PJPUのベースを考える
リアPUがあるメリット
話を分かりやすくしたい為、
ベース本体はプレベ、
そこを前提に進めたいと思います。
PJの何がメリットって、
これは超簡単な話。
『リアPUが使える』
2PUになれば当然、サウンドバリエーションが増えます。当たり前やんけって話なんですが、その当たり前ができないのが、1PUのプレベ。
シリーズorパラレルの切り替えみたいな方法もあるけれど、違うPUから生まれる音が欲しい、異なるPU位置から出る音を鳴らしたいとなると、配線の問題だけでは解決できません。
例えば、わたしポングの中にあるイメージから言うならば、
「ジャコみたいな音にしたい」
「ジェフバーリンみたく弾きたい」
「輪郭をよりハッキリさせたい」
こんな場面だったら間違いなく、リアPUが欲しい。
プレベのPUをパラレルにすればいい、エフェクターやプリアンプで変えればいい、なんて話ではなく、ブリッジ寄りに配置されたPUを鳴らしたくなります。
他にも挙げるとしたら、
・重く粘るより少しライトな音にしたい
・分かりやすい中域~中高域を出したい
・粒立ちよく細かく弾きやすい音にしたい
・濁らない和音を出せるようにしたい
・指弾きのソロで美味しい音にしたい
こんなノリだったらやっぱり、リアPU。
ブリッジ寄りに配置した音の方が確実。
美味しいハーモニクスを鳴らすにも、リアPUの方に分を感じます。
PJのデメリットって何?
デメリット・・・
これ、何でしょうね?
「プレベらしくない!」
なんて声もあることかと思いますが、
「だったらフロントPUだけ使えばいいじゃん」
至極真っ当、反論できない気がします。
「リアPUがあるなんてプレベらしくない!」なんて固定観念に縛られたり、用途を限定してしまうのは、発展性がなくなってしまうかなと。
選択肢が増えたからと言って、それを必ず使わなければいけないなんてルールはありません。
一方、その「プレベらしく!」ってこだわりたくなる感覚は、凄く分かるものでもあります。ただの思い込み、気のせいでは切り捨てられない事実。
見た目は当然として、PJとノーマルのプレベは何かが違う、微妙にしっくり来ないのも、頷けてしまう不思議。
完全に仮定ですが、自分が考えるに、
①ザグリによって鳴りが変わる
②PUの磁力によって弦振動が変わる
③そもそもヴィンテージのPJはない
こんなことが要因なのかと想像。
①ザグリによって鳴りが変わる
エレクトリック楽器であろうと、生鳴り、ボディ鳴りが存在するのは事実。
かなり微妙な領域ではありますが、完全な同条件にならないのは間違いないでしょう。その僅かな差、ちょっとした何か、それが違いになってあらわれる可能性がある。
極端な話、アコースティック楽器みたいな構造に近付いてしまう、穴が増えることにより、独特の響きが加わってしまうのかもしれません。
電気楽器なんだから生鳴りなんて関係ない?PUが同じなら違いなんか生まれない?
完全ソリッド、セミアコ、フルアコ、どれも同じ音になる?
そもそもプレベにオリジナリティなんか無い?他のベースでも同じ音を簡単に出せる?
まぁ、そんなわけはないですよね。
25年以上ベースを弾いてきて散々実感してきました。
「プレベの音が欲しいならプレベを弾くしかない!」
微妙なザグリでも何かが違ってしまう、そんなことが一つ考えられます。
②PUの磁力によって弦振動が変わる
これもやはり、ノーマルのプレベと条件が違うのは確実。
マグネットPUを弦に極限に近付けた場合、変なうねりが生じたり、サスティーンも減少、おかしな響きになってしまうことが確認できます。
それを考えると、リアPUが存在するだけでも何らかの影響が起こるのは、必然なのかもしれません。
磁力の弱いPUにしようが、弦から離そうが、全く同じ弦振動にはならない。どうしてもリアPUの影響を受けてしまう。
前述したザグリによる生鳴りへの影響+リアPUによる磁力、それを考えるだけでも意外と条件の異なる楽器になっている可能性はありそうです。
結果、違う音になってしまうのかなと。
これまた仮定ですが、
弦振動が抑制される面があるとしたら、
・ノーマルのPBよりコンプ感が出る
・大人しくなったりJBっぽいキレが出る
・音がまとまりやすくなる
そんな傾向が出るのかもしれません。
オープンでふくよか、暴れるサウンドなど、そういった方向性を求めた場合、PJに違うものを感じてしまうのも、確かに分かる気がしてきます。
③そもそもヴィンテージのPJはない
PJ云々の前に、イメージ通りのプレベであるかってのも、要因として大きそう。
「こういうプレベが欲しい!」って希望があるとして、手にしたPJのベースはそこに応えてくれる物なのかどうか?
僅かな違和感でも気になる高い水準、確固たる理想を持っているのも、厄介と言えば厄介。
そもそも楽器として合わない、思った通りのものじゃない、形は同じでも実は別物、そんな部分もあるんじゃないかって感じます。
例えば、変な話、
「カスタムショップの到達点!」
「マスタービルダー渾身の作!」
「ヴィンテージ完全再現!」
「究極のPJ誕生!」
「・・ん?えっ?」
間違いなく、違和感バリバリですよね。
パチモンの類に思えてしまう、意味不明さすらあります。
まぁ、ちょっと無理やりな話ではありますが、そういったフワフワ、モヤモヤした違和感、PJの難しさが謎に存在するのは間違いないなと。
で、それって実は、作り手側も弾き手側もPJに対して、イメージが固まっていない部分がある、または固まりすぎている、根本的にプレベにリアの音など求めてないなど、そういった面も大きいのかなと思ったり。
これについては、ヴィンテージのPJがないって話より、
『基準となる物がない』
そこに向き合うべきなのかもしれませんよね。
多くの人が求める最高のPJ、普遍、基本になりえるものが存在していない。例え、極上ヴィンテージを改造したからと言って、理想を得られるかは不明。
スタンダードそのままなジャズベとプレベには、絶対性すら感じるものがある一方、それがPJになるだけで何か崩れてしまう気がする、ピンと来なくなる難しさがあると感じます。
ネックの太さなんかもその一因なのかもしれません。
プレベとしてはネックが細いと考えるか?それともジャズベとしては太いと考えるか?PJのベースに対しどちらの認識を持つか?どっちに解釈するか?意識はどっちに寄ってるのか?
だんだんわけが分からなくなってくる通り、
「PJと言ったらこれ!」
みたいな基準というのがやはり、あまりない気がしてしまいます。
PJのミックストーンの難しさ
PJにピンと来ない、その大きな要因になりそうなポイント。
フロントとリアで、PUの構造も出力も全然違うとなると、そこですでに、何か破綻しているようにも感じます。
異なるPU、異なるPU位置、そのミックスの難しさ。何とも言えない違和感、響きのおかしさ、中途半端さに首を傾げるのは、凄く分かる話。
構造的な分かりやすい問題を言うと、
1~2弦と3~4弦で、
音が全然違う・・・
こういうことが起こってしまうのもPJの厄介な点。美味しいミックスの実現がなかなか難しい。これが大きな課題ではないかと自分は認識。
アクティブにしてEQ込みで色々とセッティングすればまた違うとも思います。
が、プレベらしさを求めてパッシブのまま行くとなると、2PUのミックスをするよりフロントPUとリアPUを完全に切り替えて使った方が、やはり話が分かりやすくなりそうですよね。
完全パッシブのまま、ハイクオリティなPJのミックス、絶妙なブレンド具合を実現するのは、かなり厳しい面があると感じます。
PJはスタンダードか新次元か?
このブログと来たら話さないわけにはいかない、ジラウドのPJ。
ミックストーンの問題を解消すべく踏み込んだ新次元な仕様!
とにかく半端じゃないベースです。
※画像は店頭で撮影した物
ミックスの違和感を解消!ジャズベなんか問題にならないスーパーワイドレンジ!異次元のスーパーベースサウンド!
なんてテンション高く語りたくなる一方、それが扱いやすいか望む物かは意外と別。あまりにも凄すぎるサウンドだからこそ、逆に難しさを感じるのも現実だったりします。
この辺の感覚は簡単な話、
「定番が欲しい」
常識外れの超絶サウンドもいいけど、やっぱり、ベースは落ち着きたいってところがあります。ジラウドのPJがそういった声に応えてくれるものかどうか、考えてしまう部分もあるのが正直なところ。
「シンプルなプレベが欲しい」
「スタンダードなジャズベが欲しい」
「そんな冒険はしたくない」
こういった希望の方が強いのであれば、PJ仕様は迷いを生む元になってしまう、似たようで別の何かになってしまう、そんな面があるのは否定できないかなと。
変に悩むんだったら、そのままストレート、定番は定番、まんまな仕様で行くのが、答えとしても正解としても、分かりやすいですよね。
自分としても、本当に難しいと思うのは、
「何でも出来るようになると迷いが生じる」
あれもこれもと手に入れた結果、逆に悩みが増えていってしまう皮肉。あえて多くを求めない潔さ、扱いやすさ、直球の魅力があるのも間違いありません。
楽器の方に振り回されてしまう、自由度に困惑するなど、そんな状況に陥りがち。
一方、だからこそ、大きな可能性が眠っているとも考えられます。
新たな領域に挑戦、多様な選択肢を的確にコントロール、無限に広げていけるのであればそれはもう、やりたい放題ですよね。
思い通りに、好き勝手に、自由自在に弾けることを夢見てしまうのも確か。
ちょっと妄想してみるならば、
「ジャコもジェマーソンもイケる!」
「ファンク、ロック、ジャズ問題なし!」
「メタル、プログレ、何でも来いや!」
「もう何が来ようが怖くねぇ!」
「これ一本でOK!」
こういうのも本当、憧れますよね。
加えてちょっと打算的なことも言うならば、一本で済む方が楽だし経済的。
現時点でもそれに応えられるベースを自分は持ってますし、シンプルなジャズベだってプレベだって十分、そういうポテンシャルは備えている楽器だと思います。
そこでさらに踏み込む何か、極端な二面性、パワフルにも、繊細にも、積極的に攻められる先を求めるのであれば、超強力なPJに夢見るものが出てきてしまったり。
これが2ハムだとちょっと違う方向性、好きなジャズベやプレベ感がなくなってしまうのが痛い。超定番のようで謎でもあるPJだからこそ、そこにまだまだ可能性がありそうです。
シンプルに分かりやすく使えもするのが、PJの魅力。フロントでプレベまんま行くか、リアで変化を加えるか、その二択でも十分。難しく考えてる方が、アホらしいとも言えます。
一方、先に行こうとした途端、課題が浮かび上がってくる難儀な代物。作る方としては、高度な処理をしなければいけない。
しかし、それをやろうとする人はほとんどいないし、弾き手もよく分かってない部分があるなど、実に不思議な存在だと感じます。
「PJなんか御法度!」なんて思ってたのが変わりつつある、ここ最近。
もしかしたら、一番とんでもない仕様?自分に合ってる楽器にすることも可能なんじゃないか?そんな期待、ワクワクを抱いてしまい、妄想も捗ってしまいます。
『温故知新』
この究極、理想にある一本が欲しくなるのも分かる!
中途半端に終わる不安もあるけど、好奇心を満たすにはまだまだ納得いく物に出会ってない。どうせ手を出すなら「これだ!」って一発で声が出るやつを弾いてみたいですね。
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