縦振動のタッチ (12)
初心者だからこそ積極的にやってみるべき
「初心者にはハードルが高すぎる!」なんて思われそうな縦振動のタッチの習得。実際はその逆と言うべきか、早い内に取り組んだ方が良いと自分は痛感。まだ変な癖がついてなかったり指が固まってない方が有利な面が多々あり。
知人から聞いた面白い話。夫婦でジラウドに行き二人共に縦振動のタッチを教わってみたところ、なんとまったくの初心者である奥さんの方が良い音を出してしまったとか。これに限ったことではなく、女性ベースプレイヤーがすぐに良い音を出してしまった例は他にもある様子。
実際、ベースを教えたことがある身としてもこれは分かる話。単純な力や手の大きさなど、それが決定打になるわけでないことを証明しているように感じます。我流の癖やこだわり、半端なプライドが裏目に出てしまうと結構悲惨。それがオリジナリティに繋がればいいけど足枷になりやすい面も否定できず。だからこそある意味で初心者って最強だと心底思いますね。
欲も何もなく興味本位だったから良かったのかどうか?それについては分かりません。確かなのはそんな実例が本当にあるということ。
「癖がないから良い」とは言ってもそれそのまま上手くなれるかどうかは不明。続けられるかどうかも本人次第。習ってみて一音だけ太く弾けるようになったとしてもそれだけではどうにもならないのも厳しい現実。だからと言って無神経な弾き方になってしまうことが良いとは思わず。意識して高めることなく惰性のままその癖が一生抜けずに苦しむ可能性もあるから恐ろしい。
本当に基礎も基礎だからこそ伝えたい意識と実感、
『自分の音を育てていく』
とても大切なことだと声を大にしたいですね。
時間が経つほど遠回りになる
繰り返し声を大にしたいのは「初心者だから・・」なんて恐れる必要はまったくないってこと。むしろその初心者状態の方が羨ましくなるまであります。
とにかく遠回りをしてきた身である為、
『早い段階で習える事の素晴らしさ』
これを痛感しまくっている次第。
ま~、一度付いた癖をなんとかしようってのは大変です。
・新たに習得しようにも癖が抜けない
・余計な力は入るし頭も固まっている
・また1から見直し崩し矯正していく
自分自身を真っ向否定、あやまちを受け入れるって結構な覚悟が必要。その場その時は良くてもすぐ戻ったりもするから辛い。いつ心が折れても不思議じゃありません。
練習熱心な人ほどリスクが高まるのも厄介。それだけ体も頭もどんどん固まっていく恐れあり。間違ったことをやってると尋常じゃない量、その間違いが蓄積されていくことにもなりかねない。
何回でも言いますが縦振動に興味があるなら一刻も早く実際に体験してみた方が良いでしょう。「もっと上手くなってから」で避けた分だけ遠くなっていく可能性があります。鍛え上げたベテランほど道のりが遠くなるかもしれない皮肉。初心者こそどんどん挑戦してみるべき。
まだ何も出来上がってないからこそ、
・何でも吸収できる
・怖いものなしの無敵状態
・超スピードで進化できる
ある種のエリートであると自覚した方が良い。
癖の付いた人間はもう駄目なのか?
元々、かなり悲惨な状態だったのが他ならぬ自分。「もう手遅れ」なんて絶対違うとこれも声を大にしたいところ。癖が付いたってことは熱心に練習を積み重ねてきたってこと。それ自体は否定すべきことじゃないと考えます。ベースが大好き、ぶっとい音出したい、上手くなりたい、そんな欲望がありゃそれでもう素質十分。新たな発見、新鮮な感覚を見つけたら燃えないわけがありません。
理想通りの動きが身に付けられるかどうか?それは確かに難しいかもしれないし、結局はこれからの努力次第。遠い遠い夢までが掴めるかどうかは分からない。だからって諦めてちゃ何も始まりません。タッチに対してより深く向き合うってそれだけ大きな前進。そこに絶対大きな価値と意味が生まれます。
たった一音を太く重く弾けるだけでも曲に対する影響は確実に出てきます。それを分かりやすく実感できる楽器でもあるのがベースって存在。一音の説得力が出てくればそれだけで別物。その音が存在するだけでより音楽的に素晴らしくできる可能性は十分あり。
まだまだもっと上を目指す人であるならばこそ、縦振動によるサウンドを絶対に体験すべき。ベース人生変わると言っても過言じゃありません。実際、自分のベース人生は大きく変わったと断言できます。
存在を知ってるだけでチャンス
縦振動のタッチの何が問題かって、
『まだ知らない』
こういう人がいまだに大勢いるだろうってことですね。結局のところ、知らないからどうにもしようがないって面が多々あるはず。
白状するならば、
「縦振動の情報が一番欲しいのは他の誰より俺!」
と言いたかったりもします。
すでに極められていたり確立された技術のような話になっている気もしますが、実はそうではない。むしろまだまだこれから研究がされていくものなんじゃないかとも思ったり。より理解が深まっていけば一般的な感覚や選択肢にもなる可能性も大いにあるはず。さらに進化していくことも洗練されていくことも十分可能でしょう。
ギター顔負けの超絶技巧を駆使、人間離れした技術を追い求めるのも素晴らしいこと。ただ、それだけでは何かと批判も付きものになりがちなのが難しいところ。実際、何の説得力もない技巧の披露にうんざりするのも分かります。
だったらそこに説得力を加えればいい。簡単に真似できない自分だけの要素をプラスできれば絶対違う。機材任せで貧相なんておさらば、強力なタッチを身に付ければ技巧と良い音と合わせてさらにとんでもないことになっていくかもしれません。
シンプルなフレーズやグルーブを追及してる人にはそのまま強力な武器になる縦振動のタッチ。もっともっと多くの人に伝わっていけば良いと考える次第。
理屈を超えた良い音になるからやる価値がある
こうして長々と話していると「小難しい理屈はいらねぇ!」なんて気持ちになる人もいるかと想像しますし、ただ単に文字を読んでるだけじゃそうなるのも分かります。
そんな人のためにも伝えたい分かりやすく簡単な話、縦振動によるベースサウンドって、
「理屈抜きに良い」
この良さってそれこそ楽器を弾いてない人にも伝わると思うんですよね。もっと言うなら『良い音』ってのは本来そういうものなんじゃないかと考えるところでもあります。
やっぱりベースらしい太い音、低い音って凄く魅力的。初心者であるならばこそタッチを鍛えること、自分の音を育てていくことを強く推奨。積み重ね高めていけばバンドにおける威力も実感できますし、シンプルなフレーズだって飽きずに楽しめるようになります。
ベテランであるならば強力な壁に立ち向かうつもりで挑んでみると面白い。それこそドラゴンボールのようなノリで修行するのも悪くないですね。シビアなOPBで鍛えて音が変わっていくワクワク感は溜まりません。
自分の音がどんどん太く豊かになっていくのは堪らない魅力と快感。これまで以上にベースを弾くのが楽しくなっていくこと間違いなし。断言してもいいですね。
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