メイプル指板のベース その特性と謎を考える

メイプル指板を考える

メイプル指板は実は最柔の指板?

 

「アタックを求めるならメイプル指板!」

「クリアなサウンドならメイプル指板!」

「スラップするならメイプル指板!」

 

こう評価される印象が強い、メイプル指板。よりアタックの効いたサウンド、明るくハッキリした特性など、それを求めた場合、高い確率でこの指板をイメージしそう。

しかしまぁ、そんなイメージとは裏腹に、高密度なローズウッドやエボニーなどの材と比較すると、軽くて柔らかい木材なのがメイプルのはず。

 

ただ単に硬質なだけでは調整も大変になるし、気候の変動に弱かったり、欠けやすい、割れやすいなんて事では、ネック材として適しているとは言えません。

野球のバットにも使われているように、しなりや粘りがある、安定していて耐久性があるなど、そういった特性を持っているからこそ、ネック材として不動の地位を築き上げているのでしょう。

でも、そんな性質を考えてみると、アタックが強烈とかハイがよく出るなど、そんなイメージとはちょっと違う気もするところ。

 

優れた弾力、反発力があるからこそ、ローズやエボニーよりもハジける感じがある、軽いからこそ明るく抜けてくる、そう見るのも感じるのも、分かる話ではあります。

しかし果たして、そこまで圧倒的に別物なぐらい違うのだろうか、疑問も湧きます。

水分や油分の比率なのか?乾燥具合の違いなのか?圧倒的にアタッキーで鋭い特性と評価させるのは、どんな理由からなのか?

 

20本以上のベース、遊びで手に入れたものを含めれば軽くその倍以上を所有してきましたが、その内メイプル指板だったのは、僅か数本。

ほとんどメイプル指板の事を知らないだけに、色々と興味が湧きます。

 

実は塗装が肝?

 

塗装を剥がした経験

 

分厚いポリ塗装で仕上げられたメイプル指板。

これが実は非常に独特、個人的に凄く面白いと思ってる仕様。

 

以前、フェンダージャパンのメイプルネックのジャズベの塗装を剥がした事があるのですが、出音がイメージとは違うところに行ってしまって驚きました。

ボディの方も剥がした為、一概に言えないのも確かなんですが、それにしても、ビックリするぐらいの変化があったんですよね。

 

ネックの塗装、指板の塗装を剥いだ影響か、別物感がま~凄い。

クリアな方向ではなく、太く、甘く、ゆったり遅くなるような、そんな感じの変化。指で弾く、落ち着いたサウンドを狙うには、良い塩梅になりました。

一方、スラップやタッピングなどをバリバリ決めるなら、塗装してあった方が良かったかなと思うのが、正直な話。

 

振動が伝わってくる指の感覚としても、木の方にそれを吸われるような感じと言いましょうか?

パーン!ってハジける感覚、抜け、明るい気持ち良さについては、減少してしまった印象です。

 

コーティングされたフレットレスから考える傾向

 

以前、真っ黒で分厚いエボニー指板の6弦フレットレスを所有していたのですが、サスティーン、音抜け、どうもイマイチで悩みました。

ラウンド弦を使用してた事もあり、指板の消耗も明らかだった為、後掛けのコーティングを決意。そうしたらま~、目的だったサスティーンと音抜けの向上を明らかに実感できました。

温かみの面においては、賛否が分かれますが、個性や実用性的には、こちらの方が文句なし。これは本当、前述した塗装剥がしの逆の結果を得られたと言えそうです。

 

塗装した事により、アタックがハッキリして、音もクリアーに。サスティーン豊かにもなり、凄く使いやすい楽器になって驚愕。

高密度の分厚いエボニー指板でも、コーティングするとまた別物になる。そんな印象を受けるに、十分すぎるほどの出来事でした。

 

ローズか?メイプルか?エボニーか?材による違いが当然あるとして、

 

『コーティング指板かどうか?』

 

これも実は大きな要素になるのかもしれません。

 

塗装が薄いメイプル指板はまた別物なのかも?

 

所有してきた数少ないメイプル指板のベース。中でも珍しかったのは、極薄のラッカー塗装がされたメイプルネック&指板。

悲しい事にこのベース、とにかくバンドの中で評判が悪かったです。音が抜けてこない、聴こえてこない、薄い、軽い、電気臭いなど、散々な思い出。

木材自体は良質に厳選された物、状態も安定していてメンテも楽。しかし、どうにも出音が残念でなりませんでした。

 

勿論、これを塗装だけのせいにするのは無理があります。PUやプリアンプの影響、セットアップ、音作りの問題も大きいでしょう。

肝心のタッチが最悪だった、それが最大の原因だとも認識しています。

 

ただ、ひっかかってるのはそのベース、

 

「あまりに個性なく感じた」

 

とにかく中途半端、パンチが全然ない、メリットは軽いだけって印象でした。

 

・特にクリアーでもないアタックがあるわけでもない。

・温かみがあるわけでも主張があるわけでもない。

・上品でもないし下品でもないし印象に残らない。

 

ほんとこんな感じ。

 

「アッシュボディ!メイプル指板!アクティブのジャズベース!」と来たら、スラップ向けなイメージをしたり、アタックのあるサウンドを思い浮かべるでしょう。

でも、そんな風に言える要素が全然なかったんですねこれが。

ちょっと憶測がすぎる気もしますが、あれでカッチカチのタイトな塗装がされていたらまた全然違ったのではないか? バンドの中での抜けも違ったのではないか?

そんな事を考えてしまいます。

 

ナチュラルな質感を求めた結果、エレクトリックベースとしては微妙になってしまった・・・そんな難しさも実感させられるなと。

 

メイプル指板の不思議

 

自分の経験から言えば、塗装が薄いメイプル指板は、木材のその比重、密度の通りの特性というイメージ。

あまり響かない、反応が速いわけでもない、特に個性的でもない、上がうるさくなるわけでもローが膨らむわけでもない、そんな感じ。

 

特出したものがない分だけ扱いやすいと言うか、一つにはそれも正解な気がするところ。

レンジが広すぎて扱いづらい、強力なアタックが嫌なピークになる、温かみが逆に元気のなさに感じるなど、メリットとデメリットは表裏一体。

魅力がそのまま嫌な癖になる可能性もあるから、楽器は難しい。

 

一方、頑丈な塗装がされてるメイプル指板に関しては、評判通りのクリアでアタッキーなイメージ、明るい傾向の音が出てくる印象があります。

 

・味わい云々よりもまずはストレートに音が抜けてくる

・アタックが木に吸収されるのではなく跳ね返る感じ

・感触もプラスチック的と言うか無機質な印象

 

これが塗装メイプル指板に対する自分の認識。

 

でもこれって、メイプルそのものを指しているのではなく、塗装指板、ハードコーティングに対するイメージになってくるのかもしれません。

科学的に厳密にどうなのかは分かりませんが、塗装の有無ってやはり、かなり違いがあるんじゃないかと想像。

塗装自体の強度や密度についてもそうですし、もっと言えば、ネックと指板の厚み、その比率の問題も、影響ないわけがないですよね。

 

そういった要素を無視して「メイプル指板はこういう音!」と言い切るのは、ちょっと抵抗があります。

薄いラッカーのネックが自分にはイマイチに感じたように『メイプル』と一口にしても、実に様々存在するものなんでしょう。

自分がメイプル指板を選ぶなら個性を求める意味でも、ハードなポリ塗装を選択したいところ。経験的にも納得、イメージ的にもそっちの方が合ってるし、特性としても面白そうです。

 

事実にしても、考えすぎにしても、こういう木材の特性を考えるのは楽しいですし、永遠に興味が湧いてしまう話題ですね。

「結局はスタンダードスペックが一番正解」と言うにも、そのスタンダードスペックの中にも、また細かく分類できる領域があったり、楽器は本当に奥が深い。

気にしないなら気にしない。知りたいならとことんまで調べる。実際に触れて弾き倒す。そして自分で答えを出す。

 

「メイプル指板=アタッキー」で止まらず、

 

「どんな仕様のメイプル指板が好きなのか?厚みはどうする?塗装は薄いラッカー?分厚いポリ?それで理想のアタックを得られるのか?思い描くサウンドを手に入れられるのか?」

 

こんな風に色々分析してみたり、認識しておきたいですね。少なくとも、「メイプル指板=何でもアタッキーになる」とは、自分は考えてません。

 

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