ポングとベース

ベース楽しむ人生を

ジラウドと先入観

スラップモードに代表される様なクリーンな音のイメージがあるジラウドだが、

古くから叩き上げてきたものに触れるのも良いと言うか、

ローファイ系だったり無骨でイナたいサウンドなんかも実は得意な印象。

ワイドレンジでハイファイとか高速レスポンスなんて聞くとまぁ、

どちらかと言うと電気的だったり最新機器なイメージをするかと想像する。

冷たく味気ない物には興味ないなんて先入観を持つ人もいるかもしれない。

 

しかし実際のところはジラウドほどアナログで古臭い存在もない気がする次第。

ディスクリートへの拘りなんてものを一つ取って見てもそうだが、

タッチやボディ鳴りに対する姿勢を考えてもやはり人間的でアナログに思える。

店主の福田氏が69年のフェンダーJBをリアルタイムで弾いていた事や、

ジェームス・ジェマーソンのサウンドや奏法の研究をしてる事などを考えても、

ルーツになってるものは実は意外なぐらいに泥臭くも思えてくるかもしれない。

 

実際、自分などには想像も付かない様な話を聞いた事もある。

時代的にラウンド弦が入手困難だったとかそれだけでも違う世界の話に思える。

スラップをするにしてもレンジの狭いベースアンプと極太のフラット弦、

その中でプルを少しでも聞こえる様にする為にと小指でやっていたらしい。

弾く位置をブリッジに近付けた方が音抜けは良くなり太すぎない様にもなる為、

例え指が血に染まりボロボロになろうとも必死に小指でプルをしていたそうな。

と言うかそもそもスラップなんて言葉も無かった時代の様だし色々怖い話だ。

綺麗でスマートだったりお高いハイエンドなイメージなんかとは真逆と言うか、

どちらかと言えばかなり古いスポ根ものみたいなノリすらある様に感じる。

 

縦振動の話についても本当に奥が深いと言うか興味深い事が沢山ある。

ビンテージPBの配線には現行品とは異なるちょっとした秘密があるらしく、

それを施すと何と逆に縦振動に対する反応が悪くなり横に強くなるんだとか。

縦振動を意識すると音が小さくなったり迫力が無くなるというのだから不思議。

それを利用したワンフィンガー奏法の話も凄く面白いし、

これに関連するグルーブについての見解なども非常に興味深い。

また、このビンテージ配線とでも言うかこれはピックに対しても効果的な様子。

ピック弾きにおいて縦振動を意識するのはなかなか難しい事だが、

奏法に最適な磁界を考える事で音の出方が全く変わってくる可能性もある。

その改造をするかはともかくピックだからと無縁に思う必要はない気がする。

 

また、前述の様にジェマーソンの研究などを本格的にしているぐらいなので、

古いファンクやソウルなんかが好きでも参考になる事は沢山ある様に感じる。

ネオパッシブではあったが極太フラット弦を張ってスポンジもかましたり、

更にその例のビンテージ配線を施したジェマーソン仕様のPBなんてのもあった。

フルチューンのスラップモードとは対極な様にも思えそうだが、

そんな超ローファイ仕様にも対応可能なところが本当に面白いと感じる。

今後また改めて紹介するかと思うが歪みや変わったコンプなども実に面白い。

ベース本体だけでなく非常に独特なエフェクターもあってこれまた奥が深い。

 

まぁそんなこんな、ジャンルがどうとかスタイルがどうとか、

そういった理由や先入観でジラウドを避けるのは勿体ないし意味もないと思う。

自分の話をするならばメタルの速いベースをどう攻略するかと相談に行ったり、

上記のジェマーソン奏法などについても尋ねたり何でもアリなんじゃないかと。

サウンドのルーツの中にはクリス・スクワイアの存在まであったり、

プログレの話でもジャズの話でもスタジオの話でも何でも出てくると言うか、

そのカオスっぷりが実に楽しく素晴らしいと思う。

 

やはりベース好きならとりあえず一回は行っとけと声を大にして言いたい次第。

楽器の話だけでなく音楽に関わる話を聞くのでも十分価値がある様に感じるし、

そういう意味ではベース弾き以外のプレイヤーが行くのも普通に有りなはず。