良い音しすぎるフレットレスにちょっと引いちゃう話

ウッドじゃないのよエレクトリックフレットレスベース

 

自分の入る余地がない違和感

 

脳がとろけそうなぐらい官能的で甘~いサウンド。思わず涙腺が緩んじゃいそうな深い響き。生々しく木の存在を感じる質感など、堪らない魅力を持つものもあるフレットレス。

 

個人的な好みから言ってもフレットレスにはそこまでハイファイな特性は求めません。むしろその反対、使うレンジを絞ったり甘い成分も積極的に求めたくなります。

 

ただ、あまりにも上質すぎるものを感じた場合、途端に避けたくなる何かが働くのも正直な話。人間関係でも同じようなところってありそうですが、そう考えると色々な意味で生々しく複雑な話にもなってくるようでちと怖い気もします。

 

何でしょうね? 楽器側の方で音が完成されてしまっていると申しましょうか?こちらの入る余地がない感覚にも~のすごい違和感を覚えるから不思議。

 

間違いなく素晴らしい楽器なんだけど自分が使うものじゃない。それで誰かに褒められたって嬉しくない。逆に絶対使いたくなくなる変な意地と幼稚さが働く悲しさ。

 

適切な表現かは微妙ですが、

 

コナミコマンド使わず自力でクリアしたい」

 

そんな感覚なのかもしれません。

 

楽器にはちょっとした隙が欲しい

 

以前はぜ~んぜん分からなかったし、拒絶までしていた気もするこの感覚。「完璧な方がいいだろ!最上を求めてこそだ!」って信じて疑わないぐらいだった次第。

 

それがなんだか、フェンダーってやっぱいいんだな!この緩さとテキトーさが最高だぜ!」みたいな謎の楽しさに目覚めたりするから人間ってよく分かりません。

 

「おぉ!音が伸びないねぇ~!詰まるねぇ~!ボヤけるねぇ~!完成度低いねぇ!」

 

「これだよな!」

 

どういうことやねんって自分でツッコミたくなります。前のお前じゃ絶対そんなこと言わなかっただろって意味不明な感すらあるなと。

 

でも本当、懐古とかそういうものを超えた領域、人間の根源的な欲求とでも言うべきか? そういう絶妙に心地いい音を求めてしまう、それを実現してしまうってとんでもないことだと思います。

 

「素晴らしい音色を持っている」って部分とはまた異なる謎の世界。耳に痛い成分もあったり、ボヤけて濁って曇っていたり、避けたくなる扱いづらさ、弾きづらさも抱えていたり、キリがないぐらい出てきそうな不の部分。

 

しかしそれが本当に悪い要素そのものになるとは限らず。絶妙な味わい真似できないキャラクター構築の重要ポイントにもなる不条理。

 

それも考えようによっては実に道理的と言うべきか?人が馴染みを覚えないものを作ることは理に適ってないと見るのも間違いではなさそう。

 

そもそもの話、人間自体が曖昧で不確実な存在。カッチコチにお堅く仕上げるのではなく遊びの余地を残す方が自然と判断するのも納得。何から何まで完璧にしようって方が無理があるっちゃその通り。

 

「毎日毎食超高級フレンチを食べられるか?」って仮定の話をするにしてもそれってやっぱり無理だと思うし、音楽にも楽器にもそういう部分が多くあるものだと感じます。

 

楽しいエレクトリックベースが好き

 

これまで色々弾いてきた実感、一番好きなフレットレスはジャズベ。それもパッシブ、リアPUオンリー。要するにジャコ。真似は嫌だなんだ言って避けるより受け入れちゃった方が良いと納得満足。

 

ちょっと明るすぎる、硬い、チープ、うるさい、邪魔、ベースらしくない等、悪く言おうとすれば数多く出てきそうなのも正直な話。

 

しかしです。

 

『楽しい!』

 

この一点に関して上が存在せず。

他の何よりこれに勝るものなし。

 

「良い音がしてくれるもの」に対して何が違うかもうちょっと言うとしたら、

 

「ワクワク感」

 

これなんじゃないかって思いますね。あくまでも自分の感覚、好みの話ですが、強くてニューゲーム的なものってあんまり合わないみたいです。サクサクなんだろうけどすぐ飽きてしまうなと。

 

これについてはフレッテッドでも同様のことが言えそうですが、それ以上にフレットレスは感覚を優先したかったり、曖昧な要素が欲しいって気持ちが働くから面白い。

 

ジャズベースって時点で楽器としては高完成度。ましてや改良アレンジしてあれば十分強くてニューゲーム状態なのも否定はできず。ただやっぱり、その塩梅を超えてやりすぎてしまうと途端に冷めるものがあります。

 

たとえばの話、木製ブリッジ、分厚いエボニー指板+超延長タイプ、ハムバッカー+アクティブ+ピエゾミックス、セミホロウなど、こういうジャズベがあったとしたら間違いなく使わないでしょう。

 

クオリティが低いにしても超高いにしても自分には絶対合わない。そこに楽しみを見い出すのは難しいし、飽きずに長く使ってる姿もイメージできず。

 

高いから良いとは限らない。だからと言って安物で意固地に張り合おうとするのも何か違う。その絶妙なバランス、やりすぎない匙加減が本当に大切。

 

フレットレスだからと甘くとろける必要はなし。アコースティックな方向を狙う必要もない。それはまた別の存在に求めるべきだと痛感。エレクトリックならソリッドボディ。マグネットPUオンリー。後はタッチに機敏に反応してくれればそれでよし。

 

たぶんあんまり良くないからこその魅力

 

自分が好きなフレットレスに感じる醍醐味を語るとするならば、

 

「間抜けで耳障りを感動的に!」

 

パオ~ンポエ~ンって情けなくも思えるような音がなぜか心深く侵入。一転、ぶっとくかつ前に飛び出てくるサウンドにもできるのが楽しい。

 

音が良すぎる高級すぎるフレットレスはこの独特のチープ感を出すのが苦手な印象。タッチによる劇的な変化を狙うのもいまいち。ラウンド弦張ってギャリンギャリンに鳴らしたいってことにもならなそう。

 

分かりやすいニュアンスで言うなら、

 

『パンチ』

 

こいつがあるエレクトリックベースはやっぱり素敵に楽しい楽器。BGMに最適とかマイルドで心地いいってだけじゃなし、体にも脳にもガツン!と来るものがほしい電気楽器。

 

鉄弦、鉄板、磁石、板っきれ。必要なものは案外これで良かったりして?それを昇華したのがフェンダーベース、自分の好きな楽器の系譜、その原点なのかもしれません。

 

 

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