ピックで太い音を出す
指弾きでもピック弾きでも同じ
サウンドとスタイルの好みは別としても考えるべきことは同じ。
「弦をどうやって振動させるか?」
結局はこれ。
音が細く頼りないなら弦が振動していない。そもそも楽器自体を鳴らせてない。機材も大事だけど真っ先に疑った方がいい部分がある。
ギター的な手法を取ったり、電気的な強化を目指したり、それも一つの正解なのかもしれません。
でもそればかりじゃちょっと寂しい。もうちょいベースを愛してあげてほしい、太い音を出す弾き方を意識をしてみてほしい。
「ピックじゃ太い音は出せない!低い音なんかいらない!」なんて割り切ったり諦めず、もっと根本的な部分に真剣に向き合ってみることをおすすめしたい。
機材に頼らず大金をかけずとも出来ることはあります。それを追い求めることでベースを弾くのがもっともっと面白くなります。
強烈な打撃音=太い音は違和感がある
まるでスラップのようにピックで弾いたり、太く大きな音と迫力を出そうとするやり方もあるこの世の中。
実際、ゴリゴリしたサウンドを出したり、ドライブさせるに非常に効果的、インパクトのあるスタイルになると思います。
ただ、自分の好みと認識の問題から言うと疑問な点もあり。そればかりではサウンドとしては限定的なものになってしまうように感じるところ。
そういったアタックやサウンドが大好き、自分にとってメインの奏法でもあるのなら、それは何の間違いでもありません。
一方、「太い音を出したい!」と意識しての弾き方だとしたら、派手な打音を出すことをイコールにするのはやはり違和感があります。
力強い打音を加えたサウンドは確かにかっこいい。でも全てをそれで通すには厳しい面も多い。
ゆったり弾きたい場面では全く活きない、頼りない音しか出せなくなってしまう、それじゃちょっと悲しい、悔しい思いもするかもしれない。
激しい打撃音は立派な奏法と表現力。そこに加え、他のやり方を模索していってみるのも楽しい。
「ピック=ロック!」みたいなイメージから解放、また新たに豊かな世界が広がるとベースはもっと面白くなる。
スタイルに幅が生まれることも期待できるし、ベースにおけるソフトなピック弾きの可能性など、そういった発見をできる可能性も生まれてくるでしょう。
ピックを弦に当てて終わりではなく弦を鳴らす
ピックでしっかり弾こうとした場合、振りかぶったり遠心力をつけて弦にぶつけようとしたり、弦を強くはじこうと意識しがち。
または最小の動き、軽くはじいて済まそうと弱々しい弾き方にもなりがち。
しかし、それでは充実した弦振動を得ることは厳しい。
強くぶつければいいってもんじゃない、脱力なんて言って撫でる程度じゃベースは鳴ってくれない、これはピックに限定した話ではなく指弾きにおいても同じ。
『弦に指orピックを当てるのが目的ではなく弦を鳴らす事を目的とする』
極端な話、ピックを弦に密着させた状態からスタート、そこから弦を鳴らすトレーニングをしてみると面白い。
振りかぶった軌道、勢い任せで弾くのではなく、弦にしっかり力を加える感覚を知るだけでも違います。
実際の演奏のおいては、連続した高速処理が求められる為、いちいち溜めを作る暇なんてないのも事実。でもそこで諦めていては話が先に進みません。
音にもっともっと説得力を持たせたいなら、その為のじっくりとした練習をやってみてほしい。
華麗な演奏を目指すことはひとまず置き、まずは一音一音ゆっくりと確認しながら弾く。
どうやったら音が太くなるか?どんな時に音が太くなった?そうやって向き合うことで音は確実に変わっていきます。
結果、速いフレーズを弾くにも余裕が生まれます。貧弱で軽い音でさらっと流すのではなく、粒よくしっかり鳴らすことが出来る。
ゆっくり弾いてもか細く頼りない音しか出せないんじゃ、速く弾いたらそれが余計に酷くなるだけ。
ピックの角度・弦振動の角度を意識する
話してるだけではあれなので実験動画を撮ってみました。分かりやすいようにちょっと極端目にやっています。
ピッキングを変化させる順番は以下の通り。
【弦をはじくように上斜め方向→弦を押し込むように下方向→ミュートを加えて横方向→ミュートを加えて押し込むように下方向】
初心者にありがちなのが、弦をただはじいてしまう感じ。
しかも弦を持ち上げてしまうような弾き方になってる場合、確実に低音は痩せてしまうし、音量も確実に落ちてしまいます。
・楽器本体に圧力がかからなくなる弾き方
・弦がPUから遠くなってしまう弾き方
・力が抜けるだけの弾き方
こう考えてみれば音が痩せてしまうのも納得できるはず。
横を意識して弾く場合、音はちょっと軽くなりますが、もっと倍音の方を際立たせたり、サスティーンを利かせるには良い奏法になると思います。
一方、動画の通り、押し込むことを意識したピッキングと比較すれば明らか。重さも太さも完全なる別物になってしまうのが現実。
「ズン!」と重く響かせたいのであればやはり、弦を押し込むように弾いた方が結果は明らか。
最後のグリスなんかにしても、
「ズグゥゥォオオ!」
と鳴らしたいのが、
「ぷお~ん・・」
になってしまうのでは笑えませんよね。
弦楽器なんだから弦を鳴らすべき
ピッキングで音を変えるのはオカルトでも宗教でも何でもありません。
『弦楽器』として当然の結果。PUをマイクと考えれば、声量も表現の幅もない貧弱なボーカルに何を期待するのかとなる話。
前項の動画で使用したのは重さ1kgで2Wの小さなアンプ。言ってみればオモチャ。音量を上げるとすぐ音が割れたり歪んだり、低音なんてものを期待するものではなし。
でもそんなアンプを使ってでさえ、弾き方によって音は確実に変わります。太さも音量もアタックも全くの別物。機材云々では済ませられない差が出てくる。
これが何を意味しているか?
大きいアンプ、PAでの増幅、エネルギーが大きくなればなるほど、さらにとんでもない差が生まれてしまう、絶対的な結果としてあらわれるってことですね。
ネットで得る情報、超圧縮された音源、ヘッドホンの世界だけではいまいち効果が分かりづらいかもしれません。
しかし、場を変えれば想像を絶する違いが発生、桁外れの差、それこそ次元の違う音になると言っても全く過言じゃない。
ライブでとんでもない音を叩き出す人、生の迫力、実際の表現力のレベルが異なる人というのはやはり、そもそもの部分のクオリティが遥か上にありますよね。
「小さな音では良い感じでも大きくすると全然駄目・・」なんてのとは対極。根本のエネルギーが違う、それをさらに増幅するのだからそりゃ凄いことになる。
「もっとしっかり弦を鳴らすべき!」なんて言うと嫌味に聞こえるかもしれない、説教臭くも思えるかもしれません。しかし現実問題、エフェクターやプリアンプ任せでは見れない世界があります。
素の鳴りも鳴らし方もしょぼいまま・・それで憧れのサウンドを本当に実現できるのか?それを超えていけるのか?
真剣に向き合ってみると一皮も二皮も剥けるはず。
指弾きの方が偉いとか考えるだけアホらしい
素だけでガツン!と来る音を目指すにせよ、電気的に効率よく増幅できる振動を見つけるにせよ、ピッキングの研究、試行錯誤はやはりかかせないでしょう。
繰り替えすようですが弦楽器である以上、やるべきことは指でもピックでも同じ。どちらが上も下もない。理想に向かって進んでいけばよい。
スタイルやサウンドの好みとして使い分けをするのは有りですが、まったく別の存在として扱ったり取り組むのは非効率なんじゃないか?そんな疑問も湧いてきます。
ましてや、どちらか一方を卑下したり見下すなんてのは愚かな話。
太い音、重い音、軽い音、繊細な音、ゆったり伸びる音、キレ良く決まる音、指でもピックでも意識することに変わりないんだから、繋げられる部分は必ず存在する。
以下動画の1フィンガー奏法にしてもピックで得た感覚が活きている、その感覚があったからこそ自分なりに身に付けられた奏法だと断言可能。
変な壁を作ったり妙な先入観を持たなければ、何をするにも応用が利くようになってきます。
本当、ベースってのは面白い楽器です。いくらでも研究できるし、いくらでも遊べます。「ピックだから太い音出すのは諦める・・」とか考える必要なし。
「誰もやってないなら俺がやってやる!」
そんな気構えでいる方が楽しくて良いじゃないかと。
第一人者になるもよし。
格上にブッ潰されるもよし。
お気楽に遊んでいくもよし。
思いっきり楽しんじゃいましょう。
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その悩み、タッチ・ピッキングに向き合わないと、解決しない可能性が高いです。
どんなに高くて良い機材を買っても、弾き方が弱いままじゃ出てくる音もそのまま。
弾き方が弱い、弦が振動してない、元々の信号が弱いんじゃ、増幅のしようがない。
そんな違和感、悩みの解決、逆転、希望、野望の力になる為のマガジン作りました。隅々まで読んで実践すれば必ず、音が太く強くなります!