まずは動画
タッチコントロールの実験をしていた際、パワーアンプが面白い反応を見せた為、せっかくだから動画にしてみました。
横か斜め上かに弦を引っぱるようにし、終いに爪を当てるタッチ。
なんのことかよく分からないかと思いますが、要するに、音のピークが後から来るように弾いてみた次第。
ちなみに最後だけは弦を押しこみ気味に弾くようにし、一番最初に音のピークが来るように弾いています。
前者のタッチと後者のタッチで減衰が安定してるか不安定かという、そのあたりも意識してみるとなかなか興味深いものになるんじゃないかと。
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ど頭に最大の太さと強さを持ってくる
この動画の何が面白いのか?
その変な意識することにどんな意味があるのか?
まぁ、誰が見てもくだらない無意味な実験だと感じるのではないかと想像します。
しかし、本当に真面目な話、これは超重要な問題だとしか言いようがありません。
前者のようなピークが曖昧なタッチで弾く場合、かなり高い確率でグルーブにも音抜けにも悩むことになるでしょう。
たとえば言葉にしてみましょう。
「ビョ~~オオオオン・・」
「ドゥゥン」
この両者を比較した場合、音のイメージが違うことは明らかです。
今度はこれを歯切れよく聴かせるために音を短く切ってみましょう。
前者の場合、ど頭の音は「ビョ」です。
後者の場合は「ド」になります。
どちらが迫力あるように聴こえるか?
太い音かつタイトな響きにしやすいか?
言うまでもない話ですね。
アタックが貧弱だったり、音が細い場合、どんなにリズム感やらタイム感やらに優れていても、それを分かりやすく伝えることは厳しいです。
一番太い音、一番大きな音、それがかなり遅れてやってくるという、そんな致命的な問題を抱えているのでは、いつまで経っても解決の糸口は見つからないかもしれません。
「グルーブとは何か?」
こんな哲学を一生懸命練ったって意味がない。
8ビートの刻みなどにしても、言葉にすると全然イメージが異なります。
「ビヨビョビョビヨ・・」
「ドドドド!」
前者と後者だったらまぁ、自分は後者を理想にしたいですね。
かっこよく刻みたいのであれば、音の立ち上がりやアタックを明確にするのはもちろん、しっかり身のある低音、太い音が素早く高速に出てくるようにしたいところ。
手拍子にタイムラグがあったら気持ち悪い
以前にも記事にしたこの問題。
手拍子をしてみて音が後から来るとか、ゆっくり音が大きく太くなっていくとか、自分のベースの音がそうなってると考えてみてください。
キーボードやマウス、タッチパネルで1秒後に反応があるなんてイメージしてみるのもいいかもしれませんね。
そのタイムラグがある中で理想のポイントで鳴らすにようにする、ずれを矯正しながら弾くという、その違和感とストレスを想像すると恐ろしくなります。
・自分の音に常にディレイがかかっている状態
・しかも太く大きな音は後からやってくる設定
・自然現象だから外しようがない
どんなに良いベースを手に入れようが、アンプやエフェクターにこだわろうが、弾き方がおかしなままでは根本的な解決には至らないでしょう
呪いがかかったようなこの状態から抜け出すことはできない可能性が高い。
脅しのようですが、現実問題、前述の動画のようなタッチで弾いている人は意外なほど多いものではないかと感じます。
と言うか、自分がまさにそうでしたからね。
まともに発音できない、手拍子にすらならない、何から何まで貧弱でずれてるタッチ。
そりゃ悩みが尽きなくて当然だし、一生懸命考えても無駄。
そこを解消するためにいくら打撃音を強くしたって、ちゃんとした音程と太い音は遅れて聴こえてくるんだから、バンドでは抜けてこないし迫力も存在感もない。
前述の動画の場合、音のピークがやってくるのは1秒後ぐらいかな?
誇張でもなんでもなく致命的なタッチと言えるでしょう。
フィンガーランプでもハムバッカーでもタッチで音は変わります。
ちゃんと意識すれば立ち上がりは良くなるし、音も太くなる。
タッチが良くないというのは実に厄介極まりない問題です。
それでベース人生、音楽人生が決まってしまうとすら言えるんじゃないかと。
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だから縦振動のタッチで変わる・変える
ただでさえ音が遅れがちになってしまうのがベースという楽器の宿命。
・出音のど頭にピークを持ってくる
・一番最初に一番太い音を鳴らせるようにする
・低音が遅れず高速で立ち上がるようにする
これが実現できるようになるだけで世界は変わっちゃいます。
「ベースなんかどうでもいい」なんて認識に立ち向かう意味でも、ベースにおける様々な不利な面を現実的に解決する意味でも、縦振動のタッチの習得には物凄く大きな意味があると断言します。
遅れてくるピークとグルーブの美味しいポイントを合わせられるという、そんな超人的な人がいるのも確かですが、正直、その領域を目指すのは相当厳しいと言わざるを得ないでしょう。
リズムを良くしたい、グルーブするようになりたい、それを目指すのに手拍子の感覚とはあまりに異なるようなタッチで挑むのは現実的ではありません。
細い音、頼りない音、発音も曖昧で抜けてこない音、聴こえてこない音。
これでベースらしさを追及しようというのも厳しいとか言いようがない。
言葉にするだけでは縦振動のタッチは分かづらいものとして認識されるかもしれないけど、実際のところは本当、やるべきことをめちゃくちゃ分かりやすくする方法なんだと自分は考えます。
ピックやスラップでアタックを目立たせるにしても、ちゃんと実音を出して太い音にもしたいのであれば、その後の弦振動についてしっかり考慮すべきでしょう。
打音ばかりに気を取られていると、ハッタリ重視、見せかけだけの無機質な部分ばかりが目立つことになってしまいがち。
・弦が振動してこそ太く充実した音になる
・存在感のあるベースサウンドになる
・グルーブもしやすくなる
実にシンプルな話ですね。
やったもん勝ち、こんな美味しい話はありません。
タッチが良くなる分だけ、自分のプレイもサウンドも変わります。