縦振動のタッチの研究 (24) 太い音を出したいなら左手も強化する

握力頼みには限界がある

 

先日は脱線ぎみではありましたが、左手が重要なポイントになるのは間違いない事。

特に、握力に頼るような弾き方をする場合、相当な負担がかかり続けることになる印象。

 

「母指球」と言うのでしょうか?

 

親指の付け根のあたりと言うか、膨らんでいる場所と言うか、その辺がパンパンに張ってしまうような感覚があるのはまずい。

 

親指と他の指でネックと弦をサンドイッチするようなフィンガリングには無理がありますし、そもそも、そんな強く握ろうとする意識なんて必要ないように感じるところ。

 

握力は使わない

 

極論でも何でもなく自分の場合、ネックに親指が触れていなくても押弦することが可能です。

要するにネックを握らずとも運指できます。

 

もちろん、実際は浮かしっぱなしなんて事はやりませんが、ローポジションであっても強く握らずに押さえることができる為、演奏が非常に楽になりました。

 

フィンガリングのスタイルを変えてからは、腱鞘炎とはほぼ無縁になったように感じますし、その方がより確実で強力な押弦にもなっています。

 

楽器が握力以外を必要とする

 

ジラウドのディープジョイントの場合、ハイポジションを上手く弾くには親指を浮かす技術を習得する必要性があるので、必然的に握力頼みが許されない面があります。

 

その感覚を掴むだけでも話が大分変わってくるかもしれません。

 

たとえばコントラバスを弾く場合など、このあたりの技術の習得は必須であり、握力の問題で解決するわけがない。

 

ハイポジションにおいては、ネック(と言うか指板)を強く握ることはそもそもほぼ不可能な為、親指も押弦に使う必要があります。

 

細かいフレーズを弾くにも繊細にビブラートをかけるにも、ガチガチに固定していては話になりません。

 

やはり、力にだけ頼るような世界とは異なるでしょう。

 

いかに握力から解放されるか?

 

どうやって握力に頼らない押弦を身に付けるか、肝心の話についてですが、テコの原理なんてのをイメージしてみると良いんじゃないかと思います。

 

ネックを強く握ろうとするのとはやはり異なる方法になるでしょう。

 

自分の体(腹とか腰?)を支点にすると言いますか、それで左腕と右腕と上手く利用してシーソーでもやるような感覚です。

 

指先だけを使うような意識を止め、もっと強い力を使う事をイメージする。

指や手首だけでなく、腕・肘・肩・背中なども使ったり引いたり、そうやって押弦することを考えていくと、絶対に変わってくるはず。

 

「胸を張れ!」とまでは言いませんが、極端な猫背などはやめた方が良いし、それは単純に体にも悪い。

 

ここ最近ずっと言っているように、楽器側に対して垂直に圧力を加えるのが効率の良いやり方だと感じますし、自分の体も使って楽器をしっかりホールドすることが大切ではないかと。

 

縦振動のタッチどうこう以前に、楽器がフラフラしてるなんてのはどう考えても不味い。

上下左右前後と、力を加える方向がチグハグしているのは改めた方が良いでしょう。

 

確実な押弦による恩恵

 

まず確実にバズは減り、それだけ実音が感じられるようにもなり、音程感も良くなっていきます。

 

また、バズが減るということは、それだけフレットへのダメージが減ることにもなり、楽器のコンディションがより安定したり、そういったメリットもある印象。

 

そして、縦振動のタッチとの関連性を考えるのであれば、タッチが多少乱れたとしても左手でしっかりと弦が固定されていれば、それだけでも音は太く確実なものになるんじゃないかと思います。

 

右手で弦を引っぱってしまうことに加え、それにつられて左手の方まで横にずれてしまうようでは、真に太い音は望めません。

 

単純にピッチも悪くなるし、何も良いことがない。

 

右手も左手も強ければ両方楽になる

 

縦振動を実現するために必要な、指が弦から離れるその瞬間。

そこで押弦が甘いようでは、やはり不味いと感じます。

 

方向がずれてしまったりブレてしまったり、弦の不要な暴れに繋がってしまえば、それだけ音は細くなるし、アタック感も弱くなり立ち上がりも悪くなってしまう。

 

見方を変えるならば、縦振動で弾けば弦が横に移動したり暴れなくもなる分、それだけ左手も楽になり、無理に押さえようとする必要も無くなるんじゃないかと。

 

太い音を出そうと力んで弦を引っぱりまくるほど体への負担は増加し、その努力も虚しく音が悪くなるのは皮肉な気がするところ。

 

やはり、楽器を演奏するには一部分だけを見るのではなく、全身から考えた方が効率も良く、それだけ健康に楽しく弾けるんじゃないかと思う次第。

 

楽器は楽しく弾きたい

 

根性だの気合だの、それに頼って無理をするのはある意味簡単ですが、確かな技術を身に付けることは本当に大変です。

 

人外みたいな化け物が存在するのも確かですが、それを基準にしたお説教には強く疑問を抱きます。

そもそも楽器演奏を神格化する必要なんかないし、音楽に対して過剰な幻想を抱く意味も必要もない。

 

ギターで言う「Fが押さえられない!」なんてのも、そこにはちゃんと理由があるわけで、それを精神論でなんとかしろってのは無茶苦茶な話。

 

変に高尚なものとして扱ったり、初心者を脅して悦に入るようなのはどうなのかなと。

「もっと楽に弾きましょうよ。そういう研究をしましょうよ。」と言いたくなります。

 

「壊れてなんぼ!」みたいな思考・思想から社会全体がもっと解放されてほしいものです。

 

オリジナルマガジン

note.com

 

note.com

 

note.com