い矛盾を感じるところでもあります。どこまで行っても、エレクトリック楽器。

であるならばむしろ、生音を求める方が本来の音の追求とは言えないのではないか、そう考えることも可能なはず。

「歪んだギターは邪道!」なんていう超今更な偏見、古すぎるどころか意味不明な価値観を持つぐらい、無駄なこだわりな気もしてきます。

 

そんなことで不要に苦労するぐらいだったら、素直に電気の力を借りるべき。積極的に利用してこそのエレクトリックベース、その可能性をつまらない先入観で意固地に潰す必要はない。

 

実際問題、轟音アンサンブル、激烈バンドな中、無策に左手だけで強力なサウンドを実現しようというのは、困難極まりない話。

「アンプ直!」なんて意地を張るのもいいけど、それで肝心の音に主張がなくなってしまうのであれば、そのこだわりの意味って何なのかと疑問が湧きます。

どんな贅沢な木にこだわろうが、しょせんは電気楽器。木の音どうの、ぬくもりどうの、そんなものが通用しない世界だってある。

 

「エフェクター使っちゃ駄目なんですか?」

 

使えばいいじゃないか。

 

使えるものは何でも使うべき。

 

タッチコントロールで揃える

 

「何で使っちまえ!」と言った一方、それ土台がスカスカ、袋小路に陥ってしまうのでは本末転倒。電気楽器と言えど、ほぼ何も通さずに済むなら、それが一番なのも確か。

 

例えば、リチャード・ボナ。あの人はなどは本当、アコースティックなコントロールを当たり前のように可能にするプレイヤー。エフェクターで遊びの要素を入れることも多々あるけれど、それだけが彼の本流ということは決してないでしょう。

 

ボナを見ていて思うのは、タッチが非常に軽いこと。軽いと言っても、カス当たりで貧弱なのではなく、ものすごく立ち上がりに優れ、ハッキリと音を出すから驚かされます。

実際、クリニックに行き、ベース1本でのプレイを目の前で体験したことがありますが、本当に驚愕すべきタッチの持ち主でした。

 

ここで注目したいのは、そのライトタッチ。大きく乱暴に弾いて力強さを演出するのではなく、スピーディーに確実にタイミング良く鳴らす、あの弾き方から考えたい。

 

小さな音で鳴らしても良い音が出せる、それが何を意味するか?

 

『左手とのバランスが取りやすい』

 

これが非常に大きい。

 

右手が乱暴なタッチになる場合、それに応えられるぐらいに強力な左手も欲しくなるところですが、現実問題、これはかなり大変な要求。前述した通り、完璧に揃えるのは不可能だと認識した方が良いとすら言えそうです。

一方、ソフトな右手かつ、十分力強く良い音を出せるならば、それだけ左手にかかるストレスも減るし、音量も音質も粒も揃えやすくなるのは間違いないでしょう。

 

もちろん、非常に高度なレベルでのコントロールが求められます。ソフトなタッチ、ライトな弾き方で良い音を出す、実現できる人はそうそういるものではありません。

だからこそ、効果は絶大。アコースティックにダイナミクス豊かに楽器を鳴らせる意味は計り知れない。機材に頼っているだけの段階とは一味も二味も違う次元に進むことができる。

 

アンバランスな右手と合わせるより、遥かに現実的に均一感を得ることが可能。右手が乱暴すぎるから左手への負担になる、右手が強すぎるから左手が弱く感じてしまう、そんなバランス調整を自らの手で絶妙に詰めていけるってめちゃくちゃ格好いい。

左右のバランス、タイミング、コンビネーション、そのクオリティの向上が速弾きに欠かせません。それを鍛えるには、ピアニッシモでも良い音を出せるようにするトレーニングが非常に効果的。

 

身体能力の強化向上と脱力の同時進行。なかなか難しい問題ではありますが、速弾きとはそれが強く求められる演奏方法と言えます。それ故、良い音と太い音の追求、そのどちらか一方ではなく、両立も可能なんだと声を出したい。

オラオラ系ゴリ押しフルピッキングも良いけど、ハンマリングとプリングを自在に取り入れたフレーズ、緩急豊かにスリリングに弾くのも素晴らしい表現方法。それでまた新たな表現力も手に入れられます。

 

練習して無駄になることは何一つなし。

右手も左手も自由に使えるようになりたい。

 

開放弦のパターンを作っておく

 

お手軽に音数を増やすのであれば、開放弦も大活躍。

 

例えば、1弦で6連のパターンを弾くとしましょう。

右手で開放弦を鳴らし、左手人差し指で3フレットをハンマリング。続いて薬指か小指で5フレットもハンマリング。このパターンを二回繰り返す、それだけで6連のフレーズが簡単に弾けてしまいます。

もちろん、1弦に限らず他の弦を使用しても良いですし、押さえるポジションも自由。

 

キーの問題がある為、どの場面でも使えるとは限りませんが、速いフレーズ、一瞬入れる分には、そこまでの違和感にもならない為、独特のスピード感を得るのに非常におすすめ。

逆に、キーもコードも合うのであれば、開放弦をより積極的に使用できますね。実に王道、お手軽な方法、効率的にフレーズが作れます。

 

では、プリングを入れたパターンも1弦で考えてみましょう。

 

例えば、3フレットを左人差し指で押さえます。それを普通に弾いて弾いて音を出します。次にプリングで開放弦を鳴らし、加えて、右中指でさらに開放弦を鳴らす。これでまた3音、6連のフレーズが作りやすくなります。

かなりシンプルな方法ではありますが、こうやって開放弦を利用したパターンを用意しておくと、速いフレーズでもかなり楽に弾くことが可能。

指弾きにおける話だけではなく、ピック弾き、スラップをするにも非常に有効な方法だと言えるでしょう。

 

言葉は悪いようですが、ハッタリ技として磨いておくのもおすすめ。いざという時に使える、盛り上がる奏法にもなってくれます。

 

テクニックの複合で効率的に速く弾く

 

・開放弦

・レイキング

・ハンマリング

・プリング

 

今まで触れてきたテクニックを上手く組み合わせていけば、シンプルな2フィンガーでも相当複雑なフレーズにすることだって可能。

速弾き云々の問題だけではなく、ベースを効率的に弾くために必須の技術、ニュアンス作りにも欠かせない基本と言えるでしょう。

 

ゆっくり弾こうが、速く弾こうが、結局のところ、やるべきことは同じようにも感じます。両手を使って弦を鳴らす、その技術を磨いていく、最初から最後まで求められるのはそれ。

ちょっとお説教くさいような、お勉強な臭いがしてくる感もありますが、だからと退屈だとは思わないでほしい、理屈じゃないと切り捨てないでほしい、私には不可能だとは絶対考えないでほしい。

 

一流プレイヤーの超絶技巧、それも一つ一つ分析してみれば、こういったテクニックを複合しているだけだったり、意外と分かりやすいことをやっていた、そんなことに気付かされます。

マシュー・ギャリソンのような、4フィンガーテクニックなども入ってくるとかなり厄介ですが、それもしかし、今は情報がある世の中、ゆっくり再生したり分析することが可能。

 

前述したフィンガーランプを使用してみるのも良いし、そういう情報をもっと沢山集めてみるのも良い。より特化した楽器で挑戦してみれば決して不可能ではない、遠い世界のテクニックではないことが分かってきます。

 

ふざけた感じのノリも沢山あるこの記事、でも実は、そのおふざけ入った内容の方が大真面目なことを伝えているつもりでもあります。

 

『不可能ではない』

 

この気持ちと分析力を持つことが大事。心の問題という意味では、精神論そのものですが、一方、ちゃんと真面目に研究しなさいという意味では、すごく具体的でもある。

 

「ここは開放弦!」

「ここはレイキング!」

「ここはハンマリング!」

「ここはプリング!」

「ここは3フィンガー!」

「ここは!ここは!ここは!

 

複雑な複合の紐解き、急がば回れの精神、速いからこそゆっくりじっくり取り組む、そうすることで見えてくるものが沢山あって楽しいですね。細かく分析して理詰めで弾くのだって有り。それも素晴らしい研究、試行錯誤。

 

分析するって意味では、

 

『読譜』

 

これも素晴らしい味方になってくれます。

 

速いフレーズでも一つ一つ確認可能。ゆっくり確実に取り組める。今は弾けなくてもいつか必ず弾けるようになる!そんな気持ちを持つだけでも絶対に違います。

気持ちの問題だけでなく、やることが具体的に分かっていれば、後はそれを練習すればいいだけ。一つ一つ紐解いていけば、道筋が必ず見えてくる。

 

手がかりも何もない・・・身体能力の差だと諦める・・・分からぬまま月日だけ過ぎる・・・譜面が読めれば、そんな状況に陥らず済むようにもなるでしょう。

 

やり方さえ分かれば、指は必ず動くようになります。 

 

脱力を考える

 

力み・緊張の悪影響

 

音を太くすることを意識、するとついつい、力を入れてしまいがち。音量が上がればそれっぽくなるし、迫力も分かりやすく出てきます。

しかし、これというのは「それっぽいだけ」だったり、実際は音が潰れてしまっているとか、音程感も存在感もなくなったりするから難しい。

 

ライブに慣れてないとありがち、なんて話では済まず、慣れていたって力んでしまうことがあるのだから厄介な問題。

自らは緊張してなくても、周りがカチコチで弾き方が乱暴になっていては困ります。リハと本番で音量がまったく違うなんてのもありがちな話。それに応じて、嫌でも音量を上げざるを得なくなるのは辛い。

結局、その影響で力んで音が潰れてしまったり、楽器演奏、バンドというのは、なかなか綺麗事だけでは済みません。

 

速く弾くのに大敵なのが、その力みと緊張。そして、実を言えば、音を太くするにも大敵なのが、この両者。

前述の通り、力任せに弾いていたら音は潰れてしまいがち。緊張の有無に関係なく、普段から力任せのタッチで弾いてるなら問題があります。

それをスタイルまで昇華させているのなら良いですが、求めている結果とはまるで反対の演奏、出音になっているようなら、冷静に見直してみた方が良いでしょう。

 

・弦が振動してなくて音質自体は細く頼りない

・目立っているのはアタックだけでバンドの邪魔

・すぐ疲れるし指もかたまっちゃって全然動かない

 

こんな自覚があったら要注意。太い実音ではなく聴かせているのは打音ばかり。これは色々辛い。

 

脱力・小音量で音を太くする

 

強いアタックや乱暴な弾き方、それで迫力を得ようとするのではなく、ごく軽いタッチ、小さいな音量で良い音を出せるようにすると、演奏は絶対に変わります。

まずとにかく、何をするにも余裕が出てきますよね。必死に頑張らなくても十分な太さを出せるのだから、力む必要そのものがなくなってきます。

 

これは音量についても同じ。軽く弾いて十分な質と量を保てるのであれば、馬鹿みたいに強く弾く必要性がない。大小の幅がある分だけ、演奏の余裕と表現力にもなるでしょう。

ダイナミクスを付けることで、繊細な音はより繊細に、力強いはより力強く、様々なコントロールが可能になる。

 

弦をストレスなくスムーズに鳴らせる、摩擦も抵抗も妨害もなく振動させることができる、そこには想像以上に大きな意味があるものだと考えます。

「楽器をちゃんと鳴らす!」と意識すると、必要以上に人間の方が頑張っちゃったりしますが、音を出すのは人間側ではありません。大事なのはあくまでも楽器が鳴っていること。

 

もっと言うなら、

 

『弦が振動している事』

 

極論のようで事実、当たり前の話。一番頑張ってもらうべきは弦の方、人間はそのきっかけを作るだけ、そんな考え方をするのも良いんじゃないかと。

弦を振動させているつもりが、実は一生懸命に妨害。無駄に暴れさせたり、効率悪くなったり、力を入れすぎているとその傾向が強くなってしまう皮肉。

 

太い音を得ようとする場合、話は意外とシンプル。

 

『弦を振動させる』

 

そこに異常なパワーは要らないし、変な幻想も必要ない。

 

・弦から指が離れるスピードを上げる

・弦振動の初動と角度を考える

・弦を振動させる為だけに力を使う

 

これを意識するだけでタッチのスピードが上がります。演奏が楽になるし、音も太くなるし、速度も増すし、良いことずくめ。

 

『脱力して小さな音量でも良い音を出せる』

 

速弾きするにも音を太くするにもこれが大事。

体格や身体能力で勝負できないなら尚更ですね。

 

マッチョな方向を目指すのも有り

 

いきなり矛盾するようですが、フィジカルを強くするのも大切。

 

と言うのも、まったくの非力だったり、基礎体力も何もない状態、それで脱力だけを心掛けても、ただの貧弱、軟弱にしかならない可能性が高い。

元々の馬力があるから余裕が出る、脱力していても十分な力があるから問題なく弾ける、これも否定できない面でしょう。「

脱力しているから強い力を生めるんだ!」と理想を掲げたい一方、元々の強い力があるからこそ、それをコントロールする術が身に付くとも考えられるわけですね。

 

強い力があるならば、それを正確に自由に操れるようにする。力が弱いならもっと鍛えるか、自分の中のより強い力を利用する。

力を全然使わない=脱力は違う。非常に難しい認識でもありますし、様々な矛盾を抱えることにもなりそうですが、試行錯誤を重ねていけば、それは絶対に力、技、自信になっていきます。

 

マッチョな方向性とは言っても、それは単純な筋肉、筋力の話ではなく、電気的に強力にしてしまうというのも、エレクリックベースを弾くには大事なこと。

これについては前述してきた通り、使うべき道具を誤ってはいけない、侮るべきではない、つまらないこだわりで可能性を摘むべきではないと、繰り返し声を上げたい。

 

本番で周りがどうしてもうるさくなるとか、何が起こるか分からないというのであれば、コンプなりブースターなりを用意して備えておくのも有り。

ただの音量アップを図るのではなく、使えるエネルギーを大きく効率的にしておき、それを自由に利用、脱力して弾ける状態を作ろうということですね。

 

「全部タッチだけで!生楽器のごとく!」とこだわるのもいいですが、所詮はエレクトリックなんだから、電気の力を借りる、それを上手くコントロールする技術が問われるのも当然の話。

軽く弾くだけで望む音量を得られるようにしておけば、それだけで力まずとも済むようになります。軽く弾くだけでも良い音が出せるタッチを身に着けておけば、さらに効果的。

 

実に様々、適当、いい加減に矛盾しているようですが、そこにさらに無責任に言葉を追加するなら、

 

「正解なんか知らない」

「自分の好きにやればいい」

「近道なんかあってないようなもん」

 

こんなことも言いたいかもしれません。だからこそやりがいがある、研究しがいがある、そんな言い訳もオマケで追加しておきましょう。

 

自分の経験、クソ真面目な練習一辺倒から変わったら、前より速く弾けるようになったりしましたし、楽器って分からないことだらけですね。

律儀でカチッとした速弾きってつまらなかったりするから厄介。多少荒くて勢いがあるぐらいの方がいいってのも珍しいことじゃないから面白い。

それを見越して、マッチョでなゴリ押し方向性で行くのも悪い話じゃありません。

 

「カオスを超えた先に自分がある」

 

何をやったらいいか分からないなら話は早い。

 

「全部やれ」

 

とことんやって悩みまくるも近道。

 

怪我、痛み、我慢が勲章じゃ空しい

 

・いくら弾いても疲れを感じない

・とにかく弾きたくて仕方がない

・上達が手に取るように分かる

 

こんな状態であれば長時間弾き続けるのも悪くありません。ノッてる状態とでも言いますかね?やってて楽しいなら好きなだけ続けるのが吉。

 

一方、気を付けた方がいいのは、

 

・明らかな疲労と痛みがある

・いくらやっても違和感しかない

・義務と習慣だから我慢してやる

 

こういう状況ではないかと。やっててつまらないことを長時間ダラダラ続けるって辛い。明らかに体も心もおかしくなってるのに、「休むのが怖い・・!」と脅迫観念みたいなものを持つのもよろしくない。

 

努力するのはそりゃ良いこと。だけどまぁ、人間には限界ってやつがあります。色々超越しちゃってる人種はまた別の存在。

日に30時間練習したいとか、そうしなければいけないなど、そんな夢を見ても意味がないでしょう。無理と無茶ばかりやってれば当然、体を壊します。

 

「一日8時間練習しろ!それが当たり前だ!」なんて得意げに語るオッサンとかもいそうな世の中、たとえそれが出来たとしても、長時間の練習自体が目的なのでは疑問。

この『練習8時間至上主義と義務化』みたいなのって何なんでしょうね?誰が言い始めたのか知りませんが、この無責任の押し付けと基準みたいなやつって結構な謎。

 

実際、それぐらい弾くこともありますし、それを意識して練習してた時期なんかもあります。練習すればするほど上手くなる実感だってありました。

 

しかしです。

 

「今日もやったぜ!8時間達成!俺すげぇ!」

 

こういうのってちょっと寒いですよね。

 

この結果だけを得ても何の意味があるのか、それでどれだけの収穫があったのか、冷静に考えると虚しくもなるのが正直な話。ただ長くやってりゃいいみたいな方向にすり替わってしまうと、目的を見失って完全に本末転倒。

 

世の中にはもっと弾く人だっているだろうし、仕事で一日中弾くなんて人も当たり前に存在するでしょう。

でも、それというのは、長く弾くことを目的にしてるわけではなく、『ただの結果』としてそうなってるだけだと思うんですよね。

義務化した長時間の練習、それ自体を悪いことだとまでは断じませんが、目的も意志もなく続けるのは何か違う

 

単なるスケール練習を続けて得たもの、それは何か?

 

『スケール練習が上手くなった』

 

こんな悲しい結果だったりもするから恐ろしい。

 

練習が上手くなるだけ、ウォーミングアップが上手くなるだけ、スケール練習用に指が動くようになるだけ、応用が利かなければそれで終わってしまう、これは残酷としか言いようがありません。

寿司職人を目指しているのに、ひたすら皿洗いだけ5年間やってたとか、他の作業について何も見ようとも考えようともしなかったとか、それでどんな結果になるかなんて想像したくもない話ですよね。

 

演奏を日常化するのが大切なことであると認識している一方、刺激も新鮮さもどんどん失っていく、退屈な惰性になってしまうのは何としても避けたい。練習感丸出しな速弾きって不思議と魅力もないから怖い。

 

休んでも失われない練習をする

 

具体的に何なのかと問われたら曖昧な答えしか返せませんが、一つ思うに、

 

『脳に記憶させる』

 

これが凄く大事なのかなと感じる次第。

 

何でしょう? 音楽学校の副科でピアノを習ったり、大人になってからピアノ教室に行ったりしたこともある身ですが、びっくりするぐらい忘れてます。これは本当、びっくりするぐらい何も覚えてません。

どうでもいいこと、興味のないこととして処理されてしまったのか、脳が記憶してない故、体の動きも忘れてしまったのか、そういう話なのかと想像。

 

一方、日常生活で言えば、自転車の乗り方なんかは一生忘れそうにありません。乗れなかった初期の頃の方がもはや分からない。完全に『自転車に乗れる体と脳』が出来上がっています。

ベースも同じく、ちょっと休んだ程度じゃ指が動かなくなるなんてことはないし、技術が一気に失われてしまうなんてことも自分にはありません。

まぁ、曲を忘れるってのはあったりしますが、根本的なスピードが地に落ちるとかそういうことはないかなと。

 

冒頭の方でも述べた通り、「速く弾くのをやめたら前より速く弾けるようになった」なんてこともあったり、この辺は本当に面白いですね。根性と気合任せの無闇やたらではなく、効率を意識し出したこともありそうです。

まったく別のところに意識を向けることで、逆に情報が整理されたり、スッキリしたなんて面もあるのかもしれません。人間ってのは実に不思議なもの。

 

後は単純な話、ボロボロだった体が休息を取ることで回復したなんてのもあるんでしょうね。軽い筋肉痛程度で済む話なら良いですが、筋、腱を痛めるのは笑えません。詰め込み練習でしかも長時間となると、怪我をするリスクが一気に上がるから厄介。

速弾きとかが好きな人の場合、高確率で練習熱心だと思いますから、大真面目な話、怪我や痛みには気を付けた方が良いと声を大にしたいですね。

 

「遊ぶ時は遊べ!」

 

恩師によく言われた言葉ですが、今になってその意味が身に染みてきます。

 

・頭の中がぐっちゃぐちゃでギリギリ

・体もパンパンで痛みとコリに苦しむのが常

・楽器も音楽も嫌いになりそう

 

こんな傾向があったら素直に休息を取ることをおすすめ。ベースってハードな楽器。体も心も壊しながら弾くにはしんどすぎる。

 

伝説的な意味で、ジャコみたいな人の生涯に憧れや幻想を抱く方もいるかと想像しますが、ジャコがめちゃくちゃ良かったのって、若くて体も強い時期だった印象が強い。

アルコールやドラッグに蝕まれてたジャコが良かったとは到底思えない。破滅の美学だの芸術だの美化したり、変な部分だけがクローズアップされるのは反対。

 

ただでさえ、速弾きなんて身体を酷使する可能性が高いものなんだから、心身共に健康であるに越したことはないでしょう。

指と指板をじっ!と集中して見てれば、目の酷使にだってなってきます。つまりは情報過多、脳が疲れてくることも十分考えられる。

 

疲れたら休む、違うことやって遊びましょう。速く弾きたいなら健康な方が良い。無茶がしたけりゃ尚のこと、体も精神もベストコンディションの方が自由が利きます。

 

ミディアムスケールのベースがなかなか面白い

 

History SZP-2M

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格安で手に入れたミディアムスケールのプレベ。デフォだとかなり弾きづらい面が多かった為、自分なりにあれこれ調整。結果、別物なぐらいに弾きやすくなって一安心。

何はともあれ、まずはセットアップ。楽器の価格や仕様に関係なく、やるべきことはやった方が良い。入手当初は正直、違和感の方が勝っていましたが、だいぶ良い感じになりました。

 

そしてやはり、慣れてくると色々と気付かされることがありますね。速弾きに対して大きな効果を望めるのも間違いありません。

特に指を広げる必要がある場合など、その差を強く実感。当たり前のようだけど、現実問題、違うものは違うってことだなと。

 

良くも悪くも、いつもとは確実に感覚が異なります。

 

左手を伸ばすと実感する短さと楽さ

 

例えば、3フレットから7フレットまで指を届かせる必要があるとか、そういうフレーズと場面。ま~、こんなに違うものかとびっくりさせられます。すでに前述した動画ではありますが、ここでまた改めて。

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こういうフレーズを弾くとなるともう、圧倒的に楽な印象がありますね。必死こいて左手を伸ばそうとしなくてもいいって感じ。

 

その辺り、1フレット1フィンガーのフィンガリングなども、その印象がかなり変わりますね。Cメジャースケールを3弦の3フレットから始めるとなると、通常のスケールでは指を広げる意識をする必要性を感じます。

それがミディアムスケールなら、かなりスムーズに自然におさまってくれることに。

 

これも試しに動画を撮ってみました。

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最後のは完全に悪ふざけですが、ローポジションからハイポジションまで上がるのもとにかく楽。

逆に、近くなりすぎちゃったように感じたり、フレットの感覚も狭い為、いつもとは違和感があるのも本音ですが、こっちの完全にハマっちゃう人がいても何もおかしくないのは分かります。

 

試す価値あり、短いスケールの世界。

一度、偏見を捨ててみるのがおすすめ。

 

それかもう、偏屈たっぷりにベース捨てるつもりで弾いちゃうのも面白い。ピッコロベースにして、ピッチシフターでさらにオクターブ上げて、歪ませて、そういうのやるにもめちゃくちゃ楽しいです。

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もっともっと進化していって欲しいジャンル

 

「スケールを短くする」と言うと、左手の方にばかり意識が行ってしまいがち。実際、その効果を感じられますし、何ら間違いでもありません。

一方、右手への影響も見逃せないのが、違うスケールを弾く際の感覚。弦の張り具合も振幅も変わるのだから、それ専用の技術を身に付けるべきなのではないかとも思ったり。

 

単純な話、でっかいものを細かく小さく動かすってのはやっぱり、ちょっと難しいような気がしてきちゃいますね。極端な話、ベースサイズのギターとか、そんなありがたくないだろうし、求められもしなそう。

 

確かに、短いスケールのベースでドーン!と大きく長く音を出すというのは、条件的に不利そう。一方、その逆を考えてみれば、良い面もいっぱいあるように感じます。

低音弦側に張りを求めるのは至極分かる話。しかし、その影響で高音弦が過剰に張りつめてしまうのは考えもの。

 

その辺りの考慮か研究結果か、低い方と高い方でスケールの異なるベースがありますが、あれって気持ち分かりますよね。単純に大型化すればいいってもんじゃなし、長くするほど良くなるってわけじゃないことを示した例ではないかなと。

 

完全に好みの話だけれど、短くすることでいい感じの発音になるような、タイミングも収まりも良くなるような、そういう印象もあって面白い。ただ単に楽を求めるってだけの問題ではない、非常に奥深い世界が存在している。

これについては本当、実際に弾いてみた方が話が早い。この場では、速弾きな方向性でおすすめしてるようですが、そうでない面から見ても発見があるはず。

 

今更なようですが、33インチを愛用する人が増えている理由が分かったような気がします。プレイアビリティを求めるだけではない感覚、それならではの世界が魅力がある、そこにハマってしまうのだと気付かされます。

速弾きにおけるベースの音色、その美味しさを求める意味でも、あえてスケールを短くするのは興味深い方向性。より強く張り詰めるほど良いかって、そうではない。緩いからこそ出来ることだって絶対ある。

 

まだまだ知らない世界が沢山ありますベースの世界。

 

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