トゥルーバイパス・パッシブ至上主義への疑問 インピーダンスは無視?

トゥルーバイパスについて考える

 

最近ではもう特に珍しくもないトゥルーバイパス仕様。本当にまったく音痩せがないのかと考えると疑問も湧くところがあります。

今回は2008年に書いた自分の記事を再編集しつつ、改めて考えていってみたい次第。

 

 

余計なものを通したくないのは当たり前


エフェクターをオフにした際、余計なバッファなどを通らないようにするのは分かる話。強制的に音が加工されてしまうような事態を避けたくなるのは道理。

 

繋ぐだけで音の変化や劣化を感じてしまうようなものと比べれば、原音重視派がトゥルーバイパスを選択するのは必然。

 

性能も特性も異なるバッファを5個も6個も様々通るなど歓迎したくはない。それを避けるならばやはりトゥルーバイパスは必須の仕様と言えそうです。

 

ケーブルは長くなるし接点も増える

 

いくらトゥルーバイパスとは言え、素の状態から変化があることは確実。エフェクターを使用する時点でケーブル全体の長さが増すのは必然。ジャックも接点も増えてしまうことは絶対に避けられません。

楽器本体からアンプまでを繋ぐ距離が遠くなってしまうと考えれば、もうその時点で条件が違ってしまいます。大なり小なり必ず信号の変化は起きてしまうでしょう。

 

実際、1mのケーブルと長いケーブルを比較すると結構な差があるもの。適正なインピーダンス変換をしたアクティブベースでもその違いは明らかでした。

現実的には1mのケーブルなんてメインでは使いません。正直、これは捻くれた見方でもあります。一方、劣化皆無なんてことが考えられないのも否定はできないはず。

期待値が上がってしまうことは理解できますが、過度な期待を持つようなものではないと自分は認識しています。

 

「信号を加工せずそのまま送る」と言えば聞こえはいいけど、見方によっては最も原始的、無責任にも思えるのがトゥルーバイパス。

特にインピーダンスのことを考慮するならば、『トゥルーバイパス=万能』みたいなことには間違ってもならないでしょう。

 

油断できないパッシブ楽器

 

「トゥルーバイパスだから大丈夫!」

 

と安心するのはちょっと早い。

 

パッシブ楽器を使ってオールトゥルーバイパスなんて場合、電気的にも音的にも最悪の状態になってしまっていることが考えられます。

高品質なバッファなどを一発目に繋いであるなら話は別ですが、何も考えずにハイインピーダンス出力のまま放っておいてしまうのは安易でお粗末。

 

前述した通り、エフェクターを使用する時点で条件が変わるのは避けられないこと。長いケーブルや沢山のジャックを通ることになるのが現実。

そんな中、バッファも何もまったく通さず、ハイインピーダンスのまま放置するのが良い状態だとはとても思えません。

 

アンプの入力インピーダンスが低い場合、パッシブ楽器は音量も元気もなくなりがち。長いケーブルを使う状況では音痩せしないどころか、ヘロヘロに痩せた信号を送ることにもなりかねない。

 

「トゥルーバイパスだから原音そのまま!」

 

なんて信じてしまうと痛い目を見るはめになります。

 

高級ケーブルにこだわるよりバッファ

 

論より証拠。バッファの効果についてはこの動画を見ると早い。ON/OFFで音がはっきりと変わります。

www.youtube.com

 

パッシブの場合、ケーブルが長くなるだけでも音的にはかなり不利。それだけでも厄介なのに、アンプの入力インピーダンスが低いとさらに悲惨。音量は落ちるし元気もなくなるし、ちゃんとした高域も出てこなくなります。

 

早い話が、

 

『音抜けが悪くなる』

 

こういうこと。

 

動画で聴くだけだと温かみがあるとかそう感じられるかもしれませんが、実際はそんな良いものじゃありません。露骨に音量は落ちるし、音が曇って全然前に出てこなくなってるのが本当の話。

 

バッファを通した後者の音はドンシャリとかうるさいとか感じる可能性も高いかと想像します。しかしこれはバッファの癖ではなく、この楽器とPUの特性がそのまま出ているだけだと考えてください。

安物のPUをジャックに直結しているのが動画のベース。加えて弦高も低めであえてジャリジャリ言うように弾いているのは前者か後者か?

 

答えは言うまでもないでしょう。

 

そのうるさい粗さにしても結局、トーンを絞るなどすれば甘く温かいサウンドにすることも可能。一方、最初から壊滅的で加工のしようがない前者には選択肢が存在しない。

いくら高級ケーブルにこだわろうと無駄。根本的な問題を解決しない限り、メリットがあるとは思えません。

 

パッシブ楽器にオールトゥルーバイパスの疑問

 

現実的なことを考えていくと無闇にトゥルーバイパスにこだわるのは疑問。パッシブ楽器を使うのであればやはり、どこかでローインピーダンス化させた方が劣化は少なくて済みます。

 

音痩せなんか気にせずエフェクター通しまくりなんて方が音痩せしていない、そんなことになる可能性もあるのだから皮肉。

 

「俺はアンプ直で行くぜ!」

「これなら劣化は関係ねぇ!」

「ごまかさない本物の音だ!」

 

なんて調子に乗っておいて現実には劣化しまくりでは笑えません。

 

それと同様、

 

「楽器の原音こそが命!」

「トゥルーバイパス最高!」

「全然音痩せしない!」

 

なんて意気揚々とパッシブで長いケーブル通しておいて、しかもオールトゥルーバイパス状態にしてるとか、それはどうなのかとツッコミすら入れたくなるところ。

 

そんな状態で、

 

「EMGはつまらない!」

「アクティブの音は偽物!」

 

みたいなことを言っても何も説得力がありません。 

 

トゥルーバイパスにも色々あるらしい

 

「トゥルーバイパス」と一口にしても製作者によってその解釈が違う模様。内部のスイッチや回路をどこまでスルーしているのか実はいまいち分かりません。

トゥルーバイパスと言いながらも電源を通さないと音が出ないようなものも実際にありました。

 

中にはON/OFF時に盛大にノイズが出るやつなんかもあるから怖い。

ライブのサウンドチェックで爆発じみた音を炸裂させてしまったことがありますが、あれは本当、ちょっとしたトラウマになっています。

 

『ポップノイズ』って言うらしいこの現象。これが盛大に酷くなる可能性もあるのがトゥルーバイパスの嫌なところ。

あれを爆音で鳴らしてしまうリスクを思うと色々考えてしまいますね。ライブじゃBOSSとかを使った方が安心なことを痛感させられます。

 

このあたりについてあまり考慮されていないトゥルーバイパスは使用をためらってしまうのが本音。どんなに劣化のない優れた方式だったとしても、あのリスクはちょっと許容しがたい。

 

配慮をした製品がもっと増えてきてほしいと切に願います。

 

大袈裟な言葉に幻想を抱くべきではない

 

何を持って劣化と言うのか?音が痩せると言うのか?それもこれも結局はプレイヤーがどう捉えるかの問題。すごく曖昧な話なんだと思います。

言葉に執着しすぎて肝心の音が二の次になってしまうのは本末転倒。値段や売り文句、表面的なスペック優先をするのはよろしくない。

 

スルーした時に劣化がなくても肝心のON時に超劣化するとかそりゃどうなんよと。ましてや根本的に好みの音がまったく出ないのではバイパスがどうもクソもない。

トゥルーバイパスであろうがなかろうがまずは関係なし。エフェクターが欲しいのであれば出したい音が出せるものを選んだ方が良い。

 

まぁ今の時代、トゥルーバイパスなんてそんな大きな売りにもならないだろうし、過剰な期待なんてものもないとは思いますが、一時期は幻想みたいなのありましたからね~。

 

「トゥルーバイパスじゃないと痩せる!

「通すだけで音が変になってしまう!」

「一流はみんなトゥルーバイパスだ!」

 

みたいな強迫観念を植え付けみたいなのすらあったと言うか、トゥルーバイパスってだけで高級仕様みたいな扱いになってたかもしれません。

 

皮肉を言うようですが、変にこじらせてわけの分からない方向に行くなら、BOSSとか安心の定番品でいいと自分は考えます。

と言うかむしろ、それが一番良いまでありますね。実用性を第一に考えればあれほど頼れる存在もない。

前述の通り、洒落にならないレベルのノイズを出すとか本当に笑えません。爆音を炸裂させた瞬間の冷ややかな視線と空気。トゥルーバイパスへの疑念を持つに十分な体験でした。

 

そこにこだわるのは問題ないにしても、

 

『トゥルーバイパス幻想』

 

こんな期待を持つことには反対。

 

これはパッシブ楽器についても同様ですね。イメージ先行のこだわりだったら固執したって大した意味はない。表面的な売り文句などに飲まれないようにしたいものです。

 

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