まずは手拍子をしてみる
※無理せず怪我をしないようにお願いします。
ちょっと速めの8ビートの曲でも流してみてください。何も考えず、ノリやすく手拍子してみましょう。気の向くまま、音楽を楽しんで下さい。
次は、腕を頭上に思いっきり伸ばし、それで手拍子してみましょう。腕を楽にしようとか、脱力しようなんて考えないでください。完全に真っ直ぐ伸ばし、手拍子すること。それを意識しましょう。
今度は、その動きを思いっ切り大きくしてください。なんなら、腕を水平の位置ぐらいに構えてやってみましょう。もっと極端に試すなら「気を付け!」の直立状態から頭上で手拍子するのもよし。この際、手数を減らしてはいけません。あくまでも速いテンポのまま、しっかり刻む。
最後は何も考えず、最初と同様に手拍子しましょう。気持ちよく自然にノッて叩いてください。
実験はとりあえずこれで終了です。
嫌な動きでノレるわけがない
結論から言うと、動きの整合性がないのにノレるわけがありません。テンポに合わせて手拍子するだけでも重労働。高速で大振りなんて過酷と言うか、ほぼ不可能でしょうかね?
「これ本当にやる必要あるの?」と問われたら、
「無い!」
断言します。
そんな不条理な動きを律儀に守って高速に動かそうとしたり、無理やりに合わせようとしたり、そんなことをやればやるほど不自然、美味しいポイントからもずれてしまうでしょう。
気持ち悪いノリ、外れたノリになってしまう可能性大。 大変なだけ、疲れるだけ、そもそも実現困難。
タッチが悪いとそうなる
・無駄に疲れる
・リズムに合わせるのが難しい
・鳴らしたいポイントで音が出せない
・どのタイミングで音が鳴るか分かりづらい
・集中しまくった状態でないとできない
先程の手拍子にこんな印象を受けたのだとしたら、それがそのまま自分のタッチにも当てはまる可能性があると仮定してみてください。
どんな超絶技巧を持っていたとしても、正確なリズムの持ち主だったとしても、体の動きとやってることが支離滅裂では、どうにもなりません。もう、合わせるだけキープするだけで、精一杯。必死に頑張ればハシったり、それに気付けばモタったり、疲れれば余計にズレたり、酷いことになるでしょう。
一方、最初にやった自然な手拍子のような感覚で弾けるならば、そんなめっちゃくちゃな努力をせずとも、とりあえず合わせることは可能になります。シンプルなビートに対し、手拍子をまったく合わせられないということは、そうそうないはず。
難しく考えずとも自然に合わせることができるし、それをキープすることもできる。楽器をやってるかやってないか、それも特に関係ないとすら言えます。そうでなければ極論、才能豊かな人間でなければライブで盛り上がることはできない、許されないなんて話にもなってしまいます。
無駄に大きく振りかぶるだけ、疲れるだけ、手拍子より過酷、的外れなズレたタッチ。弦に当てるまでが重労働、そして肝心の弦は鳴ってない、タイミングもズレズレで気持ち悪い。それを変えるだけでも、リズムの感覚は別物になる可能性が高い。
裏を感じるのが重要とか、天性のリズム感だのグルーブがどうだの、ついついそんなことを考えてしまったりするものですが、それも根本的にタッチが滅茶苦茶だったら、悩むだけ本末転倒。難しいことを意識すべき段階にすらない、スタート地点がそもそもおかしいことにもっと疑問を抱くべき。
理屈もクソもなくかっこよく弾けるとか、修練でものにするというのも一つの道ですが、夢物語のようにそれを求めるのは、あまり現実的ではないように感じます。疲れるだけで音がろくに鳴らない、そんな弾き方は一刻も早く、改めた方が良い。
次のテスト
前述と同じく、また速めの8ビ-トの曲に合わせるとしましょう。自然な手拍子の感覚でかまいません。今度はそれを指先同士だけでやるようにしてみてください。
この際、ただ指先同士を合わせるだけではなく、手拍子と同じく「パンッ!」と音が鳴るようにしましょう。小指同士を合わせてそれができれば凄いですね。完璧どころか超人的だと言えるでしょう。
ってことはまぁ、これもできなくて当然。指先同士を合わせて派手に音を出せるとか、普通じゃ有り得ません。例外的に可能にする技術や人が存在するとしても、自身にそれを求めるのはあまりに無謀。
こんな変な手拍子の練習など真面目にしないでください。
良いタッチで良い音を
音が出ない手拍子、リズムに合わせることも難しい手拍子。それと同じく、リズムの感覚が全く分からないような音しか出せないタッチでは、結果はお察し。どんなに優れたリズム感があろうと、自然に弾ける感覚を身に着けていようと、的確な音が出せないんじゃ、根本的に厳しいとしか言いようがありません。
動きがめちゃくちゃ、合わせることすら難しい、音も出ない。自分の中だけで何となく分かっていても、相手にはほとんど伝わらない。この状態でリズム感云々、グルーブに悩むというのは正直、かなりずれている。そりゃ、大変になって当たり前ですよね。日本人だからどうとか、才能がどうとか、そういう問題なのかなと疑問になります。
『手拍子すら出来ない状態で必死に頑張る』
動きが悪い、音が悪い、タッチが悪いというのは、それと同じかなと。発音の良い手拍子感覚で自然に音が出せるようになれば、それだけで条件が全然違うでしょう。
何と言いますか、超絶難しい曲の中でリズムを正確にキープできるとか、機械のごとくズレない演奏を目指すとか、そうやってリズムを良くする方向を目指すのも、ちょっと考え物ですよね。
「気持ち良い手拍子なんか要らない!」
「体の動きなんか無視すべき!」
「とにかくまずは機械になることを目指せ!」
「リズムを鍛えることは超人を目指すことだ!」
これで本当にいいのかなって。
それよりもまず、
・ストレスにならない自然な動きを身に付ける
・難しく考えず手拍子のように音を出せるようにする
・リズムを分かりやすく表現して伝えられる
これが第一歩なんじゃないかと。
哲学を作るのは後でいい
どうしてもこう、
「難しい!」
「単純じゃない!」
「奥が深い!」
こんな方向に行きがちですが、シンプルに考えてみるのも悪くありません。
『良い音で楽しく弾く』
まずこれが何よりではないでしょうか。
で、この場合の『良い音』というのを『リズムが分かりやすい音』と定義してみると、より話が分かりやすくなるんじゃないかと。
「わあっぁあん、ッ~ゥウウ・・すいリいいぃ!フオォオゥウ・・・」
みたいな音ではなく、
「ワンッ!トゥッ!スリッ!フォッ!」
って方が言葉としても音・リズムとしても分かりやすいですよね。それを表現できるタッチを身に付ければ、リズムも自然と良くなるし、それだけグルーブも変わってくる。
逆に、前者になるような弾き方をしていては、何をやっても厳しい。困ったことに、音の立ち上がりが鈍臭くなりがちなのが、ベースって楽器。曖昧な発音、音のピークが後から来るような弾き方だと、どうしてもリズムが分かりやすく出てこない。
それを嫌ってか、スラップに行くのは凄く分かる話。アタックがよく出る分、それだけリズムを出しやすい。ドン!ペッ!ドン!ペッ!と簡単に言葉にしてみても、分かりやすい。実にパーカッシブ、ドラムな感覚とも言えます。
一方、それだけでは表現力が限られてきてしまう、やはり指弾きで行きたいとなると、そこは指弾きにおけるタッチ力が求められるし、それを高めなければいけません。リズムが全然出せない、立ち上がりが鈍臭い、低音が遅れてやってくる弾き方しかできないのでは、かなり厳しい。
加えて、動きに無駄がありすぎる、音を出したいタイミングにもかかわらず、まだ弦に指を当ててるだけの段階、そこから弦を振動させるなんてやっていては、ズレた音とリズムに一生苦しむことになるかもしれない。
様々な技術論や修行方法があるかと思いますが、まずは単純な話、手拍子感覚で良い音を出せるようになるのがおすすめ。タイミング良く音を出せる、気持ちよく続けられる、難しく考えずとも音楽に没頭できる、自然とノレる、そんな弾き方を身に付けたい。
やるべきことも結果も非常に分かりやすくなります。
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