才能って具体的には何?
当然のごとく使われる言葉、
『才能』
実際のところは具体的に何を指すものなのかよく分からなかったりして?
「才能ない・・」とやめる人について言うならば、「いやいや、まだ全然それを語る段階にないでしょ」という印象を抱くことの方が多かったりもするから不思議。
「くっ!俺にもっと力があれば!」
「楽器を弾く資格なんかないんだ・・・」
「こんなやつに音楽は微笑んでくれないのさ・・」
こういう初心者や練習しない人がいたらま~、かなり痛いでしょう。まだ何も分かってない段階なのにもかかわらずまるで天才や達人のごとく振る舞うのは冷静に考えてなくてもおかしな話。
恐らく長く地道に続けている人ほど現実的になっていくものだと思います。それこそ残酷なぐらい的確に自分を理解している人もいるんじゃないかと。都合のよい才能なんてものに期待などしない。変な幻想を抱くこともないはず。
誤解を承知で言うならば、「俺にもっと才能があったら・・!」とか「才能に限界を感じた・・」なんて無駄にシリアスに考えるのも一つにはアホらしいっちゃアホらしい気がしてきます。
「好きじゃない」
「合わなかった」
「やりたくない」
「もう疲れた」
こういう話であればそれはめちゃくちゃ分かりますけどね。
「嫌々でも苦痛でも続けられる者こそ真に才能のある人間」だと言うのであれば世の中、才能のない人間ばかりということになりそうですが、それもかなりおかしな考え方ですよね。
そういう意味では才能がある人というのは、
「好きな事やってるだけ」
これに集約されるようにも感じる次第。
自分の力が活きること、遊べること、楽しめることに力を注ぎ、その点に特化して周囲より遥かに上達、飛び抜けたりもするというね。それを高いレベルで実践できる人は確かに、「才能を持っている」と言えそうです。
幸いにもその好きなことに世の中の需要もあったら、そのまま収入にすることもできるかもしれないし、多くの人の協力を得て高みに到達することも夢ではない可能性がある。
自分に合っているものを見つけられる、居場所も見出すことができるなど、そんな能力に優れていることを『才能』と言うならば、それも納得できる話かなと。
後はまぁ、ベースを弾く人の場合、堅実派で努力家が多いとも想像する為、才能云々にうじうじ悩む人がそんなにいるだろうかと、そこも疑問になったりして?
ベースの才能って何だろう?
前述のように考えていった場合、超絶スラップや華麗なタッピングソロなど、優れた技巧を持っていることを才能と指すのは違和感も出てくるところ。
それが『ベース』という楽器のポジションとして優れているものなのか、実用的で居場所も見出しやすいものなのか、ちょっと微妙に感じないでしょうか?
もちろん今の世の中、超絶技巧が当たり前のように求められる世界がありますし、その需要に答える意味ではそこに生きる世界があるのも確かです。
ただ、それって音楽の比率で言ったらかなり特殊ですよね。
「この曲はカーペンターズみたいにしたいからさ~、ここ、ヴィクター・ウッテンのソロみたいにスラップでバリバリ弾きまくって!」なんて求められることなど皆無ではないかと。
超絶技巧に憧れ、めちゃくちゃな速弾きを身に着けようと躍起になっていた過去もある自分。しかし、それだけをメインに他は適当にと求められた経験というのはありません。
まぁ、技巧だけで圧倒できるような水準になかったし、華やかなんて言葉から遠すぎる人間だっていう話でもありますが、それでも相当にしんどい技が求められる場面はあります。
しかしそんな場でもやはり、
「ベースであること」
これをまずは求められるのが常。
華やかな技巧とステージパフォーマンスを持っているプレイヤーがクビにされ、「普通に弾いて」と呼ばれた経験なんかもあります。その『普通のベース』ってやつを弾くのが好きだったりもする為、特に苦痛も感じないし淡々と弾いて満足することもできたり。
そういう意味では、
『普通のベースを普通に弾く才能』
これも存在すると言っても良いはず。
「人と違うことをやりたい!」
「自分は特別であるべきなんだ!」
「派手なことをやらないと気が済まない!」
こんな気質が足枷になることだってあるのだから世の中ってのは面白く難しい。足枷どころかベースを弾くには向かなくなってしまう可能性すらあるかもしれないから怖い。そう考えていくと「才能溢れるベースってなんだろう?」とあらためて疑問が湧いてくるところ。
分かりやすいテクニックで才能や実力をアピールするならば、今時は求められるものがとんでもなく厳しいのが現実でしょう。半端なレベルではない超々絶絶技巧を持っていない限り、まったく見向きもされないだろうってのが実に恐ろしい。
好き=才能ならベースの何が好き?
前述のようなことを考えていくとやはり、
「ベースの才能って何?」
と疑問になりますよね。
これだけ地道に淡々と演奏することが求められる楽器もありません。一切動じずタフに弾くことこそが最大の武器にもなる。そしてそれというのは「後天的に鍛えることが可能」という話でもあります。
変な話、「才能ない・・」と絶望しているほど、実は向いている可能性がある楽器とも言えそうだから不思議ですよね。
・指が速く動かない...
・地味なことしかできない...
・ガンガン攻めることはできない...
・主役になることはできない...
・そこまでの欲もない...
こういう後ろ向きになりそうな部分を逆に強みに変えることができると言うか、前向きに捉えて『らしさ』を身に付ければそれは絶対に大きな武器になる。地に足が付いた実に頼もしい存在にもなれるんじゃないかと。
それをスタイルとして極めていけば、上記のようなネガティブな認識に劇的な変化が起こっても決しておかしくはありません。
・小細工は不要
・見せかけハッタリより実で勝負
・音楽の邪魔になる無駄な音は弾かない
・主役でなくとも必須の存在
・比較する必要のない己を確立している
コンプレックスに悩むどころかそれがひっくり返り、こんな格好いいベースプレイヤーになることも十分に有り得ます。
まぁ、精神論っちゃそうですし、実に曖昧で弱い心の問題でもありますが、割と真面目な話、人間なんてそんな程度のもんなのかなって気がするところ。ちょっとした考え方と価値観の変化で全部が変わっちゃう可能性がある。
だからほんと、「ベースの才能がない・・」なんて悩む人がいるのだとしたら、一体なに対して悩むのか、コンプレックスを持つに至ってしまうのか、逆に興味深くもなります。
背が低いだの、容姿が悪いだの、喋りが下手だの、緊張体質でどうしようもないとか、それってのはベース云々の問題じゃないですよね。『ベースの才能がない』と限定するのであれば、その求める才能の正体についてちゃんと把握しておくべきなんじゃないかと思うわけです。
「あいつの方が速く弾ける....」
「あいつの方が音がいい....」
「あいつの方が高い楽器だ....」
「あいつの方が才能がある....」
みたいに比較しまくって無理に悩むのもどうかという話ですし、人のことばかり気にして自分の中にあるものが何なのか分からなくなってしまうのは悲しい話。
多様な価値観が認められるようになってきた今の時代、ベース弾いててそんなことに悩む人はあまりいないとも想像しますが、いずれにせよ何か一つぐらいは好きなポイントをはっきりさせておいた方が良いのは確実でしょう。
THE・自分語り
自分がベースの何が好きかと問われてたら、
「ベースって楽器のポジションが好き」
と言えますね。
かなり曖昧な話です本当にそんな感じ。これほど自分の性質に合った楽器は存在しないなと。もう少し言うならば、「非常に多様である楽器」という部分も好きですし、その意味で多弦ベースが好きなところでもあります。
これがピアノ・キーボードだと感覚的に違いすぎちゃうんですよね。ギターじゃ軽いしドラムじゃパーカッシブすぎる。歌も管楽器も違うし、エレクトリックであってほしいから生楽器特化も違う。
「中途半端が許される面白さ」というのを誉め言葉にするのも変ですが、他の楽器とは明らかに異なる感覚と音を持っているのが心から素晴らしいと感じます。
ある意味、アンソニー・ジャクソンなんか凄い半端。でも、その半端の中身がハンパじゃなく本物すぎると言うか、誰も真似できないオリジナリティにまで高めてるから素晴らしい。
普通だったら、「ギター弾きてぇのかベース弾きてぇのかハッキリしろや!」なんて言われちゃいそうなところ、『アンソニーらしさ』をあそこまで極めてるともう、誰も何もツッコめないですよね。後は好きか嫌いかの世界。真似できないし否定したって意味がない。
そこで「シド・ヴィシャスであること」なんかを求めたら、箸にも棒にもかからないと思うんですよ。完全に難癖とか極論の類ですが、でもほんと、才能どうのってそういうことなんじゃないかと。
人間の能力なんてたかが知れてますから、超絶苦手分野とか興味のない世界の克服なんてやってないで、とにかく好きなことをやるのが一番でしょう。向かないこと、興味ないこと、嫌いなことを必死にやるってやっぱり辛い。お金と割り切ってやるのもいいですが、それも一つの才能と好みの問題でしょうから、合わない人にはどうやっても合わないはず。
話がまとまりませんが、「ベースほど才能に悩まなくていい楽器はない」と感じるのも、自分は好きなところ。地道であることが非常~に報われやすい楽器だと認識している次第。
ベースをベースとして弾く限り、やった分だけ返ってくる、成果が得られる。それがあったから20年以上弾いても飽きなかった。ふらふら脱線もしまくりますが、それも許してもらえる、糧にもなるのが魅力。
ベース好きな才能があって良かった
これは自信を持って言えます。
ついでにブログ書くのが好きだってのもね。
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