ドリームシアター 2019年新作レビュー
ロックバンドなアルバム
とりあえず一周してみた感想、
「お!ロックだ!」
こんな印象が強かった新作。
メタルどうのプログレどうのジャンル的問題ではなく一体感の話。
凄くバンドらしいまとまりを感じるようになったことが好印象。
「やっと噛み合った!」
って言えば良いのかな?
懸念材料だったマイク・マンジーニの遠慮した雰囲気もなくなってきたかなと。
凄腕個人のお仕事とかゲストの集まりではなく一つの集合体。
バンドならではの迫力、伝わってくるエネルギーが全然違います。
解説を見るに『有機的』というコンセプトを掲げていたらしい今回のアルバム。
なるほど確かにその通り、まさにと頷くしかありません。
凄腕集団の淡々とした作業で終わるのではなく、実にバンドを楽しんでいる感じ。
久々にリピートして聴きたい作品が出てきましたねこれ。
ジャンル的には明らかにメタルってことになるのかもしれませんが、自分としてはやはり、それ以前に存在するロックバンドなものを非常に強く感じた次第。
『ドリームシアター』のマイクマンジーニ
「安定しているがゆえに物足りない」なんて言うのも畏れ多いけど、実際そんな印象もあったドリームシアターにおけるマイク・マンジーニ。
それがま~、今回はまったく別物になったように感じます。
遠慮がちに縮こまってたように思えたドラムもどこへやら、ヘヴィにパワフルに実に気持ちいい。
「マンジーニさん!あんたそんなもんじゃねーだろ!」ってモヤモヤがあっただけに、これだけ堂々どっしりドカドカ攻めてるのは歓迎するしかありません。
ドラムがマンジーニに交代してからかなりの変化があったドリームシアター。
正直、ポートノイが抜けてからのアルバムは一回通すぐらいで終えてしまったり、ほとんど聞いていませんでした。
マンジーニ加入後のライブBDの方はめっちゃ見ましたし、武道館ライブにも行きました。
そちらについては本当、終始圧倒されっぱなし。
そのサウンドの説得力、グルーブ、実力から言えば、ポートノイを完全に超えているぐらいに感じています。
一方、アルバムの方では妙なチグハグ感があった印象。
「え?そこそんなスカスカにしちゃうの?」みたいに気が抜ける部分があるような、アイデアを主張するにもかなりの遠慮があるような、そもそもバンドに全然馴染んでないような、そんな違和感がありました。
それはマンジーニだけの問題ではなく、ペトルーシはペトルーシで張り切りすぎに感じたり、マイアングも出すべきサウンドとタイミングの変化に苦労しているような気がしたり、ジョーダンは何となく緊張感が薄れてしまっているように思えたり、何かやっぱり妙な違和感があったなと。
ラヴリエについては不要な圧と枷(※個人の感想です)が外れたことで伸び伸びしてる感じで、そこは個人的に凄く嬉しかったですね。
ただまぁ、彼ばかりが目立ってしまうのでは物足りなくなってしまうのが自分のような鬱陶しいオタクの性。
『ドリームシアター』と来たらそこはやっぱり、インストバトルにも期待してしまいます。
そんなこんな、どうも噛み合ってなかったように思えていたのが、ここに来て一気にがっちりハマったように感じるのは本当に嬉しい限り。
気が早いですが俄然、次のアルバムも楽しみになりました。
「このバンドまだ進化するんじゃないか?」
期待が膨らんでしまいます。
大作志向に期待するとかなりあっさりかも?
個人的にかなり得点の高い今作。
すでに何回も聴きたい衝動に駆られています。
一方、
「ふぅ・・凄かった!」
なんて疲労するぐらいのものまではないのも事実だったり。
何が驚きかって、
『10分超えの曲がない』
ファンならこれを聞くだけで動揺するはず。
実にあっさり聴けてしまう、良くも悪くも分かりやすいストレートさが楽しい作品でした。
自分としてはいつまでイメージズ・アンド・ワーズにこだわってる方が嫌ですし、そういうファンも苦手な為、ヘヴィ路線やこういう作風は歓迎しています。
一つに留まらず固執してこなかったからこそのドリームシアター。
その攻めの姿勢を問答無用で叩き付けてくる魅力に痺れます。
とは言え、「またあの感動を!」とか「幻想的な旅に連れていってくれ!」みたいな感じを求める気持ちも確かに分かるところ。
今作でも当然のごとくドラマチックな部分がありはするけれど、言葉悪く言えば『お約束』な印象を受けるのも否定はできない。
複雑怪奇、スーパーテクニカルな展開を期待すると物足りない可能性もあるし、過剰な期待を膨らませてしまうと肩透かしを食らう面はあるかもしれません。
ただ、だからこそバンドらしさが向上したんじゃないかって気もするんですよね。
いかにもな展開、弾きやすい手癖、どっかで聴けそうなパターン、それを避けてしまうのではなく、あえて直球でブッこんできたような、分かりやすいだけに一体感を得やすい、弾いてて楽しい、そんなことを感じます。
『地に足が付いた』
良い意味でこんな印象が強いですね。
変に難しく気取らず奇をてらわずガツン!とかましてきたなと。
John Myung ミュング・マイアングファンは絶対に聴け
マイアングファンだったら6曲目。
「!!」
「きたぜえぇ!」
こうなること間違いなし。
ゴリバキギャインギャインのイントロをブチかましてくれます。
ベースのことを知らない人間にも絶対伝わる凄みを堪能できます。
細かいことは言いません。
「絶対聴け」
あれを味わうだけでもアルバムを買う価値があります。
やっぱり好きだぜドリームシアター!
このバンドの新作において賛否両論が起こらないことは皆無でしょう。
「まだ進化するのか!」と期待に胸膨らませる人もいれば、「またヘヴィメタ路線かよ・・」みたく失望する人もいるはず。
「ボーカルいらねーだろ!」なんてむちゃくちゃ言う人もいたり、「上手いだけの連中」なんてよく知りもせずに語っちゃうのもいたり、色々な意味で愉快、目の離せないバンド。
デビュー30周年とのことですが、ま~ほんと、自分が小学生にもならない頃から突っ走ってきたのか、一つに落ち着かず試行錯誤してきたのか、それを考えると本当にとんでもないですね。
いまだに賛否両論起こせる、ファンの期待を真っ向から裏切ることもできるとか、なかなかやれることじゃないでしょう。
さすがにマンネリ感があったり、落ち着きつつあるのを感じるのも事実ですが、だったらもっと味濃く凝縮してみようってことか、もはや古臭くすら感じるメタルなフレーズ、お約束展開が心地よかったのが今回のアルバムの感想。
「どこが濃いんだ!薄めてるだけだろ!」なんて声もあるんだろうけど、いい歳こいたおっさんになるまでそうやってずっと執着させ続けるんだから、このバンドの存在はやはり只事ではありません。
楽器を弾いている人間としても、中学の頃からその感動を味わってきた人間としても、いまだにヤンチャに走り続けることに心底敬服してしまいます。
「やっぱドリームシアター最高!新しいアルバムが出るだけで嬉しい!もっと来日してくれ!」
自分がリアルタイムでファンやり続けられる唯一のバンド。
え?信者?
光栄だこの野郎!
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