JOHN MYUNGと6弦ベースの魅力を語る

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Six Degrees of Inner Turbulence

 

JOHN MYUNG あくまでも控え目なそのスタイル

 

6弦ベースを用いて超絶技巧を駆使するジョン・マイアング。それでいてバンドや曲中における印象は一歩下がったポジションにいるのが凄い。

 

動くフレーズを必要としていない時は驚くほどシンプルに徹します。ルートで4分音符を淡々と刻むだけなんてのも当然のごとく。あれだけの技術を持ちながら、一歩下がるどころではありません。さらに二歩も三歩も下がることができるのがこの人。なかなか真似できる姿勢ではありません。

  

「そこまで主張しない!?」

 

ってぐらい後ろにも下がれるから凄い。

 

しかし、そうやってマイアングがしっかりボトムを支え、たっぷりスペースを用意してくれるからこそ、バンドメンバーが遠慮なく弾ける面が絶対あるはず。これもドリームシアターとならではの魅力の一つですね。シンプルに徹する場面が逆に印象的にもなるのだから面白い。派手なところばかりが注目されがちな彼らですが、そういったアレンジや展開の妙も聴きどころでしょう。

 

特にマイアングに関して言えばまさにこれ。

 

『能ある鷹は爪を隠す』

 

空気や水のように重要な存在である一方、時には牙を向いて前面で主張。印象的な旋律を奏でて魅了するという、そりゃファンも多いわってうなずけます。こういう姿勢ってのは日本人的には痺れるポイントかもしれませんよね。自分にとっても中学時代からの憧れですねこの人は。

 

プレイスタイルだけでなく、音楽に対するそのストイックさなど、見習うべき点が多すぎます。

 

ドリームシアター・二枚組の大作

 

大作志向の彼らが二枚組で出した強烈な作品。

 

『Six Degrees of Inner Turbulence』

 

2枚目の方のタイトル同名曲に関しては、40分を超える組曲というのがまた強力。

 

一応、トラックが分かれてはいますが、ライブDVDの方だとそのまま一曲扱いという凄まじさ。全編を通して聴こうと思ったら、それなりの消耗も強いられることになるかもしれません。それだけに聴き終わった際のカタルシスたるや半端ではない。

 

まさに、

 

「浄化される」

 

って感じ。

 

自分の場合、きつい仕事がやっと終わりそうな時など、最後の【 Losing Time / Grand Finale】のイントロが頭の中で流れる癖が付いてしまいました。

 

「あぁ・・終わる・・」

「安息が訪れる・・・」

 

そんな思いと共にあの壮大なテーマが流れ、一日の終わりを告げてくれます。

 

The Glass Prison

 

大作でもあり実験的でもあるこのアルバム。この意味深で重々しいタイトルの曲からその幕を開けます。もうその名からしていかにもな感じですが、曲調も展開もまさにその通り。終始シリアスでヘヴィな窒息感がたまりません。「ほっ」とする場所がほとんど存在しない、攻撃的で混沌とした世界に息をのみます。

 

そんなインパクト絶大なこの曲もマイアングの6弦ベースならではのプレイからスタートするのだから面白い。その音だけ聴くとギターにも聴こえそうですが、紛れもなくマイアングが生み出しているサウンド。一応、5弦ベースでもやれないことはないけれど、ハーモニクスとの関係やハイC弦の響きなどを考えるとやはり、6弦で弾いた方がより印象的な曲になるでしょう。

 

大作のオープニングをベースが務めるという、その意味でも6弦ベースによる存在感が抜群に生きる美味しいフレーズ。このアルバムを手に入れた際、速攻でコピーしたのを思い出します。

 

Blind Faith

 

グラスプリズン同様、2曲目でも印象的なイントロを弾いているのが面白い。

 

特に難しいフレーズではないのですが開放弦を使用したプレイだけに、他の楽器で真似をすることは困難。これまた4~5弦ではそれらしさが出なかったり、ギターの領域に足を踏み入れた6弦ならではのサウンドが魅力的。

 

さすがにグラスプリズンが濃密すぎたのか、この曲はゆったりとした印象が強いかもしれません。とは言え、インストパートはきっちりあったり、ハードなサウンドも楽しめます。

 

まぁ、この曲で安心するというのも感覚が狂っていると言えばそんな気はしますが、いずれにせよ、ドリームシアターにとっては箸休め的存在みたいに感じちゃうかも?

 

The Great Debate

 

全曲解説するとキリがない為、1曲飛ばして4曲目。またまたマイアングのプレイがイントロの主要を務めることに。ただ、今回はギター的なプレイとは異なり、淡々とヘヴィに刻みながら曲が進行していきます。もうこの時点でシリアスな曲であることが分かるわけですね。

 

とは言え、超テクニカルなゴリ押しではなく、展開で聴かせるタイプと言うか、これもまたドリームシアターらしいところではないかと。サビは意外とキャッチーだったり、疾走感があって分かりやすい。このあたりも彼らならではの魅力と醍醐味。

 

詳細は省きますが、この次の【Disappear】が超絶に陰鬱な曲なので、その対比と流れがまた絶妙。この曲の無力感・絶望感たるや、もはや言葉になりません。ずっと聴いてると生きる気力を失いそうです。

 

The Test That Stumped Them All

 

ちょっと飛ばして、今度は2枚目の4曲目。組曲である為、4曲目と言うのも本当はちょっと違いそうですが、いずれにせよ、らしさ全開のイントロを聴くことができます。

 

いきなりきっついユニゾンからスタートするこの曲。これまたなんとも複雑怪奇、ヘヴィで高難易度。普通にバッキングするだけでも大変なこと間違いなし。

 

しかも最後の最後、そのきついイントロをはるかに超える速度のユニゾンを叩き付けられるという恐ろしさ。6弦ベースの全音域を正確無比に使いこなせないと攻略は不可能かもしれません。

 

マイアング流の世界観作り・イントロ作り

 

他のアルバムでも確認できますが、マイアングはこういったイントロづくりやインパクトづくりなど、世界観の構築に本当に優れているのが素晴らしい。技巧的な側面が注目されがちですが、彼のプレイによって曲の方向性が決定づけられるであろう場面が意外なぐらいに多い。

 

高音弦ばかりを高速に弾いたり、ただ単に綺麗にコードを鳴らすというだけではありません。ハーモニクスも積極的に取り入れ、開放弦も巧みに鳴らし、より厚みのある印象的なフレーズを作り上げています。ハーモニクスに関しては完全にジャコの影響を感じますね。

 

それを裏付けるように昨年のツアーのソロタイムではなんと、

 

【Portrait of Tracy】

 

ジャコのあの曲を披露したり、その研究に余念がないことが伺えます。

 

ドリームシアターの成功ぶりを考えてみても、「速く弾けて難しいことができて」という範疇に留まるプレイヤーではないことがよく分かるところ。様々なジャンルとプレイヤーから影響を受け、それを自分流に消化し音楽的に昇華している希有なミュージシャンと言えるでしょう。

 

また今後も彼の魅力について語っていきたい次第。

 

AWAKE

 

ドリームシアターのコピー初挑戦

 

始めて聞いたのが15歳ぐらいの時だったかな?実と言うと、その頃は良さがまったく分からなかったアルバム。前作の方が圧倒的に聴きやすく華やかで好きだった為、重々しくマニアックな雰囲気のこの作品は微妙にしか感じませんでした。

 

ところが何でしょう?聴けば聴くほど不思議な魅力があって面白い。しまいにはこっちの方が好きになってしまい毎日聴くように。そしてコピーをするにまでいたってしまったという。

 

友人と小遣いを出し合い、譜面を買ったのを思い出しますね。

 

「ド、ドリームシアターだぜ?」

「できるのか?大丈夫なのか?」

 

なんてお互いにびびりながらも、

 

「上手くなりたい!」

 

この思いと憧れの方が遥かに上回り、挑戦を決意するのでした。

 

6弦ベースに目覚めたアルバム

 

聴いていた当初は特に意識していなかったのですが、コピーしていくと明らかにおかしい部分があるのが分かるんですよね。

 

「あれ?何か違わなくね?」

「え?何これこの音?」

どうすんの?」

 

本気で困惑しました。当然っちゃ当然なんですが、タブ譜は4弦用にしか書かれていなかった為(現行は分かりません)、どうもサウンドしてないことに気付くわけです。

 

6弦ベースの存在自体に関して言えば、ブルーマーダーのマルコ・メンドーサを先に知ってはいたり、そういう楽器があることも把握していました。マイアングがそれを弾いていることも理解していたつもりです。しかし、ベースだけでなくギターまで多弦なのが実に難儀。ローB弦を積極的に使用して曲をつくるなんてことはまったく想定していなかった為、それで本当に困り果てましたね。

 

メインのリフや刻みをオクターブ上にして弾くとか、もうそれだけで完全な別物になっちゃうわけです。4弦じゃ格好悪いし、良い感じに代用もできないのが凄く辛い。7弦ギターと6弦ベースを駆使するという、その時点でコピーが詰んでいたから恐ろしい。このアルバムの発表が94年ですから、 20年以上も前にこんなことをやっていたのかと考えると、ま~ほんと、とんでもない話です。

 

また、ただのハードロックやメタルとは異なる世界観とサウンドの構築にマイアングがどれだけ貢献しているか、今だからこそあらためて感じるものもあります。この世界に6弦ベースを持ちこんで全開で活かすという新しさ。その挑戦精神にも感服する次第。歴史をたどれば、アル・ディ・メオラのバンドとアンソニー・ジャクソンの存在などもありはします。あれも超強力なバンドなのでおすすめ。

 

一方、メタルの世界で6弦ベースを違和感なく弾いていた元祖はやはり、

 

『ジョン・マイアング』

 

この人なんじゃないかと。地味で控え目な印象が強いですが、十二分なほどに野心家と言えるかもしれません。

 

Caught in a Web

 

一曲目の【6:00】は4弦でもまだ何とかなった方。完全に挫折したのはこの二曲目。とりあえず、ローB弦がないとお話になりません。前述の通り、ヘヴィに弾きたいのにオクターブ上でやらないといけないとか、そりゃないよって話。

 

ユニゾンパートも華やかなものではなく、重く複雑で淡々とシリアス。そのダークでヘヴィな雰囲気が命なのに、それが自分の楽器では出せないというのがショックで仕方なかった。

 

このアルバムにハマっていた高校生当時、憧れだったワーウィックを20万円出して買っていたのですが、それがいきなり戦力外通告を受けるわけです。もうほんとあの絶望感たるや、ある種のトラウマとすら言えますね。

 

Innocence Faded

 

ある意味、非常にマイアングらしさが出ているのがこの三曲目。派手な見せ場などはありませんが、独特の間を活かしたプレイが何ともらしい。しかし、これまた厄介なのがローB弦の存在。一応、なくても弾けることは弾けるんですが、やっぱり雰囲気が出ないんですよね。

 

このあたりについては、7・8曲目の【The Mirror】【 Lie 】なんか特にそうですね。思いっきりローB弦がメインのリフなので、これをオクターブ上でやるともう泣けてきます。まったくそれらしくならない。あまりに格好悪いのでやる気も起きません。 

 

ローB弦の支配力、影響力というのを思い知ります。

 

Erotomania

 

記念すべきドリームシアターの初コピー曲が実はこれ。完全インストであり、変拍子もバリバリだったり、当時は一番の難曲だと認識していましたね。

 

まぁほんと、

 

「あえて挑戦しよう!」

「弾ければ怖い物なし!」

「不可能はなくなる!」

 

こんな意気込みで開始したのを今でも覚えています。4弦でも何とか形になる曲ですし、展開も複雑でかっこいい。

 

問題を挙げるとするならば、本当に終わりも終わりのアウトロですかね。ここで6弦ベースならではと言うか、ハイC弦を使用する華麗なフレーズが出てきます。

 

一応、24フレットの4弦ならできるところでもあるのですが、いまいち良い感じにならない、自然に繋がらないんですよね。ギターっぽくしたいのにベース感が強く出てしまうのもいまいちですし、このへんやはり、6弦ベースならではのサウンドと表現力というのが羨ましくなるポイント。

 

マイアングという人は裏方に徹するようなイメージがある一方、随所にこういうフレーズを入れてくるんですよね。それがまた実に美味しい。良いとこをかっさらっていくわけです。

 

Voices

 

そのマイアングによるギター的フレーズからの流れのまま始まるのが5曲目。別の曲扱いではあるけれど、組曲として繋がっています。

 

メインのリフになるフレーズをハイC弦の高音域で弾くのですが、これがまた印象的。歪まさずにクリーンなサウンドな分、静寂で怪しくもあり、ベースによって一気に世界観が構築されるのが素晴らしい。こういう演出が本当に上手いですよね。他のバンドとの差別化という意味もありそうですが、マイアングメインだったり単独から始まるイントロが多いのもうなずけます。

 

この曲自体は4弦でもそれほど違和感はないので、コピーするにもその点は安心かもしれませんね。難易度もまだ数段マシな方だと思いますし、ドリームシアターのコピーを始めるなら結構おすすめ。

 

Lifting Shadows Off A Dream

 

これぞまさに6弦ベース弦ならでは。マイアングならではの曲ですね。イントロは完全にマイアングオンリー。しかも6弦がないと弾けないフレーズで始まります。

 

と言っても、テクニカルで派手なのではないから面白い。ものすごく淡々として静寂感が強い曲なのがポイント。ローB弦の開放と高音弦のハーモニクスが中心のプレイ。これがまた独特で非常に良い感じ。

 

曲も実にダークな雰囲気で音数も少なに淡々と進行。マイアングの音数もこれでもかってぐらいに減らしていて逆に驚かされます。でも本当、音数が少ないからこそ、ローB弦の存在感がものすごく出てるんですよね。その深く沈みこむサウンドが一層、この曲を引き立てます。

 

素晴らしく「重い」

 

そしてその重さと打って変わり、希望の光が差し込んでくるようなサビが実に素晴らしい。後半の盛り上がりと相まって実に印象的で感動的。ほぼ音数を弾かなかったマイアングも4分音符と8分音符を刻み始めるのですが、それがまた良い。なんの変哲もない刻みなんだけれど、それまで思いっきり音を伸ばすパートが多かっただけに効果絶大。

 

そしてアウトロ、マイアングがイントロと同じパターンで静けさを取り戻し、余韻を残しながら淡々と終わっていくのがまた美しい。ドリームシアターの中でも屈指の地味な曲だとは思いますが、これ、好きなんですよね~。こういう曲がマイアングオンリーから始まるのがまたユニークで魅力的。

 

超絶技巧のイメージが強い彼らだけれども、こういった世界観も表現できるからこそ、ただのテニクカル集団とは一線を画すのでしょう。複雑でハードな曲があるからこそ、より強く惹き込まれてしまいます。

 

Scarred

 

これまたマイアングが起点になるイントロから開始。しかもタッピングによるフレーズ。で、面白いことに、これまた凄く淡々としています。 タッピングとはいえ派手でもなんでもなく、ただ和音を単純に鳴らしているだけ。それが実に印象的になるから面白い。

 

イントロでメインになるのはジョン・ペトルーシのギターソロ。一方、曲の雰囲気と印象をまずつくっているのはマイアングとドラムのマイク・ポートノイ。このドラムとベースが実に淡々としているのですが、非常~にシリアスで重々しい雰囲気が出ていて素晴らしい。

 

この曲は一応、4弦でも行けると思いますし、不可能というほどの違和感はないかもしれません。タッピングの入門的な意味でもおすすめですね。本当はハイC弦も使ってローB弦も折り混ぜたいところなんですが、無いものは仕方ないですし、そこを工夫するのも面白いところ。

 

ちょっと長めなので大変ではあるkれど、ベースに関してはそこまで超絶テクニカルな動きが求められるわけでもない為、曲を覚えてしまえば何とかいけるはず。展開が複雑な一方、ダークで淡々ともしていたり、実にこのアルバムらしい存在だと感じます。

 

ラストは超絶鬱曲 Space-Dye Vest

 

キーボードのケヴィン・ムーアのその傷心と脱退。それを印象・決定付けるのがラストのこの曲。最初から最後まで絶望感と無力感に満ちた世界が繰り広げられます。テクニカルなところもないし、ベース的にも特にこれと言って注目する点はありません。

 

・聴いてるだけで憂鬱になる

・思考が麻痺する

・力が入らなくなる

 

そんな曲ですね。

その強烈なトラウマの植え付けたるや半端ではない。

 

アルバム自体がダークな雰囲気で長いというのもありますが、その最後に待ってるのがさらに輪をかけて絶望的な曲ですからね。落ちこんでいる時などにはあまり聴かない方がいい、精神的に危険になる、そんな印象すらあります。

 

そんなわけですから、ライブで演奏されることもほとんどなかったであろうこの曲。もしかしなくても、一生やらないのだろうと思ってました。それが今では映像作品として見れる、聴けるというのだから驚愕。しかも【The Mirror】から通しで演奏するというのだから涙もの。つまりはこのアルバムの後半をぶっ続けでやってくれるということ。

 

PS4でBDで見ながら【Space-Dye Vest】でしんみりするとか、中学・高校時代の自分では絶対に考えられなかったことですねほんと。ファンであるならば必聴必見でしょう。感動して泣きそうになります。

 

いや、

 

泣きました。

 

もちろん、このアウェイクの曲だけではなく見所満載でめっちゃ熱くなります。ファンでなくともその圧倒的な世界観とサウンドにひっくり返るはず。人間とはここまでやれるのかと勇気付けられますね。

 

やっぱりドリームシアターは最高!

マイアングについてもまだまだ語れます!

 

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