ART SLA1 パワーアンプ
初めてのパワーアンプとクリーンなシステムの衝撃
「もうベースアンプは嫌だ!」
「もっと素直なシステムにしたい!」
「クリーンな音でタッチを鍛えたい!」
こんな不満と希望が爆発した20代前半。
ジラウドの究極ラックプリアンプ【JFDT-HA】を手に入れていたことも手伝い、ベーアンから解放されたい一心でもありました。
実際、このSLA1とJFDT-HAに加え、エピファニのスピーカーを揃えて鳴らした時は、本当に感動しましたね。
今までのベーアン探しはなんだったのか・・・これまでの音はゴミだったのか・・・「俺はこれが欲しかったんだ!」と歓喜と虚無が同時に押し寄せてきました。
こうなるともう、定番のアクティブ回路とかも使えなくなっちゃいます。
変な物なんか通さず、パッシブで鳴らした方が遥かに良い。如何に余計な要素か、遠回りか、音を濁らせるか、それを思い知りました。
ちゃんとしたシステムを揃えた瞬間、タッチとの向き合い方、練習の密度が比較にならないほど向上したのを実感。
そしてこれは、ベースアンプへの興味を失った瞬間でもあった次第。
SLA-1の解説の前にD級アンプについて
昨今、楽器用アンプの世界を席巻しつつある、D級アンプ。
専門的なことは分かりませんが、とりあえず『大出力でも小さく軽くできるのがD級アンプ』と認識しておけば分かりやすいんじゃないかと。
そんなD級アンプを弾いて自分がひっくり返ったのは【アコースティックイメージ】 のアンプ。多機能、高性能、大出力で重さ2kgという、昔では考えられない存在。
クリーンで癖のない物を探すんだったら、まず思い浮かびます。
アコイメとハイファイなスピーカーのシステムがあれば、それだけでも十分。もうほんと、速攻で買いました。
エレクトリック、アコースティック問わずの特性と懐の広さ。
こんな便利で凄いアンプがあるのかと驚かされました。
SLA1の魅力
アコイメが素晴らしいアンプであるのは間違いない一方、 D級アンプ特有の弱点と申しますか、どうしても特性的に不利になってしまう面があるのは否定できません。
音の立ち上がり、レスポンス、歯切れ、押し出しなど、D級アンプはこの辺がちょっとなまっちゃうような印象があるんですよね。
好みの問題ではありますが、独特のコンプ感、引っこみのような部分があるような気がしてしまう為、そこがあまり好きになれなかったりします。
そこでSLA1の登場。高さは1Uで重さは6kg。出力は100W×2のステレオ。もしくはモノラル260Wで鳴らすことも可能。
昨今のアンプと比較した場合、大きく重い扱いになってしまうかもしれません。しかし、トランスを積んだパワーアンプとして考えれば、このサイズはなかなか破格なものがあります。
前述のアコイメのプリアンプ部をスルーして、JFDT-HAを鳴らしてたことなんかもありますが、正直、このSLA1を通して鳴らす方が自分は好きでした。
アコイメの他のD級アンプを所有したこともありますが、それもやはり、音的な部分で比較したら、SLA1の方が圧倒的に好みでしたね。
小さいながらも、トロイダルトランス仕様。大きすぎない出力、ピーキーすぎることもなく、扱いやすかったアンプ。5万円もしないで入手可能というのも、美味しいポイント。
ベースアンプからの脱却に、一役も二役も買ってくれました。
現在はSLA2を使用
SLA1が扱いやすいアンプである一方、
「最大280Wではちょっと心もとない」
「もっと余裕もガッツも欲しい」
「遠慮なく鳴らせるようにしたい」
こんなモヤモヤ感が出てくるのも正直なところ。
そこで手に入れたのは、同じくARTのパワーアンプ。
【SLA2】
SLA1の大出力版になります。
高さは1Uのまま、重量は9kgに。出力は倍の200W×2のステレオ仕様。またはモノラル560Wにすることも可能。
実に分かりやすい完全なスケールアップバージョンですね。SLA1に物足りなさを感じるなら、こっちの方がおすすめ。
ただ、奥行きがかなり増すのに加え、重量が増えてしまう点も間違いない為、こちらの方が優れていると一概に言えない部分もあります。
SLA1にはSLA1の良さがあるとも判断できますし、この辺りの目的用途についてはやはり、各々で判断していくしかない。
自分が実際にやった流れで言えば、まずSLA1を入手、その後にSLA2。
メインで使わなくなったSLA1は、モニターorオーディオ用って感じに移行。多目的なモニター用にSLA1、ベース専用にSLA2、こんな使い分け。
リサイクルショップとかでちょっとしたスピーカーを手に入れ、それをSLAで鳴らすってのも実は結構おすすめ。
パワーアンプの使い方に目覚めると、割と本気で音楽生活変わります。
ベースアンプの物欲よさらば
この記事上でもそうですし、ブログ上で何度も言っていること。色々試してきた結果、ベースアンプの異常な癖、鈍重さは受け入れられなくなりました。
優れたプリアンプを所有してるなら尚のこと、この気持ちよさを全力で邪魔する回路とか、有り得ない選択肢だなと。
ベーアンの音が欲しくなるとしたら、ほんのたまに食べたくなるジャンクフードみたいな扱いになりそうです。
パワーアンプとスピーカーを用意、次に問題になるとしたらプリアンプですが、これはまぁ、手軽に済ましたいのであれば、楽器にも使えるミキサーを買うのが手っ取り早いかもしれません。
こだわるなら、自分好みのマイクプリを探すのも面白いですし、自分の中でそこに該当するのが、ジラウドのJFDT-HAになるわけですね。
今の時代、PAシステムの入手が容易なのは間違いありません。
楽器用の機材ばかりに触れていると、なかなか手を出しにくい分野でもありますが、PA用のパワーアンプ、スピーカーに手を出してみるのは本当におすすめ。
昨今、オーディオマニアがPAシステムに目を付けたりなんかもしてるみたいですし、自分の持っている音源を改めて鳴らしてみるのも、発見があって楽しい。
「PA用なんて偽物の音だ!本物のベースの音じゃない!」なんて言うんだったら、「大音量の会場でお客さんが聴いてる音は何なんだ?」って話になってしまいますし、素の音を知っておく、鍛えておくと、出す音が根底から変わっていきます。
ちなみにですが、自分が所有していたSLA1の前所有者は、ギタリスト。ラックのアンプシミュレーター+SLA1の組み合わせ。それをマーシャルのキャビにブッ込んで、爆音を出してました。
真空管が嫌い、ソリッドな特性が好きという、そこにPA用パワーアンプが絶妙にマッチしてしまっていたのだから、面白い話ですよね。
アンプシミュレーターも尋常じゃないぐらい充実してきてる昨今、癖のないパワーアンプに注目が集まっても不思議ではない気がします。
で、最後にちとやらしい話をするのであれば、SLAのサイズと重量が魅力的なのは、『手放すのに楽』だってのも確実にあります。
20kgクラスでも死ねますが、そこを軽く超えるようなアンプとかもう、扱いが地獄。「掘り出し物見つけた!」みたいなノリで安易に手を出すと、大変なことになります。
何度かやっちゃった経験から言うと、スピーカーとか大きな箱に入った20kgと、凝縮された鉄の塊の20kgとでは、その質が全く異なる!
いきなり重量級のパワーアンプを手に入れるのは、正直、やめた方が無難。
固定前提、絶対動かさない、覚悟が決まってないのであれば、まずはSLAぐらいから始めるのがおすすめ。
そんなこんな、慣れない分野ではあるかもしれませんが、いざ魅力が分かれば、断然、PAアンプ派になってしまう可能性を秘めているのは、間違いありません。
自分のサウンド、タッチを磨き上げていくにも、素晴らしい選択肢になってくれますし、値段を遥かに超えた価値、ポテンシャルを持ってます。
良いケーブル、良いパーツ、良い電源、色々な物がありますが、そういったアイテムの違いを実感するにも、パワーアンプがクリーンだと非常に良い感じ。
新たな世界が広がる、と言うより、見えるようになる、聴こえるようになる。
ベースアンプによって隠されてた音を沢山知れますよ。
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