フミサウンド 魂と狂気のプリアンプ
超凄いベース用ディスクリートプリアンプ
「ベースの為に作られたフルディスクリート回路!」
「スイッチ1つで超絶スラップサウンド!」
なんて言うと、分かる人なら「おや?」となると思う。このブログを知っている人なら尚更、あれに似てるこれの事?となるかもしれない。
両方所有してる身としては、
「全く別の回路」
その認識でいる。
EQの操作性も印象も違和感なし。スラップなスイッチもまさにって感。慣れ親しんだ感覚で弾いても問題ないと思う。
でもほんと、コピー、クローンなんてイメージとは、全然違うのが面白い。
そんな事やってるペダルだったら、長年のユーザーとして我先にと叩くか、そもそも大した興味も湧いてこないだろう。
その点から見ても語っても、面白くも何ともないし、書く気も起きない。
どっちも持ってるからこそ、別の物だと分かっている。そして、どちらも素晴らしい物だと確信する。
エフェクターの感覚ではない手応え
このHooker。自分の認識は、エフェクターのそれではない。
そういう使い方も出来るけど、電気的なスペックなのか、電源の強力さなのか、仕上げのこだわりなのか、こじんまりするのとは対極な印象。
その辺を乱暴にまとめると「コンプ感」ってやつになりそうなのが、自分の中にあるエフェクター的感覚。で、それってのはどうにも好きではない。
そのコンプ感とか「エフェクターっぽさ」が好きかどうか、それは完全に好みの世界だと思うし、それ自体を否定する気は無い。
だからこそ自分は、Hookerはめちゃくちゃ好きなプリアンプだと、堂々発言できる。
音の出方、発音の説得力、スケール感が違うとでも言うか、様々な制限制約から解放されたような鳴り方、文句無しのレスポンス、オープンでクリアな特性、より立体的だったり厚みがあったり、何じゃこの艶は美味しさはと感動する。
とにかく、チープ感みたいなものが一切無い。
なんてこと言ってると、「じゃあオーディオみたいなやつか.....つまんなそ.....」みたいに捉えそうでもある。
ところが、よりガッツリ、より筋肉質、より分厚く、より柔軟で豊か、より軸と芯を通すみたいな方向性、狙いを感じるのが、Hookerの面白いところ。
安っぽくゆがんで捻くれ不良ぶるとか、そういうのじゃない。気さくでストイックで余裕、めっちゃ洗練、純度が凝縮されてるみたいな、そんな雰囲気。
バット持ってヤンチャぶるか、殴られても蹴られても五体満足、全く動じない肉体と精神の仕上がりか、修羅の果てに若気を微笑ましく眺めるか、意味不明なようだが、ノリは伝わるんじゃないかと。
自由は喜びか?ストレスか?
自分がこのプリアンプを弾いてて強烈に感じるのは、
「自由にやれる」
これが面白い。
その自由を楽しめるか?不安で分からなくてどうしようもなくなるか?この辺りは、感覚的に好みが分かれてくるかもしれない。
自分の好みで言えば、「この色!この音で弾け!」みたいなのは苦手。だから、Hookerの特性が本当にありがたい。
好きなように使える。欲しい音が出る。どうにでもやれる。俺の勝手にするわが出来て非常~に良い。
で、その「勝手」ってやつの手応えが何なのか、具体的に言うなら、
「タッチ」
「ピッキング」
やっぱりここに集約、凝縮されそう。
前述した、エフェクター感、スケール感の話というのがまさに、ここに直結してくるんじゃないかと思う。
自分の弾き方が音が不自然にデフォルメされてしまう。勝手に天井を設けられてしまう。ジャンルのルールや様式美に縛られてしまう。押し付けられて特に抵抗もせず納得してしまう。
そういう窮屈でクソな感覚から解放されるのが、本気のディスクリート回路の良さ、Hookerの魅力。プレイヤーに丸投げしてくる、自由にさせてくれる、製作者の粋ってもんである。
「じゃあこれは反骨でロックなペダルなんだ!」ってもう、そういうのがどうでもいい、それこそ縛られてる、本気で勝手にしろってのが良いわけだ。
「これはスラップ専用ですか?」
「フュージョン系ですか」
「ロックでも良い感じですか?」
「ファンクではどうですか?」
「ジャズでもイケますか?」
「フレットレスには合わないですか?」
「ジャズベとプレベどっち向きですか?」
「好きにして」
やろうと思えば全部、問題なくやれるだろう。
あの人が出来ないって言ってたから出来ない、あの人が合わないって言ってたから合わない、そういうリミッター決めてるのは結局、自分自身である。
無理を通す。我がままを行ける。激情に駆られるもよし。無難を行くもまた自分らしさ。自由に応えるのがHookerの大きな魅力、そのポテンシャル。
使用感と解説
さすがにテキトーがすぎるので、もうちょい真面目に解説したい。
Hookerで積極的に音作りしていく、超絶スラップマシーンにするなど、そういった場合の分かりやすく扱いやすいポイント。
ローカットとマスターボリュームが表に装備されてるってのが、意外なぐらい大きく、そして美味しい。
その分、筐体が大きくなってしまうが、特に不便を感じるところでもない。
「超絶サウンドでゴキゲンだぜ!」
「いや!音うるさすぎだろ!」
「あ、すまん.... 確かに....」
「さすがにもうちょい抑えるか....」
なんて際、その度に裏蓋を開けて設定とかしなくてもいい。そのまんまな話、ボリューム下げれば簡単に調整可能。
単純な事なんだけど、そういう手間が嫌いな人間としては、実にありがたい。
「指弾きは何も加工せずそのまま出す音が好き」「でもスラップの音は思いっきり変えたい!」みたいに、奏法によって音作りの好みが分かれたとしても、ボリューム調整が簡単に出来るのは非常に助かる。
「良い音だけどこりゃいくら何でもロー出すぎだわ!」
「でもBass下げると印象変わっちゃうんだよなぁ....」
「ボリューム下げるのも何か違うし....」
なんて場合、Clarityツマミによるローカットが美味しく効く。
「Bassブーストするのは良いけど、どうにも飽和してしまう......扱いづらくなってしまう.....要らなくなってしまう......でも音色自体は好き!!」
そんな時、音の印象を極力変えずにローの調整を出来るってのが、凄く威力を発揮する。
Clarityとは「明瞭さ」を意味する言葉らしい。
それだけ聞くと、ハイブーストなイメージをしそうなところ、実際に行われるのはローカットってのが面白い。何とも分かってる感がある。
ヘヴィなサウンドかつタイトに決めたい、ブワ~ボワ~ってならず美味しく主張するなど、単純な機能なようだけど、確実に効果を期待できる。
BassとTrebleの2バンドEQ、これはミドルと連動して動くのが、非常に独特。
ブーストすればミドルがカットされ、カットすればミドルが盛り上がってくるという、なかなかニヤリとする効き方である。
ある意味、ミドルとのバランサーなんて考える事も出来るかもしれない。
その分、ごく特定のポイントだけ攻めるのとは効き方が異なってくる為、慣れないと困惑する可能性もある。
だが、その動きをするからこそ「たった2つでここまでやれるのか!」ってのを味わえる。
31バンドどころかそれ以上?そんな架空グライコを駆使したような、超面倒臭く複雑な音作りを、たった2つのツマミで実現できる。
それらに加え、SSスイッチ。
「シャリーン!ジャリーン!ドゴオォ!バキィ」って超絶スラップサウンドに浸るもよし。アコースティックで美しい倍音に惹かれるもよし。よく分からん音作りをしてオリジナリティを追求するもよし。
この強烈なスイッチに振り回されるのも一興だし、その道を通り、地味で美味しい使い方、元音の良さ、魅力に目覚めて成長を実感するなど、色々な意味でおすすめしたい。
「やっぱこれがなきゃ!」って声を出したい、素晴らしい機能だ。
「なに言ってっかよく分かんねぇ......もっと楽で美味しい使い方はないの?」って事だったら、パッシブ楽器にそのまま通すだけってのもおすすめ。無理にEQを使用せずとも、高性能バッファとして機能してくれる。
それだけでも音が生き返るし、ちょい物足りなきゃ、EQをセンターかほんのちょい上げてONすれば良い。それかカットしてミドルを出すようにする。
スーパー丸投げで超実用的、堪らない魅力に溢れてるのが、このHooker。
マジですんごいフルディスクリートプリアンプ!!
唯物を超えた文化と精神 その実感
今回、このプリアンプが完成して強烈に思ったのは、
「あぁ・・本当に良いものが誕生したんだなぁ・・・出会えて良かったなぁ・・・」
って事。
Hookerのリスペクト元の回路を知っている、持っている、実際に長く使ってきた人間だからこそ、強く思い、考えさせられる事がある。
所有者として独占みたいになってしまう状況が悲しい。自慢したい心ってのも正直ありはするけど、本当にそれで良いのか? そこで止まったままになってしまうのか? 先を見れば結局、困るのは自分じゃないか?
さまざま、頭をよぎっていく。
悪ノリ混じりに進行した後、真面目くさった話をしても、説得力皆無ってもんかもしれない。
でも本当、本気のフルディスクリートの素晴らしさを知ってる人は勿論、知らない人にこそ、その素晴らしさが伝わっていって欲しい、是非とも触れてみて欲しい、真剣にそう思うのは間違いない。
20年以上も遡る出会いにより、ベースがもっと面白くなった、タッチに向き合い音を育てる楽しさを味わってきた。
ベース人生、音楽人生、物だけではない素晴らしい財産を沢山頂いたと、断言できる。
勿論、回路一つで、全て成し遂げられるなんて思わない。合わない人には合わないってのも当然の話だし、他を全て否定して強制するなんてのは違う。
しかし少なくとも、ベース用の素晴らしいフルディスクリート回路が誕生した、とんでもないプリアンプにまた新たに触れる事が出来るのだと、それは声高らかに言える。
これから弾いていけるし、自分なりに伝えていける事もある。まだまだ希望あるじゃん、また楽しくなれそうじゃんってなれるのが今だ。
でまぁ、そういう感傷的な部分とか、ポングってやつ個人の思い入れとか関係なく、どんな機材でも言える事は同じ。
「弾かなきゃ音は出ない。知らなきゃそのまま。」
まずはやっぱり、音出してなんぼだよねと。
「Hooker、あの回路と比べてどうですか?」と尋ねられたら、わたくしポングの答えはシンプル。
「どっちも好きだしどっちも別の回路」
リスペクト元と両方持っている身として、どちらもとんでもないクオリティだぜ、オリジナリティに溢れる逸品だと、ダイレクトに自慢、おすすめして締めたい次第。
Hooker、超素晴らしいフルディスクリートベースプリアンプ。
俺は好きだよん。
音源紹介
最後に、自分が録ったサンプル音源を紹介。超絶サウンドなセッティングだけど、上品で良い感じになるよう、スラップのタッチを調整して弾いてます。
※スマホの場合、Listen in browserを押して下さい。アプリ無しで聴けます。
こちらは先輩ベーシストの松島さんの素晴らしい音源。フジゲンのパッシブJBにダダリオのニッケル弦という、あえてスタンダードな組み合わせでHookerを通して弾いてるのがミソ。
更なる詳細、説明など、フミサウンドさんの公式ホームページとTwitterもどうぞ。
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