Hallstatt WBSE-850
激安エレクトリックアップライトベース
5万円以内で買えるとんでもないEUB。この値段だと欲しくなった時に躊躇するものがありません。アップライト熱が高まった瞬間、迷わず購入しました。
とは言えまぁ、購入前の期待感は正直なかったですね。「どうせオモチャだし?」みたいな感じで侮っていました。良い音なんかするわけないだろうと。
ところが弾いてビックリ。意外とそれっぽい良い音がするんですよね。「でっかいフレットレスだろ?」なんてイメージを真っ向から裏切ってくれる嬉しい誤算。
作りの甘いポイントとか欠点が丸分かりだったのも当然な一方、それ以上に可能性を感じてしまった次第。
弓でも弾けるってだけでもポイント高い!この時点で通常のエレクトリックベースとは一味違います。
まず調整・ナットの溝切り
この手の楽器のお約束。デフォルトだと弦高が高すぎてどうにもなりません。加えて自分はエレクトリックベース専門。アップライトを弾くハードルをどう壊すかをまず考えてしまいます。
必然的に毎度の作業になるのがナットの溝切り。通常のベースにおいてもそうですが、ここがろくに調整されてないものは嫌い。
音詰まりが発生しないか確認しながら限界まで下げていきます。
バズが大嫌いとか弓もちゃんと使いたいなんて場合、ここまで下げるのはちょっと問題ありそうですが、その辺はまぁ、自分にはあまり関係ない為、こっちの方が圧倒的に弾きやすくて良いですね。
これは楽器のランクや値段に関係なく、絶対チェックすべきポイントでしょう。実際、定価40万超えのサイレントベースでも自分で削りました。
ナットの溝は本当に大事。弾きやすくしたいのであればこの調整は必須。
後、弾きやすくって意味で大事だったのが、
『ポジションマーク』
邪道中の邪道。
けど遠慮せず貼ってました。
弊害があるって意見もよく分かる一方、本格的にコントラバスを弾くわけでもなし。自分専用なんだから別にいいじゃないかと利用した次第。
ボディレストが気に入らなかったので自作
ゴツい方が安定してるのは間違いなし。けど、簡略化されたパーツだからこそのお手軽感も否定できず。でもやっぱり、元のやつは使ってて良い印象なんてほとんどありませんでした。
冗談抜き、グニャグニャ曲がっちゃうんですよね。頼りないバー?太いハンガー?ほんとにそんな感じ。腕の重みや体重も利用しようにも、なかなかそれに応えてくれません。
通常のエレクトリックベースみたいなタッチで弾く分にはそれでも良いのかもしれませんが、そこはせっかくのアップライトベース。ガッツリ弾かなきゃ気持ちよくないだろうと。
そんなわけでボディレストを試しに自作してみることに。材料はジャンク品のボディ。そいつを容赦なくブッた切ってみました。
とりあえず出来たのがこれ。
いくら何でもこのままじゃいかんだろってことで綺麗に仕上げたのが以下。
こう見ると激安の印象もだいぶ変ってくるのではないかと。
で、計算外と申しますか、『可動式ボディレスト』って感じに仕上がりまして、これがなかなか良かった。作ってる時は何も考えてませんでしたが、こいつが結構な優れ物。
こんな感じに収納可能です。
そして以下が試作段階の動画。ボディレストの稼働を確認するだけではなく、タッチに対する楽器のブレにも注目してみて下さい。元のボディレストとはホールド感が全然違います。
これだけでも良かったんですが、しょせんは素人仕事。そして材料は普通のベースのボディを無理やり使っただけ。幅が足りなくて安定させるのが難しかったのも正直な話。元のボディレストも活かす結論に達し、以下の感じに仕上がりました。
裏から見るとこんな感じ。
ちょうど弓置きみたいになるのも良かったですね。状況によって姿勢も変えるのも楽だったし作って正解でした。
コントラバス用アイテムの追加・・・が
・中古のスピロコア弦
・アンダーウッドPU
・フィッシュマンBP100
・EMGマグネットPU
気になるものはとりあえず試した思い出。知識も何もないのによくやってたもんだなと。
だからこそ言いますが、これらはまったくおすすめしません。駒の規格とかサイズが全然違う為、そのまま取り付けるのは無理。めっちゃくちゃ加工しまくったり、無駄な実験を沢山繰り返すハメになります。
取り付け場所から何から違うので、コントラバス界隈のレビューとは違ったサウンドになるのも厄介なポイント。硬質ガサガサみたいイメージのやつから全く異なるファットで重い音が出たり、わけが分かりませんでした。
つまりは、
『音の予測ができない』
博打でしかない事態を招きます。
弦についてはそうでもないのかもしれないけど、これも注意が必要。ペグはエレクトリックベースのものと同一かと思われるので、太く硬く強力なテンションを持つ弦だとどうなるかは分かりません。
チューニングや強度についても含め、安心して張りたいのであれば、ペグ交換を視野に入れておくのも選択肢に入れた方が良さそうです。
色々やって面白かったし、実際、良い結果にも落ち着きましたが、それでデフォルトの状態が大きく劣るかと言うと、意外とそうでもなかったんですよね。
このベースの一番美味しい使い方は、
『特に改造せず弾きやすく調整するだけで良い』
案外、これなのかもしれません。
パーツに凝ってどんどんコストがかかるのも何か空しい。それで大した結果が得られないんじゃ悲しい。迷いと手間を生まない意味でも、PUや音の選択肢は無闇に増やすべきではないと痛感。
このタイプのEUBであれこれ細かくセッティングしたいんだったら、ARIAの【SWB LITE】とかにしちゃった方が話が早いですね。
専用のマグネットPUも付いてるしフィッシュマンのピエゾも搭載。必死こいてパーツ探したり、それの調整をする必要もないとかそれだけでも天国って話。
改造にハマって散財。着地点を見失うのは本末転倒だと学びました。
上を見るかそのまま遊ぶか?
・改造は面白いけどそれを目的にするのか ?
・それともお手軽アップライトとして実用するか?
このハルシュタットEUBのポイントかと思います。
変に凝って散財した結果、もっと良いやつが買えちゃってたとか、改造に失敗、デフォのままの方が良かったとか、そんな事態も招きかねないから怖い。
自分の場合、アップライトベース初心者ってことで舞い上がってしまったこともありますし、先に繋がる積み重ねを行わなかったのが愚かだったと反省。
・お手頃価格=簡単に弾ける楽器なのか?
・改造するほど良くなるものなのか?
・凝るほどに使える楽器になっていくのか?
残念ながらそう都合よくはいきませんよね。楽器がシンプルな分、もっと根本的なところに向き合った方が良い。じっくり付き合った方がちゃんと使える武器になってくれる。そんな印象を強く受けた次第。
基礎も固めず、全てが素人仕事。いいかげんに力任せで弾いていった結果、指が痛くてどうにもならなくなったことなどもありました。興味を持つならばこそ目先に踊らされるべきではない。地道に長い目で見て向き合ってみることをおすすします。
激安と侮るなかれ 実に楽しい楽器
シリアスな話も混じってしまいましたが、これについてはまぁ、自分が方向性を誤ったってだけのことでもある為、楽器の魅力と可能性を否定するものではありません。むしろ物凄く面白い存在だと認めてるつもりです。
激安と馬鹿にしてたらとんでもない反撃を食らったと言いますか、意外なほど奥が深い、使い方で大化けするポテンシャルを秘めてると感じるぐらいだったり。
残念ながら今はもう所有してないんですが、こうして思い出してみると本当に面白い楽器だった、手放すべきじゃなかったかなと後悔させられます。また手に入れることがあったとしたら次は小細工なし、シンプルに行きたい。
不満点があるのも確かだけれど、そこはやっぱり言うだけ野暮。激安だからこその面白さ。安いこいつで高級面したベースをブッ飛ばす低音を叩き出し、地鳴りするようなサウンドに浸るのはなかなかの快感。
なかなか異端でナイスな存在ですよ。
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