5弦ベース選び
弦の数関係なく基本的には同じ
変化球を求めるよりは直球勝負で行くのがまずは正解でしょう。
豪華スペックで高いからと良いとは限りません。どんなに良い材料を集めても、そもそもの設計がめちゃくちゃなのでは意味がない。 素晴らしい仕上がりだったとしても、実用外な重量なのでは厳しい。
これは4弦でも6弦でも同様ですね。
まずは現実的に使えることを重視すべき。
ジャズベースかそれ以外
4弦と大差ないシェイプやサイズ、同じ傾向、方向性で作られた楽器が沢山あるのが5弦ベースの世界。その意味では、6弦とベース大きく異なる面がある世界だと言えます。また、プレベが選択肢にあまり意味ない点から、
『ジャズベース or 他』
こういう感じに選択肢が絞られてくるとも考えられそうかなと。
5弦の構造上、PBタイプのPUの製作は難しくなってしまう為、その時点で楽器のタイプもより絞られていくことを意味していると感じます。一応、5弦のプレベも作られてはいますが、正直、スタンダードな存在ではない印象が強い。
フェンダースタイルからプレベが消えるという一大事が起こり、PJスタイルもほぼ無くなってしまう。つまりは必然的に、ジャズベスタイルの勢力がより強大になってしまうわけですね。言いかえれば、それだけフェンダーの影響力、特にジャズベースによる影響が色濃いままなのが5弦の世界とも考えられそうです。
変な色気を出さなければ、失敗する可能性がそれだけ減るとも言えるかも?
4弦と大差ない使い心地と音色だと楽
大体の場合、ローB弦を張って低音域を拡張するものでしょう。と言うことは、より4弦からの持ち替えに違和感がない方が好ましいかなと。6弦の場合、どうしても別物感があるのが現実。それを受け入れてこそって面もあるわけです。
一方、5弦に関しては、よりスタンダードな方向性が求められる面ある印象。多くの人が4弦とは大差ないものを求めたり、その感覚を重視しているのではないかとも想像。
確かにまったくの別物を1から求めるよりは、4弦の時点で相性の良い仕様を5弦にも適用した方が馴染みはいいですよね。新しいものを求める冒険や無茶をしないのであれば、5弦選びはそこまで大変なものでもなくなるかもしれません。
それこそジャズベースであれば、選択肢も豊富に存在します。
定番はやっぱり安心
フェンダースタイルのままの6弦化はなかなか厳しい面があるのが正直な印象。
「完璧なヴィンテージサウンドの6弦!」
なんてものを求めても高確率で失敗するかと思いますし、それを求める人もあまりいなんじゃないかと想像します。フェンダーの楽器というのはその欠点なども含めて楽器として完成され、定着もしすぎてしまっているように思いますね。
その為、6弦の場合はローBにしてもハイCにしても、
『ジャズベースらしさ』
みたいなのがあまり求められていないか、むしろ、そこから離れたくなる面があるかなと。
一方、5弦であればスタンダードなベースの感覚を保つことはまだ可能であり、違和感のない仕上がりにするのも6弦よりは遥かに現実的。構造的にもそこまで無茶な要求をせずに済みますし、ちゃんとしたところで作られたものであれば、楽器として破綻なくまとまっているはず。
何度も繰り返すようですが、しっかり作られたジャズベタイプであれば、まったく使いものにならないということはほぼ無いだろうと考えます。
ローB弦がちゃんと使えるものを選ぶ
最近はそこまでいい加減なものは出回っていないかと思う一方、依然としてプレイヤーに対して無神経なものも残っているのだろうなと想像。
「弦一本増やせばいいんだろ?」
「スケール伸ばしゃ張りが出るんだろ?」
「ベースって低音が出てりゃいいんでしょ?」
みたいな感じで作られたものは駄目ですね。
『4弦+弦1本』
これじゃ駄目なんです。
『欲しいのは5弦』
ここを理解しておかないと酷い目に遭います。
・ローB弦だけに気を取られて他の弦との繋がりが悪くなるんじゃ意味がない
・楽器として根本的に響きがおかしくバンドに馴染まないんじゃ実用的じゃない
・5弦=特殊な楽器、特別でなければいけないと考えるのはずれている
こういった点に気を付けた方が良いでしょう。
スケールに関係なく、ローB弦をタイトに鳴らして違和感なく鳴らすのは非常に難しい。少なくとも、音程感が全然ないとか、指に鬱陶しく絡みついてくるような張りのないものはやめた方が無難です。弾き手の感覚がまったく分かってないと思われます。
そもそもの話、
「4弦は最悪・・」
「でも5弦は最高!」
こんなことあるはずがないですよね。
スケール云々に関係なく良い楽器を作れるかどうか、それを見極めることが重要。根本的な部分をちゃんと判断すべき。ジャズベタイプでも何でもやはり、5弦で生き残っているものはそれだけの研究がされている印象を受けます。
34インチでスタンダードスペックであろうと、ちゃんと作られたものはちゃんと使えます。
スラップが好きなら妥協しない
6弦の方とは打って変わり、ここは妥協しない方が良い結果になるでしょう。特にフェンダースタイルにこだわりがある場合、変に欲張って24フレットとかにするより20~21フレットのままで行く方が絶対に正解。
ジャズベスタイルの24フレットなんてのも確かにありますが、個人的には別物だと認識しています。「スタイルによる」と言ってしまえばそれもそうだけど、スラップして気持ちいいかどうかは判断基準として使えるんですよね。
5弦で気持ちいいスラップサウンドが出せるのであれば、その時点でかなりレベル高く仕上がった楽器であると言えると感じます。ローBを叩いても違和感がないってのは結構すごいこと。それだけでもなかなかのクオリティって証明になりますし、それで他の弦ともちゃんと音が繋がってくれるのであれば理想的。
パンチのある音を求めているのにアタックがなまっちゃうとか、締まりがなくボヨンボヨンしてるとかそういうものには要注意。アクティブだからと言っても高域が気持ちよく出てきてくるとは限りません。「ビシッ!」とタイトに決まって抜けてきてくれないと気持ち悪い。
柔らかさや上品なまとまりばかりを求めるのではなく、
『 暴れ 』
こういった楽器らしい要素もあってくれた方が面白いし、バンドでも強いはず。はなから音が引っこんじゃってるのを買ってしまうと大変です。困ったことに多弦はそういうのが多いんですよね。
・根本的に元気がない
・なまって抜けてこない
・鈍臭くてつまらない
こういう傾向を感じる5弦には要注意と言えます。
4弦が超好きなら別の方向性の楽器を選ぶ
前述の流れをひっくり返すようですが、究極に気に入った4弦を持ってるとか、どうしても5弦に馴染めないなんて場合、完全別仕様にしてしまった方が使い分けの意味でも楽でしょう。
たとえばの話、ヴィンテージな方向を求めるのであれば5弦であろうと6弦であろうと、オールドそのものを求めることは不可能なわけです。どんなに素晴らしい仕上がりであっても、経年変化についてはどうにもなりません。誕生から50年以上も経っていたり、それだけ弾きこまれてきた個体を求めることも無理。
だったらそれはそれに任せ、こっちは別のものにする。その方が潔くて正解なんじゃないかと。製作側もそのあたりが分かっているからか、めちゃくちゃ渋い仕様のパッシブ5弦とかはあまり作っていなかったりしますよね。需要がないって面も当然あるとは思いますが、それ以上に楽器として製作が難しいのかと思います。
完全コピーであり最高のオリジナルでもあるという矛盾。そこに挑戦する人はほとんどいないのかもしれません。いたとしても、そんなに成功しなかったんだろうなと想像する次第。
最高に良いヴィンテージ4弦が欲しいなら、それそのものを手に入れた方が早い。それを変に5弦に求めたりすると話がこじれていってしまったり、失敗する可能性も上がってしまう。
ハイC弦仕様がメインならそれに合った楽器にする
とりあえずはジャズベースが無難だという方向での話をしていますが、それが通用しなくなる印象が強いのがハイC弦仕様の5弦の世界。
フェンダーそのまんまな場合、いまいちピンと来なくなると言うか、別な方向性を求めたりアレンジした方が正解な印象があります。ハイC弦の音が露骨に小さく細くなったり、パンチも存在感も全然ないとか、楽器としてあまり相性が良くない面があると自分は感じるところ。
そういった事態を避けるためにもそこに特化した仕様を意識したり、セッティングも詰めていった方が良いでしょう。弦高についてもそうですし、ナットも専用に作り直すなど、ちゃんとそういったセットアップをやり直した方が賢明ですね。『4+1』にならないよう、トータルで優れた楽器にすることがやはり重要。
下手をすると、全ての弦の音がおかしくなる可能性があるから怖い。あらゆる点で馴染みが悪く、まったく使い物にならない楽器になってしまう可能性もあります。
まとめ・雑談
「ジャズベース」と一口に言っても、5弦の世界における全体的な傾向としては、ヴィンテージよりはモダンな方向性を求める印象が強いかと感じるところ。ヴィンテージフェンダーそのまま行くというより、実用的・現代的な楽器作りをしているブランドの方が多いかなと。
代表格としてはサドウスキーとかアトリエあたりですかね?実際、使用している人も多いはずですし、意外とフェンダーそのものには行かないものなんだなって印象があったりします。
最近は本当、そこまで高価でなくてもかなり良いものを手に入れられる状況になってますし、変な見栄でもない限りは無難に済ますこともできるはず。
そういう意味で言うと、
『つまらない欲』
これを捨てられるどうか、それが実用的な多弦を手に入れるためのコツとも言えるかもしれませんね。人が使ってないからって変なものに手を出してしまうと、そのまま変な音が出るだけ、変な楽器で目立とうとしているだけって感じで終わることにもなりかねません。
その点あれです、
「他にない珍しい形!」
「使ってるやつが少ない!」
「俺なら鳴らせる!」
こういう見栄や欲にも応えてくれる存在、ユーザーである自分が口を開くのであればこれはもう、具体的にはジラウドをおすすめするしかありません。
超絶スラップサウンド、渋いパッシブサウンド、好みに応じてなんでも活躍。見栄云々だけではなく、フェンダーを基本とした実用性も文句なし。4弦のただの拡張版という安易なものではなく、5弦は5弦で別の楽器としてめちゃくちゃこだわって作ってますから、ちょっと次元が違うって感じ。
同社のフーリエシリーズであれば、3kg台の軽量個体も多いのも魅力ですね。それに似合わぬ強烈なサウンドも実現してくれる為、「絶対にジャズベースの形がいい!」なんてことでもなければ超おすすめ。
一方、ジラウドは24フレットモデルの製造はしていないので、そこはちょっと難しい。それが必須という人にとっては、条件から外れてしまいます。ただ、そこに確固たるこだわりがないのであれば、基本的に24フレットは自分はおすすめしません。
正直、フレットが多いってそれだけで音が痩せる印象が強い為、「何となく・・?」で選ぶのではなく、ちゃんと理由を持って選んだ方が絶対に正解だと考えます。上記の『つまらない欲』の話ではありませんが、そのあたりの目的用途と好みがはっきりしないのはかなりの痛手です。
これはやはり、楽器選びにおいて何より大切なポイントですね。ここを人任せにしてしまうのは大問題。
「高いから良いだろう・・・」
「色々ついてるから便利なはず・・」
「きっと何でもできるだろう・・」
「あの人が弾いてるんだし・・」
みたいな自信も確信もない楽器選びは、それだけ失敗する確率も高い。音域を拡張するからこそ、好みのポイントや好きな音のノリは絶対に把握しておくべきですね。それを持った楽器に出会えない限り、何を弾いてもピンと来ないものかもしれません。
あまり使いたくない言葉ですが最終的にはやはり、
『直感』
これを信じるか、鍛えていくしかありません。
その意味でも、
「とりあえずこれ!」
こう言えるフレーズを用意してから試すのもおすすめ。それを試して全然だめなら何をやっても無駄でしょう。100万円しようが何だろうが関係ありません。合わないものは合わないし、無理して使う必要もない。
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