縦振動のタッチの研究 (31) 初動の水平運動、その後の回転運動について考える 

弦の初動

 

縦振動で弾くにも横振動で弾くにも斜め方向だとしても、弦が元の位置に戻ろうとするその初動は水平運動と言うか、直線的な動きになるのではないかと想像します。

 

そこでいかに最短で綺麗な軌道を実現するか、垂直に押しこんだ弦がそのまま垂直に戻ってくるようにするか、それが縦振動のタッチの鍵になるはず。

 

初動後の回転運動

 

一方、弦がいつまでも綺麗な水平運動をしているわけはなく、振動に変化が起きるようです。

話によると、初動後は段々と回転する運動のように変化していくのだそうな。

 

もちろん、綺麗に真円を描くように動いているとはまったく思いませんし、弦振動って実はよく分からないものだとも思います。

 

でもまぁ、そんな細かいことはともかく、とりあえず初動後に変化が起こるのは確かなことなんじゃないかと。

 

そして今回考えるのは、そんな回転運動による音の変化と利用について。

 

あえてピークをずらす弾き方

 

たとえば極端な横振動の場合、ボディにあまり圧力がかからず、PUの磁界に対しても離れてしまう弾き方になってしまいそうです。

 

立ち上がりが遅くなる弾き方だと言えますが、一方、回転運動へと変化を起こす流れを考えると、後鳴りしてくるようなサウンドにすることが可能だとも感じます。

 

音のピークがずれてくると言うか、アタックが目立たず低音が「ブゥゥウウン!」とゆっくり伸びてくる感じ。

 

それによって独特の重さや粘りなどを演出することもできるはず。

 

何でもかんでもハッキリと音を出したり、リズムを強く主張すれば良いというものでもないのが音楽の奥深さ。

 

言ってみれば、縦振動のタッチにも弱点はあるわけでして、やはり、表現方法の一つだと考えた方が音楽的にも豊かなものになっていくことでしょう。

 

ミュートテクニック

 

そして、アタックやサスティーン、出音のタイミングを自由自在にコントロールしたいのであれば、ミュートの技術も磨いていくべき。

 

手の側面でミュートしながら親指(またはピック)で弾くという奏法。

 

誰でも自然にやったことがあるものかもしれませんが、あれがまさに分かりやすい回転運動のコントロールと実践と言いますか、非常に美味しい技術だと思う次第。

 

大体の場合、あれで弾こうとすると音が太くなったように感じたり、音の立ち上がりや長さをどうするかって認識もしやすくなるんじゃないかと想像します。

 

先程も言った、弦振動の初動である水平運動後、徐々に回転運動に変化していくのではないかという話。

ここでブレーキをかけると言うか、ミュートを加えた場合、水平運動後に即、回転運動にすることが可能になるようです。

 

ミュートを強めて強力に減衰させれば、たとえ横に弾いたとしても、ほんの一瞬で回転運動に変化させることになる。

 

と言うことは、前述のような後鳴りをさせずに音を出すことができるようになる印象。

 

最初に音のピークを持ってくる、太く重いサウンドになる、アタック感のある低音を出せるようになる、それを本能的に理解して多用しているプレイヤーも沢山いるんじゃないかと感じます。

 

弦楽器ならではのプレイ

 

恐らくは、ロックギタリストなんかも同じような目的で弾いているんじゃないかと想像するところ。

 

サウンドはヘヴィかつタイトに刻みたいなんて場合、やはり、自然とミュートしながらピッキングしているはず。

 

特にピックの場合、弦を押しこむのが難しい作業になるわけですから、嫌でも必要になる奏法なんじゃないかと。

 

ベースにおいても極端な話、ブリッジ付近にスポンジを詰め込んでしまう人などがいたり、ジェームスジェマーソンなどがそのタイプだったり、興味深いところが沢山あります。

 

何にせよ、弦の振動方向やその仕方を考えるというのは、非常に面白く興味深いことに違いありません。

 

理屈こねるより音が良ければそれでいい

 

あえて無責任なことを言うのであれば、回転運動なんて言葉を使うのが科学的見地から正しいのかどうか、厳密にはどうなのかってのは実はまったく分かりません。

 

しかし、出音が変わるのは事実であり、表現方法が増えるのも確か。

それだけで音楽的には十分なんじゃないかと感じるところ。

 

縦振動云々に関しても、何も考えずとも実践できてればもうそれが一番だと思いますし、実際、ジラウドの福田さんはそんな感じだった様子。

 

とんでもない修練を積んだことに間違いはないと想像しますが、「縦振動」という言葉など特に意識してなかったり、当然、人に教えることを目的として編み出したものでもないでしょう。

 

自分がやりたいことをやってただけ、出したい音を出してただけ、良い音楽にしたかっただけ、何とも分かりやすくシンプルで真っ当な産物ではないかと。

 

・どうすればもっと良い音を出せるか?

・もっと太い音を出せるか?

・もっと歯切れよく弾けるか?

・もっとグルーブすることが出来るか?

 

それが目的で生まれていった奏法であるはず。

 

このブログで長く話を続けていますが要は、

 

・自分が出したい音を出せるようにする

・やりたい事をやれるようにする

 

それがタッチを鍛える大きな目的です。

 

ベースがもっと面白くなる

 

・変なブーストなんかするより縦振動で弾いた方が太いし音もでかい

・アタックも出るし存在感も出るしグルーブする

・コンプなんかに頼るより粒が揃うし音もまとまる

 

そんな実感ができるようになるほど、ベースを弾くのがもっともっと楽しくなっていきます。

 

また、ちょっと俗なことを言うならば、非常に経済的だとも思いますし、色々とセッティングや操作する手間も省けて楽になるかなと感じる次第。

 

縦、横、斜め、回転、打撃等、自由自在にコントロールできるになれば、ベースはさらとんでもなく面白い楽器に変貌していってくれることでしょう。

 

縦振動のタッチを習得することによって、 ベース人生は大きく変わっていくはず。

 

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