縦振動のタッチの研究 (6) 速弾きの効率化と影響 

縦振動のタッチ (6)

 

縦振動のタッチは特殊な弾き方?

 

「縦振動のタッチ」と一言にまとめてしまうと限定的なイメージを持ってしまったり、または変わった奏法のように認識されるかもしれません。

 

実際、それならではのサウンドがあるのは確かですし、完璧な縦振動による凄まじく濃密な低音には憧れを感じます。一方、そこだけを目指すのも個人的にはちょっと違う。極端な使い分けが面白くもありそうだけど、0か100かだけで考えてしまうのはもったいない。

 

是非おすすめしたいのはタッチコントロールを身に付けること。軽い音でも重い音でも自由自在。自分の手で思った通りの音が出せるようになると本当に楽しくなります。縦振動への取り組みによって得られるものは太い音を出すことだけにとどまらず。微妙なニュアンス付けなど多彩な表現できるようになるのも大きなメリットであり醍醐味。

 

縦振動を知ってから得た効率

 

縦振動のタッチの習得を目指して分かったのは、速弾きなどに対しても大きな効果を望めること。以前の自分を思い返してみると今とまったく違うことをやってたと笑ってしまいます。

 

・細い弦を愛用して弦高は紙一枚入るかどうか

・フィンガーランプを使ってタッチも軽くほんの触れる程度

・バズも個性だアグレッシブなアタックだと悦に入る

・プリアンプでローをフルブーストが常

・テクニカル系を気取って隙あらば速く弾こうとする

 

以前にも触れましたが誇張じゃなく本当にこんな感じでした。そんな中で縦振動のタッチに出会ったこと、色々な経験を経てからというもの、好みも認識も大きく変化していった次第。

 

その流れで、

 

「技巧派を目指すのはもういいかなぁ・・」

「俺には無理なスタイルかなぁ・・」

「もうこっち方面の成長は望めないだろう・・」

 

なんて諦めが入ったりしたのも事実。

 

ところが不思議。今の方が当時よりも速く弾けるようになってるんですよね。当然、出音は比べようもないぐらいに太くなりましたし、あの当時とではグルーブも随分変わっただろうなと確信。

 

要するに、

 

『良い事ずくめ』

 

失ったものなんかまったく無いと断言してもよし。

 

以前より大きな楽器を使うようになった。弦も太くして弦高も遥かに上げた。速弾き専用の練習はしてないなど、表面的に考えた場合、どう考えても速くなるわけがない。

 

にもかかわらず明らかに今の方が速い。3フィンガーだって以前より自然に使えるようになったのが面白い。タッチ向上を志し取り組んできたことで様々な面において成長したのだと実感します。

 

効率が良くなって怪我に悩まなくなった

 

縦振動のタッチの習得に取り組んだ結果、音についてだけの話ではなく怪我に悩んでいたのもかなり解消されたことも実感。これも本当に不思議と言うか皮肉な話。低い弦高で楽しようとしてた頃の方が腱鞘炎などに苦しんでたのは何だったのかと悲しくなります。

 

そんな実体験から話しますが、縦振動の習得への取り組みは様々な面において本当に大きな効果を期待できます。弦を無理に引っぱったり安易に力任せに弾いて習得できるものではない為、縦振動を意識するほど効率的に確実に音を出すことが可能になります。

 

限定的に太い音を出すことだけを目指すのではなし。根本的な基礎の見直し、一音への意識を高め取り組んでいくことが大事。弦振動とその方向を意識すれば必ず音が別物になっていく。

 

効率的な演奏が身に付くことはもちろん、それだけ無理がなくなっていくのだから速弾きにだって当然効果があります。以前の自分が苦しんでいたような怪我に悩む人にも大きな効果を望めるのが素晴らしい。

 

楽器を鳴らすために必要な力や運動とはどんなものなのか?それを意識して変えていく意味は想像以上に大きなもの。真剣に取り組むほど良い成果にも期待できます。

 

どんな事を意識すべきか変えるべきか?

 

縦振動に限らず良い音を出すためには、

 

『いかに弦から指が素早く離れるか?』

 

これが重要だと考えます。

 

どんなに強く押しこんだところで指がいつまでも弦に触れていたり残っているようではまずい。指を素早く抜かなければ結局は弦が元の位置に戻ろうとしてしまったり、その力に指が負けてしまう為、それだけ振幅は小さくなり音量も落ちてしまうことに。

 

動画にするとこんな感じ。

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頑張って弦を押し込んだっていつまでも弦に触れていては駄目。指が抜ける方向が悪くなれば弦も不要に暴れてしまうしそれでは台無し。指を抜くスピードもタイミングも悪い場合、ただ力んで無駄に疲れるだけになってしまったり良い効果も出てきません。

 

だったらそのまま素直に指が通過するようにしたり、すんなりと離れるように弾いた方が良い。指の使い方ももちろん大事なんですが、タッチスピードを得るためには脱力が大切。ここだけを考えてみても力では解決しない世界だと分かります。

 

基礎と向き合うのだから速弾きへの影響もあって当然

 

「縦振動のタッチの習得!」と言うと何だか重そうですがこれと言うのは要するに、

 

『基礎の見直しと向上』

 

誰にとっても使えることだし必要にもなること。そう考えれば速弾きに対して効果があるのも当然だと自分は考える次第。

 

無闇にただ速く動かすのではなく、

 

・どうやったらもっと良い音を出せるのか?

・具体的にどうしたら太い音になるのか?

・どうしたらもっと指が速く動くようになるのか?

・スムーズに楽に音を出すにはどうするか?

 

こういった問題と真剣に深く向き合うことになる意味はやはり大きい。根本的な部分から変わってくるのだから良い影響がないわけがありません。特殊な奏法ではないからこそ、「こうするのが決まり!」みたいに誰かがアドバイスしたところでそれだけでは解決せず。人によって手の大きさ、指の長さ、関節の柔らかさなど驚くほど違うのが現実。

 

傾向として理に適っているであろう方法が存在にしても、最終的にはやはり自分なりにベストな方法を探っていくしかない。地道な練習と試行錯誤あるのみ。だからこそ効果絶大。音が太くなる実感ができればそれだけ楽しくなっていくことはもちろん、そこから得られたものを応用することができればさらにベースが面白くなっていきます。

 

大げさではなく縦振動への取り組みでベース人生本当に変わります。

 

動画

 

今回の締め動画は速弾きを意識して弾いてみました。軽く触れるぐらいのタッチと縦振動を意識したものとで音の太さ、大きさ、立ち上がりが変化します。

 

※ヘッドホンなど推奨。

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今回のようシングルコイルでリアPUオンリーなんてセッティングの場合、弦を押し込むことを知っているか知らないか?それでかなりの違いが出てきますね。リアでも太くかつ粒立ちもっと良く弾けるようになる。これはフレットレスやその愛好家などにとっても凄く美味しいポイントになるはず。

 

決して限定的な奏法ではない縦振動。速弾き時における説得力のなさ、押しの弱さ、音が団子になってしまう悩みなどに対しても効果絶大!

 

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