Al Di MeolaとAnthony Jackson 超絶ピック弾きの競演

Al Di Meola Tour De Force-Live

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・Al Di Meola (Gt)

・Jan Hammer (Key)

・Anthony Jackson (Ba) 

・Stave Gadd (Dr)

・Mingo Lewis (Perc)

・Vitor Godsey (Key)

 

 

RACE WITH DEVIL ON SPANISH HIGHWAY 

 

邦題・スペイン高速悪魔との死闘

 

このアルバムと来たらこの曲でしょう。

「スペイン高速・悪魔との死闘」と読むべきなんですが、

 

『高速悪魔との死闘』

 

どう聴いてもこれです。

実際、長いこと勘違いしてました。

 

まぁほんと、それぐらい高速に死闘を繰り広げてるんですよ。そのデッドヒート感が溜まりません。スタジオ版も良いんですが、こちらは本物のライブ。その熱いバトルとエネルギーが比較にならない。

 

「まず聴け!」

 

これですね。

大音量で浸りましょう。

 

ツアー・デ・フォース・ライヴ(期間生産限定盤)

脈絡なんか気にすんな!

 

この曲、自分のバンドでやったことなんかもありますが、正直、笑っちゃうんですよね。もう、音楽的にどうのとかクソもないって感じです。取って付けたような唐突な展開の嵐!

 

「ここ速くしようぜ!」

「ここゆっくりにしようぜ!」

「ここで変えちゃおうぜ!」

 

マジでこんな感じ。

 

良く言えばスリリングでドラマチックですが、ま~、どっちかと言うと凄腕楽器奏者のエゴでつくられた感が満載で好みはハッキリ分かれるでしょう。

自分はもちろん、こういうの大好きです。ものすごくガキっぽい、ヤンチャで荒々しいしょーもない曲なんだけど、それがいい。

 

「速弾きしてぇ!」

「ユニゾンしてぇ!」

「ひけらかしてぇ!」

 

この潔さがたまりません。

 

面子だけ見ると「なんだよ・・フュージョンかよ・・」って感じにもなりそうなところ、これはもう、ノリは完全にメタルやプログレのそれですね。

 

レスポールにマーシャル!

PUはスーパーディストーション!

必殺フルピッキング!

 

痺れます。

 

ドリームシアターの原点?

 

ジョン・ペトルーシがアルディメオラのファンであることはファンなら言わずと知れた話。ジョーダン・ルーデスがヤン・ハマーのサポートを務めていたことがあるのも本当の話。

まぁ、何も影響がないわけがないってもんですよね。ギターとキーボードのバトル、高速ユニゾン、唐突にすら思えるスリリングな展開など、まさにドリームシアターを彷彿とさせる要素満載。

 

全ての楽器がゴチャゴチャ入り乱れっぱなしだったり、ハイスピードなバトルばかりではなく、分かりやすいところは徹底的に分かりやすくして安心させる。

テンポも実はむしろゆったりしているぐらいだったり、そこからの緩急が実に気持ちいいし、その塩梅が素晴らしいわけです。

 

このアルバムは1982年のものですが、もう40年近くも前になるだろうかってものなのにこれだけのことをやっていたのかと、それを知る意味でも非常におすすめ。

しかも高速悪魔自体は1977年に発表されたと来ました。これですもん、アルディメオラに影響を受けたギタリストが沢山いるってのも頷けますよね。

 

そうそう、書いてて思い出しましたが、ドリームシアターの【Lerning to live】という曲。

途中、レゲェっぽいリズムで弾くというライブアレンジがありましたが、もしかしたら、このツアーデフォースライブの高速悪魔のアレンジを意識したところとかあるのかもしれませんね。

 

ただの偶然の可能性もあるし詳細は分かりませんが、いずれにせよ共通の感覚があるのは間違いはず。ドリームシアター好きなら彼らのルーツに触れる意味でも必聴ではないかと!

 

ANTHONY JACKSON

 

このアルバムのアンソニーがこれまた強烈!何が凄いって、この時代に6弦を使ってしかも、フランジャーかけてピック弾きをメインにプレイしてるってことですね。

古さを感じないとか言う、そんなレベルではありません。誰も真似できないから、アンソニーを聴くしかないって感じ?

ディメオラとの高速ユニゾンも難なく決めるという、そのテクニックにも驚愕!

 

彼に言わせれば「コントラバスギター」という楽器になるんでしょうが、まさしくその通りなサウンドとプレイが最高にイカしてます。

ファーストコールの超一流スタジオミュージシャンであるのはもちろん、ジャズもバリバリに弾けるし、ジェマーソン大好きなんて人がこんなこともできるという、その柔軟性と先進性に感服。

 

ギターあがりのなんちゃってベースな場合、どうにも音が軽かったりリズムも浮いちゃって格好悪かったりするものですが、そこはさすがのアンソニー。

なんでこんなにドッシリゆったり、しかもタイトに弾けるのかと唸らされます。

音自体は倍音豊富、それに加えフランジャーのシュワシュワ成分も混ざって結構カオスなはずなんですが、びっくりするぐらいに『ベース』だから凄い。

 

・思いっきり伸ばすところは伸ばす

・ミュートを加えタイトにキレよく弾く

・バンドがどんなに暴れようとびくともしない

・時にはギターに変身し曲に躍動感を与える

・ディメオラと同等の高速ユニゾンも難なくこなす

 

ま~ほんと、見所を語って褒めだすとキリがありません。

 

そしてこのアルバムの肝、それはドラムがスティーブガッドということですね。このコンビが最強最高なのはファンなら周知の事実でしょう。

また今後も紹介していくことになると思いますが、世界最高峰のリズム隊であることに疑う余地なし!

なんでこんなに心地よいのか、オリジナリティに満ち溢れているのか、この二人でないと絶対に出せないサウンドとグルーブですね。

 

アルディメオラの爽快感

 

高速悪魔の話が中心になってしまいましたが、アルバム全編、聴きどころ満載なのは間違いなし。 超絶バトルアルバムみたいな紹介になっちゃったけど、実はそんなことはありません。それこそ、 一曲目の名前が【Elegant Gypsy Suite】ですしね。

 

品の良いインストも楽しめるし、全体通して40分ぐらいのアルバムなので、そこまで聴き疲れするようなことはないでしょう。

日本人に馴染むと言っちゃうのも限定的に感じられるかもしれませんが、でも本当、アルディメオラのやってることって感覚的にすごく分かりやすいと思うんですよね。

 

このアルバムではアコースティックサウンドを堪能することはできませんが、日本人的に親しみが持ちやすいインストのアルバムを探すのであれば、アルディメオラは超おすすめ。

なんて言うんでしょうね?アルディメオラの場合、速弾きやユニゾンを駆使しても、なぜかそこまでの『やりすぎ感』はない気がするんですよね。

 

技巧的に言えば今の時代、もっと超絶的だったり派手なプレイヤーも沢山いるものですが、アルディメオラの爽快感とか聴きやすさとか、そういうものを持っている人はなかなか存在しない。

音楽性とかセンスとか言っちゃうと凄く安直な話になってしまいますが、嫌味がないとか知的であるとか、やはりそういう印象があるかなと。

 

商業的とかビジネス感覚に優れているとか、そういう面もありそうですし、良くも悪くもスマートだとは思いますが、ゆえに『アルディメオラらしさ』というのをブレずに続けることができたのかもしれませんね。

嫌いな人間の相手はしない、自分のやりたいことだけやるって感じ?器用にスタジオ仕様に大人しくカッティング決めるディメオラとか、あんまり想像できませんもんね。

 

で、そんなアルディメオラのハードなところ全開、まだ荒削りにヤンチャに弾いてるライブアルバムがあるんだから、これはやはり必聴です。

地味に指弾きで支えるなんてことではなく、ギンギンなサウンドで攻めるアンソニーと縦横無尽なベースプレイ、その斬新なサウンドを知る意味でも超オススメ。

 

聴き終わったら早速、フランジャーとピックを買いに行きましょう!