歴代SLB勢揃い
池田達也さんと田村晋也さん(SLB開発者)のトーク&ライブ。
SLB100、SLB200、SLB200LTD、SLB300、SLB300PRO×4。八本のサイレントベースが並ぶ様はなかなかに壮観。異様な光景に見えるのではなく一目で楽器と分かる姿、風格にクオリティ、その実証を感じさせられる。
かっこ悪いEUBはそもそも弾く気にすらならない。コントラバスとはまた異なる世界の構築、独自の美意識、確かな実績が形として表れてるのだろうなと。
いや本当、撮影の許可が出なかったのが残念。
結論から言うと、SLB300PROの仕上がりに驚かされた。SLB200LTDでも相当なものだったが、そのさらに上、遥か先を行ってるようにも感じた。
サイレントベース特有の硬さ、変に疲れる感じ、振動の実感をいまいち得られない違和感など、その解消と志が伝わってくる。サウンド面だけではなく、弾き心地の方まで神経を行き渡らせている印象を強く受けた。
曖昧な表現になるが、全ての面においてより体感的な楽器になったと思う。
ピエゾと2バンドEQの限界からも解放されたと言うべきか?専用のテクノロジーを導入した事により、音作りの幅も実用の可能性も格段に広がっている。
テクノロジーと言っても「はいサンプリングしました~。良い音ですよ~。お手軽にどうぞ~。」ってシンセ的なそれではなく、弦振動と胴鳴りの時間差のシミュレートなど、コントラバスの響きそのものを与える狙いらしい。
魂柱の存在まで意識した鳴り方を付随する・・・つまりはしっかり弾かないと鳴らない、そこに弦楽器としての確かなこだわりが見える。
マイクのシミュレートから何から、硬質なピエゾオンリーの響きとは別物なサウンドが飛び出てくる。
まぁ、アップライトろくに弾けない人間があれこれ語るのも限りなく微妙ではあるし、「宣伝文句に乗せられてるだけだろ!」って感が出てきてしまう気もするのが、色々申し訳ない。
ただ、その素人っぷりだからこそ気になる事が放置できなかったり、簡単に心が折れるのだとも言える。
要するに、もっと親切な楽器が欲しくなる、便利で扱いやすい物が欲しくなるぞと。それと同時に、奥深く特別感もある楽器が欲しくなるという、欲深なダメっぷりである。
だから正直、初代のSLB100を最初に弾いた時など「うわ何だこれ!?重いし硬いし音良くないし全然ダメじゃん!」と思ってしまった。
その後、ジャズセッションの場でホストの方に「ヤマハのあれは相当良いよ。フレームが凄い。やっとまともに弾ける楽器が出てきた。」と絶賛の声を一度でなく続けて聞き、「なるほどそういうものなのか・・・」と自身の無知と浅さと思い知ったのも事実。
それでもやはり、アップライトど素人では受け入れる事が出来なかったし、とても使いこなせる気がしなかった。
しばらく後にSLB200が発表され、一目で「これ良さそう!」となったのを覚えている。すぐさま試奏、その手応えの良さに驚いたのも印象的。
「前と全然違う!これなら弾けそう!」と歓喜したし、SLB100より値段が安くなっていたのも大きなポイントだった。
ただ、どうにも味気ない・・あまりに簡略化された感がある・・・淡泊な業務用ベース的な印象があったのも本音。
後にSLB200LTDが出てきたのはまさに、ツボを押さえに来たとしか言い様がない。
そして実際に購入、そのクオリティと満足度と言ったらなかった。もはやEUBってジャンルはヤマハ一強になってるんじゃないかとすら感じた。
しかしまぁ、どうにもこうにも軟弱で仕方ない。アップライト自体に心が折れ手放してしまった。
物自体は素晴らしい。音を聴いた人間の評判も良い。目を瞑ったら分からないと実際に言われたぐらい、本当によく出来ている楽器だと実感する。
それでも何か違和感がある・・・変に疲れる・・・やっぱり本物が良いんじゃないか?そんな気持ちが消せず手放してしまった。
そして1/4サイズのコントラバスに手を出したのが今現在。
そんなこんな、実はそんなに期待値高くなくSLB300PROを弾いてきたわけだけど、だからこそ驚かされてしまった。
細部へのこだわり、塗装や質感、もはや執念を感じさせられるぐらいの進化が見えた。
コントラバスもEUBもよく分かってない人間が魅力を感じてしまう、その事実に何か新しい世界をも見た気がする。
アコースティックの代用品で終わるのではなく、もっと積極的に攻める為の選択肢にもなれる楽器なんじゃないかと。
実際、池田さんのデモライブにもその可能性を感じさせられた。曲中に手元でセッティングを変えられる、足元でエフェクトをかけるなど、完全にエレクトリックのそれである。
見る人が見れば邪道と切られそうでもあるし、それこそ軟弱だと断罪されてしまう可能性もあると思う。でも明らかに変わるのである。明らかに効果的なのである。
電気的なセッティングが幅広く容易になってる事により、楽器単体だけから生むのとは異なる表現力、自由度を手に入れられる。それを実に分かりやすく目の前で実践してくれた。
これまでのEUB、サイレントベースでもそれは同じ事だったのかもしれない。
しかし、まずは本質的な部分を固めなければいけなかった、そこになかなか辿り着けなかった、それ故、広げるのが難しい面があったんじゃないかと思う。
電気的に加工するほど、小細工臭くなったり、白々しい感じが強くなってしまったり、悪い面の方が出てしまうと。
使い所を間違えれば悲惨な事になるし、そもそものタッチが軟弱ヘロヘロでは成立しない、それは当然の話。しかし、その当然を当然とする事すらなかなか困難なのが、アップライトベース事情。
いくら高価なコントラバスを所有したところで、PU通してシャリゴリなままの音を出すのでは、どうにも厳しい。達人偉人が弾こうが「この音は無いわ・・・」って音源は世の中に沢山ある。
レジェンドクラスのプレイヤーでもそんな事になってしまうのでは、とてもエフェクターを通すどころの話じゃない。
だからこそ、まず本体がしっかりしていてかつ、電気的にも手軽にアクセス出来る意味というのは、想像以上に大きいんじゃないかと。
コントラバスから違和感の少ない弾き心地とサウンド、それに加えエレクトリックの利便性と可能性が加わる、そこに強烈な魅力と期待感が湧いてくる。
何も加えず考えず、それで最高の音が出るなら、それが一番望ましい。でも、それを素直に望むには、コントラバスは困難な面が多すぎる。
物凄く深いコントラバス世界・アコースティック界からすれば、まだまだどころかどうにもならない断絶、実現不可能な領域があるのは確実だと思う。
一方、エレクトリックベースから始めた人間としては、これほど興味を引かれる楽器も存在しない。
散々アップライト挫折してきた身で言うのも何だけど、アンプやPA前提、電気楽器として使用するのであればコントラバスに四苦八苦するより、サイレントベースの方が迅速に強力に活躍してくれるのは、容易に想像できる。
実際、プレイヤーとサイレントベース、DIとPA、それでもう十分にサウンドが完成していた。
何と言うか「サイレントベース」という枠ではなく『エレクトリックコントラバス』と呼ぶべき存在になったんじゃないかとも思えてくる。
SLB100などはサイレントベースそのものな印象に対し、SLB300PROはあらゆる点で有機的な楽器になったと実感する。
生音にしても腹まで振動が伝わってくる心地よさがあった。しっかりタッチにも応える弦楽器だぞと。
いや本当、ちょっと感動してしまった。
初めてSLB100を弾いたのはもう20年ぐらい前、学生の頃か?
あの悪印象からここまで来るのか、企画を死なさずによく続けられた、よくぞ高めてきた、ワールドクラスの楽器になっただろう事実、歴史的スタンダードを作り上げただろう尋常ならざる努力と前進に平伏する。
「欲しくなってしまった」と、あえて軽い言葉で締めたい。
※池田さんと田村さんの対談記事発見。
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