楽器と愛着
音色を楽器側に依存していた
「こいつが最高!」
「もう次はいらない!」
こんなのを何回繰り返してきた事か、思い返すと青くなるベース人生。愛機にしたつもりが二年と持たない、そんなのが当たり前でした。
それも今考えてみると、
『音作りは楽器頼み』
こんな事やってたからだと猛省。
要するに「自分の手で音を生み出す!」って姿勢ではなかったんですね。その肝心の部分を楽器側に丸投げ、依存しようとしてた結果だったんでしょう。
これの何がまずいって、
『飽きたら終わり』
気分の問題でめっちゃくちゃブレやすくなってしまうから怖い。
・音が悪いのは全て楽器側のせいにする
・音にも楽器にも常に不満を感じている
・創意工夫がどこにもない
大げさではなくこんな状態。
元々、「楽器は道具」と割り切るタイプである自分。それもあってか、長く弾いた一本というのが全くありませんでした。
その辺りについても今考えてみると、
『自分の音へのこだわりがなかった』
これを表してるんでしょうね。だからすぐ手放しちゃうし、育てる気もなかったんだろうなと。
「武器を持ったら強くなった気になっちゃう!」
みたいな感じだったんでしょう。
それが証拠に「何を弾いても俺の音になる!」みたいな自信とか、これっぽっちもありませんでした。常に迷いっぱなしな癖にオタクな知識はあるから、機材にはうるさい。
で、そこが中途半端に分かってるから、またコンプレックスを抱いたり、自虐的にもなってたり、色々面倒臭い。
楽器探しに終わりが見えない時期がとにかく長かったこれまで。あれこれ手を出しまくり、迷走しまくりです。
上達した分だけ良い音がする楽器
ジラウドのブラッククラウドの入手。
これで旅が一つ終わった実感があります。
このブログで何度も繰り返し話してきた事、振り返った事。だからこそ、まだまだ語れてしまいますね。来年で十年かな?まぎれもなく最長の愛機です。
このベースの何が魅力って、
『弾いたまま音が出る』
そんな馬鹿正直さが最高に良い。
情け容赦なく下手なところも粗さも再生してしまいます。
こんな事を言うと、
「音楽的じゃない!」
「そんな解像度は必要ない!」
「ベースらしくない!」
こんなツッコミも聴こえてきそうではあります。
確かに、そう言いたくなる気持ちも分かります。実用的で扱いやすいのは、もっと普通の楽器かもしれません。
ただ、その考え方ばかりするのは、ちょっと良い子ちゃん的で物足りない。「会社組織のために己を犠牲に」みたいな感じが嫌。
その方が良い結果が出るのは分かりきっている、周囲の期待に貢献できるとしても、つまらない意地を張りたくなってしまう、不相応な領域にもついつい焦がれてしまうんですね。
フルチューンブラッククラウドの何が良いか?魅力か?
「上手くなりてぇ!」
この欲望に全力で応えてくれるから心から楽しい。
楽器の完成度、器用な面から言えば、EQをカットしていけばスタンダードな音も出せるし、めちゃくちゃバランスの良い扱いやすいベースになるのも、強みの一つではあります。
でも、それだけじゃやっぱり退屈になってしまう、プレイヤーのエゴ丸出しの部分まで受け入れてくれるからこそ、ずっと使いたくなる。
良い音は出ないのは誰のせいか?何のせいか?
『自分のせい』
ハッキリ割り切れるから楽でいいんですよね。
落ち着いた音を出すのも、嫌われる音を鳴らすのも、選択するのは自分。
ローファイだろうが、超ハイファイだろうが、思いのまま。だから難しい、楽しい、飽きない。その有り得ないぐらいの自由度がたまりません。
こういう感覚がある楽器って本当、今まで出会った事がありませんでしたね。
上達すればするほど良い音が出せるようになる、つまりは、
『買い替える意味も必要もない』
上を見るなら自分を高めるしかありません。
良い音が出る楽器を探すのではなく、自分の成長が分かる楽器。それを見つけられれば、一生付き合っていける可能性もあります。
積み重ねが分かる楽器、自分に返ってくる楽器って素晴らしい。
さすがに愛着が芽生えた
自分で言うのも何ですが、10年同じ楽器を弾いてるとか、全く考えられませんでした。
楽器は弾き込むほど音が良くなる、いわゆる『エージング』をこの上なく実感できた意味でも、特別な存在です。
楽器に愛着とか持たない方でしたが、さすがにここまで来ると違いますね。
弾いたそのままの音がする事を考えると、
『自分の音も弾き方も好きになる』
そこに繋がるから、弾いてて本当に楽しいですよ。そこを否定しちゃうと、どうにもならないと痛感します。
「エゴを捨てろ!音楽とバンドのために尽くせ!」みたいな考え方も分かるんですが、それを受け入れるにはまだ自分は未熟すぎるし、青臭く若いと言うか、幼稚。
例え、もっと上手く聴こえる物があったり、馴染みのある物を弾いた方が賢かったり、音楽的だったとしても、自分は自分の好きな楽器を弾いていたい。
楽器側に丸投げ、依存するみたいなのはもう、終わりにしたい。
それをやってしまうと、一生楽器探しに困り続ける事になりそうなタイプだと分かりましたし、散財にも時間の浪費にもこりごり。
楽器選びに困った場合、自分が上手く聴こえる物を探すのは考え直してみて、
「数年後に凄い良い音がしそうだ!」
って可能性を感じる楽器を意識してみるのがおすすめ。
ずっと同じ良い音がしてくれる物を選ぶのではなく、自分の成長と共にあるだろう一本を見つけてみようって事ですね。
自分が下手に聴こえるかもしれない楽器、周りの評判も悪化してしまう楽器を買う事にもなりそうな、ちょっとおかしな話でもあります。
でも、100人が弾いて100人それぞれの音がするって、凄く面白いですよ。
自分の音が欲しい、自分の手で通りたいと願うならば、それに応えてくれる楽器を見つけると絶対変わります。
自分の音、その楽器の音にすぐ飽きちゃう、不満を感じて別に乗り換えたくなるという、そんな事を今後もずっとずっと続けていくのは、不毛極まりない。
新しい楽器を買うのって確かに楽しいです。いつだってワクワクしてしまうのも分かります。気分新たにモチベーションも上がるというのも理解できます。
だからこそ、薄~い付き合いで終わっちゃう楽器選びは推奨できません。音作りを完全に楽器側に依存、自信も楽しみもなく悩んでいるなら、それは省みた方が良い。
自分の音も弾き方も好きになれてない可能性が高い、だから愛着が持てない、あっさり放棄してしまうのではないか、自分はそう実感しました。
正直言うと、飽き性で愛着も薄い人間なこと自体は変わってないかもしれない、わたくしポング。
そんなやつでも10年使える楽器がある、さすがに意識が変わってきた、それを教えてくれた楽器は存在する事実。
せっかく手に入れた楽器、未熟ながらも手に入れつつある音、やっぱり大事にしたいし、育てて行きたいですよね。
月並みな言葉ではありますが、
まさに財産!
お金の問題じゃない価値を生んでいると自信を持って断言できます。
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