オリンピックの解説を聞いてて
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オリンピック毎日見てましたが、いや~、マジで面白かったですね。
正直、細かいところは全然分からないことも多いですがとにかく熱い。
選手の情熱とかギリギリ感がヒシヒシと伝わってくる。
これぞまさに、
「理屈じゃない!」
ってヤツですね。
見てるだけでわくわくするものがあります。
でも、理屈としてちゃんと面白さや凄さを解説してくれる方がいるというのも、実は面白さのポイントなのかと感じるところ。
あれが有ると無いとでは印象もぜんぜん違ってしまうのかもしれない。
そこで思ったのは、
「音楽の実況解説は可能なのか?」
ということ。
で、試しにそれらしいノリで文字にしてみたくなった次第。
まぁ正直、悪ふざけのような感じになってはいますが、純粋な疑問と興味であるのも確か。
そんなわけで今回の題材は、
『Bill Evans』の【枯葉】
『Portrait in Jazz』
というアルベムに入っているスタンダードナンバー。
ジャズとジャズのベースにもまったく興味がなかった自分が衝撃を受けた一枚とテイクですね。
このアルバムは本当、ジャズの入り口としてもおすすめだし、頂点のひとつとして考えることもできそうですし、音楽好きなら必聴でしょう。
『ビル・エヴァンス』
『スコット・ラファロ』
『ポール・モチアン』
このトリオだったら「迷わず聴け!」って感じではないかと。
ジャズ実況解説に挑戦
ビルエバンスが今回弾くのは【Autumn Leaves】
邦題は『枯葉』ですね。
ジャズに馴染みがない人でもこの名前は聴いたことがあるんじゃないでしょうか?
それぐらいジャズの中でもスタンダードで誰もが通る曲です。
コード進行についてもジャズに限った話ではなく本当に王道で定番。
それだけにアレンジや実力が問われてくるところもであり・・
おっと、始まりました。
あ~、エバンス、イントロからしてもう自分のカラーを出してきましたね。
やっぱり、馬鹿正直にやっちゃうと平坦で退屈になりますからね~。
イントロでもう彼独自の枯葉を聴かせることに成功してますよ。
あ、テーマに入りました・・って、いや、ラファロが凄い!
ベースは普通、2ビートって言って1拍目と3拍目を無難に弾いたりするものなんですが、この人は違いますね。
もうほとんどメロディ弾いちゃってますよこれ。
メンバーとの信頼関係と絶対の自信がないと無理ですね本当。
「普通のベース弾け!」って怒られます。
並のプレイヤーじゃ大体その通りでグダグダになります。
ここで4ビートになりましたね。
さすがのラファロもきっちり弾いてます。
ただ、普通に弾いてるようでも彼は他のベースとはちょっと違うことをやるんですよ。
ベースって1拍目にコードの元になる音を弾くのが定番なんです。
これを一度の音って覚えておいてください。
でも彼は三度の音でスタートしたり凄く自由に弾くんです。
コーダルじゃなくてモーダルですね。
これは他の奏者から「やりづらい!」ってクレームが出るリスクがあるんですが、エバンスはそれを理解した上で好きにやらせてるんでしょうね。
いや、なかなかできることじゃないんですよ、これは。
あ、ラファロのソロになりましたね・・・って!一人かぁ~!
これは辛い!怖い!!
も~、ベースだけにされるって本当にやばいんですよ!
リズムが無くなっちゃったり何の曲か分からなくなっちゃう!
びびっちゃって単純な4分音符とか弾いちゃったりもするんですが、いやぁ・・・ラファロは違うなぁ・・・こんなに堂々と自由に弾けるんだなぁ・・・
おっと、ここでエバンスも入ってきましたね。
ちょっと聴いてみましょう。
・・・・これはもう・・対話ですね・・・・!
う~ん、あのビルエバンスと対等に話せるベースとかどうなってんだ・・?
しかもこれ、分かりやすいリズムを刻まず、でも、キープしたままやってるんですよ!?
ほんとにやばいですね・・・!!
また、エバンスのラファロへの絡みが凄い・・・!
ベース主役にしてピアノで対話しながら引き立たせてる!
これはなかなかできることじゃない!
後、忘れちゃいけないのがドラムのポールモチアン。
リズム刻んでいませんがこれでいいんです。
これが後で活きるんです。
あ、ラファロのソロ終わりそうですね、今度はエバンスのソロだ。
ここでドラムのモチアンも完全に戻ってきましたね。
これ、彼も凄いんですよ?
二人の演奏を淡々と見守ってほとんど手を出さなかったでしょ?
でもあれでいいんです。手抜きじゃないんです。
二人が盛り上がってきたからってドラムまでイケイケになっちゃったらあの雰囲気と緊張感が台無しなんですよ。
待って待って耐えて耐えて、エバンスのソロと一緒にドンと来る!
これでメリハリがついてまた一気に引き込むことができますね。
ほら、ラファロも今度は「1!2!3!4!」ってしっかり弾いてるでしょ?
もう小細工なしの直球勝負ですね。
主役は完全にエバンス。
それを淡々とかつ熱く支えてるんです。
あ、でもやっぱり、時々入れちゃってますね。
これも彼らしいところだな~。
それにしてもエバンスのピアノやばい!これちょっと凄いですよ!?
もうまた黙っちゃいましょう!!
・・・エバンスって分かりやすく熱血って感じじゃないんです。
淡々と青白く燃え上がっていく、それが芸術的で感動する。
ジャズのピアニストって弾きながらダバダバ歌い出しちゃったり、うめき声みたいなのを出すのも珍しくないんですが、それまったくやってないですね。
見苦しさがぜんぜんない。すごく綺麗。でも冷たいんじゃなくて熱い。
いや、緊張感と盛り上がりすごい!
インタープレイですよこれが!まさに!
全員が対話してます!加速してます!戦ってます!
いや!ちょっともう言葉にならないぞこれ!!
一体どこまで行くんだ!?
あ!・・・と、ここでまたエバンスとラファロの二人になりましたね。
この二人、どこまで楽器で対話するんだ~?えぇ?
しかしモチアンの反応も凄い!即座にやるべきことを理解してますねこれは。
ここでドラムが鳴りっぱなしじゃこうはならない。
リズムがはっきり分かっちゃ緊張感が出ない。
このヒリヒリした空気が堪らないなぁ~。
おぉ、ようやくテーマですよ。戻ってきました。
ラファロも普通に・・ってやっぱりらしさ入れてますね。
エバンスも枯葉だけど枯葉じゃなくしちゃってます。
もう芸術です。芸術を完成させようとしてる。
いやぁ、でも何かもう・・・安心しちゃいますよね!
エンディングが近いのは寂しいけどこっちの身が持たないです!
・・あぁ・・終わるなぁ・・・
・・・終わる・・・凄かった・・・
あ、でも、意外と明るく締めましたね。爽やかだ。
いや!凄かったです!感動!感無量!
これ、歴史に残るんじゃないですか!?
だってちょっと尋常じゃなかったですよ!?
こんなの聴いたことない!!
え!? これ6分!? 5分!?
すげぇ!! やべぇ!!
はい、ありがとうございました~。
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所要時間1時間
はい、この実況解説を書くのに1時間かかりました。
何回も聴き直して考えて書き直したという。
極力修正なしでやろうと思ってもこれぐらいかかってしまう。
ま~、自分じゃまず実況不可能ですね。
本気でやるならさらに何倍もの言葉の数が必要だし語集力もないと無理。
でもマジな話、肉声でこんなのができる人いたら楽しそうです。
相当うざいとも思いますが、ありがたくもあるんじゃないかと。
しかも初見ぶっつけでやれたら超とんでもない話。
どんだけ音楽知り尽くしてんだってびびります。
悪ふざけのようですが、ジャズが難しいとか音楽分からないとか、そういう人も惹き込めるような実況とか解説ができたらそれは素晴らしいことだし、面白い可能性もあるかもしれませんよね。
オリンピック見てたら本当にそれを思いました。
知らない競技とか最初は「何やってんのこれ?意味分かんないよ?」となるのがこちら側。
それを短時間で理解させて手に汗握るような状態にまで持っていくんだから、半端じゃありません。
もちろんそれは、選手の素晴らしい活躍あってのものでもありますし、そこにこそ感動するわけですが、それにしたって、伝えたいことを凝縮して伝えるあの力と言葉というものに心底驚かされます。
その情熱と想いに感動。
あれじゃ嫌でも盛り上がります!
いや、オリンピック面白かった!
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