音楽学校志望の学生とのセッション
2009年に某所で書いてた記事の編集版。
18歳少年とセッションした時の話をしたいと思います。
高校生ドラマーとポング
先日、友人の付き合いで軽くセッション、音楽学校志望の高校生のドラマーと演奏する機会があったのですが、これがちょっと参ってしまいました。
向こうから希望してきたセッション。しかしほぼ会話にならず意思の疎通もほとんどできないのが辛い。正直、一緒にいて結構しんどかったですね。申し訳ないけどイラついてしまうところがあったかなと。
その時のやり取りを簡単にまとめるとこんな感じ。
ポ「いつもどんな音楽を聴いてる?」
高「・・何でも聴きます・・・」
ポ「うん、じゃあその中でも好きなジャンルは?」
高「・・・・・・・・」
ポ「バンドとかプレイヤーだと誰が好き?」
高「・・・いや・・特に・・・」
ポ「・・いつからドラム始めたの?」
高「小4です。」
ポ「小4!そりゃ早ぇな!!」
ポ「じゃあ今までどんなのコピーしてきた?」
高「・・コピーはあまりしてません・・・」
ポ「・・バンドをやった事は?」
高「・・吹奏楽はやりましたが、バンドをやった事はありません・・・」
ポ「・・・ライブを観に行った事は?」
高「・・ほとんどありません・・・・」
ポ「・・・・・・・」
高「・・・・・・・・・・・」
と、こんな感じだった次第。
シャイで済ますにはちょっと厳しい
難しい年頃と考えれば分かりますし、自分もコミュ障系の人間である為、会話を弾ませるのが苦手な気持ちは理解できるつもりです。一回り近く上の人間と初対面なわけですから、萎縮しちゃうのも不思議ではない。礼儀がどうだの、人付き合いが~云々、グチグチ言う気もありません。と言うか、それができない方の人間だから別に気にしない。
困ったのは、音楽に関する会話にもほとんど乗ってこないこと。そこですらコミュニケーションを取れないのが辛かった。逆にこっちが気を使ってしまったような、悪いことをしてしまったような、微妙な気分と雰囲気だったなと。
だったらまぁ、
「好きなジャンル!?おぉ!ロックですよロック!!ポップとかジャズなんてクソです!!!」
こういうぐらいの奴の方が分かりやすい。例え下手くそだったとしても潔いし、ノリ一発で楽しく演奏もできたかもしれません。
陰気よりは元気な方が良い
来年から音楽学校に通うらしい彼。そこで本格的に修行を始めるとのこと。是非、良い指導者、仲間達にめぐり合って自信を付けて欲しいですね。
別に声が小さくても無愛想でもなんでも構いません。そんなもん勝手に変わっていくし、無理にすぐ変える必要もない。何年行くのかは分からないけど、せっかく学校行くんだから、ひたすら音楽に打ち込んでみてほしい。
少なくとも、
・好きなバンドもプレイヤーもジャンルもない
・ライブを観に行った事がない
・バンドもやった事がない
・ほとんどコピーをした事もない
・でもドラムは7年以上やってる
・でも何が好きかはよく分からない
こんな無関心な態度を見せるようなことはやってほしくないし、寂しいことを言うのもこれっきりにした方が良い。「内に秘めた闘志!」なんて言うとちょっとクサいようですが、でも大切なこと。そういうものを1mmも感じられなかったのが一番の残念ポイントだったわけですね。
下手でもいいしミスしてもいい。学生に器用に上手いことなんか求めても仕方ありません。くたびれたオッサン共が羨むような情熱、勢い、純粋さってのを見せつけてくれればたぶん、それだけでめちゃくちゃ魅力的。
変に行儀よくかしこまってるより直球勝負。
その方が周りも力を貸してくれるようになるはず。
未熟な学生にお上手なんか求めてない
これ、まんま自分が恩師に言われてきたことなのが面白い。
「お前らにお上手なんて求めてない」
「弦を撫でるのやめろ」
「綺麗に弾いてもなんにも面白くない」
「下手なんだからせめて元気に楽しく弾けよ」
何度言われたか、怒られたか、思い出してしまいました。今だからこそ、その気持ちも意味も分かります。なるほどって頷くしかありません。
「賢く無難に上手に」とかそんなことを教えたって面白くないし、そんなやつを見てたって何の印象にも残らない。勢い任せに思いっきり失敗するぐらいの方がワクワクします。
例え、見るからに根暗だったり、本当にそのまんま根暗であったとしても、内側に狂気を感じたり、危険なまでの情熱が溢れ出てる方がやっぱり惹かれますよね。
好きを持つべき 自信も持つべき
人には性格、相性があるのは当然のこと。どうやっても陰気なのを隠せない、克服できない人がいても不思議ではない。繰り返すようですが自分自身、間違いなくそういうタイプ。飲み会とかそういう付き合いも嫌いな方。コミュ障で暗いオタクとかの気持ちは分かります。
ただ、そういうオタクだったりするのであればこそ、
「これが好きだ!」
ってもんを秘めた方が良いと実感します。
何か一つぐらいハマってる世界を持ってるべきだし、無神経だろうがウザかろうが、それを相手に伝えられるべきなんじゃないかと。痛くて結構。気持ち悪くて結構。近寄りがたくて結構。されど一目置くに値する存在であれば絶対違います。同じ『暗い』にしてもそういう方が良い。
あの少年がどういう人間だったのか、それをたった一度で判断しようというのも安易で危険。しかし、その一期一会を大切にしなければいけないのも人の世の常。
だからこそ、
「これが好き!」
黙っててもこいつが伝わってくる、それを伝えられると強いですよね。
器用に上手けりゃいいのかってそんなわけはない。黙ってても相手は分かってくれるはずってやっぱりそんな甘いわけもない。それが出来るのは実力も人間力も備えた強者の話。十代なのに若さも意志も放棄とか悲しいからやってほしくない。
自信がない、否定されたくない、そんな想いがあるんだったら、それをひっくり返せる努力を積んで堂々と音を出せた方が良い。
感情は人を動かす
うざいお説教をしてるようですが、まぁ本当、そのまま自分にも突き刺さってしまうのが怖いですね。高校生ドラマーの彼の気持ちも態度も分かる、自分も通った道だけに良い勉強になりました。
反面教師と言っちゃったら言葉が悪いけど、やっちゃいけないこと、やるべきではないことってありますよね。根性論も精神論も嫌いだけど、何も伝えられない、魅力がないよりは、メチャクチャな音だろうが理屈だろうが相手にぶつけられる方が良い。
根拠なんてなくてもいいし、頭でっかちになるぐらいだったら、むしろ不要なぐらいでしょう。役に立たない哲学抱えてるより、何でもいいから一つぐらい自信を持っておくべき。
例えば自分だったら何が好きって言うか?
『ベースが好き』
絶対の自信があります。
一生楽しめる遊べる自信も完備。20年以上弾いてきたけど、まだまだこれからが本番だろって感じですね。ようやく面白くなってきたぜと。
眉間にしわ寄せ苦悩するのも分かるし、それが後で花開く可能性もあるけど、そこに行動も意志も伴ってないのでは、たぶんどうにもならない。だったら、テキトーに遊んでるぐらいの方がまだいい。少なくとも、人生も音楽も楽しめているはず。
同じ陰気にしても、そのまま消えてしまうような陰気より、ダークなパワー煮えたぎらせてる陰気の方が中身は面白い。人付き合い苦手で暗いくせに行動的とかわけ分からんやつがいたって良い。確かな意志、感情、行動があれば、少しずつ自信は付いていくはず。
まず一つ。
手に入れれば人生変わるし音も変わりますね。
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