スルーネックのベース メリット・デメリット・苦手な理由を考える

ベースとスルーネック

重いボディ材は苦手

 

自分の好みは、なるべく軽量なボディ材。

音までスッカスカなのはさすがにアレですが、それでもまぁ、重すぎ硬すぎよりはマシ。実用するなら軽いやつを選びたいですね。

 

スルーネックの何が問題かって、

 

『ネックがそのままボディ材になる』

 

これがキツイなって感じます。

 

自分が所有してた中で最重量、泣きが入った6弦ベースは、重さ6kg。

ブビンガのトップとバックという、容赦なく重いボディの存在も大きいとは思いますが、スルーネックなのも影響ないわけがありません。

あそこまでの重さになるともう、音云々の問題ではなく、扱うこと自体が厳しい。肩も腰も重労働、あまりの負担の為、日常生活にまで影響が出てしまいました。

 

重いってのは本当、それだけで条件的にアウトにしたくなります。

 

硬すぎるボディ材は苦手

 

『重い=硬い』にも繋がってしまうのが、多くの印象。このかった~いボディ材を使用するのも、自分の苦手な方向性。

 

多くの場合、ヘッドからボディエンドまで強固なメイプルを使用する事になるだろう、スルーネックの楽器。メイプルどころかさらに硬質、より重厚な木材を使用する事も珍しくはありません。

実際、前述した6弦ベースはメイプルではなく、詳細不明な特殊材を使用したネックでした。

つまりは、それがそのままボディ材になる、そこから生まれる音になるのが、スルーネック。

ボディセンターが硬質になるのが宿命、そういう設計が好きになれない場合、どうやっても相性が悪くなってしまう仕様なんじゃないかと考えます。

 

そもそも、高度な木工技術が必要になるのは勿論、異なる材を絶妙に組み合わせていくというのは、非常に困難なのではないかと想像。

一見は豪華そうな多重構造にしても、それだけ接着剤が増えてしまうのは否定できないように思えますし、それが本当に豪華だと言えるのかも疑問。  

木材の性質を恐ろしいレベルで把握、トータルでしっかりコントロールできなければ、良い楽器の製造は不可能なんじゃないかと。

 

目的なく、硬いのも柔らかいのもごっちゃごちゃ。互いの特性をスポイル、ミュートしまくり。弦が鳴るだけ、それをPUとプリで誤魔化すなんてのは辛い。

この辺り、長年の支持を得ている工房の楽器はやはり、クオリティが全く異なると感じます。安易な成金趣味なんでは到達できない、一味も二味も違う説得力、確かな音がある。

 

ただ、いくら良い物だとは言っても、それが好きかどうかと問われると、個人的には限りなく微妙だったり。

ほぼ100%ってぐらい、苦手な傾向の楽器になる印象が強い。

素晴らしい工房の作だろうと、多層的な構造、スルーネックは根本的に合わない仕様だと痛感。

重量とバランスを考慮するにしても、やたら小型にしたり厚みを減らすのは、好きな方向性じゃありません。

今の自分、先の自分を想像してみても、スルーネックとはもう縁がなさそう。

 

憧れは無くなった仕様、進んで手に入れようとする事はまず無いでしょう。

 

スルーネックの利点の疑問

 

「サスティーンに優れてる!」

「ハイポジションが弾きやすい!」

「均一感が素晴らしい!」

 

なんて言われる事が多そうですが、ボルトオンだってその点に優れた楽器は沢山あります。

そこがスルーネックならではのオリジナリティ、絶対のメリットかと言われると、ちょっと弱いかなと。

硬く重いボディ材がセンターに来る方が好き、それならではのサウンドがあるのは間違いなさそう。

しかし、それだってボルトオンでやる事も可能でしょうし、スルーネックの特権とまで言えるのかは分かりません。

 

変な話、スルーネックのジャズベやプレベ、フェンダースタイルで作られた物がほとんど存在してない以上、実のところは基準も判断も曖昧、あれこれ論ずるのは微妙なんじゃないかって気がするのも本音。

そりゃ、それやった時点でフェンダースタイルじゃない、形だけ同じでも別物だろって話なんですが、だからこそ何が利点なのか本当はよく分からない、謎な部分があるように感じます。

そもそもの設計が全然違う、使用する材も別物、PUもパーツも全く異なるなど、これで大元の部分、根本的な仕様の特性について語るってのは、なかなかの無理筋。

 

極論か意外と真理か、

 

「スペクター最高!」

「ケンスミス最高!」

「トバイアス最高!」

「フォデラ最高!」

 

こういった称賛イコール、

 

『スルーネックの手柄』

 

みたいになっちゃってる感もあるような?

 

でもそれってその工房、その楽器の評価が素晴らしいのであって、「スルーネックだから凄い!」とするのは、ちょっと疑問が湧きますよね。

安価な量産も当たり前にされているこの時代、『スルーネック=高級』も成り立たなくなってるし、それ自体をありがたがるのは正直、かなり古い感が否めず。

 

ボルトオンでは実現困難なシェイプと心地よさには惹かれる

 

頭で考えていった場合、個人的には全然惹かれないスルーネック。

一方、見た目の魅力、感覚的な面から言うと、

 

「うひょ!すっげぇ~!」

 

ってな感じに、テンション上がったりするのも本音。

ハイエンドな処理を見ると、恍惚なものすらあります。

 

まぁ、実はセットネックだったりする事もあるのかもしれないし、本当にスルーネックの特権と断言できるかどうかは微妙でもありますが、いずれにせよ、こればかりはボルトオンではなかなか真似できない、独特の世界なのは間違いなさそうです。

 

実に分かりやすい話、

 

『美しい』

 

スルーネックの芸術性に惹かれるのって、凄く分かります。楽器の裏側に理屈抜きの興奮を覚えさせられるって、何だかとんでもない。

 

真面目な話、ボルトオンでは実現できないシェイプがあるならば、それは当然、ボルトオンでは実現できない音が生まれる理由にもなるはず。

音的な利点について懐疑的になってしまう面も多いけれど、異常なまでのこだわりを持って作られた楽器だったら、そりゃ何かあるだろって思うのも確か。

「それをスルーネックの手柄だと繋げるのはどうなんだ?」って話をしたばかりで何ですが、「徹底的に追い込んで仕上げたスルーネックはやっぱり何か違うよね!」と圧倒され惹かれてしまうのは、必然な気もします。

 

ネックに触った瞬間、

 

「うおっ!?」

 

って声が出るような楽器に出会うと感動させられます。もはや芸術品、人間の限界、その技術と想いに自然と魅せられるのかもしれません。

 

そんな大げさな見方ではなく、単純な話、

 

「手への当たりが柔らかい方が良い」

 

これを求めてスルーネックを好むのも、理に適った選択。

 

ジョイント部分にガツっ!と当たるのではなく、超スムーズである事を追求。ハイポジションでの演奏性をとことん求めるなら、実に真っ当だと納得。

 

フェンダーから離れた世界は魅力か違和感か?

 

独断、思い込み、非常に曖昧、何となくの話ですが、

 

『琴的・ピアノ的』

 

スルーネックに感じる鳴り方、傾向として、自分はそんな印象を覚えたりします。

どう評したらいいのか微妙。スルーネックならではと断定もできません。 スケールの違いと感覚を混同している可能性もあり。科学的にどうの言い出したら自分では証明不能。

 

しかし何でしょう?独特の一体感がある響き、澄んだ音色など、「スルーネックならではの何か」ってのは、やっぱりある気がします。

いわゆるフェンダー的な方向性ではなく、また独自の文化と言いますか、タッピングなんかをするには、顕著な違いがあるのかもしれません。

 

一方、フェンダー系の楽器が好きな自分の場合、明らかに違和感を覚えてしまうのも事実。特に立ち上がり、レスポンスの違和感、これをクリアーするのは厳しいとすら感じるところ。

硬質で分厚いセンター材になる必然、演奏性を確保するために過剰に削られたネック・ボディ、高出力のハムバッカー+癖のあるプリアンプ、こういった組み合わせは100%と言っていい確立で苦手。

 

 何が嫌かって、

 

『遅い』

 

これが自分の感覚として致命的。

 

「グゥゥウオオ~ン!」 って感じに、ゆったり後鳴りするように音を伸ばしたいなら良いのかもしれませんが、素早い立ち上がり、分かりやすいピークやアタックを望むなら、方向性が完全に対極な印象。

鳴り方についての考え方は色々ありそうですが、いずれにせよ、スルーネックのベースのその大体、自分の好みとは合わないスタイルという印象が強い。

 

逆を言えば、せっかくのスルーネックだったら、無理にフェンダー系に近付ける必要もないように感じます。 

その辺りのバランスを絶妙に取ってるのが、フォデラとかなのかもしれませんが、ちと高価すぎる、その一点だけで自分には縁がないと認識。

アンソニージャクソンのコントラバスギターとか興味はありますが、最低でも200万?300万?どうにもならないし、どうにかする気も起きない現実。

 

なんてまぁ、あれこれ考えていくと、

 

「ボルトオンが楽でいいや」

 

って結論に達してしまいます。

 

楽器オタクこじらせ損をしないように

 

理屈抜きに語るなら、中学時代に憧れまくったスペクターとか、今でもちょっと興味が湧いたりするのも本音。

ただ、あれもボルトオンタイプがあったりしますし、そっちの方が自分的には良いかって気がしてしまうかなと。

あのケンスミスにだってボルトオンはあったりしますし、何と言いますか、あまり深く考えないのが正解だとも思います。

 

「このベース好き!」 

「決めた!これ買う!」

「え、するーねっく?」

 

「何それ興味ない。良い音出りゃいいじゃん」

 

これでいいですよね。

 

「スルーネックだから良い音するに決まってる!」なんて思い込んだり、人の評判とかウンチクばかり当てにしたり、そうやって自分で判断できないのはよろしくない。

それだったら本当、無知でもその楽器が好きかどうかって事を決められる方が遥かに音楽的、欲望に正直、純粋ってもんでしょう。

 

あれこれ考えるのが面倒なら、頑丈そうなジャズベかプレベがありゃ十分ってのも、一つには真理。

一方、とことん追求した結果、スルーネックが必須だったと結論するのも、素晴らしい成果。

良くないのは、スペックだけを優先、思い描く理想や目的用途に全く合わない選択をしている事、それを全然判断できていない事。

 

こんなブログをやってる通り、ポングってやつは間違いなく、オタクな方です。それが仇になり散財、損した事、遠回りは数知れず。

 

だからこそ思います、

 

『スルーネック』

 

この言葉自体に強い憧れ、幻想を抱くものまであったら、それはちょっと怖い傾向。

 

演奏性を気にするのは大事だけど、それ以前の問題、そもそもの基礎が身に付いているのかどうか、根本的にフォームや力の入れ方を見直す必要があるんじゃないか、そこに向き合ってるかどうか、よくよく考えたいところ。

楽ばかりを浅く求めるんだったら、色々な意味であまりおすすめできないスルーネック。ベースを弾く上での自問自答、疑問や葛藤があるようなら、シンプルなフェンダー系に触れてみるのがおすすめ。

 

ちょっと重い話になってしまいますが、スルーネックの楽器に求めたい事って、

 

『結論』

 

これの気がします。

 

追求の果ての答え!それを選択する必要が絶対にある!そういった高みにある楽器を求めるのでもない限り、そんな美味しくない仕様に思えるかなと。

苦手な傾向、疑問な要素があるのなら固執すべきではない、まだ他の楽器にも触れてみるべき段階、仕様として絶対視しない方が良い気がします。

 

「スルーネック最高!」

「ボルトオンとか安っぽいよな!」

「定番の量産品なんかクソくらえ!」

 

からの、

 

「フェンダーには勝てなかったよ・・・」

 

これを経験した身としては、疑問を抱く面が多々あります。

 

スルーネックで人生救われたとか、道が開けたとか、そんな事は無いのが現実でした。

むしろ、スルーネックの楽器にはあまり好きな物がなかった、自分にとってのメリットを感じなかった、避けるべき仕様だった、リアルな痛みと共に実感してきた次第。

 

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