ベース・ギターの塗装と鳴り
超分厚いポリ塗装
もう15年ぐらい前の話。フェンダージャパンのプレベとジャズベ。この2本の塗装を自分で剥がしたことがあります。
ま~とにかく、その頑丈さと厚みったらなかったですね。塗装剥がし用の薬品まで使ったり、あまりの強度にドン引き。
下地ってことになるのかな?色の付いてる部分、表面の塗装を剥がしたその下、さらにまた塗装が存在することも、初めて知りました。完全なる無知だったのも手伝い、こいつも手強かったのなんの。
正直、あれは二度とやりたくない作業ですね。そりゃ、プロによるリフィニッシュとか、お金も時間もかかるわけだと納得しました。
鳴りの変化に驚愕
まず最初に取りかかったのは、プレベの方。当初は良い印象が全くなく、呆れるぐらいだったベース。ところが、塗装を剥がして組み込んでみたら、本当に驚きました。
「なんじゃこりゃ!?」
思わず声が出るぐらい、別物に変化。反応が遥かに良くなり、生音も大きくなってびっくり。当然、アンプからの出音にも影響があります。その気持ち良いサウンドにショックを受けました。
ネックとボディがサラサラになるのも、個人的に美味しいポイントでしたね。カッチコチのポリ塗装と比較すると、質感的にもかなり高級感が出た印象。
何と言いますか、あんな分厚い塗装をしておいて木の鳴りがどうの語るのは、ちょっと虚しい気がしてしまいました。
せっかくの木の質感も台無しになるし、鳴りにも影響があるのかと考えると、無神経に塗装を施すことに対し、強い疑問を覚えた次第。
二本目は印象が逆だった
「こりゃ良い!最高!」と味をしめた塗装剥がし。自分の中で本命扱いだった、ジャズベの方にも取り掛かります。
こちらはシースルーのナチュラル仕上げでしたが、残念ながら、塗装の厚みも頑丈さもプレベの方とほとんど同じ。その凄まじいカッチコチぶり、頑丈さに溜息が出ました。
でも、そうやって硬く分厚いほど、
「こりゃ期待できるぜ!」
って変換されてたのが面白い。
大して良くなかったプレベが別物になったんだから、最初から良かったこのジャズベはとんでもないことになるだろうと、ワクワクが止まりませんでした。
オイルフィニッシュについても、プレベの方よりも遥かに念入りに作業。手触りが良いよう、ヤスリがけも丁寧に気合を入れます。
苦労も何のその、期待の方が遥かに上回り、目を輝かせながら組み込んだ結果、
「・・あれ?」
その寂しい鳴りにひっくり返りました。
いや本当、楽器ってやつは不思議ですね。まったくもって、わけが分かりません。
鳴ってくるまでに時間がかかった
期待していただけに、ジャズベのその劣化具合に超がっかり。とにかく鳴りが寂しい、音が前に出てこなくなった感じ。
触り心地については良くなったけど、出音については明らかに元気がありません。手間をかけた分だけ、ショックを受ける事態に。
ただ、そこでめげずに手放さなくて正解でした。時間をかけるにつれ、再び良い感じに復活したのが面白い。段々と納得いくものに仕上がってくれ、ほっと一安心。
完全な推測になりますが、念入りにオイルをかけたのが、逆効果だったのかもしれません。ポリ塗装などと比較して、限りなく木地に近く感じるとは言え、塗装膜を作ることに変わりはないのでしょう。
恐らくは塗りすぎが原因、それで最初はいまいち馴染みが悪くなってしまったのかなと想像。
仕上げに手を抜いたプレベの方が、最初は明らかに生鳴り良かったですもんね。その後はポテンシャルの違いか、ジャズベの方が圧倒的に良くなって助かりました。
ただやっぱり、その当初のがっかり感、期待外れっぷりには参りましたね。
塗装がなんだろうと、最初から良い楽器はそのまま使えるポテンシャルがあるし、下手に弄ると別物になっちゃうリスクがある。
「リフィニッシュ=最高の音に生まれ変わる!」なんて期待しない方がいいと痛感。
いや、奥が深いです。
ポリ塗装だって馬鹿にはできない
そのジャズベが良い感じに仕上がった一方、最初の感じとは別の楽器になってしまった印象が拭えなかったのも事実。
これは何でしょう? もしかしたらですが、ポリ塗装の強度ならではの独特の硬さ、元気の良さ、抜けの良さなんてものも、実は存在するのかもしれません。
考えてみれば。フレットレスのコーティングだって同じような印象があります。超頑丈なハードポリコーティングと木そのままでは、明らかに特性が異なるなと。
より強固で耐久性に優れ、音程感も良く、明るく抜けてくる方向性を好むのであれば、デメリットどころか、多くの恩恵をもたらしてくれるように感じます。
見た目、耐久性の優位については勿論、「ポリ塗装=絶対に悪い」なんてことはないのだと知ったのが、自分の経験。
目的に沿っているかどうか、好みであるかどうか、どちらにも利点があると考えるべきなんでしょう。
ちなみに、自分が所有しているジラウドのW-BASS。 これは、ボディとネック裏が完全にポリ塗装。でも、持っているベースの中で最もディープなサウンド、アコースティックな特性を持ってます。
ジラウドでもよく聞く話、自分でも実感があることですが、何年も何年もずっと弾きこまれてきた楽器になるともう、塗装云々を超越した鳴りに変貌、別物のように育っていくんですよね。
ポリの音、ラッカーの音、オイルの音など、そういった傾向、特性も確かに存在するのかもしれないけど、それだけで判断するのはよろしくない。
最高に気に入る楽器を手に入れられるかどうか、それを信じて弾き続けることが大切。そして、自らが成長することこそが最大の効果、意味をもたらすのだと実感。
塗装の問題だけで鳴り云々を判断するのは、愚かなことだと思い知りました。
ラッカー・オイルだから良いとは限らない
触り心地の問題でオイルフィニッシュが好きだったりもしますが、正直、梅雨時なんかは、ちょっといまいちな印象もあったりします。
サラサラどころか、「じと・・」って感じがあったりして、とても気持ちいいとは言えません。
この辺り、やはり、ポリ塗装の方が安定しているんじゃないかと思いますし、コンディションの維持についても、有利な面があるのかもしれません。
何も塗装しない生木のままが一番鳴るとは言っても、それでこの先ずっと行くというのは、なかなか勇気のいる話。
試したことがない為、何とも言えないところですが、 水分がどうなるのか、皮脂によってどうなるのか、ちょっと想像がつきません。
表面だけのラッカー仕上げとか、これも疑問になりますよね。オールラッカーにこだわり、20~30年先を見るのも面白そうだけど、正直、気長でしんどい話です。
理想通りかっこよく崩れてきてくれるのか、それとも、みっともない見た目に劣化していくのか、これまた何ともかんとも。
そんなことを考えていくと、
「好きにすりゃいい」
これが一番分かりやすい。
分厚いポリ塗装だって、弾き込めば鳴るようになる。
オイルだけじゃ、カラーバリエーションに乏しい。見た目にこだわるのも、立派なオリジナリティ。鳴りがどうの、木の音がどうの、そんな言葉に屈する必要はない。好きな色があるなら、それを素直に選ぶべき。好きな感触、弾き心地を優先するもよし。
スペックにばかり神経質になるぐらいだったら、好きな見た目、好きな触り心地で選ぶ方が正解。厳密には色々あるんだろうけど、自分に嘘ついてまで塗装方法にこだわる必要はない。
「分厚い塗装だからだめー!」なんて考えず、
望むままを行う
これが一番でしょう。
オリジナルマガジン
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