縦振動への先入観?
太い音の出し方がどうとか、一音の説得力がどうのって話をしていると、テクニカルな演奏とは真逆なイメージをしてしまうんじゃないかと想像。
そして、そういった先入観によって縦振動のタッチに興味が持てない人などもいるんじゃないかと。
しかし、徹底した効率化や自分のタッチへの関心を高める意味を考えれば、「縦振動のタッチ=速く弾けなくなる」なんて繋げる必要はまったくないでしょう。
むしろ、理解が深まることでより速く弾けるようになる可能性があるし、それだけ無駄な消耗も減って疲れなくもなっていくはず。
実際、自分がそんな効果を強く感じている為、否定のしようがないのが本当の話。
縦振動の研究を始めてからの方が明らかに自然に速く弾けるように。
以前はテクニカルな仕様の楽器を好んでいましたが、そことは対極にあるような今の方が無理なくスムーズに弾け、なおかつ、比較にならないほど音は太くなったと実感しています。
太い音を歯切れよく
縦振動のタッチでしっかり太い音を出せるようになると、右手のポジションによる音への影響が少なくなってくる印象。
つまり、ブリッジ寄りの位置で弾いても音が細くならないということは、太い音かつ、歯切れ良くアタックのある音を出すことが可能になります。
無闇に低音をブーストしたり、高域を無理に強調したりなんて必要がなくなれば、その恩恵は計り知れません。
「せっかくの速弾きも輪郭がぼやけて団子のようにしか聴こえない」
そんなこともなくなっていくでしょう。
どの指でも太い音が出せる
弾くポジションによる音の違いがなくなってきたり、音量も粒も揃ってくるということは、2フィンガーにおいてはもちろん、3フィンガーなどに対しても非常に大きな効果を望めます。
重要なのは「力で弾こう!」なんて感覚ではなく、「いかにスピードとタイミングを掴むか?」ということになってくるので、「薬指はパワーがないから・・」と諦める必要もありません。
極端な話、小指で弾いても太い音を出すことはできますし、手の大きさや指の短さなどをコンプレックスに感じる必要もなくなります。
実際に使うかスムーズに弾けるかはともかく、自分も小指で弾くことは可能であり、縦振動を意識してそれなりに太い音を出せる自信もあります。
極めた人なら、太い音を鳴らす高速4フィンガーなんかを実現することも可能になるのかもしれません。
技巧派こそ良いタッチを身に付けるべき
テクニカルだったり速いプレイが求められる場合、
「とにかくこのフレーズを弾かなければならない!」
という意識が強くなりすぎるあまり、どうしても出音の方を妥協してしまいがちになるのもよくあることだと思います。
豊かな音と技巧の両立は本当に難しいものですが、ベースの世界、まだまだどんどん進化していって良いんじゃないかと。
「ギターには負けねぇ!」
なんて対抗心を出したり、より派手だったり強力な音を求めるこそも珍しくないからこそ、そこでギター的手法や道具に頼るのをやめる。
ベースならではの存在感や強力なサウンドに目を向けてみると、絶対に説得力が変わっていくはず。
やっぱり太い音は単純に気持ち良いし格好いい。
テクニカルで凄いことが出来たらそれも気持ち良いし格好いい。
そこを無理に決別させる必要も意味もないと自分は考えます。
だから本当、「縦振動を限定的に考えなくてもいいぞ!」と声を大にして言いたい次第。
両方求めて何が悪いんだと。
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