ローB弦を鳴らすコツ・そのタッチの意識について
ローB弦を鳴らすテスト動画
まずは動画をどうぞ。あえて酷い弾き方をした後、ローB弦がしっかり鳴るように弾いています。
弾き方が悪い場合、音のピークがめちゃくちゃ遅れてやってくるのが分かるはず。
電気的な部分の反応を目視できた方が具体的で分かりやすいかと思った為、パワーアンプのLEDにカメラを近付けて撮っています。
低音が出るヘッドホンとかだと、よりハッキリ違いが分かるかと。
低音とピークが遅れてやってくるのは最悪
動画を見ていただければ分かる通り、ローB弦は弾き方が悪いと大変なことになります。2秒か3秒遅れて一番太い音、そのピークがやってくると考えれば、どれだけの一大事か分かるというもの。
「ここ!」ってタイミングで音を鳴らせないんじゃ、リズム感がどうとか、グルーブの真髄どうのを考えても空しいだけ。
イメージと実際の出音があまりにズレすぎていては、演奏にならないと言っても過言ではありません。
この音の遅れまで計算している、伸びやかなサウンドで音楽的にしているって事なら話は全然違います。
一方、ローBの立ち上がりや音程感に悩んでいるのにも関わらず、こういう弾き方をしていたのではどうにもならない。
EQでローをブーストしようが、コンプで揃えようとしようが、期待薄。ハイエンドベース、高級プリアンプ、機材にどんなにこだわっても、意味がない。
根本的な部分、タッチを見直すべきでしょう。
なぜ酷い音になってしまうのか?
この酷い遅れを生むタッチがどんなものか簡単に言いますと、
・横方向に強く引っぱる
・ひっかくように弾く
・最悪は爪が当たる
こんな条件が該当します。
ローB弦は張りが弱いのが宿命。もっと極太弦にすればいいかと言うと、これがそうでもないからまた話が難しい。
倍音に乏しかったり、おかしな響きになったり、かえって音程感が悪くなってしまったりもするから、難しい。
しかし、あまりにゆるゆるすぎでは困るのも事実。かと言って、スケールを伸ばした楽器を安易に求めるのも考え物。
スケールを伸ばしたからと言ってそれで全てが解決など、そんな甘い話があるわけもありません。
ローBの扱いというのは実に難儀。
なかなか「完璧!」と呼べる物には出会えません。
その難しさを生む要因を簡単に考えると、
『弦が暴れやすい』
単純ですが、実に困るポイント。
横に思いっ切り引っぱってしまう弾き方である場合、ローB弦はいとも簡単にたわんでしまうから厄介。
それだけ振幅が暴れて制御できなくなったり、音のピークもリズムのポイントも分かりづらくなってしまいます。
そこで苦悩して迷走して、
「音程感がない・・」
「アタックがない・・」
「ブヨブヨして迫力が・・」
「もっと強く弾こう!」
なんてやってしまうと、さらに悪化の一途を辿る可能性が高い。
特に、ジャズベース系のシングルコイルだと反応と磁界がシビアな為、一生懸命に横に引っぱってしまうと、余計に酷いことになります。
自分が使用するジラウドのブラッククラウドは、超高速レスポンスが醍醐味のベース。
ただでさえ高速反応なのに加え、ホンジュラスマホガニーのリミテッド仕様。電気的にもジラウド最速仕様のフルチューン。
それでさえ、弾き方によってはあの有様です。
5弦ベース、6弦、それ以上の多弦、何を弾くにもまず、タッチを見直すのがおすすめ。
機材探しに迷走、どうやっても解決しない傾向を感じているなら、尚更、推奨します。
縦振動のタッチの意識で劇的に変わる
このブログで多く触れている縦振動のタッチ。どこでも何度でも名前を出すようですが、それだけ効果的。
本当に基礎の部分の話である為、非常に大きな影響力があります。
言葉のイメージだけだと、
『縦振動の音!』
みたいに限定的だったり、特殊な奏法だと考えがちかもしれません。
しかし、それは誤りであると認識した方が良い。
・どうやったらもっと音を自然に太くできるか?
・太い音をどうやって立ち上がり良く出すか?
・出したいタイミングで音を出すにはどうしたらいいか?
電気的な面からだけでは解決しない現実に向き合うのに本当に効果的。
自らのタッチを見直し研究することで、あらゆる面に良い影響をもたらします。
今回の課題は、ローB弦の効率的な鳴らし方。具体的にどうするかと言いますと、
・まず弦を垂直に軽く押しこむ
・弦は絶対に引っぱらない
・指をそのまま通す様に弾く
これを意識して鳴らすだけでも、音が激変します。
繰り返すようですが、シビアなPUならなおさら効果的。
力任せに弾いてもどうにもならない分、実感も得やすいはず。
・いかにローB弦が暴れないようにスムーズに弾くか?
・効率よく増幅できるように鳴らすか?
意識して弾けば、絶対に変わります。過剰な音作り、ブースト地獄に陥ることもなくなっていくでしょう。
これについては、ローB弦に限った話ではなく、他の弦、ベースプレイそのものについても、同じことが言えますね。
理屈抜きのゴリ押しサウンドがかっこいいのも確かな一方、表面的にバチバチ言ってるだけの見せかけサウンドになってしまっている場合、大体において、弦そのものは大して振動していない、肝心の鳴り自体は乏しかったりするのが現実。
いくら強く弾いても音が太くならない、バンドの中で存在感がなかったり、グルーブの実感も得られないなんて心当たりがあるようなら、やはり、タッチを見直してみるべき。
少なくとも、
「一番出したい太い音が2秒も3秒も遅れてやってくる・・タイミングが全然掴めない・・」
なんて弾き方をしていては不味い。
音数多く細かいフレーズだったり、速い刻みを求められるのであれば、致命的。
シンプルな8ビートの刻みなどにしても、音の遅れは歓迎できるものではありません。
下手するとベースの本当に太い音を知らぬまま、自分の理想のサウンドを掴めないまま、一生を終えることになる可能性すらあるわけです。
縦振動のタッチへの取り組みというのは本当、
「やらない理由がない!」
声を大にしたくなってしまいます。
意識しなければそのまま変わらない
10年遠回りしてきた人間が言うんだから、間違いありません。
「理屈じゃない!経験と叩き上げが全て!」
なんて思って続けても、見事なぐらい音は細いままでした。
逆に、変なこだわりや癖が生まれるほど、状況は悪化の一途を辿るだけ。
インスタントに良い音が出てくれる、弾きやすさばかりを重視した機材を求めた結果、叩き上げられるどころか、どんどん軟弱で使い物にならない音になっていきました。
意識して変えなければどうにもならない。そのまま行ったって「いつか」なんてものは訪れない。その程度の才能しか持ってないのが自分なんだと気付かされた次第。
「くそ!絶対ぶっとい音出してやる!」
この決意とタッチの見直しにより、確実に音が変わっていったのを実感します。
・意識すればその日の内に変わるかもしれない
・来週には別人になっていたっておかしくない
・一年後は遥か遠くの領域にいることだって有り得る
正しい積み重ねってこういうことだと思うんですよね。
1を積み重ねるから力になるのであって、0かマイナスのままではどうにもならない。
意識していかなければそのままの可能性が高くなるから、恐ろしい。
ローBは鳴らし方が本当に難しい弦。
スケールを変えたから全部解決なんて都合の良いことはありません。
プリアンプやコンプ、エフェクターで何とかしようというのも厳しい。
根本的に遅れまくってる、まともに音が出てこない、そんな状態を放置していたら、一生そのまま行くはめになる可能性も高い。
自分の音に疑問があるならば、まず弦をちょっと押し込んでみましょう。そこから、スムーズに綺麗に鳴らすようにしてみましょう。
それだけのことでも、音ってビックリするぐらい変わります。バッキバキに弾くにしても、まずまともに弦を鳴らせるに越したことはありません。
ローB弦をブッとく確実に鳴らしたいなら、絶対おすすめ。
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