ジラウドとの出会いと旅路
※過去に書いた全13記事分をまとめました。
- ジラウドとの出会いと旅路
- 1. キッカケはベースマガジンと5弦探し
- 2. 歓喜と恐怖の超絶サウンド
- 3. 手を出し始めたのは周辺機器から
- 4. 他社製ベースを手に入れ敗北と失敗に気付く
- 5. 縦振動のタッチの激震とOPB
- 6. 更なるパッシブへの目覚めと基礎の見直し
- 7. 6弦ベースの希望と絶望
- 8. 他責から自責が芽生えたメインベース
- 9. ジェマーソンへの憧れと完全想定外の敗北
- 10. 脅威のフルチューン・JFDTの威力魅力
- 11. フルチューンとネオパッシブの融合
- 12. フレットレスも全部ジラウド
- 13. 新しい物が出続けるから面白い
- ポングのベース教室
- ベースポムジン
1. キッカケはベースマガジンと5弦探し
5弦探しと失意の思い出
もう20年は前のこと。良い5弦を求め、試奏に明け暮れていた自分。
アトリエZ、サドウスキー、クルーズ、ムーン、ボッサ、フォデラ、レイクランド、その他多数、気になる物は片っ端から試していました。
中でも、一番手応えがあったのは、フォデラ・ジェームスジナスモデル。
当時、特に求めていたのは、張りと締まりのあるローB。初めて弾いた36インチ、その手応えに圧倒されたのを思い出します。
このジナスモデルの中古が当時、36万円ぐらいで出てたりしたのだから、凄い話。とても考えられない値段で、本物のフォデラが買えたのだと、今更ながら驚愕。
しかし、いくらお買い得とは言っても、学生には高嶺の花。「ローン組ませて!」と親にすがりつくも、あえなく却下。
超特価のフォデラがいつまでも在庫してるわけもなし。泣く泣く諦めたのを、いまだに覚えています。
人間、一度良い物を知ってしまうと、安易な妥協はできなくなります。ジナスモデルが買えなかったショックは大きく、何を弾いてもピンと来なくなってしまいました。
ベースマガジンの広告でジラウドを知る
そんな中、妙に印象に残るベーマガの広告記事を目にしました。前からチラッとだけは存在を知っていたお店。
正直よく分からない、形も変、いまいち受け入れられなかったベース専門店。
それこそが、ジラウドベースセンター。まさか、人生に多大な影響を及ぼすなど、夢にも思わなかった存在。
その広告記事に載っていたベースが、この二本。
・EUCLID
・J-BASS5
ま~、完全に未知そのものでしたね。
今でこそ完全に馴染んじゃいましたが、当時の自分の感覚だと、正直、とてもかっこいいとは思えませんでした。
何だか微妙なシェイプ、それこそ、意味不明と言ってもいいぐらいだった印象。
それに加えて、何が凄かったかって、
『JFDT-C』
『アクセラレータ』
『ディスクリート』
謎としか思えない言葉が並んでいたこと。バッファ云々に関しても、当時では全然理解していなかった為、もはや胡散臭さすら感じました。
となると、決意するわけです。
「弾くしかねぇ!」
意を決したポング少年。
人見知りもなんのその。
好奇心が全てを凌駕しました。
駒沢大学駅から、徒歩10分ほどにあったジラウド。
ドキドキワクワク、未開の地に迷いまくったり、スーパーで道を尋ねたり、結局、1時間以上さまよって辿り着いたり、これも今では良い思い出。
今現在に至るまでの最強インパクトとの出会い
店に辿り着き、笑ったのは、
「入りづれぇ!」
工房系の店構え、その敷居の高さって相当なもの。色々慣れた今じゃ何処だって入れますが、人見知りの少年にはキツイの一言でした。
しかし、好奇心と覚悟が全てを凌駕。良いベースを知るためなら、お構いなし。その決意があるならばこそ、先が楽しくなる。これは本当、大事な姿勢だと実感します。
ガッチガチに緊張しながら弾いたのは、
【J-BASS 5】
良い5弦ベースを探してる旨を伝え、試奏させてくれた、初めてのジラウド。 今現在においても、あの時の衝撃を上回るベースに出会ったことなし。
「な、なんじゃこりゃあああぁぁああ!?」
これまでの常識や価値観がひっくり返る衝撃を受けた次第。
2. 歓喜と恐怖の超絶サウンド
全てをブッ飛ばしたジラウドベースの衝撃
初めて弾いたジラウド。そのあまりの異次元サウンドに、これまでの価値観が崩壊。 ディスクリートがどうの、3Dシェイプがどうの、難しい内容は分からず。
でも、ハッキリしたことはありました。
弾けば分かる!
理屈は後付けでもいい、弾けば分かる問答無用サウンド。そのインパクトの前では、あれこれ語るだけ虚しいだけ。
何がどう他のベースと違ったかを振り返る
「理屈じゃねぇ!」と済ますのは簡単。
しかし、それだけでは済ませられないのが、オタクの性。
ジラウド初見で感じたのはこんなこと。
・音がバンバン前に出る
・曇りが全くない
・反応が異常に速い
・情報量、解像度が全然違う
・とんでもなくワイドレンジ
・高域が凄いのに耳に痛くない
今まで、ドンシャリとかレンジが広いなんて思ってた音は、実は全然大したことがない。定番のアクティブ回路というのは、実はクリアなんかじゃなく、かなり濁ってて癖がある。
めっちゃくちゃ高域が出てるようでも、耳に痛くない綺麗な音が存在する、ジラウドはそれをやっている。
繰り返すようですが、これまでの常識や価値観が崩壊。または、疑問や違和感の正体が具体的になったとも言えそうです。
「みんなが良いって言ってるからきっと良いんだろう・・・」こんな風に、自信なく受け入れてたんじゃ駄目だったんですね。
「いや違うよ?」
正面から一蹴、実に堂々たる回答をしてくれたのがジラウド。自分の中にあるモヤモヤを晴らす答えを超強烈にもらいました。
「誰々の音っぽい!」とか、そういうことではない、ジラウドでしか有り得ない世界をこれでもかと体験しました。
しかし刻み付けられたのは恐怖だった
「ジラウド凄ぇ!最強!」が決定したあの瞬間。その衝撃をくれたJ-BASS5を凌駕、さらに凄まじかったのがEUCLID。この音を忘れることは絶対にないだろうと確信。
一方、自分の中に芽生えた気持ちは、
「こ、怖い・・」
いや、あれは本当に参りましたね。
何がやばいって、
超下手に聞こえる
凄まじいばかりのインパクト、超絶的な特性が故に、自分では全く活かせず。未熟な部分がそのまま晒される感、弱点丸見えな恐怖が尋常ではありません。
事実、その場で居合わせたお客さん(たぶんプロ)が弾くと、凄かったのなんの。全然、違う音が飛び出てきてショック。
その後、わたくしめが弾くと、
情けないヘボサウンド・・
自信がないの丸出し、困惑も緊張もそのまま再生。
超良いベースのはずが、次元の低い音になってがっかり。
正直、ちょっとしたトラウマになりました。マニアック気取ってた小僧に現実を叩き付ける、恐ろしい楽器。
とんでもなく感動が大きかった半面、ひどく落ちこむ事態にもなった次第。
3. 手を出し始めたのは周辺機器から
怖くて手が出せなかったジラウドベース
バンドの中での音抜け、存在感。全音域にわたる、バランスへのこだわり。上達にも貢献する、素晴らしい特性。今でこそ魅力を語れる、ジラウドベース。
しかし、当時の自分では、そこには至れず。下手に聴こえたら、それだけ不安も増幅。ミスが目立つ恐怖、緊張と隣り合わせは辛い。自信がない身では、楽器に申し訳ない感も強くなる。
本当に本当の話、最初は全く使いこなせる気がしませんでした。実力不足、不相応だと思いこんでしまう流れに。
周辺機器から入門
歓喜を通りすぎ、もはや畏怖?色々、壁を感じてしまったジラウド。でもやっぱり、一度体験したら忘れられず。その音も製品も欲しくなるのは、必然。
タイミング良かったと言うべきか?そんな中で登場した【HPM】は最高に魅力的でしたね。
夜間でも充実した練習をしたいと考えていた自分。ジラウドがヘッドホンアンプを出すとなったら、そりゃ買わないわけがありません。
今でも現役バリバリ。スピーカーまで鳴らせる余裕の大出力。オーディオとしても活躍するHPM。これが初めて買ったジラウド製品でした。
他にも買いやすかったのは、オリジナルのケーブル。良心的な価格、これもまた素晴らしかった製品。ずっと現役のまま、自分のベース人生に貢献してくれています。
残念ながら、ケーブルは生産終了。HPMの増産も不明。この辺り、個人工房の難しさを感じるところでもありますね。
安定した供給を期待すると、なかなか思い通りには行かないことがどうしてもあります。
だからこそ、一期一会的な楽しさ、貴重さ、決断した者が勝利することも実感。
ジラウドに限らず、気になる物があるなら、まずは行動ですよね。その行動によって得られたもの、それが一生事になる可能性もあるのが、人生の不思議。
「後悔は残さない方が良い」
声を大にしたくなります。
まずはとにかく入ってみる事が大切だと実感
ベース本体はひとまず置き、積極的にジラウド製品を購入していった自分。
【Slapper】や【Mobius】のアウトボードプリアンプを手に入れもしました。
シンプルなジャズベ、プレベに使用しても絶大な効果を発揮。派手な効果を目的に、他社のアクティブベースに対して使用するのもあり。
本音を言えば、ジラウドベースに使用するのが一番だろうと認識はしています。
一方、過去の自分よろしく、なかなか手が出ない人、すでに超こだわりの一本を持っているなど、そういう人だって当然いるだろう世の中。
いきなりベース本体は重いということであれば、まずは周辺機器。そこから試して入門していくのも、一つの道ではないかと思います。
あまりに遠慮しすぎたり、敷居高く構えて縁を遠ざけてしまうのも、人生の損。手が届く範囲から攻め、じわじわ試していくのも、選択肢の内。
その流れを経験した身としても、変に壁を作って何もしないことが一番まずいと実感。
最強のラックプリアンプJFDT-HAとの出会い
「まずは軽くから」と言いつつ重い決断。一生事になる買い物だったのがこれ。
何を弾いても衝撃を受けた、ジラウド製品。その上で、更なるショックを与えてくるのだから凄まじい。
ま~本当、このベースプリアンプの登場、インパクトもなかなか壮絶でしたね。これを体験後、世の中のベースアンプに、一気に興味がなくなりました。
同様の人が多かったのか、初期ロットはあっと言う間に完売。迷うことなど許されない、考えてたらもう遅い、そんな状況。
誇張でもなんでもなく、
「これを逃したらもうチャンスはない!」
第二ロットを即行で予約。本当に再生産されなかった事実を考えると、まさに大英断。今にも至る、一生物を手に入れる運びになりました。
これの上を行くのは、近年登場した、ジラウドのDr.Simぐらい。どんなプリアンプを弾いても、これより高性能な物には出会えません。
もしあったとしても、高確率でものすごく高価。個人がベース専用として使うには、現実的ではなさそう。
性能は言うに及ばず、価格設定も半端じゃなかったのが、JFDT-HA。至れり尽くせり、多機能満載のフルディスクリートプリアンプにもかかわらず、
『16万円』
初期ロットに至っては確か、12万ちょっとだったかな?今考えても有り得ない話、商売する気あるのかと、思わずツッコミたくなります。
このプリアンプなくして、自分のベース人生存在せず。
一生物の財産ですね。
4. 他社製ベースを手に入れ敗北と失敗に気付く
手が出なかったベース本体
じわじわ、ジラウド製品を手に入れていったのは、前述の通り。一方、ベース本体になかなか手が出なかったのも、ずっと継続。
その圧倒的クリアな特性を使いこなせる気がしない。ヘタクソに聴こえてしまうことに耐えられない。恐怖を感じてしまう状態に変化はありませんでした。
加えて当時、弦高の低いベースしか弾けなかった自分。技巧派を志していたことも大きかったですが、腱鞘炎や腰痛に苦しんだりなど、体調面の問題も強く絡んでいました。
その当時の自分の好み、心情から言うと、楽器のサイズやセットアップの面からも、二の足を踏んでしまうところがあったのが、ジラウドベース。
太いネック、高めの弦高、大きなボディ、ハイポジションが弾きづらいディープジョイント等、当時の自分では受け入れられなかった数多くの要素。
そのサウンドに憧れはあったけれど、とても弾ける気がしない。もはや畏怖の対象、縁のない存在ぐらいにも認識してたかもしれません。
他社の5弦に手を出してしまう
もっと薄いネック、低い弦高、軽量な仕上がり、安心して使える無難な特性など、そんな要素を求めて手を出した某ベース。
当時のもう一つの憧れ、超お気に入り、これも最高の楽器だと信じて疑わなかった存在。ジラウドではなく、その対極とも言えるようなベースを入手しました。
とにかく弾きやすい、疲れない、ライブでも楽。外国っぽいサウンドが手軽に出てくれるのも良い。それまで所有してきた中でも、断トツのクオリティだと満足。
今考えても、あれだけ丁寧に作ってあるベースは、なかなか存在しないでしょう。
もう一生これだけでもイケるんじゃないか?そんなことまで思うぐらいに歓喜していました。
最高かと思いきや評判は散々
超が付く弾きやすさに満足していたその5弦。音も実に良質、洗練され、整ったサウンドに感動。何を弾いても安心できる、安定感抜群だったベース。
ところが、いざバンドで音を出すと、問題が浮上してきました。
・音が薄い
・存在感がない
・抜けてこない
単体だと良い感じなはずが、全然混ざらない。それどころか、簡単にかき消されてしまう悲劇。
本体のプリアンプでブーストしようが、状況は変わらず。外部で強化しようと、どうにもならず。
最強のプリアンプJFDT-HAを投入、それでライブしても効果は希薄。何をどうやっても解決せず、八方塞がり。
挙句の果てには、兄貴のおさがりのフェンダージャパンに惨敗。
ただのパッシブジャズベースの方が、バンドに絶賛される始末。「アクティブなんか駄目だ!」と馬鹿にされる日々が辛い。
喜びも本当に束の間。一気に困惑、絶望に叩き落とされる事態に。
ジラウドベースと比較して絶望
失意の中での決意。
「ジラウドの回路を付けてみよう!」
今の状況を打破するには、これしかないと思った次第。
ジラウドそのものは弾きづらいからそれは避けたい。PUと回路を変えれば、最強のベースが誕生するんじゃないか?
そんな希望を胸に、改造を依頼にジラウドを訪れました。
正直な話、この時の出来事は、いまだにトラウマとして残る事案。あまり思い出したくないぐらい、ショックな経験として刻み付けられることに。
超お気に入りだったはずのベース、それがジラウドと比較すると、恥ずかしくて聴けたもんじゃない。自信満々に買ったのに、結果は散々。
しかも定価自体は、ジラウドよりも高いと来ました。にもかかわらず、惨敗どころの騒ぎじゃない。
自分は一体、何をやっていたのか?安易に逃げ、掴んだものは何だったのか?回路を変えればどうとでもなると考えていたのか?
今すぐ泣いて帰りたいぐらいだったあの日あの時。ある意味、人生のターニングポイントでもあったかもしれません。
当然、改造は依頼せず、そのベースは手放しました。
ジラウドを信頼せず、どうにもならない楽器を手に入れたことに対する、福田さんの苦々しい顔が忘れられません。
5. 縦振動のタッチの激震とOPB
ジラウド=凄い回路の店だと思っていた過去
その凄まじいサウンドにKOされたジラウド。一度体験すれば、オリジナルの回路に惹かれること間違いなし。特に、スラップ派に対し、これほどインパクトを与えるものはないでしょう。
「究極のアクティブを求めるならジラウド!」
こんなイメージを当時の自分は持っていました。恐らく、同じ衝撃を受けた人も多いのではないかと想像。
理解できなかったパッシブのジラウド
そんな中、どうにも解せなかったジラウドベースが登場。
【OPB】
オリジナルプレシジョンベース。プロトタイプのプレベとも言える楽器。完全パッシブ、いかにも古臭いスタイルそのもの。
言葉悪くすれば、フェンダーのコピー群と同じ。そんな物を何故、ジラウドが出してきたのか、全く理解できず。
「え・・? Slapperとかあんな凄い音するのに何で今更こんなのを? JFDT-HAってなんだったの? 今更パッシブとか何がしたいのか意味分からん・・」
怒られそうですが、当時の自分の心境は、本当にこんな感じ。OPBに惹かれるところなど、一切ありませんでした。
「人間って結局は懐古に落ち着くものなのか?」
正直、不信感まで抱いたかもしれません。
OPB初体験も印象は最悪
疑問を抱えながらも、通い続けてはいたジラウド。パッシブを出したのは不満だったけれど、自分の持っていた5弦がボロ負けになった事実は変わらず。
「弾きづらいのを考慮してでも買うべきだろうか・・」色々複雑な心境な中でも、試奏には何度も行っていました。
そして、衝撃の時がやってきます。
これもまた、自分のベース人生を揺るがす大事件。
いつものごとく、何気なく試奏させてもらっていた中、店主の福田さんから、あることを尋ねられました。
「あれ?縦振動のタッチって教えてなかったっけ?」
全く意味不明だったこの言葉。どう反応していいかも分からず困惑。「え?何ですかそれ?」ってキョトンとするしかありませんでした。
そこで、福田さんに渡されたOPB。初めて体験するジラウドのパッシブベース。全然興味なく、完全スルーしていた楽器。
ま~、予想通りと言いますか、弾かなくて正解?びっくりするぐらい良い音せず、心底ガッカリ。疑問じゃなく、確信に変わったと言っても、過言じゃありません。
「やっぱジラウドでパッシブはなぁ・・」
失望した次第。
ぶっとい音とタッチへの目覚め
「ま、古臭い事やりたいならこういうのも良いんですかね・・」なんてノリ、嫌悪を感じたまま、福田さんにお返ししたOPB。
そのクソな印象そのものだったベースを福田さんが弾いた瞬間です。
「ぎょえええぇぇぇえええ!?」
根本的に次元の異なるサウンドが飛び出てきて仰天。いや本当、目ん玉飛び出るかと思うぐらいの衝撃を受けました。
魂が消えると書いて魂消る、意識を消失するような眼前の事態に、超絶ぶったまげ。
『超ぶっとくて超速くて超強烈!』
聴いたことのないそのサウンドに完全KO。クソだカスだと思っていたOPB。そんなベースから叩き出しているのだから卒倒モノ。
理解しました。
「クソなのは俺だったんだ・・・」
良い音がしない責任を全て、楽器に押し付けていたのだと絶望。ジラウドの実力も、表面的な部分でしか見ていなかったのだと、叩き潰された次第。
6. 更なるパッシブへの目覚めと基礎の見直し
JFDT-HA+OPBの意味と価値を理解し始める
完膚なきまでに叩き潰されたOPB。そして理解したのは、JFDT-HAの本当の凄さ。
このプリアンプによって、パッシブベースが真の威力を発揮する。秘めたポテンシャルを使いこなせば、EQだって必要なくなる。
その実力を引き出すのは他でもない、
『自分自身』
これがへちょいんじゃ、どうにもならず。
どんなにブーストしたって無駄。エフェクターやコンプに頼ったって無意味。そもそもの部分が薄っぺらなんだから、何したって効果なし。
これを例えば、ボーカルとして考えてみるならば、
・声量が皆無
・滑舌も発音も壊滅的
・終始ボソボソ喋り
こんなやつのどこに魅力と力強さがあるんだって話。にもかかわらず、アンプやマイク、PAにケチ付けてばかりとか、クソ以外の何者でもない。
弾き手のタッチをそのまま出してくれるのが、ジラウド製品。弾き方そのままに応えてくれるのが、JFDT-HA。その事実をこれ以上なく教えてくれたのが、OPB。
「なんで俺が弾くとこんな音しか出ないんだ・・」
この悩みに対する回答は実にシンプル。
「下手だから」
JFDT-HAとOPB。クソなタッチをカバーしてくれる甘さなんか存在せず。
不快なバズも腱鞘炎も自分のせい
タッチについてまだ、何も意識していなかった自分。
その頃、もう一つ悩んでいたのは、左手のダメージ。左手の親指の付け根など、いつもパンパン。それもあって、弦高の低いベースを好んでいました。
ジラウドでベースを試奏していた、ある日のこと。
「ちょっとバズが出ますね~」と苦言を呈したところ、
「バズが出るように弾いてるからだよ。」
バッサリ切られてびっくり。
何度目の意味不明か?
全く理解できない言葉に困惑。
しかし論より証拠。
福田さんがそのベースを弾いて驚愕。
バズなんか皆無!
例のごとく、超絶ぶっとく濃密なサウンド。
フレットノイズが酷い?それを引き起こしてるのは誰のせいなのか?この楽器のどこに欠陥があるのか?そんな証明をするのは不可能だと絶望。
さらに言われてしまったのは、
「押弦が弱すぎる。」
これもまたバッサリ。言い訳がましく、左手の腱鞘炎がどうのと伝えたら、
「それは握力に頼ってるからだよ。楽器のホールドも甘い。腕・肘を引いてみたりもっと強い力を使うのが基本。」
まさにめった切り。
親指がネックに触れずとも強力な押弦を実現、その光景に唖然。
その場その瞬間、実践して教えてくれる為、反論なんかできるわけもなし。自分の音はカスで、福田さんの音は次元が違う。
この事実の前に、言い訳が立つわけもありませんでした。
どうしたってもう、この現実を受け入れるしかないんですよね。
「俺、下手すぎ!」
変な弾き方をしているから体も壊す。しょぼく弾いてるから音もそのまましょぼくなる。実に真っ当、嘘偽りない結果、こんな分かりやすい話もありません。
ボッコボコです。
パッシブで基礎を鍛えなおす
音楽学校での体験から、パッシブの魅力も知ってるつもりだった自分。
それも所詮は、『つもり』で終わっていたのか?ジラウドでの体験は、あまりにもショックで、辛いものでした。
これじゃもう、どうにもならない。楽器に言い訳したって無駄。自分自身のクソさを認めるしかない。赤っ恥と屈辱もバネに、己を鍛え直すことを決意。
まず始めたのは、プレベでタッチのトレーニング。他社製ではあったけれど、OPBも購入。弦高も高くして、張るのもフラットワウンド。
表面的に上手く聴こえる機材を使うのは、もうやめたい。下手もそのまま、粗が正直に出てくれた方が良い。
使うアンプも、タッチがよりリアルに出る物にチェンジ。癖の塊、鈍臭いベースアンプとは決別。
一日数時間、3弦5フレットのDだけ弾くなんてのもざら。どうしたら音が太くなるのか、どうやって弦を鳴らしたらいいのか、向き合うことに。
それだけでは足らず、かなりの頻度でジラウドに練習しにも行きました。
左手のトレーニングも、腕の力を意識して、ゆっくり地道に。
ネックと弦を指だけで握ろうとするのではなく、体を使ってしっかり楽器をホールド、テコの原理も利用した押弦を心掛けて練習。
技巧を薄っぺらく追っていたこと、ろくに鳴らせもしないのにパッシブを否定していたこと、ジラウドを勝手な解釈で歪曲、誤解しまくっていた愚かさを猛省。
まさにこれ、
『心を入れ替える』
ベース人生、変わっていきました。
7. 6弦ベースの希望と絶望
他社へ6弦ベースをオーダー
「パッシブの話はどこ行ったんじゃ!」というツッコミ、ごもっとも。
パッシブで鍛えた甲斐あって、音も太くなっていきましたし、腱鞘炎にも悩まなくなったり、本当に良いことずくめ。基礎を見直すことにより、驚くほどの変化を実感。
ただ、自分が本当にメインにしたかったのは、6弦ベース。パッシブで鍛えていたのは間違いない一方、シンプルな4弦をメインにすることはありませんでした。
なんでここまで来て、他の6弦に手を出したか?
ジラウドベースに手を出さなかった大きな理由、これは実に簡単な話、ジラウドさんが6弦を製造してなかったから。
ショックな事実ですが、こればかりはどうにもなりませんでした。
タッチコントロールに目覚め、好みも激変。そのおかげで6弦探しは難航、既存の6弦に納得いかなくなっていった自分。
6弦のその多くが、弾きやすさ優先の設計。PUとプリアンプ頼みで、何とも薄っぺらい物ばかり。
となるともう、オーダーやってくれる所に頼み、一から作ってもらうしかありませんでした。
「ジラウドで学んだコンセプトを糧に!」
と言えばまぁ、聞こえはいいですけど、要するに、ジラウドならではのアイデアをパクらせてもらい、他社で6弦ベースを作った次第。
でも本当、その狙い通り、期待通りの素晴らしい物が出来上がりました。
パッシブでも使える6弦ベース。
まさに狙い通り理想の楽器になったと歓喜した次第です。
俺は6弦ベーシストだ!
非常に強かったこのこだわり。
6弦を弾いてこその自分。
覚悟と決意があったからこそのオーダーメイド。初めてのローンも何のその。後先考えず情熱のまま突き動かされていました。
また、この6弦が凄く評判良かったんですよね。6弦のその大体、抜けない音、腰のない音、音程感もあやふやなんて話を、PAさんから聞いたこともある中、
「そのベース凄いですね!低い方の弦でもこんなにちゃんと聴こえてくるってなかなか無いですよ!」
こんな評価をいただき、ま~、嬉しかったのなんの。
「6弦だってベースとしてちゃんと使える!タッチに応えてくれる楽器ならEQに頼る必要もない!」
自信と確信が持てました。
コンセプトは大成功。女性ボーカルのサポートでも全く問題なし。勿論、6弦ならではのテクニカルなアプローチも可能。スラップのソロなど、派手に使っても大活躍。
「このベースには無限の可能性がある!」
凄い手応えを実感していました。
立ちはだかるジラウドベース
6弦がメインでも、パッシブベースで鍛えることはやめず。タッチの研究、基礎の向上、怪我も少なくなり、成長を感じていた自分。
太いネックも気にならない、大きなボディでも問題なし。以前とは比較にならない基礎が身に付いているのも、実感していました。
そこで分かってきたのは、
「ジラウド凄ぇ・・」
いや、参りました。確実に上手くなっていった結果、改めてその価値に気付くことに。
素晴らしいクオリティ、理想の6弦を手に入れた実感があったからこそと言うべきか?ジラウドの真似をしたり、要素を取り入れた結果、本家の良さがより分かってしまったんですね。
成長していたが故に、段々と気付いていくことになります。
「やべぇ・・ジラウドと比較すると駄目だこれ・・」
試奏すればするほど、その高い次元を思い知るジラウドベース。
そんなジラウドの中でも、さらに上を行く楽器が登場したのも追い打ち。
【Black Cloud】
このベースが登場したことにより、心が折れました。
「ジラウドを超えるのは無理だ!」
どうやったって、音じゃ敵わないと確信。
6弦ベースをやめる
「理想を追い求めたらPUのオーダーメイドまで必要か・・」
「それどころか1から全部作り直す必要もある・・」
「どれだけの費用と時間が必要なんだ・・」
「シンプルなフレーズ弾くにも一生6弦を使い続けるのか・・」
悩んだ結果、
「よし!もう素直にジラウドを弾こう!」
6弦をやめ、5弦に移行することを決断。
ここまでで、5本の6弦を手に入れてきましたが、
「ジラウドが作らない限り自分の欲しい6弦はこの世に存在しない・・・」
完全に心が折れてしまいました。
オーダーメイドで作っても駄目だったダメージは計り知れません。
丁度、ホンジュラスマホガニー仕様の5弦ブラッククラウドの製造が、ジラウドから発表されていたのも大きかったですね。超レアな古木のホンマホ、しかも1ピース仕様。
これを逃したら次はない、これからまた6弦探しはしたくない。先の見えないオーダーメイドに苦しむより、もう楽になりたい。
「ジラウド最強!」
最初の時点で出ていた、この結論。
にもかかわらず、ジラウドベースを本気で買う気になったのは、
10年後
遠回りにも程がある。
我ながら呆れます。
8. 他責から自責が芽生えたメインベース
Jiraud Black Cloud
中古を探すにも、望みは限りなく薄い、このベース。古木のホンジュラスマホガニーを使用、とんでもなく貴重な楽器だと断言できます。
6弦ベースをやめるキッカケ、やっと辿り着いた感慨もある、ジラウドベース。
2年と同じベースを弾き続けたことがない自分。
それがこの10年間、ずっとメインとして君臨してきたんだから、快挙なんてもんじゃありません。まさに別格の存在ですね。
実に多くの意味で、こんな特別なベースは他に存在しません。
望んだのは弾いたそのままが出る事
これまでの失敗で学んだことは、
『楽器に依存』
これが良くなかったと痛感。
音が抜けない、細い、存在感がない、扱いにくい等、これまでのその判断、不満、それも決して間違ってはいなかったのかもしれません。
でもやっぱり、自分の場合、明らかに楽器側のせいにしたり、ずっと言い訳していたと猛省します。
縦振動のタッチを教わり、叩き付けられた現実。
「クソなのは俺だった」
嫌というほど思い知ったのが、ジラウドでの出来事。
自分の欠点を探していったら、幾らでも出てきてしまいます。
・タッチが貧弱でどうしようもない
・左手が甘すぎるからバズが出る
・根本的に弾き方が悪いから怪我もする
・もはや太い音を出すどころじゃない
これで楽器にケチを付けていたんだから、救い様がない。
そんな過去の自分と決別すべく、手に入れたのが、ブラッククラウド。「無条件で良い音がしてくれる!」なんて甘い楽器じゃありません。
『下手もそのまま出す』
実に正直、恐ろしい楽器です。これまでとは異次元レベルで異なる、反応の速さ。ちょっとした弾き方の違いも、そのまま再生されてしまいます。
「最高の楽器を手に入れた!」と自慢したくなった一方、
『最初は全然良い音を出せなかった』
正直言ってこれも本音、びっくりするぐらい使いこなせなかったのが、本当の話。情けない音しか出せない、欠点、弱点が丸分かり、とにかく扱いが難しかったのなんの。
こんな恐怖を感じるベースを手に入れたのは、これが初めてでした。
楽器のせいに出来ないから気持ちが楽になった
「うひょ~最高に使いやすい!」
「超上手くなった気分だぜ!」
「何でも気軽に出来てこれで無敵だ!」
なんて安心できる楽器ではなかった、ブラッククラウド。むしろ困惑、自信を喪失させてくる楽器。軽い音しか出せない、ヘタクソな自分に腹が立ちました。
ただ、凄く良い傾向だと感じたのも本当の話。
『自分に腹が立つ』
矛先がほぼ100%、自らに行ってたのが良い。
もう楽器のせいにすることができない、音が細いのは自分のタッチが悪いから。基礎も心構えもなってない結果が正直に出るって、悪いことじゃありません。
弾けないことがあるなら、原因は楽器ではなく、己にあり。未熟さがそのまま出るのが分かったら、後はもう、練習するしかない。
これがもう、めちゃくちゃスッキリしたのなんの。ここまで来ちゃうと、楽器に当たったって、全く意味がないんですよね。
不満、不安、負の要因を生み出す原因を探すのは、至極簡単。
全てはこれ。
『自分のせい』
前向きである限り、それにちゃんと応えてくれる楽器。練習すればするほど、弾き込んでいくほど、良い音が出てくれるようになる素晴らしさ。
下手なのが丸出しになるのは、確かに怖い。でもそれは、上達の手応えをより実感できることでもある。
これまで手に入れてきたベースの感覚とは、まるで違いました。自分の音を自分で作り上げている手応えに感動。
良い音出したいなら話は簡単。
上手くなるしかない!
成果も出るだけに、練習にも自然と熱が入った次第。
9. ジェマーソンへの憧れと完全想定外の敗北
誰も助けてくれない容赦ない難しさ
「やっと絶対の愛機を手に入れたぜ!」
と、超盛り上がりだったブラッククラウド。
一方、大苦戦したのが、その扱いの難しさ。
「自分の手だけで太い音を出すんだ!」と意気込んで選んだ仕様は、
【ネオパッシブ】
搭載するのはバッファのみ、プリアンプの助けは借りられず。
PUはシンプルそのもの、シングルコイル。確実なタッチで弾かないと、まともな音になってくれません。望んだ通りのスパルタ仕様だったけれど、想像以上の厳しさに困惑。
その時のマイブームに行きたかったのか、心が折れかかったのか?
ここでちょっと、変化を加えていくことに。
ジェームス・ジェマーソンへの憧れ
ジラウドさんから色々教えてもらうまで、ほとんど興味のなかったジェマーソン。一応、音楽学校のレッスンなどで存在を知ってはいましたが、当時の自分では理解できず。
「まぁ何か地味で普通なベース弾く人だな」
これぐらいの認識していたのが本当の話。
ところが、タッチやグルーブについて真剣に向き合い出してから、状況は一変。
福田さんが見せてくれた1フィンガーにブッ飛んだのも、大きな出来事。そうやって、気付いていきました。
「ジ、ジェマーソンやべぇぞ・・!?」
どこが無難?どこが地味?
とても真似できない次元のことをやっていて驚愕。
「俺もこんな音出してみてぇ!」と一気に憧れが強くなった結果、
『極太フラットワウンド+スポンジミュート』
ブラッククラウドをジェマーソン仕様にしてしまった次第。
とあるベースの衝撃と謎の敗北感
その異常とも言える弾き応えにワクワクするジェマーソン弦。
事実、聴いたこともないような低音が飛び出てきて大満足。「よっしゃ!もっと太くしてやるぜ!」とテンション上がりました。
ハイファイ路線を捨て、もはやローファイレベル。フロントPUをメイン、パッシブトーンも絞って渋く攻める。
PUフェンスも付けて、弦高もめっちゃくちゃ上げ、気分はジェマーソン。最高のプレベを手に入れた気分でご満悦でした。
そんな中、凄まじい衝撃を受けるベースに出会います。
【パチモンのやっすい中古レスポールベース】
冗談半分で手に入れた激安品。さらに遊び半分で張ったのは、ブラックナイロン弦。 ま~、こいつには参りました。
「え!何これ!妙に良い感じなんだけど!?」
その古臭くチープな音が何だか心地よい。完成度とか語る気にもならないベースなのに、謎の美味しさがある。倍音もサスティーンもない音にもかかわらず、惹かれてしまう不思議。
ここで気付きました。
「俺なにやってんだ?」
せっかくのブラッククラウド、それをデチューンしようと必死になっていた自分。結果、激安パチモンの方がフィーリング的には良く感じてしまった虚しさ。
どうやら、「究極の低音を出そう!」なんて志からの行動ではなかったらしい。安易なチープさを求め、それで満足しようとしていたのかと愕然。
最高の愛機を手に入れ奮闘してたはずが、
『一生懸命やっすい音にしようとしていた』
この本末転倒なショックさったらありませんでした。
結局、難しい特性から逃げようとしていただけなのだと受け入れました。
最強最速フルチューン化を決意
「自分の手で音を作るぞ!ぶっとい音出すぞ!」
この志から逃げていたことに気付き、決断。
「こうなったらもうフルチューンしかねぇ!」
超高解像度で超高速レスポンス。ちょっとしたフレットノイズでも容赦なく再生。ジラウド最強のワイドレンジ仕様。心身共に鍛え直すにうってつけの存在。
ブラッククラウドの時点でもう超高速。シンプルなシングルコイルだってそもそも、扱いが難しい。
加えて、ボディはホンジュラスマホガニー。極めつけにフルチューンにしたら、一体、どうなってしまうのか?
「やるしかない」
最高のベースを腐らせようと躍起になっていた自分に憤慨。
怒りと勢いに任せるまま、フルチューン化をお願いするのでした。
10. 脅威のフルチューン・JFDTの威力魅力
恐怖と憧れのフルチューン
逃げのローファイ路線から一転、究極の高速ワイドレンジ仕様。
もう逃げんぞ、逃げられんぞと覚悟を決めた、ブラッククラウド。その期待通り、とんでもないモンスターが誕生。
これまでの常識をさらに打ち破る、超高速特性。初めてジラウドに行ったあの時、恐怖を感じたはずのベースでも遅く感じる、あまりに凄まじい性能。
プリアンプだけのノーマルチューンじゃもう普通。バッファのみのネオパッシブじゃ味わえないサウンド。バッファ+プリアンプのフルチューンはやっぱり異次元。
「これだ!」
めっちゃくちゃ練習の刺激になったのは言うまでもなし。
歓喜と恐怖、同時に手に入れることに成功しました。
やっと分かってきたJFDT-Cの実力と美味しさ
「そんなクリアにハイファイにしてどうすんの・・」
なんて、引いてしまう部分すらあるかもしれないフルチューン。実際、やりすぎ感が否めない部分もありそうです。ただ、それも結局はセッティング次第。
【JFDT-C】
ジラウドオリジナルのプリアンプ、その実力を理解し始めると、これが本当に凄い。
内蔵して手元にある意味と威力は計り知れず。こんなとんでもない回路だったのかと、改めて気付いていくことに。
基本のツマミは二つ、トレブル&ベースの王道。実にシンプル、普通にすら思えるこのJFDT。
ところが、一般的なプリとは効き方が異なります。ブーストorカットと言っても、単純な働きではありません。
『ミドルとも連動して変化する』
これが特徴。だから実用的。
例えば、ベースカットした場合にありがちなのは、音がスッカスカになったり、音量も過剰に落ちていってしまうパターン。
トレブルカットだったらモッコモコ、音が抜けなくなるだけなど、そんなことになりがち。
一方、JFDTの場合、EQをカットすると、ミドルがなだらかに持ち上がってくるように変化。
トレブルをカットすると、高域が落ちてくる代わりに、中域・中高域が出てきます。
ベースをカットすると、体感的な低音ではなく、扱いやすいローミッドが出てくる感じ。
その為、露骨にスカスカになることも、モコモコになることもありません。ローやハイの代わりに、ミドルが充実してくるので、極端に音量が落ちるようなことがないんですね。
それこそ、オールカットしたって音が崩れることがないから驚き。
非常に美味しく補正も可能。劇的に変化も可能。何をしても実用的に使える音に仕上がってくれるのが見事。
かまぼこ型?山なりの波形?
もっと感覚的に分かりやすく簡単に言うならば、
『元気で抜けの良いパッシブサウンド』
こんな感じにすることも可能。
もうちょっと付け加えるとすれば、
『普通に良い5弦のジャズベース』
ブラッククラウドをこんな楽器に変化させることも容易。
超ハイファイってだけが売りではないフルチューン。ミドルを活かした渋い音作りも実にお手軽なのがJFDT。その素晴らしい自由度に魅せられていきました。
問答無用の超絶サウンドにも痺れる
何もブーストせずとも、凄まじくワイドレンジなフルチューン。
それだけに引き算をするのも楽。EQでカット、必要なところだけ出してあげると、実に美味しい。欲を出さず、実用的に現実的に利用するのが、使いこなすコツだと思います。
と、そんな行儀のいい音づくりばかりでも、ちょっと寂しい。
余所では真似できない特性にブッ飛ぶのも、フルチューンの魅力。せっかくの超絶サウンドを活かしてこそ、タッチも新たに鍛えられます。
JFDTの凄まじさを象徴する機能、
【スラップモード】
こいつに切り替えると、ま~、とんでもないことになります。
自分がジラウドに恐怖を覚えたのも、まさにこれ。JFDTのスラップモードから生まれるサウンドのインパクトったらありません。
JFDTのEQをカットした場合、なだらかに中域が持ち上がってくるのは前述した通り。
一方、ブーストした場合、中域が鋭角的にカットされるのが特徴。スラップモードの際など、その特徴がより顕著になる印象を受けます。
これの何が凄いって、
『特定のピークを作らない』
とんでもない高音が出てるようでも耳に痛くない。低音がもたついたり、ボワボワする感じがない。マグネットPUの宿命的な、中域の癖がない。
これってのは言わば、
『アコースティック』
弦の音がそのまま出る状態、実にフラット、物凄く綺麗に倍音が響く特性。
これ以上ないぐらいタッチに即反応、生楽器のような感覚。世の中にはびこるドンシャリなんてものとは、次元が違います。
「フラット」と言うと平坦なイメージをしそうですが、JFDTのスラップモードはそんな、お上品で行儀いいだけみたいな、オーディオもどきサウンドではなし。
全部出す!
下の方から、上の方まで、一気に全て再生。
超高速に音がバンバン前に出るから、凄まじい。
『眼前リアルタイムの感動と衝撃』
やはり、これこそがジラウドの魅力。
恐怖と歓喜のフルチューンスラップモードは絶品!
こもらない遅くならない本物のアクティブ
「膜がかった音がする・・」
「派手だけど何か抜けない・・」
「癖が出て遅くなる気もする・・」
こんな印象を抱く人もいるんじゃないかと思う、アクティブベース。
余計な回路を通る分、その特徴や癖が出て嫌な音になる、その回路独自の音になる、それを避け、パッシブを好むようになるのは、凄く理解できます。
思うに、自分もその違和感から解放されたかったからこそ、 ジラウドを弾くようになったんじゃないかと感じます。
前述したボロ負けした5弦にも、定番の回路が搭載されていましたが、あれもジラウドと比較すると、本当に悲惨なものでした。
最初は、めちゃくちゃびびっていたフルチューン。「とても扱いきれないんじゃないか・・」と構え、避けてたのが本音。
実際、容赦ないセッティングにすると、どこまでもシビア。右手の荒さ、左手の粗、正直に高速に再生。
その厳しさに心折れ、手放す人がいる気持ちも、分かる気がしました。
一方、EQを駆使すれば、スタンダードな音だって簡単に作れる事実。ブーストばかりの稚拙な音作りとはおさらば、カットの有用性に気付ける面白さ。
超広いレンジで効き方も凄まじいからこそ、変化が分かりやすい。違いが分かるからこそ、音作りもタッチもレベルアップが早くなる。
フルチューンに一片の後悔なし!
ついに絶対の愛機が完成。弾いててこんな楽しいベースはありません。これ以上ない手応えを感じ取った次第。
11. フルチューンとネオパッシブの融合
フルチューンの弱点?
JFDTを駆使すれば、渋い音も、超ハイファイも、お手の物。とにかく、自由度が半端じゃないのは、前述した通り。
ただ、さすがのJFDTでも、実現が難しいサウンド、フルチューンによるEQの効き方でも、なかなか望み通りにはならない領域があります。
『ローファイ』
ハイファイの反対、煌びやかとは対極のサウンド。
簡単に言えば、モッコモコにこもった音。クリアな特性が仇になって、フルチューンでは手が出しにくい世界。
決して実用的とは言えないけれど、不思議と惹かれてしまう、甘くぶっとい音。ジェマーソンごっこを体験しているだけに、忘れられない快感。
フルチューンに大満足した一方、選択肢から消えてしまったのがちょっと寂しい。
実を言うと、最初にネオパッシブにした理由は、ここにもあったりします。
JFDTを外付けにすれば、本体のパッシブトーンは活きたままになる。つまりは、ローファイも超ハイファイも思うまま。
一番自由度が高いのは、ネオパッシブだと計算していたのも、本当の話。
しかし、扱う人間が付いていけてない、迷走してしまったのは、これまでの通り。JFDTが手元にある頼もしさも知らなかったり、当初の思惑通りにはいきませんでした。
フルチューンのクオリティに、これ以上ないぐらい納得した一方、ちょっとしたモヤモヤが残ることにもなった次第。
進化したジラウドの1PUベースについて
ジラウドと言えば、ハイファイなイメージ。
「バッキバキのスラップサウンドが売り!」って印象を持ってる人も、少なくないんじゃないかと想像。
実際、自分もそう認識していた時期が長かったですし、その点についても、触れてきたと思います。
でもそれは、一面にすぎなかったことが、実際に使っていくことで、よく分かりました。
それこそ、【ジェマーソンチューン】なんて仕様もあるのがジラウド。ぶっとく味わいのあるサウンドも得意なのが、実に面白い。
想像を軽く超えてくる、驚くほどの自由度に痺れます。
そして、その自由度の権化のようなベースが登場。
『フルチューンとネオパッシブのまさかの融合』
超ハイファイだけではなし。パッシブトーンも活かし、ローファイもお手の物。これまで以上に幅が広がった仕様に驚愕。
しかも超複雑な仕組みではなく、操作はいたって簡単。あくまで、自然な変化としてやってのけたのが素晴らしい。
やっていることは実にシンプル、だからこそ扱いやすく実用的。
さすがはジラウド、本当に底が知れないと驚かされます。
アイデアは突然に
全てが手に入るであろう、理想的なフルチューンネオパッシブ。
ただ、この仕様には、ちょっと壁がありました。「じゃあブラッククラウドもそれで!」って単純に行けばいいんですが、そう都合よくはいかないのが現実。
ネオパッシブの応用は、1PUだからこその実現。2PUの場合、配線があまりに複雑になりすぎてしまう問題があります。
コントロールパネル内部、ツマミの数も、いっぱいいっぱい。2PU+JFDTのフルチューンでは色々厳しい。
構想にはあったけれど、解決策が見えず、諦めてしまいました。
「もうプレベ買っちゃおうかなぁ・・」
「渋いの専用で一本あってもいいよな・・」
「でも楽器の数増やしたくないのも本音だ・・」
なんて、モヤモヤしていた、ある日のこと。
「あっ!?」
急に思い付いた方法、これの実現により、ブラッククラウドが完全体になったと言っても、過言ではありません。
フルチューンハーフネオパッシブ?
「渋いプレベが欲しい!」
「甘くぶっとい音を出したい!」
「出来ればこれ一本でいきたい!」
欲望がめぐって出てきた答えはこれ。
『フロントPUにだけパッシブトーンを通す』
2PU、両方に通そうとするから、実現ができない・・・
だったら、片方のみに働くようにすればいいんじゃないか?あまり使ってないフロントPUオンリーも、これで活かせるようになるんじゃないか?
そんな期待を込め、改造を依頼。
結果は大成功。プレベ欲も我慢できて、実に経済的。捨て気味だったジェマーソンチックなアプローチも復活。全てが繋がったような感すらありました。
『ハーフネオパッシブ』とは、自分が勝手に呼んでいるだけな為、正式にどう言うべきなのかは分かりません。
いずれにせよ、自分のブラッククラウドでも、フルチューンとネオパッシブの両立が成功したのは、間違いない事実。
一本のベースで、超幅広く応用可能。しかも、音痩せも違和感もなし。電池も一個のまま、消費電力も僅か。
これぞまさしく、
何でもあり!
ついに愛機完成。
そして答えも出ました。
アクティブ?パッシブ?
どっちがいい?
「フルチューンネオパッシブだろ!!」
理想実現。
12. フレットレスも全部ジラウド
これまで4本所有のジラウドフレットレス
・W-BASS
・Black Cloud 5弦 ネオパッシブ
・Mobius JB 4弦 簡易ネオパッシブ
・Mobius JB 5弦 (現在非所有)
ハイファイ路線だけが取り柄じゃないのは、これまでにも伝えてきた通り。
スラップ専用、ドンシャリなんて安易なイメージを持っても、損をするだけ。パッシブの美味しさを活かしたサウンド、そこを求めても素晴らしいのがジラウド。
となれば、フレットレスが美味しいのも必然。回路だけ利用すればいいってことじゃありません。
基本設計、生鳴りへのこだわりがあるからこそのジラウドベース。故に、シンプルな仕様のフレットレスも実に良い。
試奏を含めて、ジラウドのフレットレスを10本以上弾いたことがある人間は、なかなかいないんじゃないかと思います。
だからこそ語りたくなる、ジラウドフレットレス。フレッテッドだけではなく、こちらも愛用しています。
脅威のアコースティックサウンド W-BASS
実は、最初に手に入れたジラウドベースがこれ。
新品ジラウドの初物が、今のブラッククラウドだったのは間違いない一方、中古で手に入れたこのベースが、自分にとって正真正銘、最初の一本になります。
しかも、シリアル0001。
歴史的存在とも言えるかもしれません。
ま~、このW-BASSも本当、ジラウドさんで初体験時、めっちゃくちゃブッ飛びました。どんなベースなのか尋ねて、福田さんが音を出して驚愕。
「ゆ、弓で弾いてる!?」
コントラバスさながらのサウンド、あの衝撃ったらありません。それをしかも、マグネットPUで実現してると来ました。
ピエゾみたいなガサガサ感、シャリジャリ感なんか皆無。実に濃密、力強くドッシリした響きに感動。
通常のエレクトリックベースでは有り得ない音世界。「ジラウドの音はうるさいだけ!」なん、一発で言えなくなります。
勿論、指で弾いても素晴らしいのが、このW-BASS。
伸びやかで重厚な特性の為、歯切れよく刻むにはちょっと難しい面もありますが、一音弾くだけでも納得、満足できるディープなサウンドは涙物。
音数を極限まで減らしたいなら、W-BASS。我が家で最高の低音が出せるのは、このベース。ブラッククラウドと並ぶ、家宝って感じです。
シンプルなジャズベも良いジラウド
フレットレスの場合、そこまでレンジを広げる必要性は感じなかったりします。それも面白くはあるけれど、絶品に弾きたくなる音になるかと問われたら、ちょっと微妙。
個人的な好みから言っても、やはり、なめらかだったり甘い成分が欲しくなります。
非常に複雑な気分でもありますが、フレットレスに関しては、フェンダー系シェイプのメビウスシリーズの方に惹かれたりするから面白い。
ジャコまんまなサウンドとニュアンスが欲しいと来たら、確実にこっちを弾きたくなってしまいます。
比較すると、ブラッククラウドの方がバランスも良いし、鳴りも深い。レスポンスも速いし、レンジも広いし、完成度で言ったらまず間違いなく、軍配が上がります。
こんな気持ちよく音が抜けてくる、しっかり伸びてもくる5弦のフレットレスは、そうそう存在しません。
パッシブトーンを絞れば甘い音だってイケちゃう、その幅広さも見事。
でも不思議、スッと入ってくるのはメビウスJB。一音出して納得する魅力が存在、このベースのリアPUの美味しさは只事ではありません。
「4弦と5弦の違いなんじゃ?」と思いきや、これがそうでもない。4弦ブラッククラウドのフレットレスも弾いたことがありますが、やっぱり、メビウスJBの方に惹かれる何かが存在するんですよね。
ブラッククラウドと比較したら、軽い音、明るい音、それこそ、チープな感すらあるかもしれません。
でも、それが良いってのが何とも不思議。人間の感覚の謎、音楽の奥深さを感じる領域。
このメビウスJBのフレットレスも、今では最高に好きな一本。アンチジャズベ野郎だったけど、敗北を認めるしかありません。
その魅力、実力を完全に受け入れちゃった方が、人生楽しくなる。
いや本当、骨身に染みて分かりました。
「良い物は良い」
好きな音がする物を素直に弾くのが一番。「プレベジャズベなんか絶対弾かねぇ!」って生きてきて、かなりの損を食らいました。
人間臭い味わいも大切に出来るのがジラウドの魅力
しつこいようだけど、繰り返し言いたいことですね。
安易なドンシャリが売りなど、そんな物とは全く違うのがジラウド。それを全然理解していなかった身だからこそ、気付けたことが沢山あります。
そもそもの話、69年製のフェンダージャズベースをリアルタイムで愛用していたのが、店主の福田さん。まだ、ラウンドワウンドですら、一般的ではなかった時代。チョッパー、スラップなんて言葉すらもなかった世界。
そんな頃から、バリバリのプロミュージシャンとして活躍、フェンダーの良いところも、悪いところも、実体験で知り尽くしている事実。
表面的なイメージだけで判断、未熟な若造による安易な固定観念の押し付けなど、通用するわけがありませんでした。
パッシブ/アクティブのメリットを知っているからこその【ネオパッシブ】さらにパッシブの感覚で弾ける【簡易ネオパッシブ】も存在。
余所の回路を無難に使うなんてことはせず、シンプルそのままを活かすこともできます。
オリジナルへの強いこだわり、新たな物への挑戦と同時に、良い物は良いと認めることができる、その思想信念が見事。
だからこそ、やはり、フレットレスも良い。カッチリ電気的なだけって感じだったら、あんな心地いい音は出せません。
温かみ、味わい、実に曖昧、謎な領域も知っているからこそ、良い楽器が作れるのでしょう。
そしてさらに、誤解を承知で言うならば、
『人間次第』
これほど超曖昧な存在はない。
その魅力を追求しているからこそ、真から面白い。
タッチに対する反応が超良いって、考えようによっては、めちゃくちゃリスキーですよね。
冷たく電気的、機械的なイメージがあるかもしれませんが、人間のやることに対し、こんなに正直な楽器もないと思います。
木工的、電気的に避けられない事実、現実、人間ならではの謎の領域、不思議な何かを追求、様々な要素が美味しく融合しているのが、ジラウドの素晴らしさ。
通い続けて20年、ジラウドベースを買って10年、それでもまだ飽きない、常に新しいものが出てくるから凄い。
こんなに面白い店、こんなに面白いベースは、他に知らず。
「ベース好きなら絶対知っとけ!」
声を大にしたいですね。
13. 新しい物が出続けるから面白い
まさかのPJ登場
開発すると聞き、耳を疑ったPJ。これは本当、全く意味が分かりませんでした。
実際、ジラウドのPJなんて、これまで見たことがありません。「PJを作るなんてジラウドじゃ有り得ない!」こう断言したくなるほど、避けている仕様だと思っていました。
しかし、毎度のごとくやってくれます。いざ現物を弾いてみて、びっくり。
自分のフルチューンブラッククラウドより、さらにワイドレンジ?誰がこんな音想像できんねん!って仕上がりに驚愕。
PJ、最大の課題は、アンバランスなミックストーン。それを、アクティブバランサーによって解決。
フロントPU側にちょっと寄せると、聴いたことのないサウンドに変貌。偏見をブッ飛ばす、新次元の領域に感動。
「まだ先があるのか・・」
衝撃を通り越し、脱力するものすらありました。
まさかのJFDT-HA超えプリアンプ登場
最強、究極、至高、これ以上はないと信じて疑わなかった、JFDT-HA。HAがあるからこそ、鍛えられたタッチと感覚。
このプリアンプが有るか無いか、それで、自分の人生が全く別のものになってたと言っても、過言ではありません。
そんな超絶とんでもない、JFDT-HA。それを真っ向から超えてくる性能、とんでもないやつが出てきてしまいました。
【Dr.Sim】
ジラウド回路の生みの親でもある、故・清水氏の名を冠したプリアンプ。
まさかの存在、まさかのクオリティ、音を出せばもう、一発KO。超高解像度のHAがこもって聴こえる、恐ろしいほどの特性。
パッシブ楽器で比較するとさらに分かる、超高速レスポンス。一聴瞭然、基本の性能の差は明らか。
いや本当、不意打ちどころではありません。想像もしてなかっただけに、ダメージすら感じました。
「まだ上があったのか・・」
もはや意味不明。
感動を超えて青くなってしまいます。
まさかのノーマルジョイント
「もしかしたらディープジョイント要らなくなるかも?」
これまた、耳を疑った話。冗談っぽいノリでもありましたが、どうやら、それだけではない雰囲気。新しい物を作っているだろうことが、すぐ分かりました。
他のベースと比較するとよく分かる、ジラウドディープジョイントの凄み。この仕様がどれだけ、ボディ鳴りに貢献するか?過剰な竿鳴りを抑え、豊かな鳴りを生んでくれるか?
見るだけでも、その意味が伝わってきます。
ハイポジションの演奏性に賛否が分かれそうな、ジラウドベース。ディープジョイントを理由に、ジラウドを敬遠する人も実際にいます。
しかし、そのメリットを知れば知るほどハマりもするのが、このジョイント。
握力に頼らないフィンガリングも身に付ければ、その恩恵、素晴らしさを感じ取れること間違いなし。
・めちゃくちゃな個体差を生まないための設計
・全てのポジションにより高レベルな均一感をもたらす
・弾き込まれたヴィンテージベースのような鳴りを新品でも実現する
確かな理念、思想があるからこそ、素晴らしいジラウドベース。余所が採用しないこと、嫌がるだろうことを貫き通す信念が素晴らしい。
だからこそ、全く理解できなかったのが、ノーマルジョイントの新作。
「え?何で?今更?」って困惑したのは、言うまでもなし。半信半疑どころか、絶対成功しないだろうとまで思っていました。
そして、出来上がった試作品を試奏。
「ほ、欲しい!」
完全にやられました。
スペック的には、本当にただのパッシブベース。オリジナル回路もないし、宣言通り、ジョイントもノーマルそのまま。
なのに何故、こんなに気持ちいい音が出るのか?新品なのに何で、こんなボディが鳴ってるのか?全音域バランスも良く、サスティーンも充実してるのか?
シンプルの極みだからこそ分かる、そのクオリティと楽しさ。4弦が欲しくなっている自分にとって、非常に危険な存在です。物欲が一気に湧いてきてしまいます。
一応、これまでにも【Super JB】や【OPB】など、存在自体はしていた、ジラウドのノーマルジョイントタイプ。
でも正直な印象、相当に弾き込まないと良い音になってくれない、成長に時間がかかる楽器だと感じる物でした。
それを解消するための方法だったのが、ディープジョイント。さらにそこに加える、ジラウドオリジナルの3Dシェイプ。
そして、その究極であろう、ブラッククラウドに辿り着いた自分。これ以上ない、絶対的とも言える確信を得ていました。
そんな領域に、ノーマルジョイントのまま踏み込んで来ようとするのか?あざ笑うかのような、カウンターパンチを繰り出してくるか?
もはや、笑えてくるものがあった次第。
さすがに、トータルクオリティでブラッククラウド超えはないだろうけど、そういうこっちゃない話、シンプルなフェンダースタイルで美味しい物を出してきた意味って、凄く大きいですよね。
材の質、偶然性に頼るのではなく、設計で成功結果を収めたということは、
『再現性が高い』
これを意味しているはず。
更なる応用、発展が可能だろうと想像。
も~、参っちゃいますね。
「まだ次があるのか・・」
現在進行形で4弦のオーダーを妄想しています。
常に想像を超え刺激をもらえた素晴らしさ
20年間、衝撃を受け続けてきたジラウド。
それと言うのは、常に新しい製品が出続けてきた証明でもあります。
・Super JB
・OPB
・Klein
・Mobius5
・J-BASS4
・J-BASS5 Premium
・Fourier
・Black Cloud
・New Klien
・JHB Humbacker
・PJ Full Tune
・HPM
・Slapper 3 or 4
・W-Driver
・Funk Groover
・Speed Master
・Type4 Farad Cable
・JFDT-HA
・Speed Liner
・Speed Booster
・Dr.Sim
通い出してから登場した物をざっと並べても、これだけの量。試作品など細かく含めると、さらに増えてしまうのが凄い。
超絶サウンドに衝撃を受けたり、パッシブの極致みたいなベースに反感を持ってみたり、それがいとも簡単にひっくり返されたり、前は理解できなかった仕様にハマっちゃったり、絶対良いわけがないと高をくくってたやつにブッ飛ばされたり、ま~、忙しいったらありゃしません。
単に物欲が湧くってだけではなし。縦振動のタッチはもちろん、自分が左手の基礎を見直したのは、ジラウドさんのおかげ。
1フィンガー、小指プル、左手による縦振動の打音など、知らない奏法が出てくるのも最高に面白い。
「縦振動できるようになったぜ!」と調子こいて乗りこみ、残酷な現実を叩きつけられヘコんできたのも、我がお約束。
こりゃ、るろ剣のあれです、「二重の極みは完全に極めた」って左之助みたいなもん。
「驕るな小僧」
貴様に教えたのは基礎中の基礎、極めるとはこういう事だと言わんばかりの、眼前リアルタイムの事実に絶句。
集中して溜めを作って、せいぜい一音しか太い音を出せない、自分の雑魚さに失望。応用もクソもない、ほんの僅かな結果、変化にいい気になってたのが、恥ずかしくて仕方ない。
もう何度、ボッコボコになってきたか分かりません。イキがってひねたガキの想像の範疇なんて、全く問題になりませんでした。
常に、常に、常識を遥かに超えてきたのが素晴らしい。
「上手くなってやる!」って刺激をいつも貰えてきたのは、本当に感謝したいですね。
良い音を知れる、やる気が沸き上がってくる、こんな楽しく奥深くベースを知れる場所は、他にありませんでした。
まだまだ知らないことだらけの楽しい世界。
ジラウドを知らない、弾かない理由がないって感じです。
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