MTD 530-24
一見するといつものMTD。しかしよく見てみたらびっくり。明らかにスケールが短い。こんなの出してたのかと驚き。
店員さんによると、ギターのケースに入ってしまうサイズだそうな。飛行機など機内への持ち込みもいけるとか何とか。
「短いスケール=安物はやめてくれ!」
ってな事をよく言ってきたわたくし。当然、試奏しないわけにゃ~いきません。久しぶりに、海外のハイエンドなベースを弾いてきた次第。
楽だけを求めるのは違う気がする
最初に本音を申しますと、
「正直、楽ではない」
これが嘘偽りない印象。
ここまで来るとやっぱり、ちょっと別物感が出てきちゃいますね。いつもの感覚は通用せず、「うおぉ!超楽だ~!」 みたいな喜びも無し。 違和感の方が勝ってしまうのが否めませんでした。
そりゃ確かに、
「さすがはMTD!」
「このスケールでここまでやるか!」
「普通はローBにチャレンジしない!」
こうレビュー出来るのも間違いないとは思います。でもだからと言って、34インチと遜色ない、それ以上の張りを感じるなんて事はありません。
右手も左手も解放感に喜び震えるのかって、そう都合良くはなさそう。いつもと全く違う張り具合、立ち上がり方にまずは困惑。
そのタイミングに合ったタッチ、感覚を身に付けないと鳴らせない感じ。何の違和感もなく簡単に楽に弾ける物ではないなと。
ズバーン!と衝撃を受る楽器だったかと問われたら確実にNO。想像以上に違う物だと認識せざるを得ませんでした。
新たなベースジャンルの確立を感じる
違和感バリバリ、むしろ疲れるまである?拒否感すら覚えたかもしれない、ショートスケールのMTD。
一方、それだけの違和感を与えてくれるのが、逆に凄い。これは大した楽器だと納得したのも確か。
どういうことかと申しますと、
『確立された違う楽器だから弾けなかった』
これなんじゃないかって思うんですよね。
いいかげんなショートスケール、安価なものの場合、タッチがどうのとかタイミングをどうしようなど、そんな段階にすら行かず飽きて終わることが大半。
違和感云々の話ではなく、そもそも弾く気にならない。魅力を感じない、工夫もクソもない状態。縁も生まれない、追求も何も始まりもしないのが、根本的に大問題。
その点、このMTDは非常に面白い可能性を感じた楽器。
「これハイCにしてみたいな!」
「6弦でもいけるんじゃね!?」
「もっと練習してみてぇ!」
「バンドで使ったらどう聴こえるんだろ!?」
「これ一本で済んだら超楽になりそう!」
こういう興味がバンバン湧いてくるのが凄い。オモチャ感覚で終了するのではなく、先を感じるのが素晴らしい。
「34インチがいい!」
「やっぱりフェンダー!」
「ベースらしさとは!」
みたいな事を言いたくなるのも確かですが、それってのは言うだけ野暮なんじゃないか?フェンダーのそれとは違う楽器に的外れなケチ付けるなって話になってしまうんじゃないか?そんな事を考えさせられたのが今回。
例えば、このMTDをバリバリに扱える人がいたとしたら、
「あんたが使いこなせてないだけでしょ?」
って言いたくなるだろうなって気がしちゃいますよね。
違う構造の楽器を別の感覚と技術で弾こうとしているのに、あーだこーだ文句を言うのか、合わせようとも何もしないのか、想像力も発想も枯れてるのかと疑問が湧くはず。
一時期は本当、
「35インチ以上じゃないと多弦は鳴らない!」
「33インチでローBとか絶対無理!」
「34インチでも本来は厳しい!」
こんな話と言うか、もはや説教に近い語りを聞かされたものですが、それがひっくり返ってきたか、想像以上にプレイヤーからの要望が多いのか、様々なスケールが注目されてきてるのは、とても喜ばしいなと。
それと同時に、
「散々馬鹿にして無視してきやがって!」
なんて怒りも湧くところだったりしますが、それはまぁひとまず置き、こうやってどんどん盛り上がってきてくれたら、それは嬉しいですよね。
「スケールを短くする=楽を求める」みたいなイメージ、気持ちも自分の中に正直あるけれど、こうなってくるともう、話がちょっと別になってきそうです。
『攻める為に短くする』
こっちで考えた方が面白いし、飽きることもなさそう。もっと需要が増えてもおかしくないジャンルではないかと。
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