ベースのタッピングとライトハンド 練習効率、上達の近道を考える

ベースとタッピング・ライトハンド

 

 

まず楽器を見直す

 

「タッピング難しい・・全然できない・・・」と感じているならば、まずは使用しているベースとシステムを疑った方が良いでしょう。

 

・弦高がものすごく高い

・弦はずっと張りっぱなし

・弾くのに凄い力がいる

・練習してると腱鞘炎になりそう

・アンプからこもった音しか出ない

 

こんな傾向や心当たりがあったら要注意。それでタッピングをやろうというのは相当厳しいです。無謀とすら言ってもよい。

 

スラップに関する記事でも話しましたが、それに適した道具を用意することがまずは大事。ちゃんと調整した楽器で弾いてみれば、ビックリするぐらい簡単に音が出るようになります。

 

pompombass.hatenablog.com

 

音が太いと逆効果になる可能性もある

 

「ベースなんだから音は太い方がいい!」

 

こう考えたいところですが、話はそう単純ではないから難しい。タッピングなどのテクニックが絡むなら尚更、求められる要素が複雑になりますね。野太いサウンドを目指しながらも華麗なサウンドを両立しようというのは、なかなかに困難。

 

ソロ志向で粒立ちの良いクリアーな音を狙うと軽くなる、どっしりとボトムを支える音だと団子になって潰れる、このあたりを自分なりにどう美味しくまとめていくか、それが勝負どころ。

 

前述の弦高との兼ね合いなどもありますが、トータルバランスに対するセンスや経験値が問われてきます。その意味では、弦の選択というのも非常に重要なポイントになるでしょう。

 

和音を綺麗に鳴らしたいのであれば弦を過剰に太くするより、ライトゲージの方が分かりやすく綺麗な響きになるはず。一方、それだけ張りが弱くなったり音に腰がなくなったり、そういったリスクが当然考えられますね。

 

「ライトゲージの方が弦がよく振動してむしろ太い音が出せる!」

 

これぐらいのタッチと自信が身に付いていないと厳しい面はあるかもしれません。闇雲にただ細くするだけではなかなか良い結果は得られなそうです。弦代をケチったりボソボソに死んだものを使い続けようというのもキツイ。

 

タッピングを本格的にスタイルに取り入れるならば、意外と覚悟が必要だと感じます。

 

素直に電気の力も借りる

 

長年にわたり縦振動のタッチの研究、太い音を出すための研究というのをしている身ですが、だからこそ思うことがあります。

 

・タッピングで太い音を出すのは辛い

・タッピングと指弾きを同じ音量・音質にするのは無理

・タッピング向きのサウンドは自分には合わない

 

皮肉なようですが、指弾きの音が太く大きくなればなるほど、タッピングとのバランスを取るのが難しくなる印象。

 

それが出来るという自信のある人もいるとは思いますが、それは自分からしたら恐らく、ボトムが薄く太くもない音です。加えて、使っている楽器のタッチレスポンスが良くなかったり、タッチコントロールにもあまり反応しないだろうなと想像。

 

正直なことを言えばもう、ベースヒーローになろうとか華麗なスタイルを身に付けようとか、そういうことをほとんど考えていないのがわたくし。これから先、タッピングを積極的に取り入れることはなさそうだなと。

 

とは言え、それを要求されどうしても必要になったり、「ここはタッピングだな!」と弾きたくなることもあるわけですね。しかし、楽器本体のセットアップはタッピング向けじゃないし、やったとしてもインパクト的にもなんか微妙。指弾きに比べて音量も落ちちゃうし 、ニワカが頑張ってもスカスカに寂しくなるだけというのが現実。

 

もうだからこういう場合、「電気的な力を借りて強烈な音を作ってしまおう!」と考えちゃった方が早いし、サウンド的にも絶対に良いですよね。

 

「俺はベース1本で行くんだ!」

「アンプ直で勝負するんだ!」

 

なんていくらこだわったところで、無理なものは無理。必殺技的に使いたいならそれこそ、単純にゲインブーストするなりエフェクトかけるなりコンプで揃えるなり、それ専用のセッティングをつくってしまうべきではないかと。

 

より電気的な部分のコントロールを身に付けることもタッピングの上達のコツだと感じます。

 

理論的に覚える・考える

 

ギターのように形で覚えてしまう人も多いかと想像しますが、自分はスケールやコードの構成音などから考えてタッピングのフレーズをつくる方だと思います。

 

たとえば、

 

4弦・12フレット

3弦・14フレット

2弦・14フレット

1弦・13フレット

 

ここを押さえればEメジャーになります。これを形で覚えてしまうかそれとも構成音で覚えるか?その違いでけっこう感覚が変わりそうですよね。

 

4弦・完全一度(ルート・基本の音)

3弦・完全五度(パワーコードのあれ)

2弦・完全一度(ルートのオクターブ上・八度)

1弦・長三度(メジャーコード感を出す役割)

 

みたいな感じに考えて弾いた方が自分の中では分かりやすいです。これをマイナーにするならば、長三度の部分を半音下げて弾く。つまりは1弦の12フレットを弾いて響きを変える。

 

ここでさらに響きを変えるのであれば、オクターブ上を担当している2弦を全音分高くして長二度にしてしまうなんてのも有効。長二度というのはオクターブ上げると長九度。要するに『 ナインス(9th) 』ですね。

 

4弦・12フレット

3弦・14フレット

2弦・16フレット

1弦・12フレット

 

こうすると最初のEメジャーが『Eマイナー9th』になります。正式にどうコード表記をすべきか、『add9th』と言うべきなんじゃないかとか、そういう話までするとややこしくなるのでこの場ではやりません。

 

いずれにせよ、理論的に覚えることで応用がしやすくなったり、左手と右手が離れたポジションのタッピングもしやすくなる印象。指板上の音の理解力も確実に向上しますね。完全に形で覚えてしまうのも勿論ありですが、もっと様々な場面で使いたかったり、ソロベースを弾いたり作曲をしたいなんて場合はやはり、理論を知っていると分かりやすいガイドになって便利でしょう。

 

『理論』と言うと、超複雑だとか自由が失われるなんてイメージもあるかもしれません。しかし、それを引きずったまま何も知らなかったり、やり方がまったく分からず立ち往生してるなんてのはいただけない。その時点で自由じゃないし、完全に遠回りもしています。ついでに言うならば、理論を超越した才能を持っていることにも期待しない方がいい。

 

妙な偏見さえなければ、最低限でも知っておいて損はないでしょう。

 

ライトハンド

 

「タッピングとライトハンドの違いって?」

 

まずはこの話になりそうですが、これは簡単に考えましょう。

 

弦を指板に向けて叩くように押して音程を出せばタッピング。これはピアノみたいなイメージですね。それに加えて、右手によるハンマリング&プリング、トリル、スライドなどを使用するのがライトハンドであると自分は認識しています。タッピングの場合、フレットか指板に当たるアタックが目立つ奏法になりますが、ライトハンドの方はもっと滑らかな表現をするのにも向いていますね。

 

実際に使うとしたらメインはやはり、人差し指と中指になるでしょう。さらに使うにしても薬指までなのがほとんどだと思いますし、やり方が分かれば基本的にはそこまで難しい話ではない。原理自体を考えた場合、そんな複雑で高度な奏法だと捉える必要はありませんよね。

 

「このフレーズ、どうしても指が届かない・・・」

「左手だけじゃ限界があるよ・・・」

 

「そうだ!右手も使おう!!」

 

こういうノリで身に付けるのでも問題なし。

と言うか、大御所とか発祥元がそんな感じだったり。

 

スケールが分かるとスムーズになる

 

たとえば『Eマイナー』でライトハンドをするとしたら?

 

とりあえず使うのは1弦だけに限定してみます。まず左手の人差し指で9フレットを押さえます。押さえっぱなしが良いです。そして使うフレットポジションを以下のように決めます。

 

【11F 12F 14F 16F 17F 19F 21F】

 

この中で後はもう、右手と左手で好きなところをハンマリングするなりプリングすればいい。高速トリルしてみるのも良いですし、右手の人差し指でスライドとか加えてみるのも面白いし、意外と簡単に派手なフレーズだってつくれるはず。

 

今ここで使用しているのは『マイナースケール』これで19フレットを弾かずに20フレットにするのも良いですね。この場合、『ハーモニックマイナースケール』になります。

 

これは分かりやすく言うならば、

 

「バッハっぽい」

 

そんな感じにしたい時に最適なスケールです。

 

こんな風に、スケールを少し覚えておくだけでも弾きやすさが別物のように変わるはず。

 

自分に合う方法を見つけることが大事

 

上記ではポジションを固定 + 1本の弦だけを使用した解説しかしていませんが、コードやスケールの構成音を覚えておくと、ライトハンド・タッピングテクニックは飛躍的に向上するように感じます。

 

どちらかと言えば、上記の方法は『形』の方で覚えるやり方かもしれませんし、自分としては、『コードの構成音+テンション+アボイドノート』を把握して弾いた方が良いかとは思うところ。その方が奏法・用途としても限定的にならず、音楽の理論としてトータルに役立つからですね。

 

ただ、弦楽器ならではと言うか、形や記号として覚えてしまうのもそれはそれで有り。理論的に考えて体の動きが遅くなっちゃったり、迷ってフレーズが詰まっちゃうぐらいだったら、もう感覚と勘頼みでズドーンと行ってしまう方が絶対に良い。

 

そういう意味では、何とかスケールがどうとか名前なんかも本来はどうでもいいし、もうすでに格好よく弾けちゃってるならそれが何より。

 

『音楽理論=悪』は安易すぎる

 

何かと賛否が分かれそうな音楽理論という存在。それが逆に足枷になる、自由を失いそうだと認識されることもあるでしょう。しかし、勘違いしてはいけないこともあります。理論を何も知らない人でも、

 

「独自の法則を作って弾いている」

 

この可能性があるということ。学術的な難しい名前を知らないだけであって、完全デタラメに弾いてるわけではなく、「理論的には実は同じことをやっていた」なんて可能性も考えられるわけです。

 

「お!この順番で弾くとかっけーな!」

 

なんて弾いてたのがハーモニックマイナーだったとか、フリジアンだったとか、ペンタトニックだったとか、そういうことが普通に有り得るでしょう。「何も知らない・分からない」というのとは違うわけですね。

 

「音楽は理屈じゃねぇ!あの人は理論知らないんだぞ!」

 

なんて意見もあるだろう世の中ですが、分析してみたら法則にバリバリ当てはまっていたとか、本人もそれを自然と把握してたり自覚して弾いてたとか、意外とそんなことが考えられます。

 

タッピングとライトハンドを身に付けようとした際、すべて自己流でやることにこだわるか、それとも少しでもスムーズに使えるように理論を覚えてみるか、そのあたりを意識してみるのも面白いところ。

 

個人的にはとりあえず、

 

・メジャースケール

・マイナースケール

・ペンタトニックスケール

・ダイアトニックコード

 

これぐらいは覚えておいた方が良いと思う次第。これを知るだけでも上達のスピードが上がるはず。上手くなるのが早い方が楽器は楽しいですしね。

 

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