【ベース談義】 太い音の出し方を考える (8) 弦高の調整・PUの高さなどについて

弦高の調整やPUなどのセットアップ

 

 

太い音を出したい

 

となると、弦高は上げることを考えるかと思います。実際、弦高を上げればそれだけ振幅を大きくすることが容易になるでしょう。

 

楽器本体にもより圧力がかかったり、ボディが鳴りやすくなって音も太くなるかもしれません。弦がフレットに当たるリスクも減りますし、バズなどの成分が減少すれば音の印象は変わります。

 

音が太く聴こえやすくなるのはもちろん、ベタベタな状態より振幅にも自由が利くようになり、タッチコントロールにも幅が生まれるはず。

 

弦高を上げるほどいい?

 

「生音だけを求めるのも疑問がある」という前回の話。弦高についてもやはり、ただ無闇に上げればいいかと言うとそうでもない印象。

 

単純に演奏が難しくなってくることもありますが、倍音構成がおかしくなったり、それだけ響きも悪くなったり、色々と弊害が出てきてしまう可能性があります。特に、弦が窮屈に折れ曲がるほどの状態の場合、ピッチに悪影響が出てきても何も不思議ではない。

 

ギター弦ならともかく、

 

「ベースの弦は太い!」

 

これを無視して同じように扱ってしまうのはかなり厳しい。とにかく弦高を上げる、裏通しにすれば良いという単純な話ではありません。

 

音が太ければ抜けもいい?

 

単体では良い音に聴こえるようでもバンドに入ったら聴こえなくなってしまう、音程感がなくなってしまうなど、よくあるそんな現象。原因は様々考えられますが、倍音の出方が悪いのもその一つなんじゃないかと想像。

 

太い音を求めるあまり、低い帯域の方にばかり気が行っていると、そんなことになりがちですね。そうなると太い音どころか、まったく存在感がなくなってしまう可能性もあるから難しいものです。

 

無闇なローのブーストが上手くいかないのも、このあたりのトータルを無視した音づくりが良くないことをあらわしているように感じます。

 

力任せに弾きたいから弦高を上げる?

 

弦高を上げて振幅を大きくできるということは、それだけ制御が難しくなることも意味しています。第二回の怒鳴り声についての話と同様、ただ力任せに弾いても音が太くなるとは限りません。

 

フレットに当たるリスクが減るどころか、振幅が大きすぎてかえってバズが発生しまう可能性があるし、フォームや押弦が甘ければなおさらですね。

 

「乱暴に弾きたいから弦高を上げる!」

「粗が目立たなくなって演奏が楽になる!」

 

こんなことでは、結果は大して変わらないかもしれません。それどころか前述のように、音抜けが悪くなるだけになってしまうことも考えられます。

 

現実問題、太い音が欲しいからとただ弦高を上げるだけではやはり、大きな効果は期待できないものでしょう。闇雲に楽器だけをいじっても、根本的な解決はなかなか難しそうです。

 

自分の弾き方と目的を理解する

  

セットアップによって劇的に弾きやすくなることは実際あります。それが重要になるのもまぎれもない事実でしょう。

 

しかし、それも結局、自分のタッチや目的用途をちゃんと理解しておかなければ、無駄な努力やただの遠回りになってしまう可能性が高くなる。極端に弦高が低いのはどうかと思いますが、一方、力自慢で無闇に上げるのもどうかと思う次第。

 

また、「音詰まりするから仕方なく弦高を上げる」なんて楽器にも疑問を抱く次第。大手楽器店の吊るしのものによくあるパターンですね。出荷状態そのまま、セットアップもせずただ放置。

 

低いにせよ高いにせよ、不本意だったり異常な弦高セッティングを必要とする場合というのは、何かがおかしくなってる証拠かもしれません。

 

弾き手の方にも楽器の方にも、なんらかの問題を抱えているサインかなと。

 

タッチを優先するセットアップ

 

自分がやっている弦高調整の方法。1弦のちょうどいい高さを見つけ、それをまず基準にします。そして、どの弦でも同じような張りと弾き心地を感じられるようなセッティングにしていきます。

 

この意識で調整をしていくと、必然的に高音弦側が低めになり、低音弦側の方は上がり気味になっていくはず。こうすることで非常にバランスが良くなり弾きやすくなります。低音弦に締まりが出るし、高音弦はスムーズに響くようになる。

 

もちろん、絶対に均一な弾き心地になるわけではありませんし、それであまりに極端なセッティングにするのは問題あり。楽器の特性やクオリティ含め、自分なりにベストなポイントを探っていくしかありません。

 

いずれにせよ、太い音を出したいと思うのであれば、左手の都合による過剰な低弦高など、安易な弾きやすさを優先するのは考えもの。

 

より良いタッチで弾けるよう、

 

『右手の感覚』

 

こちらを優先して調整するのがおすすめ。

 

また、低音弦の振幅の大きさについて考えてみても、高音弦より余裕を見るべきですし、そこを適正に調整するだけでも音は太くなります。

 

PUの高さの調整も忘れずに

 

弦高を上げるということは、それだけPUとの距離が離れることも意味しています。 せっかく良い声を持っていたとしても、的外れな位置にマイクがあるのでは台無し。弦高を上げて生音が太く大きくなった一方、アンプからの音は細く小さくなったとか、それではまったく意味がありません。

 

ただし、PUが近すぎても問題が発生するから難しい。弦振動が磁力に妨害されてしまうのでは本末転倒。露骨に音が詰まったり変なうねりが発生している状態は要注意。

 

これもやはり、ベストなポイントを自分で見極めていくべきでしょう。PUによって磁力や磁界が異なるのはもちろん、タッチへの反応も違ってきます。マニュアル的データ、数値に頼るのは悪手ですね。

 

しつこく繰り返すようですが我々が弾くのは、

 

エレクトリックベース

 

これを無視してはいきません。

 

電気を使用するならではの調整あってこその太く良い音。そこを見失っていては、理想の音にはたどりつけないでしょう。

 

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