ジラウドベースに感じる謎と根底にあるものを考える。

火入れ

 

ジラウドの木工を担当していたのは自分の知る限り三社。細かい精度など結構な違いがある印象を持っている。

ここだけの話「う~ん?これはどうだ~?」と言いたくなる物もあったり、隙なくカチッと作られている物もあったり、沢山所有してる人ならその辺を判別する面白さなんかもあるかもしれない。

 

と、ここで語りたいのはその話ではなく、工場の違いによる差などがあるにもかかわらず、不思議と共通する『ジラウドらしさ』みたいなものが存在するって事。

基本設計が同じなら当たり前だろ、PUとかプリが同じならそうだろって、そういうもんじゃなく、もっと根本の部分にそれがある気がしている。

 

じゃあその根本の部分って何なのか?

 

『福田さんが作ってる』

 

これしか考えられない・・・のかなと。

 

自分が所有する6本のジラウドベース。その内の2本は過去に福田さんが所有していた物。シリアル0001のW-BASS。そして5弦ブラッククラウドの1PUカスタム。縁あって我が家にある。

で、そこから感じた大いなる謎。嬉しいような違和感のような、尊敬と悔しさと混在する不思議な感覚。

 

何とも怪しい話にしかならないが、

 

『福田さんの鳴り方』

 

どうにもこれを感じて仕方ない。

 

5弦のブラッククラウドを他にも2本所有している自分。完全にオーダーで作った為、福田さんもほとんど試奏はせず、そのほとんどをポング個人で鳴らしてきた楽器。

完成後すぐに受け渡しをしてもらった為、組み込み後の慣らし運転なども恐らくほんの僅か。ある意味、ジラウドらしくない存在とも言えるかもしれない。

 

だから本当、鳴りを引き出すのにかなり苦労した実感を持っている。悔しい話だが、福田さん元所有のブラッククラウドの方が、最初は明らかに鳴りが良かった。

もう、体で感じる振動が全く違うのである。自分のは表面だけって感じで、福田さんのは奥から響いてくる感じ。

 

自虐も含めて言うなら、芯から鳴ってくるまでに10年ぐらいかかった気がするし、納得いく鳴りになってきたのは最近のような気もしてしまう。それぐらいキツかった。

弾く時間が短くなってしまうフレットレスの方に関して言えば、今でも鳴りきってない感覚がある。

 

全然整理できてない話でもある為、どうやっても胡散臭い感じにしかならないが、ジラウドにある『福田さんらしさ』ってものが存在するとしたら、どこが木工を担当しようが変わらない根底があるのも頷ける。

 

福田さんが組み込むから生まれるジラウドらしさ。福田さんが鳴らす事による宿るジラウドらしさ。自分が所有するジラウドベースの場合、後者の影響が少ないだろう個体を持っていた為、余計にそれを感じずにはいられない。

設計段階から生まれているジラウドらしさに加え、福田さんによる組み込みと慣らし運転があった場合、そこに『誰も真似できないジラウドらしさ』が宿るのは必然に思える。

自分が所有する福田さんの個体に関して言えば、実際にライブでも使用されてた物なので、慣らしレベルのそれではない。

 

だからって「じゃあ福田さんが弾いた個体を見つければいいんだ!」って発想になるのはかなりアレだし、そもそも現実的じゃない。

今回の話はあくまでも自分の感想、感覚から来るもの。物凄く曖昧、証明のしようも無い。妄想幻想と言われたとしてもまぁ無理はない。そんな個体を至上にしてしまうのはそれこそ、福田さんが望んだ在り方ではないはず。

本当の意味で楽器を完成させるのはユーザー自身。人任せにしているだけは味わえない、辿り着けない、実感できない喜びや楽しみがある。

 

魂が宿るとかどうとか、そこまで行くと嫌悪が湧く人もいるだろうし、それは自分もさすがに抵抗がある。

一方、『火入れ』ってものはあるんじゃないか、そんな気がしてならないのは確か。その言葉が的確かどうかは分からないが、ちゃんと火が入ってるかどうか、ジラウドベースの中でもそれを感じる時がある。

自分は正直、火が入ってない個体の方を多く手に入れてきたように思う。長期間放置の影響か、ボケちゃったんじゃないかって中古に出会う事もある。

 

「楽器にその人らしさを宿らせる事は出来るんじゃないか?」なんて話すと、何ともスピリチュアル臭がしてしまうが、もうちょっと具体的だったりちゃんと現実としてある事を言うなら、その人の鳴らし方、タッチ、ピッキングによる影響を受けるのは当然なんじゃないか、そこは真面目に考えたい、しっかり認識したいテーマだ。

自分が10年苦労した原因を考えるならば話は簡単。『タッチが弱かった』の一言で済む。色々軽かったとも言える。

 

話の根っことして伝えたいのは、掘り出し物や当たりを探せなんて主張ではなく、芯から楽器を鳴らす、自分の弾き方を持つ、音を持つ、向き合うって事。

当たりを探すって話にしても、個体ばかりで決めるのではなく、「このメーカーのベースが好きだ!」みたいに傾向を認識したり、好みを通せる信念や力があった方が、迷いも少なくなるはず。

フェンダーにはフェンダーの音がある。フォデラにはフォデラの音がある。それを他社他者に求めると変な風にこじれていったり劣化コピーになってしまう。

 

それにしてもこうして話をするほど、ジラウドベースそのものを手に入れるのは無理なのか、その現実を突き付けられる思いがして残念でならない。

福田さんが手を入れた、火を入れた、それでなければ誕生しない楽器があるとするならば、その意味を心の底から尊重し、感謝もしていきたい。

 

一方、火入れについては自分でやってきた自負がある者としては、もう手に入らない諦めろで納得しようとは思わない。福田さんが教えてくれた事、惜しみなく伝えてくれた事、それが楽器に宿るのだとしたら、こんな素晴らしい事はない。

ジラウドに限定した話ではなく、その人のそれが楽器に伝わる、そこから生まれる音がある、それこそを大切にする文化がエレクトリックベースにも根付くなら、まだまだ昇華していけるんじゃないか、楽しい事が増えるんじゃないか、期待が膨らむ。

 

自分らしさ・・・・何とも陳腐な響き、今更な感もある安易な言葉、安っぽく幼稚か、逃げ道にも思えてしまうような生温い価値観、嫌悪が湧いてしまいそうなところでもある。

が、それを失った人生は悲惨なんじゃないか、それも多く痛感してきた。そこに固執した人生もまた悲惨、そんなパターンも多くあるとは思うが、それでも前を見続けていくのであればやはり、持っておきたい柱である。

 

その自分らしさをこれ以上なく証明してくれた、見せてくれたのが福田さんであり、ジラウドの姿勢そのものだったと思う。オリジナルである事、その凄み、かっこよさ、楽しさを知れたのは、確かな財産だ。

 

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