Across The Crystal Sea 目次
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一生の名盤
そう呼べるアルバムを誰でも持っているものだと思います。
自分にとっては以前に紹介したスティーリー・ダンのエイジャなどもそうですね。
間違いなく人生に残る名盤であると言えます。
しかしまぁ、そういった作品の多くが10代か20代で出会うものであって、その後はなかなか発見できない印象が強いところ。
経験も豊富になっていき、ちょっとやそっとでは衝撃なんて受けなくなりますし、好みも固まってきてしまう為、一枚のアルバムを聴き込むようなことはなくなっていくように感じる。
『思い出補正』なんて言葉もありますが、この心理も手伝うとより一層、そのアルバムに想いを馳せたりしてしまいますよね。
その意味でも、超お気に入りの作品に後々出合うというのは、かなり難しいことではないでしょうか。
衝撃の一枚
そんな中、何気ないきっかけで出会ったのがダニーロ・ペレスのこのアルバム、
【Across the Crystal Sea】
いや、これは本当に自分の中で色々とひっくり返ってしまう作品でしたね。
派手な要素やテクニカルな要素が特にあるわけでもなく、淡々と演奏している印象が強い。
凄腕プレイヤー達によるソロ回しなどもなく、技巧に唸るという類の作品ではありません。
ベースの『クリスチャン・マクブライド』もひたすら堅実にプレイしています。
しかし、その世界観と雰囲気がとにかく素晴らしい。
こんな芸術的なジャズが存在するのかと感動しました。
全曲、オケが厚めに鳴っているアルバムですが、ありがちに軟弱に癒し系になるなんてことはなく、むしろ高い緊張感に包まれていて圧倒されます。
その為、通しで聴くとけっこうな消耗がありますね。
美しいながらも非常にシリアスで濃密な作品です。
基本、オケというのがあまり好きではなかったり、ふわ~っとしたその安易な小綺麗感とか大袈裟な感じが好みではない自分。
故にこういう作品は避けてしまいがちなのですが、いやほんと、そんな人間がハマってしまうぐらいに凄いクオリティなんじゃないかと。
Another Autumn
アルバムのラストを飾るのがこの曲。
オーケストラアレンジを担当している
【Claus Ogerman】
が作曲も担当しています。
曲中、ペレスとマクブライドの二人だけになる場面があるのですが、いや、これは泣けました。
なんかもう、自然と色々なものを思い出しちゃってこみ上げてきてしまいます。
音数も極少で特別なことなどやっていないのですが、それだけにその余白と言うか空間、演出が素晴らしいですね。
全体的にオケ厚めのサウンドでやってきたのが、その瞬間はピアノとベースのみになるという、それがものすごく効果的。
これは本当、その曲だけを聴いても伝わらない、分からない部分があると思います。
通しで聴いているからこそ、それが活きる、感動する、そんな印象が強い。
この感じはもしかしたら、プログレや映画音楽などそういう方向性が好きな人の方が入りやすい面があるかもしれませんね。
幻想的でありスケール大きくもある、その世界感の構築が本当に素晴らしい。
それでいて現実離れしすぎているわけでもなく、郷愁に満ちて心揺さぶられるものがある。
曲調は静かで淡々としたものですが、是非、大音量で浸ってみてほしいところ。
泣けます。
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ゲーム音楽が好きならいける
コテコテのジャズ親父とかがこのアルバムを好きになるかどうかは微妙ですが、ゲーム音楽的な感じとかそういった雰囲気が好きなのであれば、絶対にイケるんじゃないかと自分は思います。
変な話、
『悪魔城ドラキュラ 月下の夜想曲』
あれを自分はなぜか思い出してしまいました。
あのゲームの雰囲気はかなり好きでしたね。
ロックなギターやドラムが鳴ってるなんてことはさすがにありませんが、 ああいう感じの音楽や世界観とかが好きだったら絶対に入り込めるはず。
単純に大雑把に『ジャズ』と分類したり言葉にしてしまうする場合、それだけで避けてしまう部分もあるんじゃないかと想像します。
潜在的な憧れはあっても敷居が高く感じたり、聴いてても意味が分からなかったり、そんな印象を受けることも珍しくないでしょう。
『ジャズ親父』みたいな人がうざったいとか、実際に被害を受けたことがある人もいるはず。
でもやっぱり、そういうのって勿体ない話だし、悲しいことでもありますよね。
ゴリゴリのスタンダードジャズはあまり好きではないとか、いかにもジャズジャズしている感じが苦手なんて場合、このアルバムは良い感じにハマるんじゃないかと。
根底がジャズにあってもこれほど芸術的になる。
楽器同士の合戦ではなくしっかりと世界観を構築できる。
それを確かめられる意味でも本当に素晴らしい作品ですね。
ただ、残念ながら現在は廃盤な様子。
どうにか聴くならMP3で手に入れるぐらいしかないかもしれないのが悲しい。
自分も予備で一枚欲しいんですが、いや、困りました・・・
伝説のトリオ
ちなみに、
『クラウス・オガーマン』
『トミー・リピューマ』
『アル・シュミット』
アレンジャー、プロデューサー、エンジニアにこの3人の名があった場合、「それだけで買い!」という評判だったり。
そしてもちろん、このアルバムもこの3人が集まっています。
いやほんと、そう言いたくなるのも分かりますね。
それこそ、ミュージシャンの名を調べるより、こっちの名前で探して買うってのもありだと思います。
まさに伝説!!
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