ベースと左手 (1)
左手様の権力
「音程の選択」と言うのも淡泊なようですが、それを操る権利を持っているのは、ほぼ左手。開放弦を弾く選択肢というのも結局、
『押さえない』
この選択を左手がすることによって生まれているものと考えられるかもしれません。
ライトハンド、タッピングなどで抵抗する術も一応はあります。しかし基本的にはやはり、右手にそこまで強力な権利は与えられていない印象。
音程を自由に変えたいならほぼ左手主導。一任するしかないのが事実ではないかと。
音価の決定権
『音の長さの選択』
これも左手に強く握られているんじゃないかと思うところ。
どれぐらい伸ばすかまたは切るか、その絶妙さや重要なニュアンス付けなど、これもまた左手に相当な権利が与えられているはず。
より歯切れの良い音を求める場合でもやはり、左手は大きな鍵を握っています。
思いっきり音を伸ばすにしても、左手が押さえるからこその選択肢。本当に恐ろしいぐらいの支配力を持っているのが現実。
どんなに頑張って右手で弦を鳴らしたとしても、左手の妨害があれば呆気なく止められてしまいます。
実際、ライブでやりましたこれ。開放弦を鳴らす場面で左手がひっかかって台無しに。
右手だけの特権ではないミュートサウンド
音の太さや立ち上がり。これは右手の独壇場になりそうかと思いきや、そうはいきません。左手のコントロールも大きく関与してくるから困った話。
ブリッジ付近をミュートしながら弾く方法。ギターでもベースでも一般的に認識されている奏法だと思います。
しかし、このミュートを加えたサウンド、実は左手でも実現することが可能であるという事実。意外とこれを知らない人もいる印象。
弦を人差し指で押さえ、そこに他の指を被せるようにしたり、包むようにして弾くこの方法。
【タワー・オブ・パワー】の『ロッコ・プレスティア』などが用いることで有名な奏法でもありますね。
この左手によるミュートの効果は絶大です。確実な押弦と組み合わせると、太くキレの良いサウンドを実現できるようになります。
音価のコントロールも非常にしやすくなる為、左手の権力をより増大させることができるように感じる次第。
だからこそ責任重大
本当に演奏においてやばいぐらいの権力を握っている左手。一方、そんな絶大な力を持っている分だけ、その責任も影響力も尋常ではありません。
特に音程的なミスに関しては、左手の方に大きく原因があると言えるでしょう。
音を外すとかそういった失敗を減らしたいのであれば、左手を確実に動かせることが何より重要なポイントになるはず。
「たった1フレット間違えただけ」なんて言葉を聞くことがないように、それだけのミスでも致命傷を負う事態になるから恐ろしい。
そう考えると左手のミスというのは、
「あってはならないもの」
と言えそうです。
・大事なメロディを半音間違える
・肝心なところでルートを半音間違える
これをやった時の恐怖ったらありません。
高速フレーズ上でのちょっとしたミスなんてのならまだしも、それがまったく許されないような場面でやると本当にトラウマ一直線。
ベースが分かりやすくミスった時、
「ざわ・・!」
っとした感じとあの緊張感。
もはや逆に快感になるものすらあるかもしれません。
それは冗談として、当然のことながらそんなものないに越したことはない。その日が天国になるか地獄になるか?左手が一生を左右する可能性が多分にあるわけですね。
特に言えるのは、
『音程のミスは左手のミス』
こう判断するのも決して過言ではないと考えます。
もっと真面目に議論すべき問題でもありそうです。
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