アンソニージャクソンとジョンマイアングのエッセンスを考える。

綺麗な音を出すだけが楽器じゃない

 

超絶技巧、正確無比なイメージがまず来るだろうこの二人。それは間違いないだろう一方、実際に目の前で観た事がある人間としては、それだけなわけがないとも確信している。

正直言って、この二人の音はあまり綺麗とは言えない。バキバキ、ゴリゴリ、マイアングは言うに及ばず、アンソニーも相当なエッジが効いてる。

ミシェルペトルチアーニトリオのライブなどを改めて聴いてみても、ここまで出すのかってぐらいのサウンドに驚かされる。弦が擦れるタッチノイズまで剥き出しである。

 

じゃあアンサンブルに馴染まないのか、浮きっぱなしかと言うと、そりゃ当然、そんな次元の人達ではない。生々しさ、荒々しさ、凄まじいエネルギー、パワーが音楽に宿る。

ベースらしく地味に、控え目に、大人しく、バンドに貢献、邪魔にならないように、そんな意図など感じないぐらい強烈なサウンドなのに、これ以上なくベースとして機能してしまうのだから凄い。

 

思うに、この『音楽に生命力を与える力』とでも言うか、その躍動感を加えられる力が想像以上に重要なのではないかと感じる。どんなに上手くても正確でも、その力が皆無なのでは厳しい。

上手い事はもはや前提、それ以上のエッセンス、フィーリング、特別な何かを表現できる、その素晴らしさと魅力を年々強く思い知る。

 

マイアングのレコーディング単体音源などネットで聴く事も出来るが、「え!?これでいいの!?」と思ってしまうようなプレイとサウンドだったり、想像を超える音様にひっくり返りそうになる。

音程感の良い実音とは異なる世界、バッチバチ、ジョリジョリ、ビッキビキ、カオスなサウンド世界を見れる。

来日した際のクリニックでアンプからの音を目の前で体験した事もあるが、あまりに凄まじいタッチの強さ、尋常ではないアタックに目ん玉飛び出そうになった。

 

でも、それがバンドに混ざっちゃうと気にならなかったり、汚さとも言えるその音が独特の勢いや生々しさを生んだり、実に印象的でトータルなオリジナルサウンドを生み出してしまうのだから面白い。

あれで小綺麗に大人しいプレイを心掛けてるだけだったら、何の魅力もないどころか逆に嫌味に見えたり、恐ろしくつまらない事になってると想像。

 

20年以上ドリームシアターのファンやって、ライブも観てきた人間としては、その圧倒的なエネルギーを浴びたくなる気持ちってのが絶対ある。

震えるような強烈な音を浴びせる事が出来る、奥底にあるものを叩き付けられるプレイヤーというのはやはり、次元が異なる世界にいる。

単純な上手い下手の価値観からだけでは、なかなかそれは見えてこない。ステージが違うってそういう事かもしれない。

 

アンソニーのインタビュー記事など見ても、「力強いフィーリングを聴く人に与えたい。」「今私が言ってるテクニックとは観客の目を眩ませる為のものではない。何かに生命を与える為のテクニックだ。」と語っていたり、やはり、深い領域での追求を感じさせられてしまう。小手先の世界などではない、根源的な力が伝わってくる。

前から二番目の位置でライブを観た事もあるが、そのダイナミクスのコントロール、異常とも言える集中力、音楽にかける想いと姿に圧倒された。ここまでやるのかと。

 

しかし何だろう?「深い領域」と安易に言ってしまったが、それってのは実のところ、最初に来るべきもののような気がするし、その衝動が希薄になっていくのが大きな問題なのかと思ったりもする。

知識、知恵、鍛錬、それが見栄や驕り、怠惰に繋がってしまうのだとしたら、何とも本末転倒である。己を磨くのであれば常に精神的な向上も心掛け、前向きに律していかなければ堕落してしまうのかもしれない。

 

まぁ、このクラスを基準にするのはあまりに無謀、シビアすぎる、シリアスすぎる、とても付いていけない領域の話だとも思う。そればかりを至上としていたら、自分なんかすぐ潰れてしまいそうである。

それこそ「楽器を弾く資格が無い」なんて話にもなりそうなので、そこは各々、資質ってものがあるとも考えたい。

ただ、根源的な部分、重要なエッセンス、フィーリング、そういった言葉にするのが難しい世界をもっと大事にしたいのは確かである。その為にも、小綺麗な音にまとめようって意識を変えていきたい。

 

「この二人の音は綺麗とは言えない」と前述したが、ごちゃごちゃデタラメな音しか出せないと言いたいのでは断じてない。

タッチだけでも場面によって楽勝で切り替えられる。ダイナミックレンジも表現力も凄まじい。6弦を余す事なく弾きこなす、指が動く、難曲が弾ける、そんな事は当然の前提。

その上であのサウンドを出す意味、プレイする意味、それをさらに考えていきたい。一歩間違えば即台無しの強烈なセッティングとサウンドを自在にコントロールする、その価値は計り知れない。

 

無難にベースって機能を全うするだけなのか?見栄や世渡りの為の技巧を追うだけなのか?個性って言葉に逃げ込んでしまうのか?信念あっての追求なのか?弦の本数自体にアイデンティティを見出すのか?自然当然と真から捉えられるのか?

 

アンソニーとマイアングのベース人生、考えれば考えるほど恐るべし。妥協からは程遠い自己の追求・・・やはりこの二人は自分にとって永遠のヒーローである。

 

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